第1章
夢小説設定
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リヴァイは、あれ以来気づけばミカを目で追っていた。
意識していたわけではない。
ただ、目につくところにいるのが気に食わなかった。
――コソコソしやがって。
それが 地下で生きる術だということはわかる。
だが、リヴァイの目には、それがどこか異質 に映った。
守られているガキども。
それを囲う女。
地下で そんなものが長く続くはずがない。
……そう思っていた。
だから、様子を見に行った。
ただ、それだけのはずだった。
その日、リヴァイは 何気なくミカの家の近くを通りかかった。
あの女がどんな暮らしをしているのか、
ただの好奇心だった。
――だが。
「おい、何をモタモタしてんだよ……!」
低く、苛立った声が聞こえた。
リヴァイは目を細め、足を止める。
細い路地裏の影に、1人の女を囲むように、二人の男が立っている。
あのマントの紋章は……憲兵団?
その真ん中にいるのは――
ミカだった。
「この間の件……もう少しだけ待ってくれない?」
ミカの声は静かだった。
だが、その瞳は相手を警戒している。
「お前よぉ、何回そうやって誤魔化してきた?」
男がニヤリと笑う。
「そろそろ、こっちも回収させてもらわねぇと困るんだよなぁ」
ミカは表情を崩さなかった。
「……わかってる。でも、今は……」
「今は? もう待てねぇんだよ」
男が一歩近づく。ミカの腕を掴んで無理矢理引いた。
その瞬間――
スッ――
「――なんの話だ?」
低い声が響いた。
リヴァイは いつの間にかその場に立っていた。
憲兵たちは、一瞬だけ驚いた顔をする。
だが、すぐに 眉をひそめた。
「……なんだ、お前」
「こっちのセリフだ」
リヴァイは 無表情のまま、男たちを見た。
「その女が、何か?」
ミカは、わずかに 目を見開く。
男たちは顔を見合わせ、ニヤリと笑った。
「おいおい、お前……まさかこの女の男か?」
リヴァイは 一瞬、言葉を失う。
…… は?
ミカは、わずかに 顔を赤らめたように見えた。
――が、すぐに 険しい表情に戻る。
「違うわ。彼は関係ない」
「関係なくねぇだろ?」
男が リヴァイを値踏みするように見た。
「……お前、何者だ?」
リヴァイは ふっと息を吐く。
「そんなこともわかんねぇなら、地下を任されるのも大変だろ」
男の 眉がピクリと動いた。
「……なんだと?」
リヴァイは腕を組み、相手を見下ろす。
「もう一度聞く。なんの話だ?」
ミカは、一瞬リヴァイを見た。
その瞳には、「余計なことをしないで」 という静かな警告があった。
だが、リヴァイは それを無視した。
――この女を憲兵のクズどもに好き勝手やらせる気はなかった。
「……チッ」
男は 舌打ちをする。
「……今日は引くぜ」
「助かるわ」
ミカは静かに言った。
男たちは、まだリヴァイを睨みつけながら、
その場を離れていった。
しばらくして、リヴァイはミカに目を向ける。
「……借金か?」
ミカは 少しだけ困ったように笑った。
「……いいえ。取引よ」
「どういう取引だ?」
ミカは、答えなかった。
その代わりに、静かにリヴァイを見つめた。
「……あなたに、私のことを知られるのは……少し、面倒かもしれないわね」
「お前がどう思おうと関係ねぇよ」
リヴァイは 淡々と言った。
「もう関わっちまったんだ」
ミカは、わずかに目を細めた。
―― この男は、気づけば懐に入ってくるタイプだ。
それが、彼女の直感だった。