ごちゃまぜ
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神先輩が憧れだった。
先輩の綺麗なシュートに憧れていた。
神先輩!
あたしの声でシュート練習をしていた先輩の手が止まった。
先輩のようなシューターになりたいんです、と言った言葉に嘘はないけれど、こうやって手ほどきをしてもらいに来るのに下心がないとは言えないあたし。
随分良くなったね、なんて言いながら少し離れた所からシュートのチェックをしてくれる先輩。
神先輩を独り占めできるこの時間が好き。
この時だけは、先輩の目にあたししか映っていないと思えるから。
もう一回やってみて、とあたしだけに注がれる真剣な眼差しが嬉しい。
――ガコン
なんで外すかなぁ…
首を傾げるあたしに先輩は笑いながらボールを投げて寄越す。
はい、構えて
背後に回り込んだ先輩の声が頭のすぐ上から聞こえた。
それだけで速くなる鼓動。
ボールをこう、この角度をキープして…ね
後ろからあたしの身体を包むように延ばされた長い腕。
触れられた手から伝う熱。
背中に、腕に、先輩の体温を感じたら、頭の中がフワフワと飛んでいってしまいそう。
このまま抱きしめてもらえたならば、きっとあたしは窒息死してしまう、なんて天まで浮かぶ恋心。
それは夢見がちな乙女が手に入れる事の出来たささやかな幸福の時間。
宗くん
その声で二人の空間は壊された。
入り口には見慣れた顔。
いつからか、それが先輩の彼女だって事くらい気付いていた。
神先輩はその人に目配せすると、あたしの頭をクシャクシャと撫でる。
ずいぶん良くなったよ名無しさんちゃん、頑張って
そう言って彼女の方へと走って行く後ろ姿を見送りながら急速に落下していくあたしの気持ち。
彼女に向けられるあの眼差しは、決してあたしには見せないものだって知っている。
深く深く沈んでゆくあたしの恋心。
だけど少し優しくされたら、また馬鹿みたいに浮かび上がるんだ。
恋
それは浮かんでは沈むの繰り返し
thanks for 愛じゃ世界を救えない!
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