TWO
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ラクサスと別れた後、ミカは妖精の尻尾のギルドがある町・マグノリアに到着した。
「ここが……ラクサスが言ってたギルド……。」
妖精の尻尾の紋章が掲げられた建物を見上げ、彼女は深呼吸をした。そして、意を決してギルドの扉を押し開けた。
ざわめく空間に圧倒されながらも意を決して進んだ。カウンターで雑務をこなしていたマカオが彼女に気づき、声をかける。
「お嬢ちゃん、どうしたんだ?迷子か?」
ミカは少し緊張した様子で頭を下げた。
「えっと……マスターはいますか?」
その質問に、マカオは一瞬だけ困った顔をし、後ろに立っていたロメオと視線を交わした。
「マスターか……残念だけど、今は留守なんだ。」
「留守……?」
ミカは戸惑いながらも、意を決して次の言葉を紡ぐ。
「実は、ラクサスの紹介で、このギルドに入りたくて来たんです。」
その名前を聞いた瞬間、ギルドホール全体の空気が変わった。近くで談笑していた数人が、ちらりとミカに視線を向ける。
マカオは驚きつつも、少し眉をひそめた。
「ラクサス……か。お前さん、あいつと知り合いなのか?」
「はい。旅をしている時に……彼にここを紹介されました。」
マカオは腕を組みながら考え込んだ。
「そうか。でもな、マスターが戻ってこないと、正式な加入は難しいんだ。」
「じゃあ、いつ戻ってくるんですか?」
ミカが不安げに尋ねると、マカオは重い表情で首を振った。
「……それが分からないんだ。天狼島に行ったっきり、みんな戻ってこなくてな。」
その言葉にミカの胸がざわめいた。天狼島。
「ラクサスが向かった場所だ……」
その言葉にギルドのメンバーは驚きざわつく。
「ラクサスも天狼島に!?」
ラクサスの身に何も無ければいいが、と心配するミカだったが、
ラクサスの名前を出した以上、ここで引き下がるわけにはいかない。
「では、皆さんが戻ってくるまで待ちます。」
マカオは少し困った顔をしながらも、彼女の決意を感じ取り、頷いた。
「そうか。じゃあ、しばらく様子を見てみな。」
ミカはそれから毎日ギルドホールに足を運んだ。最初はぎこちなかったが、ロメオやナビルと話すうちに少しずつ馴染み始める。
小さな依頼を手伝ったり、ギルドホールの掃除をしたりしながら、彼女は天狼島に行ったメンバーが帰ってくる日を待ち続けた。
「……戻ってくるのかな。」
ギルドホールの片隅で、ミカは一人リクエストボードを見つめていた。そこには、誰も手をつけていない依頼書がいくつも張り付いている。
(もし戻ってこなかったら……)
そんな不安を胸に秘めながら、いつしか7年の時が経っていったのだった。