いろとかたち
Quel est votre nom ?
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--翌週--
先生「---------従って、この問題の答えは---」
授業中、教室内には必死にノートをとっていたり居眠りをしていたりしながら
それぞれのスタイル(?)で生徒たちが授業を受けている。
時々こそこそと生徒同士で会話をする声が聞こえる以外には
眠気を誘うような先生の解説の声とカツカツとチョークが黒板をたたく音だけが響いていた。
『(・・・あ、花みたいな形の雲。)』
美術の下書きを描きなおして以来、すっかり空を見るのが癖になっていた苗字は
ノートをとる手を止めてぼんやりと窓の外を見つめている。
先生「------じゃあ、この問題は・・・苗字!」
『(・・・そういえば、先週より空の青がちょっと薄いかな・・・?)』
先生「・・・苗字ー?おーい、戻ってこーい!」
『(やっぱり季節によって違「おーい、苗字ー!」!?)あ、はい!?』
先生「苗字がぼーっとしているのは珍しいな。体調でも悪いのか?」
『あ、いえ、大丈夫です。すみませんでした。(しまったーー!///)』
上の空で授業を受けていたことがばれてしまい
生徒たちのクスクス笑いが教室を包み込んだ。
日頃の行いのお蔭もあり、特段叱られることは無かったものの
変に目立ってしまったことにより暫く苗字の顔は赤いままだった。
昼休み
いつも通り仲の良い友達とお昼を食べた後
昼休みの部活や委員会等でそれぞれ分かれてしまったため
暇になった苗字は屋上庭園のベンチでぼんやりとしていた。
『(花の色って、夕方見ると空の色を吸ってるみたいにオレンジっぽく染まるのに
何で青空の時はそれぞれ固有の色が目立つんだろう。)』
「またどっか行っちゃってる?(笑)」
『!!!?』
苗字は一人で居たはずなのに、突然近くで声が聞こえたことに驚いて
我に返って声のする方へ向く。
苗字のすぐ横には、いつのまにか幸村が立っていた。
『幸村君!?びっくりした・・・』
幸村は苗字が自分の存在を認識したことを確認すると
今日は心の小旅行の日なの?などと冗談を言いながら苗字の隣に腰かけた。
『あはは・・・大したことは考えてないんだけどね。
・・・なんか、最近幸村君にびっくりさせられてばっかりな気がする。。。』
幸村「そうかな?俺は普通に話しかけているだけのつもりなんだけどな。」
幸村はそう言って小首をかしげた後、視線を苗字から花壇へゆっくりと移す。
表情こそ微笑んでいるものの、苗字はなんとなくいつもと違う雰囲気を感じた。
幸村「(テニスの練習が無いときにはなるべく声をかけているのに。
相変わらず君は全然気づいてくれないね。)」
『幸村君・・・?どうかした・・・?』
幸村「(・・・まぁ、それも苗字さんらしさかな。)
・・・ううん、何でもない。ところで、さっきは何を考えていたの?」
『色って不思議だなぁって。』
幸村「色?」
『うん。先週の美術の時間のとき、私が絵の色で悩んでいたら
幸村君が時間によって見える景色も変わってくるってヒントをくれたでしょ?』
その日依頼、苗字は気づいたらよく空を見上げるようになったこと
空の色によって周りの色が変わったりすることについて考えていたことを話した。
幸村「・・・うん。たしかに不思議だけど、おもしろいよね。」
『うん、すごいおもしろい。今までなんで気づかなかったのか不思議なくらい!
これも幸村君のお蔭だね!』
苗字は嬉しそうに笑って幸村を見た。
幸村「!・・・俺はただ、ちょっとヒントを与えただけだよ。
ここまで深く考えられたのは、苗字さん自身の力だ。」
『でも、きっかけをくれたのは幸村君だよ。ありがとう。』
幸村「力になれたみたいでよかった。」
『いっつも幸村君には助けてもらってばかりだよ(笑)
それなのに・・・さっき、何か気を悪くするようなこと言っちゃった・・・?』
既に先ほどの違和感は消えて笑顔をみせている幸村に対し
苗字は心配そうな表情を浮かべて覗き込んだ。
幸村「いいや、ちょうど視界に入った花がそろそろ植え替えの時期みたいだから
次はどうしようかなって一瞬考えてただけだよ。」
幸村は本当の理由を悟られなように気を付けながら
満開を迎えている花のほうを指さして言った。
『え、まだあんなにきれいに咲いているのに?』
幸村「今すぐじゃないけど、もう蕾は残っていないからね。
次に何を植えるかくらいは考えておかないと。
・・・そうだ。じゃあせっかくだし・・・苗字さんはどんな花がいいと思う?」
『んー・・・これから植えるってことは、夏ごろ咲く花?』
幸村「そうだね。・・・まぁ、今日中に決めないといけないことでもないし
宿題にしようか(笑)」
『宿題・・・!?でも、せっかくだから花について色々調べてみる!』
幸村「ふふっ、頼んだよ」
幸村は嬉しそうにほほ笑みかけ、改めて花壇を見渡した。
幸村「(今は君が考えていることに俺が少し関係しているだけでも・・・。
でも、いつかは・・・ね。)」
『・・・?最近何かいいことあった?』
幸村「ちょっとね。・・・苗字さんは、授業中に色や花のこと考えこまないようにね?」
『うっ・・・気を付けます。。。』
幸村は普段の大人っぽい雰囲気とは違い、
年相応でいたずらを楽しんでいるような満面の笑みを浮かべる。
それに対し苗字は痛いところつかれ、少し笑顔がひきつりながらも
どこか心が温かくなるような安心感を覚えた。
『(やっぱり幸村君はいつものこの笑顔が一番似合ってるな。)』