いろとかたち
Quel est votre nom ?
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--翌週--
名前は美術の授業時間内になんとか描きなおした下書きを完成させ、提出を終えた。
一通り画材の片付けも済ませた頃、時計は授業が終わる5分前をさしていた。
辺りを見回してみると、ほとんどの生徒が作品を提出済みで教室へ戻っているようで
美術室にはほとんど人が残っていなかった。
さらによく自分の作業スペースを見てみると、横に友達からのメモが置かれている。
《名前、集中してるから先に教室戻るね。がんばって!授業内に戻ってきてね!(笑)》
もとから集中すると周りが見えなくなってしまうことは理解していたようで
幸い特に気を悪くされることも、誰かと関係がわるくなることはなかったものの
以前の授業で教師に上の空で居たことがばれて以来、
集中していると友達から「またどっかいっちゃった」等とからかわれるようになってしまっていた。
『(さすがにチャイムは気づくよ(笑)・・・あ、でも鳴ってからじゃ片付け間に合わないか)』
「何一人で笑ってるの?(笑)」
『!!?』
周辺に人がいないと思い込んでいたにもかかわらず、突然すぐ近くから声が聞こえたことに驚き
思わず名前はメモから手を離し、一瞬固まった。
足元に落ちたメモは名前よりも一回り大きな手に拾いあげられ
そのまま拾い上げた手の主のほうへと運ばれる。
恐る恐る声の聞こえた方向へと視線を向けると、
そこには先ほどのメモを人差し指と中指に挟み、口の前あたりで内容を名前に見せるように持ち
「見てもいい?」と目で尋ねるように笑っている幸村が立っていた。
『幸村君・・・!』
驚いた表情のままの名前の反応を待ち、特に嫌がっている様子ではないとわかると
幸村は楽しそうな表情のままメモを自分のほうへと向ける。
数秒後、表情を変えずに再び名前へと視線を戻していった。
幸村「戻ってこれてよかったね(笑)」
『何とか戻ってこれました(笑)』
名前は少し恥ずかしそうに笑いながらそう返すと
自分の荷物をまとめて手に取り、ふと疑問に思ったことを訊ねた。
『そういえば、提出終わった人から教室戻っていいのに、幸村くんは何でここに?
すごい細かい色塗りしてたとか・・・?』
幸村「苗字さんがちゃんと帰ってくるか心配で(笑)」
『ぇえ・・?』
幸村「ふふっ・・・冗談(笑)
ちょっと別件で先生に用事があって話していたんだ。」
『幸村君まで過保護になっちゃったのかと思った(笑)』
幸村「放って置けないっていうのはわかるな。」
『ぇ、私そんなに見てて不安!?』
幸村「そんなことはないんだけど・・・まぁ、悪いことではないしいいんじゃない?」
『そういうものかなぁ・・・』
幸村「そういうもの!(苗字さん自身にはわからないだろうし・・・(笑))」
名前は幸村にうまく流されたような、少し遊ばれているような気がして腑に落ちない表情を浮かべるものの
授業が終わりを告げるチャイムが鳴り響くとすぐに慌てた表情に変わり、手早く荷物を手に持って幸村と美術室を後にした。
『(そういえば、幸村君が別件で美術の先生に用事って何だろう?)』