ごちゃまぜ
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デカイ男に会った。
高校の頃までスポーツをしていたあたしも背は高いほうだったが、それでも見上げる程。
どこの大学だろう?
同じ大学なのだろうか?
広いキャンパスでも目立つであろうその長身をあたしは入学してこの方見たことがない。
大学に近いこのマンションはほとんどが大学生で、たまに大学から社会人になっても住み着いている人がいる程度だった。
だからあたしはある朝、その男が学ランを着ていたことに非常に驚いたのだ。
それから彼とは滅多に顔を合わせる事もなく、季節は夏へと移り変わっていた。
「あっつ…」
あたしはマンションへの帰り道にコンビニへと足を運んだ。
適当にジュースを選んでレジへ行くと入口の扉が開いた。
あの男だった。
何か部活をやっているのだろう、大きなスポーツバッグを肩に下げて。
あたしと目が合うと「コンニチハ」と微笑んだ。
顔を覚えられていたらしい。
それにしても高校生にしとくには勿体ないくらいのイイ男。
そして少し気になった。
「あなた、どこかで…」
あたしの問いに彼は「同じマンションですよ」と答えた。
いやそうではなくて…。
もっと違う所で会った気がするんですが、と言いかけてやめた。
これではまるで逆ナンだ。
そんなに男に飢えてるつもりはない。
あたしはそのままコンビニを出た。
あぁ季節は夏。
この時期になるとあたしが必ず買う雑誌がある。
2年前まであたしが青春を賭けていたスポーツ。
そろそろインターハイ出場校が出揃う頃だとページをめくる手が止まった。
「陵南の天才プレーヤー…」
彼だった。
会った事があると思ったのは紛れも無くこの雑誌でだったのだ。
トクンと胸が揺れた。
あたしの青春。
インターハイ。
高校生のあたしはそこで他県の生徒と恋に落ちた。
淡い恋だった。
季節がうつろうにつれて掻き消えてしまった恋。
今でも切なくなる。
「君、仙道くん?」
あたしの問いに彼は驚いた顔をした。
「雑誌に載ってたね。天才だって。」
「参ったな」と苦笑いする彼にひと夏の恋の記憶が蘇る。
「バスケするんですか?」
彼の問いにあたしは答えた。
「高校までは」
「どうりで。背が高くて綺麗だからモデルさんかと思いましたよ」
高校生にしとくには勿体ないほど口の上手い男。
「インターハイにも行ったのよ。ベスト8だったけど」
マジッとあたしの顔を見た彼が言った。
「あぁもしかして…」
彼はあたしを知っていた。
女子の中ではちょっと有名でしたよね、凄く綺麗なシュートをするんだ、女なのに男子並の成功率の高さ
昔を褒められて悪い気はしない。
それからあたしはよく海で釣り糸を垂らす彼の隣でバスケの話しをした。
彼との時間は忘れていた何かを思い出させた。
季節は8月。
今日も街を照り付けていた太陽が沈む。
「名無しさんさん…」
今日俺の部屋に来ない?
それが始まり。
服を脱ぎ捨てるのももどかしく唇を重ね肌を重ねて
柄にもなく年下の彼との情事に溺れた。
あたしの胸に顔を埋める彼の髪に指を絡めれば、何度も重ねられる唇に乱される息遣いと胸の奥に仕舞っていた何か。
身体から溶け出す情熱はあたしが忘れかけていたもの。
「…っあ」
深く突き抜ける快楽の渦に何もかも投げ出せば
「…スゲェ綺麗…」
あたしの体に朱く咲いた華
もっともっとと欲張ってきつく抱き合ったなら、何処までも堕ちてゆく……
…彼との逢瀬は季節の終わりすら忘れさせた。
8月も終わりのある日。
ベットの上でまどろむあたしに彼は言った。
「学校が始まったら忙しくなるからもう会えない」
夏の終わりがあたし達の終わり。
年下の彼に縋り付くには捨て切れないプライドがあった。
始まりに時間を費やし過ぎたのだろうか
短すぎると思わせる恋だった。
彼はあたしの中に欲望だけを求め
あたしもまた、彼の中に終わった青春のヒトコマを見たのだと知った
End.0113
高校生の純愛にフラストレーションが溜まりました…(笑)
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