第1章
夢小説設定
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その日、ミカとファーランはリヴァイのアジトにいた。
立体機動装置を手に入れてからというもの、仕事の効率が上がったと喜ぶファーラン。
ミカも、何かの役に立つだろうとリヴァイに半ば強引に押し付けられる形で空飛ぶそれを所持しているが、使用したことは一度もない。
3人で何気ない会話を交わしていると――
外から物音がした。
リヴァイが 鋭く目を向ける。
「……誰かいる」
ミカも、その気配に気づき、静かに立ち上がった。
ガタンッ――!
次の瞬間、扉の向こうで何かが倒れる音が響いた。
ファーランがドアノブに手をかける。
リヴァイとファーランが無言で目配せをし、
ナイフを手に取りながら素早く扉を開ける――。
そこにいたのは――
ボロボロの服をまとい、小さな体を丸めている少女だった。
「うぉあ!!……いってぇ!」
「……なんだガキか。脅かしてくれるよ」
ファーランのその言葉でミカは安堵し、
リヴァイは、ナイフを収め、少女を冷たく見下ろした。
「……ガキじゃ……ねぇ……っ……!」
「そうか。じゃあ追い出しても後味悪くねぇな。床を汚してくれたことは大目に見てやる。今すぐ出ていけ」
「待ってリヴァイ。この子怪我してるみたい。もう少し優しくしてあげたら?」
その時、ミカが穏やかな声で口を挟んだ。
リヴァイは チラリと彼女を見る。
「……チッ……甘すぎる」
「なんだ?動けないのか?」
「動けるよっ…!甘く見んな……」
「気の強い子だなぁ」
ミカは静かにイザベルを見つめ、とあることに気がつく。
「ねえあなた……」
そうミカが声をかけようとした瞬間、こっちだ!と男の声が聞こえた。
「チッ…てめぇ追われてんのか」
「どうする」
「名前は?」
「……イザベル」
「OKイザベル。ひとまずこっちへ来るのよ」
ミカはイザベルをアジトの中へと連れていき、男たちの目の届かない場所へと移動した。
そうこうしている間に外では決着がついたようだ。
「……強い」
イザベルは、思わず目を丸くした。
「あの男たちは…あの2人に任せていればいいよ。ところでその懐に抱えてる子、死んでしまうわよ」
「はっ!だって……暖かいと思って!」
「どうしたの?鳥なんて」
「迷い込んでたんだ。多分通風口から。……だから地上に出してやろうと思ってさ」
「……そっか、そのために階段を通ろうと… ……」
こいつだって地下街なんかより空飛びたいだろ、というイザベルにミカは関心し、頭を撫でてやった。
「イザベル、あなたは優しい子だね。……でもこの子、羽を痛めているみたい」
「え、まじで!?」
鳥の簡単な手当をファーランが行い、自己紹介を済ませたところで、イザベルが口を開く。
「……あたしも、あんたらの仲間に入れてくれ!」
ミカとリヴァイは 同時に目を見開いた。
「お前、何言って――」
「あんた達、立体機動装置使ってたろ?見たことあるんだ!すっげぇ羨ましかった。鳥みたいに飛び回ってさ……やってみたいんだ!あたしも!」
イザベルは、まっすぐリヴァイを見た。
しばらくの沈黙の後、リヴァイは短く溜め息をついた。
「……ここに居るなら、立体機動より先に掃除を覚えろ」
イザベルの顔が ぱっと輝く。
「!……ありがとう!兄貴!」
「……兄貴?」
リヴァイは 舌打ち混じりに呟くが、どこか諦めたような表情をしていた。
それから数日後。
イザベルは、すっかりミカに懐いていた。
「ねぇ姉御! これ、どうやるんだ?」
「あ、姉御?」
「うん、なんか姉ちゃんっぽいし、そう呼ぶことにした!」
ミカは、思わず 苦笑した。
「……あなた、本当に楽しそうね」
「へへっ、まぁな!」
イザベルは笑う。
その様子を、リヴァイは 複雑な表情で見つめていた。
(……何だ、この気持ちは)
ミカとイザベルが 仲良くするのが妙に気に入らない――。
そんな感情を抱く理由が分からず、
リヴァイは 静かに視線を逸らした。