短編なのだ

「■■■■?」
「……そうなのだ」
「■■■■」
「……?」
 わからないのだ。何もわからないのだ。知らない気持ちのわるいニンゲン。
「…………」
 わからないのだ、わからないのだ。
『■■■■!』
『■■■!』
 蘇ってぐるぐる、ぐるぐる。
 気持ちがわるいのだ、気持ちがわるいのだ。
 ぐるぐる、ぐるぐる、臓腑が煮えて。
 ぐるぐる。
『……は……で……だよね』
『……は……で……だよ、……してる』
「やめるのだ……」
『……が……そういうところが』
「やめるのだ!」
 知らないニンゲン。気持ちのわるいニンゲン。
 皆、アライさんのことを見ているのだ。
 皆。皆。皆。
 見ているのだ。見ているのだ。
 視線。視線。視線。
 纏わり付くのだ。ぐちゃぐちゃの蜘蛛の糸。
 嫌なのに、逃げられなくて、逃げたいのに、逃がしてくれなくて、どこまでもどこまでも纏わり付いて、ぐるぐる、ぐるぐる。
 どうしてこっちを見るのだ?
 どうしてついてくるのだ?
 どうして話しかけるのだ?
 消えてくれなのだ、全部、消えてくれなのだ、消えてくれなのだ、気持ちのわるいニンゲン全て、消えて、なくなってくれれば。
 けれどそれは叶うことなくアライさんは今日も、
『     』
 一匹きり。濁った記憶の夢を見るのだ。
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    拍手なのだ