短編なのだ

「いつの間にか秋になったのだ」
「アライさんは何をしたのだ?」
「アライさんはただ、つめたい空気の入ったものを引っ張ってきただけなのだ」
「本当に?」
「うそなのだ。勝手に秋になったのだ」
「正直に言えてえらいのだ」
「全然えらくないのだ。そうやって全然えらくないことをえらいというのやめてくれないかのだ」
「でもアライさんは言われたいのだ」
「ミスマッチなのだ」
「回復期のアライさんは交流を嫌うのか~?」
「わからんのだ。放っておいてほしいのだ」

『ああ……君たち、いやなやりとりはやめたまえなのだ』

「管理者なのだ。介入してこないでほしーのだ」
『そういうやり取りをするからしょーせつ内でもきらわれるのだぞ』
「だってほんとのことなのだ」
『ジラ……管理者はそんなこと望んでいないのだ』
「自他境界線を引けだとか?」
『ハハハ……まさにそれなのだ』
「どれが本音なのかわからなくなっちゃったのだ」
『それで良いのだ。ところで、もう一匹は?』
「わからなくなっちゃったのだ」
『ハハハ……こわいこわいのだ』

 おわり。
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    拍手なのだ