TWO
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ギルドホールがざわつく中、ミカは堂々と中央に立った。その視線はナツたち一人ひとりを見据え、厳しい口調で語り始めた。
「皆さんには、これをこなしていただきます!」
その言葉と共に、ミカは手を広げ、リクエストボードを指差した。そこには大量の依頼書が貼られている。
「なんだよこれ……!こんなにたくさん?」
ナツが目を丸くして叫ぶ。
それを見たロメオも、小声で驚きの声を出す。
「え……?昨日まで数枚しか貼られていなかったのに、どうして!?」
エルザが冷静に依頼書に目を通す。
「ギルドの修繕資金、財政改善、他ギルドとの関係構築……この依頼主はミカ……?」
ミカは頷き、力強い声で言った。
「その通り。これらを全て終わらせたら、あなたたちをギルドの一員として認めます。」
ナツたちは仕方なく依頼書を手に取り、それぞれのミッションに取り掛かり始めた。
「なんで俺たちがこんな雑用みたいなことを……!」
ナツが大声で文句を言いながらも、資材運びの依頼をこなす。
グレイは苦笑しながら依頼書を確認し、修繕作業の指揮を執る。
「まったく、こういうのはエルザに任せておけばいいんじゃねえのか?」
エルザは真剣な表情で他ギルドとの交渉に赴いていた。
「妖精の尻尾の名誉を取り戻すためには、こうした地道な努力が必要なのだ。」
渋々ながらも、ナツたちは次第に真剣に取り組むようになり、ギルドの姿が少しずつ変わっていった。
数週間後――ギルドホールの老朽化した屋根は修繕され、新しいペンキが塗られた壁が輝きを放っている。
「おいおい、これじゃあ新築みたいじゃねえか!」
マカオが驚いた表情で声を上げた。
「財政も少し余裕が出てきたわね。」
ビスカが満足げに書類を眺める。
「他ギルドとの関係も良くなった。少しばかり、手荒ではあったがな。」
エルザが微笑みながら報告する。
ロメオはギルドホールの中央に立ち、周囲を見渡して感慨深げに呟いた。
「なんか、昔の妖精の尻尾に戻ったみたいだな……。」
ナツたちが全てのミッションを終え、ギルドホールに集まると、ミカが静かに中央に立った。
「これで全ての仕事が終わりましたね。」
ナツが大きく頷き、満面の笑みを浮かべる。
「よし!これで俺たちはギルドの一員に戻れるんだろ!」
ミカは彼を見つめながら、少し柔らかな表情で答えた。
「ええ、あなたたちは正式に妖精の尻尾の一員と認めましょう。」
その言葉に、ナツたちは安堵の表情を浮かべるが、グレイがふと気づいたように言う。
「待てよ……これって、もしかして全部、ギルドを元に戻すために仕組まれたことか?」
ミカは微笑みながら頷いた。
「そうです。このギルドを守るためには、あなたたちの力が必要でした。でもただ戻るだけでは意味がない。皆で作り上げたからこそ、今の妖精の尻尾があるんです。」
ナツたちはその言葉に驚きつつも、どこか誇らしげな笑顔を浮かべた。
その夜、ギルドホールでは大規模な宴が開かれた。
「乾杯!」という声が響き渡り、ギルドはかつてのような活気に包まれていた。
ミカの背後から、ナツが声をかける。
「お前も飲めよ!今日くらいは楽しめって!」
「ありがとう。でも、今日は少し疲れたから。」
ミカの微笑みを見て、ナツたちは彼女を新たな仲間として心から受け入れるのだった。