明日晴れたら
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ちょっとカッコいい先輩を見つけた。
たまたまバスケ部で、魅力的なプレーをする人だったから興味を掻き立てられた。
かといってそれはカッコいい人ってだけで、好きな人ではない。
だからミキは同学年の男子と何となく付き合うことになった。
告白されたから、別に嫌じゃなかったから。
彼氏だけど好きなのかと言われたら分からない。けれどそれで構わないと思う。
彼氏ができたことで、神の存在が自分の恋愛対象というカテゴリーの中に入って来ることはないような気がして、そうすると昼休みや放課後の体育館を覗くことに抵抗がなくなった。
海南にいる他のバスケ部ファンと同じように、バスケを見に行くのだと思える気がした。
それでも、少しだけのつもりで覗いた体育館の中から、いつだって吸い寄せられるように神の姿だけが飛び込んできた。
高い身長の賜物とも言うべきスラリと長い手足に小さな顔、くっきりとした二重と長いまつげに縁取られた大きな目が印象的な整った顔立ちを見れば、バスケが上手いとか下手とかに関わらずモテて然るべきだと思う。
「彼女、いるのかな…」
つい、そんな事を考えてしまったら、それが気になって仕方なくなってしまった。
「ね、あのバスケ部の神さんって先輩、彼女いるの?」
そう聞くと清田は頬杖をついていた体をシャキッと伸ばして椅子に座ったままミキを見上げた。
「なんだ、浮気か?」
「は?」とミキが顔を歪めると「彼氏いんだろ、お前」と続ける。
バスケ馬鹿だと思っていたが、意外にもそういう情報はしっかりキャッチしているんだなと思う。
「そんなんじゃなくて。いーじゃん、興味あるんだから」
すると清田はミキから体を背けるようにして「知らねーよ」と素っ気ない。
「知らないって何よ」
「そんな話しねー」
「まぁ…アンタとそんな話したってって感じなんだろうけど…」
やおらキーキー喚きだした清田の言葉はミキの頭に入って来なかった。
ーーー興味があるだけだ。「好き」とは違う。
そう自分に言い聞かせながらも、どこかで神に彼女などいないと信じたい自分がいた。
「清田、リサーチしてよ」
いつになく神妙な面持ちでポツリと溢れたそれに、清田は「む」と口を尖らせた。
「な…」
「お願い」
しおらしい声色でそう言われてしまうと何も言えなくなったのか清田は口を噤んだ。
そして面倒くさそうに頭を掻く。
「何でオレが…」
「イイ子紹介してあげるから」
「マジいらねー」
どうやら自分は女子のお願いに弱いらしい、と清田は自覚した。
それでも別に変な事を聞くわけではないし、他人の恋愛事に全く興味がないわけではない、と自分に言い聞かせる。
清田は、部活の休憩の合間に体育館の外にある手洗い場で顔を洗っている神を見つけた。
首にかけたタオルで水を拭う神は、清田より背が高いのに清田より華奢な体つきをしている。
短く刈られた襟足をしばし眺めてから、思い切って「神さん彼女いるんすか?」と声をかけた。
神は首を捻って背後にいる清田に目をやると、続けて体ごと向き直る。
「急に何?」
「いや、いるのかなーって、興味本位っす」
「…いないけど」
困惑気味な表情を浮かべて神が答えると、いつもなら更にうるさく詰め寄ってくる清田がフーンと言ってそれ以上の質問をしてくる様子はない。
「きもちわる」
そう口にしてもシーンと沈黙を守っている清田を、神が僅かに首を傾けてジッと見据える。
その視線に気づいた清田は彼の顔色を窺うように上目遣いになった。
「な、なんすか」
「…オレの思い過ごしながらイイんだけどさ、面倒な話持ってきたりすんなよ」
「…面倒な話、とは?」
清田が少し首を突き出すようにして聞き返すと、神はフイっと顔を背けた。
「人伝に呼び出されたり手紙渡されたりするの、オレ嫌いだからね」
清田はギクッと一瞬体を硬直させてから両手を開いてヘラリと笑ってみせる。
「オレが女子の口車に乗ってそんな事をするとでも?」
すると清田を横目で見た神が表情をゆるめた。
「そうだね。ノブナガはそんな面倒くさいヤツじゃないよな」
「そ、そうっすよ」
これについてはミキに何と言われようとこれ以上首を突っ込むまい、清田は直感的にそう感じた。
たまたまバスケ部で、魅力的なプレーをする人だったから興味を掻き立てられた。
かといってそれはカッコいい人ってだけで、好きな人ではない。
だからミキは同学年の男子と何となく付き合うことになった。
告白されたから、別に嫌じゃなかったから。
彼氏だけど好きなのかと言われたら分からない。けれどそれで構わないと思う。
彼氏ができたことで、神の存在が自分の恋愛対象というカテゴリーの中に入って来ることはないような気がして、そうすると昼休みや放課後の体育館を覗くことに抵抗がなくなった。
海南にいる他のバスケ部ファンと同じように、バスケを見に行くのだと思える気がした。
それでも、少しだけのつもりで覗いた体育館の中から、いつだって吸い寄せられるように神の姿だけが飛び込んできた。
高い身長の賜物とも言うべきスラリと長い手足に小さな顔、くっきりとした二重と長いまつげに縁取られた大きな目が印象的な整った顔立ちを見れば、バスケが上手いとか下手とかに関わらずモテて然るべきだと思う。
「彼女、いるのかな…」
つい、そんな事を考えてしまったら、それが気になって仕方なくなってしまった。
「ね、あのバスケ部の神さんって先輩、彼女いるの?」
そう聞くと清田は頬杖をついていた体をシャキッと伸ばして椅子に座ったままミキを見上げた。
「なんだ、浮気か?」
「は?」とミキが顔を歪めると「彼氏いんだろ、お前」と続ける。
バスケ馬鹿だと思っていたが、意外にもそういう情報はしっかりキャッチしているんだなと思う。
「そんなんじゃなくて。いーじゃん、興味あるんだから」
すると清田はミキから体を背けるようにして「知らねーよ」と素っ気ない。
「知らないって何よ」
「そんな話しねー」
「まぁ…アンタとそんな話したってって感じなんだろうけど…」
やおらキーキー喚きだした清田の言葉はミキの頭に入って来なかった。
ーーー興味があるだけだ。「好き」とは違う。
そう自分に言い聞かせながらも、どこかで神に彼女などいないと信じたい自分がいた。
「清田、リサーチしてよ」
いつになく神妙な面持ちでポツリと溢れたそれに、清田は「む」と口を尖らせた。
「な…」
「お願い」
しおらしい声色でそう言われてしまうと何も言えなくなったのか清田は口を噤んだ。
そして面倒くさそうに頭を掻く。
「何でオレが…」
「イイ子紹介してあげるから」
「マジいらねー」
どうやら自分は女子のお願いに弱いらしい、と清田は自覚した。
それでも別に変な事を聞くわけではないし、他人の恋愛事に全く興味がないわけではない、と自分に言い聞かせる。
清田は、部活の休憩の合間に体育館の外にある手洗い場で顔を洗っている神を見つけた。
首にかけたタオルで水を拭う神は、清田より背が高いのに清田より華奢な体つきをしている。
短く刈られた襟足をしばし眺めてから、思い切って「神さん彼女いるんすか?」と声をかけた。
神は首を捻って背後にいる清田に目をやると、続けて体ごと向き直る。
「急に何?」
「いや、いるのかなーって、興味本位っす」
「…いないけど」
困惑気味な表情を浮かべて神が答えると、いつもなら更にうるさく詰め寄ってくる清田がフーンと言ってそれ以上の質問をしてくる様子はない。
「きもちわる」
そう口にしてもシーンと沈黙を守っている清田を、神が僅かに首を傾けてジッと見据える。
その視線に気づいた清田は彼の顔色を窺うように上目遣いになった。
「な、なんすか」
「…オレの思い過ごしながらイイんだけどさ、面倒な話持ってきたりすんなよ」
「…面倒な話、とは?」
清田が少し首を突き出すようにして聞き返すと、神はフイっと顔を背けた。
「人伝に呼び出されたり手紙渡されたりするの、オレ嫌いだからね」
清田はギクッと一瞬体を硬直させてから両手を開いてヘラリと笑ってみせる。
「オレが女子の口車に乗ってそんな事をするとでも?」
すると清田を横目で見た神が表情をゆるめた。
「そうだね。ノブナガはそんな面倒くさいヤツじゃないよな」
「そ、そうっすよ」
これについてはミキに何と言われようとこれ以上首を突っ込むまい、清田は直感的にそう感じた。
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