ONE
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夕暮れ時、村の市場は活気を帯びていた。
ラクサスとミカは旅の途中、次の町へ向かう準備のために立ち寄っていた。
「ラクサス、見て。これ、綺麗じゃない?」
ミカが指差したのは、小さな屋台に並べられたペンダントだった。
雲を模した銀細工の中に、淡い青色の宝石が輝いている。
「……お前、こういうの好きなのか?」
ラクサスが少し意外そうな顔をすると、ミカは恥ずかしそうに微笑んだ。
「うん。これ、なんだか私の魔法みたいで……可愛いと思って。」
「そうか。」
「⋯けど、いいや!他のも見てくる!」
ラクサスは少し寂しそうな顔をするミカを見送る。
「あんまり遅れんなよ。」
ミカが屋台を眺めていると、不意に背後から声がした。
「こんにちは、お嬢さん。1人かな?」
振り返ると、一人の男が立っていた。彼は柔らかな笑みを浮かべていたが、その目には冷たさが潜んでいる。
「えっと、人を待たせているので……ごめんなさい」
ミカは軽く会釈し、その場を立ち去ろうとした。
しかし、男はゆっくりと歩み寄り、低い声で囁いた。
「遠慮しなくていい。君にはもっと相応しい場所がある。」
その言葉と同時に、ミカの口を布で覆うような感触があった。
「っ……!」
彼女の視界が歪み、足が地面から浮き上がる。男は素早くミカを抱え上げ、人目につかない路地裏へと消えていった。
ラクサスが買い物を終えると、ミカの姿がどこにも見当たらなかった。
「……どこ行った?」
屋台の周囲を見回しても、彼女は見つからない。
すると、近くにいた商人が声をかけた。
「探しているのは白い髪の娘さんかな?たった今、男に連れて行かれるのを見たよ。何か様子がおかしかったけど……」
ラクサスの顔が険しくなる。
「どっちだ?」
商人が指差す方向を見た瞬間、ラクサスはその場を駆け出した。
暗い倉庫の中、ミカは目を覚ました。
手足を縛られ、冷たい石の床に座らされている。
「……ここは?」
薄暗い中、何人かの男たちが彼女を取り囲んでいた。
「ようやくお目覚めか。さっきは騒がれる前におとなしくしてもらったが……さて、君の魔力には大きな価値がある。君は滅竜魔導士だね?」
ミカは恐怖を感じながらも、彼らの言葉に反発した。
「私の魔力なんて、何の役にも立たない。放して!」
男たちは笑いながら近づいてきた。
「そんなことないさ。滅竜魔導士の力ってのは、どこででも金になるんだよ。」
ミカは必死に体を捩るが、縛られたロープはびくともしない。
「助けて…ラクサス……!」
その時、倉庫の扉が轟音とともに吹き飛んだ。
「誰だ!?」
「そいつの連れだよ。」
ラクサスがゆっくりと現れると、男たちは怯えた表情を浮かべた。
「おい、なんだこいつ……!」
ラクサスは冷徹な目で男たちを睨みつけた。
「そいつが世話になったようだな。……ミカに手を出したこと、後悔させてやる。」
雷を纏ったラクサスが一人目の男を殴り倒すと、残りの男たちは次々と襲いかかった。
しかし、その攻撃はすべてラクサスに弾き返される。
「雷竜の咆哮!」
彼の雷撃が倉庫内を駆け抜け、全員を薙ぎ倒す。
ラクサスはすぐにミカの元に駆け寄り、縛られたロープを解いた。
「お前、無事か?」
ミカは涙を浮かべながらも、必死に頷いた。
「うん……ありがとう、ラクサス。」
ラクサスはミカの頭を軽く叩き、少し不器用に言った。
「ったく、少しは自分の身を守る方法も考えろ。」
ミカはその言葉に少しだけ笑顔を取り戻し、小さく呟いた。
「次はもっと気をつける……ありがとう。」
ラクサスは短く頷き、彼女の首にペンダントをかける。
「これは……?さっきの……」
「欲しそうにしてたからな。二度とこんなことにならねぇように、お守りだ。」
ぶっきらぼうにそう放つラクサスをみて、
ミカは微笑んだ。
「ありがとう、ラクサス……」
その言葉に顔を背け、
ラクサスは彼女を連れて倉庫を後にした。