不死と不存在
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招かれた簡素な家の中で、アンデッドは椅子に腰掛けている。
「それで、話とはなんでしょうか……?」
女は未だ警戒を解かない様子で尋ねる。
「アンタが今まで起こしてきた殺人についてだ。」
その言葉に、女は顔を伏せた。
殺した人間の家族だろうか。それとも大切な仲間だろうか。
復讐のために訪れたに違いないと考える女は、誤魔化すことはせず素直に答える。
「……たしかに私は今までたくさんの人々を殺してしまいました。その中に貴方の大切な人が居たのであれば、誠心誠意お詫びします。本当にごめんなさい……なんでもやります。償わせてください……あ、死ぬこと以外でっ!お願いします……」
「そんなんじゃねぇよ。」
「?」
女は困惑する。では、なぜ危険を冒してまでこんな場所へ来たのか?
「アンタはさっきみたいな方法で全員殺したのか?」
さっきみたいな方法、つまり拳銃で頭を撃ち抜くことだ。
その問いに、女は慌てながらアホ毛をピンっと立たせて必死に答える。
「そっ、そっそそそうっですよ!!み、みんなその方法でっ!殺しました!!」
「……」
あまりにも下手な嘘に、アンデッドは冷徹な目を向け、圧をかける。
「……どうやって殺した?」
「……ふ、普通に!銃で殺しましたよ!ぜ、全員!」
「あぁ?」
「ひぃ!……あのぅ……あ、貴方は不死と言いましたけど……私にもそういった能力があります……」
女は観念したように肩を落とし、静かに口を開いた。
「……私の掌に触れた人やものは、すべて……跡形もなく消えてしまいます。」
「!」
その言葉を聞いた瞬間、アンデッドは反射的に女の腕を無理矢理掴んだ。
「痛!お、襲わないって言ったじゃないですか!?」
「悪いな、殺さねぇとは言ったが、襲わねぇとは言ってない」
「や、やめて!」
女の抵抗も虚しく、アンデッドは女の腕に巻かれた包帯を無理矢理外そうとする。
「どうしてこんなことを!?触れたら貴方が消えてしまう!!」
「俺は不死の力で長く生きすぎた。早くこの人生を終わらせるためにここにいるんだよ。ようやく見つけたのがお前だ。」
「そんな……ことっ……」
「だから早く俺に触れろ……っ」
揉み合いになりながらも抵抗する女を押し倒し、いざ包帯が外れる。
その手に触れようとした瞬間、涙を流しながら女が叫んだ。
「……死ぬことは、消えることじゃない!!」
「……!」
その言葉に、アンデッドの手が止まる。
「……何が言いたい。」
ルビーの瞳から涙が零れる中、彼女は語り始めた。
「……っ……私の力は“存在を否定する”……つまり触れたモノの過去から未来にかけて、存在を無かったことにする力なんです」