眠りは己への潜行なのだ。落ちると言うのは自らへのそれを言うのだ。
　潜行するのだ。毎日毎日潜行するのだ。16時間潜行するのだ。深海を照らすフラッシュライトのように色々な夢を見るのだ。
　たべる夢、シャコウフアンな夢、嫌われる夢。
　色々、色々、けれどもほとんど苦しみなのだ。
　過ぎ去った苦しみもあれば、現行の苦しみもある。
　常に意識してる苦しみもあれば、そんなこと気にしてたのだ？ みたいな苦しみまで、大小様々各種取りそろえているのだ。
　深海が無ならよかったけれど、案外生き物や死骸やらそんなものがあったりするのだ。何よりたくさんあるのは海水に砂。きっとそれが「無意識」なのだ。
　アライグマたちにとって無意識は恐ろしく、制御不能な怪物なのだ。
　無意識の水圧、過去の水圧が心を押して、潰して、息ができなくなって、それでも潜行するのだ。
　昼間の明かりが心臓を刺すから、現実が頭を苛むから、もうそれ以外にできることもなくて、止まない引力に引かれて、それぞれのやり方で潜行して潜行して。
　そうして日が落ちた頃、同胞の夢を見るのだ。