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「オマエさ、僕が同行する任務の時、必ず怪我するのは何で?」
名無子を軽々と横抱きにして歩きながら五条が言った。五条の首に回していた名無子の手にチカラがこもる。
「捻挫って、ホントは大した事ないんでしょ」
「そんなことないもん本当に痛いんだもん、歩けないんだもん」
「いくら生徒だからって、いつまでも甘やかしてやれないよ」
ピシャリと言い放たれて口を噤む。
最初は本当の負傷だった。五条が自分を抱き上げてくれた時は、怪我の功名ってこういうことなんだと胸が躍った。密着させた身体からは体温も匂いも、息遣いだって感じることができて、このまま死んでもいいとさえ思った。
「意地悪」
「至極まっとうな指導だよね」
「………」
至近距離で見る五条の下顎のラインが綺麗だといつも思う。通った鼻筋も形の良い唇も、いくら見ても見飽きない美術品のようだ。
五条に抱き抱えられる事が何度目かになる今でさえ、自分はこんなにもドキドキしているのに当の五条は涼しい顔で、この状況に何も感じないのだろうかと思うと酷く恨めしい。名無子がチラリと自分の足を見遣れば短めのスカートから白い太腿がバッチリ見えているし、それでなくても若い身体をこんなに密着させているのだから、その澄ました顔の下で密かに劣情を抱いていたらいいのに、否、抱いているのではないかと浅はかな女子高生が期待したのは仕方がない事だったのかもしれない。
「先生、女子高生の生足見て何とも思わないんですか?」
「ハァ?なにいきなり。ガキの足見て何を思えってんだよ」
「ガキじゃないです、ピチピチの女子高生です」
「ガキだよね」
「男の人って若い子が好きなんじゃないんですか?」
「そんじょそこらの奴と一括りにしないでくれる?」
「先生」
「………なに」
「好き」
「あ、そ」
勢いに任せて言った言葉は、酷く簡単にあしらわれた。
「なにその反応!」
「正解の反応があるの」
「…驚かないの?」
「今更でしょ。露骨すぎだよ」
「え、私のこと、好き?」
「オマエ、会話する気ある?」
一旦吐き出してしまった言葉を引っ込めることなどできなくて、後がないからと賭けて出た告白の行方を知るのが、今更ながら怖くなった。
「楽しい会話なら、する気ある」
「………」
「なんで黙るの!」
「楽しくない会話になるからじゃない?」
チクリ、と胸の奥が痛んだ。その言葉の先にあるものが見えてしまいそうだ。
「…先生、お願いがあります」
「一応聞いとこうか」
「付き合って」
「オマエ、僕を淫行教師にするつもり?」
「同意があったらいいんだもん」
「いいわけねーだろ」
「じゃあ、あたしが卒業するまで待ってて」
「オマエが卒業しても今以上の関係になる事はないよ」
「………」
ようやく押し黙った名無子が五条の肩に顔を押し付ける。
ひとつ分かったのは、たった今、失恋したという事実。
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