ごちゃまぜ
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「今更ムシが良すぎるのはわかってんだけどさ…」
昼休みに呼び出された屋上。
目の前にはバツが悪そうに目を伏せた三井。
「やり直せねぇかな…」
呼び出された時点で期待していなかったといえば嘘になる。
今まで散々あたしを裏切ったくせに、こんな期待は裏切らないんだと思ったら目の前の男が無性に憎たらしくなった。
「バッカじゃないの?」
勝手にグレて簡単にバスケもあたしも捨てたくせに、バスケットボールが再びその手に戻って来たからって、あたしまで簡単に取り戻せるとでも思ってるの?
「昔のことなんだから、もう蒸し返さないでくれない?」
久しぶりにあたしの目を見た三井が口を開く前にあたしは続けた。
「時間は進んでいるの。あたしだっていつまでも三井の事を好きでいるわけじゃないんだから」
そんな言葉とは裏腹に、毎年ギリギリで進級する三井に倣ってあたしの恋心もドロップアウト出来ずにいたんだから笑えない。
あと半年で、卒業と同時にきっと終わらせる事が出来たはずなのに、それなのに今更三井は狡い。
「…そっか…」
両手をポケットに突っ込んで立つ三井が俯いた。
「当然だよな…」
それはあたしの知っているいつだって少し自信家で鼻っ柱の強い三井ではなく、夏の生暖かい風にも揺らいで消えてしまうかのように見えた。
「今まで、色々悪かったな」
そう呟いた声さえ消えてしまいそうで、あぁ変わってしまったのはあたしではなく、やっぱり三井だったんだと思ったら胸の奥だけでなく鼻の奥までもが痛んだ。
そんなに簡単に諦める三井はあたしの好きな三井じゃない。
「三井のバカッ!」
ジワリと歪んだ視界には驚いた三井の顔が映って、だけど追い掛けてくれない三井なら嫌いだから走って逃げた。
ドロップアウト出来ない恋
title by dix
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