短編なのだ
普通の女の子になってしまったアライグマ!
「しっぽがないのだ…耳がないのだあ…」
べそべそ泣いているところにフェネックがやってきて、今日からきみは私たちの仲間だよ、と言う。
そんなわけはない、自分は今日この日にフレンズではなくなってしまったのだから、とアライグマ。
フェネックはふわりと笑った、
「それがしぬということなんだよ」
アライグマは泣いてしまった。しんだら元のアライグマに戻れると思ったのに、こんなよくわからない動物になってしまったのでは悲しくて。
フェネックはアライグマがなぜ泣いているのかわからない。
「しんだら皆、ヒトのすがたになるんだよ。普通の女の子になるんだよ」
「アライさんは…しんでないのだ…しんだつもりもなくて」
そう、とフェネック。
「それでもアライさんはしんでいるんだよ」
「普通の女の子になんてなりたくなかったのだー!」
アライグマはだっと駆け出し、巣から出る、と、外には見たこともない建物が並んでいた。
四角くて灰色で、高い。
「なんなのだ、これ…」
「それはびるって言うのさ」
「びる」
「ヒトが使う巣だよ〜」
「アライさんはヒトじゃないのだ」
「困ったねえ」
「フェネックだってフェネックのままじゃないかのだ」
「私はアライさんにしか見えてないよ〜」
「え」
「残念ながら、幻覚なのさ〜。だから私はフェネックでいられるのさ」
「い、いやなのだ。フェネック、アライさんは」
「まあまあ大丈夫。いなくならないからね」
「そ、そうか……なのだ……」
「戻ろうか」
「どこになのだ」
「部屋に」
「部屋って何なのだ」
「巣だよ、さっきまでいたところ」
「……」
アライグマの涙はいつの間にか止まっていて、その顔には決意に満ちた表情が浮かんでいた。
「アライさんたちが元に戻れる方法を探すのだ!」
「アライさ〜ん、それは無理だと思うけど」
「さーがーすーのーだ!」
「……わかった。それをきみが望むなら」
そうして、アライグマとフェネックは「元に戻る方法」を探すことになった。
普通の女の子になったアライグマと幻覚のフェネックのどったんばったん大冒険は、ここから始まる――
「しっぽがないのだ…耳がないのだあ…」
べそべそ泣いているところにフェネックがやってきて、今日からきみは私たちの仲間だよ、と言う。
そんなわけはない、自分は今日この日にフレンズではなくなってしまったのだから、とアライグマ。
フェネックはふわりと笑った、
「それがしぬということなんだよ」
アライグマは泣いてしまった。しんだら元のアライグマに戻れると思ったのに、こんなよくわからない動物になってしまったのでは悲しくて。
フェネックはアライグマがなぜ泣いているのかわからない。
「しんだら皆、ヒトのすがたになるんだよ。普通の女の子になるんだよ」
「アライさんは…しんでないのだ…しんだつもりもなくて」
そう、とフェネック。
「それでもアライさんはしんでいるんだよ」
「普通の女の子になんてなりたくなかったのだー!」
アライグマはだっと駆け出し、巣から出る、と、外には見たこともない建物が並んでいた。
四角くて灰色で、高い。
「なんなのだ、これ…」
「それはびるって言うのさ」
「びる」
「ヒトが使う巣だよ〜」
「アライさんはヒトじゃないのだ」
「困ったねえ」
「フェネックだってフェネックのままじゃないかのだ」
「私はアライさんにしか見えてないよ〜」
「え」
「残念ながら、幻覚なのさ〜。だから私はフェネックでいられるのさ」
「い、いやなのだ。フェネック、アライさんは」
「まあまあ大丈夫。いなくならないからね」
「そ、そうか……なのだ……」
「戻ろうか」
「どこになのだ」
「部屋に」
「部屋って何なのだ」
「巣だよ、さっきまでいたところ」
「……」
アライグマの涙はいつの間にか止まっていて、その顔には決意に満ちた表情が浮かんでいた。
「アライさんたちが元に戻れる方法を探すのだ!」
「アライさ〜ん、それは無理だと思うけど」
「さーがーすーのーだ!」
「……わかった。それをきみが望むなら」
そうして、アライグマとフェネックは「元に戻る方法」を探すことになった。
普通の女の子になったアライグマと幻覚のフェネックのどったんばったん大冒険は、ここから始まる――
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