不死と不存在
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酒場の片隅で、アンデッドは煙草をくゆらせながら、ざわつく声に耳を傾けていた。
雑然とした会話の中、興味を引く言葉が耳に入る。
「ここから南西に行った廃村なんだが、あそこに行ったやつは誰一人として帰ってこねぇらしい。」
「幽霊でも出るのか?」
「いや、分からねぇ。
ただ、生きて帰ったやつがいないってだけだ。
何が起きてるかは誰も知らねぇ。」
その話に耳を傾けながら、アンデッドの口元に薄い笑みが浮かんだ。
彼は立ち上がると、煙草を指で弾いて火を消し、そのまま酒場を後にした。
____南西に向かって歩き続けたアンデッドが辿り着いたのは、不気味な静寂に包まれた廃村だった。
「ここが噂の廃村か。」
見渡す限り人影はなく、荒れ果てた建物には血痕が散らばり、足を進めるたびに違和感を覚えた。そして、何より目につくのは至る所に設置された警告の看板だった。
『警告 これ以上この村に近づくと最悪の死を迎えることになる』
『引き返すなら今しかない』
『手遅れになる前に引き返せ』
『後悔したくなければ今すぐ帰れ』
「……随分と手の込んだ演出だな。」
アンデッドは鼻で笑いながらも、その看板の言葉に逆に期待を膨らませた。
「ここには俺を死に導く何かがあるかもしれねぇ。」
足をさらに進めたその瞬間――
バン! バンバンッ!
突然の銃声が背後から響き、3発の弾丸がアンデッドの頭を撃ち抜いた。
____「し、死んだよね……?」
震える声が響く。横目でその姿を捕らえると、そこには銃を構えた女がいた。栗色のロングヘアは雑にまとめられ、長いアホ毛がぴんと立っている。腕から掌にかけて包帯を巻き、ルビーの瞳が恐怖に揺れていた。
「……アンタがこの廃村で噂になっている人殺しか?」
アンデッドは血が流れる額を押さえながら、平然と問いかける。
「ひっ……!? なぜ……? 3発とも頭に命中したはず……。」
女は慌ててリロードしようとするが、アンデッドは構わず話を続ける。
「弾の無駄だ。俺はUNDEADだ、いくら撃たれても死なねぇ。」
「ど、どういうことなの……?」
「俺はアンタと話をしに来た。心配するな、殺しはしねぇよ。……このふざけた看板もアンタが作ったようだし、なにか事情があるんだろ?」
その言葉に、少女は一瞬戸惑ったようだったが、諦めたように銃を下ろすと、震える声で言った。
「……どうぞ、中へ。」
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