Secret lover
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ハッと気づいて慌てて腕を放した。
「ごめーん、キモいセンセやんなぁ。」と笑うと南はニコリともせずに視線だけを寄越す。
「あのセンスの悪いジャージの持ち主か。」
「…あのジャージはあたしの趣味で買うたんやけど。」
「なんや知らん、ごっつームカつく顔しとったな。」
「びっくりするくらい男前やったやろ。」
「………。」
「………。」
すると突然南がフンと鼻を鳴らした。
「見栄っ張り。」
そう言われてしまえば言い返す言葉などないのだけれど。
「大人の事情やねん。見逃したって。」
「高つくで。」
ゲーという表情を作って見せたが実際は感謝していた。
「ありがとうやで。」
意味が解らないと言いたげに南が眉間に皺を寄せた。
「あそこで南君に否定されとったら、あたしめっちゃ可哀相な子になっとったわ。」
彼はそこでようやく唇の端を緩め「ホンマに世話がやけるセンセやなぁ」と呟く。
「スイマセン。」
「なったってもええで。」
「ん?」
「彼氏。」
思わず笑った。
「せやな、またアイツに会った時はよろしく。」
それは単なる会話の流れで、深い意味はないはずだった。
自分にも、もちろん相手にも。
南が部活に行くと言うので本屋の前で別れた。帰ったら早速試験勉強をしなくてはならない。
決勝リーグは3試合。今日一勝した豊玉は残る2試合を一週間後に控えていた。
教員試験は二週間後、つまり再来週に行われる。
それさえなければきっとバスケの試合を見に行っただろう。ハマりそうな気がする。だから残念でならない。
帰りがてらそんな事を考えていると、フとスタバの看板が目に留まった。少し寄り道する事に決定。
テーブルについて一服しようとすると、すぐ隣の席にジャージ姿の高校生軍団が座った。溢れ出る若者オーラがムンムンとこちらまで伝わってくる気がする。羨ましい。
「今年はウチと豊玉で固いんと違う?」
豊玉という単語が聞こえてきたので無性に彼らの話の内容が気になってしまった。もう一度チラリと横目で確認すると、彼らの足元に置かれたスポーツバックにはバスケットボールクラブの文字。
彼らもバスケ部なのか。どうりでデカイはずだ。
「最終日やったな、豊玉とは。」
「あそこ、しんどいねん。応援団濃いし…。」
「あれ、誰のツレなん?岸本?」
「そーなん?ヤジりたくて来とるだけなんと違う?」
豊玉関係者としては結構辛い会話だ。あんな奴らだが愛校心からの応援と信じたい。
「エースキラーの3Pに気をつけな。」
「あぁ南な。」
南という名が挙がった事で更にその会話に惹きつけられる。
エースキラー?あまりいい響きではないそれがとても気になった。その前に盗み聞きと言う行為自体あまり良いことではないが。
「気をつけなあかん事は3P以外にもあるやろ。」
な、エース、と肩を叩かれた青年が顔をあげる。
「大丈夫やん。地区予選やし、南かて闇雲に潰しに来たりせえへんよ。」
そう言って青年は笑った。涼やかな目元。サラサラの髪。
思わずその容姿に惹きつけられると視線に気づいた青年と目が合った。彼はニコリと微笑む。
途端に自分が物凄く恥ずかしいことをしていたことに気づいた。慌てて顔を逸らす。
さっき会って気まずい思いをしたばかりなのに、それでも尚その面影を探していたなんて。
あまりの恥ずかしさに早くその場から離れたいと思った。
躍起になってコーヒーを啜ったが、それが熱くてなかなか進まない。アイスにすればよかったと後悔するうちに諦めも手伝って再びのんびり居座る事にした。
もちろんもう隣の会話に聞き耳を立てるような馬鹿な真似はやめておく。
ようやく店を出ようとすると、時を同じくして隣の高校生達も腰をあげ始めた。
「どっかで会ったことありません?」
店を出たところで不意に後ろから声をかけられた。
振り返ると随分長身の人だと気付く。そのままグーッと視線を上へと向ければ、先程隣の席で目が合った青年が立っていた。
不覚にもドキドキしたのは先程の気まずさが残っているから。
「さ、さぁ…記憶にありませんけど。」
少しキョドりながらそう答えると、青年はアレ?と首を傾げた。
「それなら僕の勘違いですね。すいません。」
彼はそう言って軽く会釈をすると仲間達の待っているところへと向かう。
「ナンパに失敗したん?」
「そんなんやないって。どっかで見たことある顔やったんやけどなぁ…。」
去っていく彼らからそんな会話が聞こえた。
「ごめーん、キモいセンセやんなぁ。」と笑うと南はニコリともせずに視線だけを寄越す。
「あのセンスの悪いジャージの持ち主か。」
「…あのジャージはあたしの趣味で買うたんやけど。」
「なんや知らん、ごっつームカつく顔しとったな。」
「びっくりするくらい男前やったやろ。」
「………。」
「………。」
すると突然南がフンと鼻を鳴らした。
「見栄っ張り。」
そう言われてしまえば言い返す言葉などないのだけれど。
「大人の事情やねん。見逃したって。」
「高つくで。」
ゲーという表情を作って見せたが実際は感謝していた。
「ありがとうやで。」
意味が解らないと言いたげに南が眉間に皺を寄せた。
「あそこで南君に否定されとったら、あたしめっちゃ可哀相な子になっとったわ。」
彼はそこでようやく唇の端を緩め「ホンマに世話がやけるセンセやなぁ」と呟く。
「スイマセン。」
「なったってもええで。」
「ん?」
「彼氏。」
思わず笑った。
「せやな、またアイツに会った時はよろしく。」
それは単なる会話の流れで、深い意味はないはずだった。
自分にも、もちろん相手にも。
南が部活に行くと言うので本屋の前で別れた。帰ったら早速試験勉強をしなくてはならない。
決勝リーグは3試合。今日一勝した豊玉は残る2試合を一週間後に控えていた。
教員試験は二週間後、つまり再来週に行われる。
それさえなければきっとバスケの試合を見に行っただろう。ハマりそうな気がする。だから残念でならない。
帰りがてらそんな事を考えていると、フとスタバの看板が目に留まった。少し寄り道する事に決定。
テーブルについて一服しようとすると、すぐ隣の席にジャージ姿の高校生軍団が座った。溢れ出る若者オーラがムンムンとこちらまで伝わってくる気がする。羨ましい。
「今年はウチと豊玉で固いんと違う?」
豊玉という単語が聞こえてきたので無性に彼らの話の内容が気になってしまった。もう一度チラリと横目で確認すると、彼らの足元に置かれたスポーツバックにはバスケットボールクラブの文字。
彼らもバスケ部なのか。どうりでデカイはずだ。
「最終日やったな、豊玉とは。」
「あそこ、しんどいねん。応援団濃いし…。」
「あれ、誰のツレなん?岸本?」
「そーなん?ヤジりたくて来とるだけなんと違う?」
豊玉関係者としては結構辛い会話だ。あんな奴らだが愛校心からの応援と信じたい。
「エースキラーの3Pに気をつけな。」
「あぁ南な。」
南という名が挙がった事で更にその会話に惹きつけられる。
エースキラー?あまりいい響きではないそれがとても気になった。その前に盗み聞きと言う行為自体あまり良いことではないが。
「気をつけなあかん事は3P以外にもあるやろ。」
な、エース、と肩を叩かれた青年が顔をあげる。
「大丈夫やん。地区予選やし、南かて闇雲に潰しに来たりせえへんよ。」
そう言って青年は笑った。涼やかな目元。サラサラの髪。
思わずその容姿に惹きつけられると視線に気づいた青年と目が合った。彼はニコリと微笑む。
途端に自分が物凄く恥ずかしいことをしていたことに気づいた。慌てて顔を逸らす。
さっき会って気まずい思いをしたばかりなのに、それでも尚その面影を探していたなんて。
あまりの恥ずかしさに早くその場から離れたいと思った。
躍起になってコーヒーを啜ったが、それが熱くてなかなか進まない。アイスにすればよかったと後悔するうちに諦めも手伝って再びのんびり居座る事にした。
もちろんもう隣の会話に聞き耳を立てるような馬鹿な真似はやめておく。
ようやく店を出ようとすると、時を同じくして隣の高校生達も腰をあげ始めた。
「どっかで会ったことありません?」
店を出たところで不意に後ろから声をかけられた。
振り返ると随分長身の人だと気付く。そのままグーッと視線を上へと向ければ、先程隣の席で目が合った青年が立っていた。
不覚にもドキドキしたのは先程の気まずさが残っているから。
「さ、さぁ…記憶にありませんけど。」
少しキョドりながらそう答えると、青年はアレ?と首を傾げた。
「それなら僕の勘違いですね。すいません。」
彼はそう言って軽く会釈をすると仲間達の待っているところへと向かう。
「ナンパに失敗したん?」
「そんなんやないって。どっかで見たことある顔やったんやけどなぁ…。」
去っていく彼らからそんな会話が聞こえた。