『雪の下』シリーズ

 はいいろの雪原がどこまでも広がっているのだ。
 今日もアライさんは罪悪感。
 他のヒトから見るとなんてことのない事象を異常に気にしてしまうのだ。
 言葉に返した言葉の調子がうまくいかなかったこと、喋りすぎてしまったこと、約束のない集まりに遅れてしまったこと。色々、色々、気にするのだ。毎日気にして、気にすることがなくならなくて、それがだんだん積み重なって、つらくなって、倒れてしまうのだ。
 どうにもならない細かいつらさ。忘れたっていいのに、忘れられないのだ。
 罪悪感は纏わり付く過去の記憶と同じくらいしつこくアライさんを責めるのだ。
 小さな罪悪感が日増しに大きく重たくなって、抱えきれなくなって、降り積もる灰色の雪のようなのだ。
 罪悪感ばかりのアライグマ生だったのだ。あちらで罪悪感、こちらで罪悪感、一人になったら反省会。
 面倒な奴なのだ。フレンズがいなくなるのだ。強気に出るくせ後から落ち込み暗くなる。自分でも自分のフレンズにはなりたくないと思う日々なのだ。
 いくら反省を積み重ねても、改善できなければ意味がないのだ。そんなことを己に言い聞かせて生きてきて、ついに壊れてしまったのだ。
 壊れたってアライグマ生は何も変わらなくて、アライさんは生きてるし、日常も続いてる。抱えたつらさも変わらない。
 なんとか立ち直ろうと強気になったらフレンズが減ったのだ。フレンズは強気でうるさいアライさんより壊れて落ち込むアライさんの方が好きなのだな、と思って、一人。ぐるぐるを誰にも言えなくなって空回り。
 そしてまたフレンズがいなくなって、一人ずついなくなって、アライさんはまた一人になって、きっと再び、「アライさん」のように、死んでしまうのだ。
 雪の下。
 次のアライさんは誰なのだろうな?
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