いくやまいまいおおやまい…

午後からの授業はただでさえ面倒臭いのに この先生の覇気のない喋り方ときたらまるでお経を聞いているみたいだ
何の脈略もなく時折口にする歴代総理大臣の頭文字を綴ったそれは眠気を誘う呪文のように聞こえる

欠伸を噛み殺して 何気ないそぶりで視線を横へと流すと 隣の隣の隣の席に座るあの子は 頬杖をついて教科書に視線を落としていた

ちゃんと教科書を目で追っているのか はたまたそれは振りだけなのか

けれど彼女の整った横顔を眺めていると眠気が薄らぐような気がしたから どうせ頭に入らない授業を聞くくらいなら その横顔を脳裏に焼き付けた方が有意義だと思って 窓の外を眺める振りで彼女の横顔を見ていた


と その時彼女の頭がカクンと一瞬沈みそうになって あ やっぱり寝てたんだと思う俺に気付くはずもない彼女が慌てて顔をあげ 私寝てませんオーラを出す様子が可笑しくて思わず口許が緩む

不意に黒板から視線を外した彼女と バチッと音がした勢いで目が合って 気まずいのと同時に今度こそ眠気が覚めたのはお互い様だと思う</font>


眠気覚ましになりました