ごちゃまぜ
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「お前授業は?」
「そーゆうアンタはどーなのよ」
小春日和の誰もいない屋上は あたし達に午後からの授業を放棄させるには十分すぎるほど魅力的だった
「古典、嫌いなんだよ。どーせわかんねぇんだから受けたって受けなくったって同じ」
どんな言い訳だよと思いつつ 今日のコイツのサボりの理由にあたしはなんとなく気付いていて
「授業は頭に入って来なくてもさぁ、同じクラスのベッピンさん眺めてりゃいーじゃん」
それでいてその理由を知りたがるのはリョータの答えに傷つきたい自分がいるから
たくさん傷ついたら あたしはこの気持ちから逃げられるのだろうか
フーと深く溜息をつくリョータの沈んだ表情はあたしの心をも沈ませた
「なんでかなぁ…」
どうやったら彼女の視界に自分の姿を映す事が出来るんだろうと零すリョータの背中はますます小さく見えた
リョータにあんな顔をさせることが出来るアヤコに嫉妬し そして彼女に夢中であたしの気持ちに気付かないリョータに言いようのない苛立ちと虚しさを覚えるのは何度目だろう
「やめちゃえばいいのに」
そんな顔するなら
アヤコなんてやめちゃえばいいじゃん
思わず飛び出したあたしの本音にリョータは少し笑った
「だけどやめらんないのが恋なんじゃね?」
ヤンキーなナリしてるくせにさ
その一途さズルいよね
だからあたしも可笑しくなって笑った
「変なの らしくなくない?」
あたしの言葉に唇の端を吊り上げて視線を寄越すその表情
「わかんねーかな お前には」
あたしはやっぱりアンタが好きで だから一方通行の切なさも 相手の何気ない言動に感じる喜びも知っている
リョータのその気持ちは リョータ自身があたしに与えるまさにそれ
「分かるよあたし」
きっとリョータも あたしと同じものをアヤコに感じていて だから片思いをやめられないんだ
「だってあたし リョータの事が好きだもん」
口を真一文字に結んで正面からあたしの顔を見たリョータの頬が少しずつ赤みを増して アヤコじゃない女でもその頬を染めさせることが出来るのだと それくらいは自惚れさせて
気持ちを隠すことをやめて 君と同じスタートラインに立った
あたし達にゴールはあるのかな
fin.
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