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「待って、ロイド」
「え?」
「もし、この避雷針を出したら?」
「ヴォルトが…現れるわね」
今正にソーサラーリングの電撃によって壊したブロック。
その上から落ちてきた機械に触れようとしたロイドを、思わずシュアが静止した。
問いかけた言葉に、ロイドではなくリフィルが答える。
「しいな、準備はいい?」
「…あぁ、平気さ。今度こそ…」
「あんまり、気負わないでいいから。焦らないで」
「…ありがと、シュア」
今、自分に出来るのはこれだけだから。
しいなが仲間たちに視線を送ると、皆はもう心の準備が出来ているというようにしいなを見つめている。
そしてそんな仲間たちに頷くと、しいなは一歩前へ出て、機械の避雷針にそっと手で触れた。
雷の神殿。エレカーにて渡った孤島にあるそれは、つたの絡まる外観から物々しい雰囲気を醸し出した、精霊ヴォルトの眠る場所。
しいなの触れた機械から避雷針が飛び出すと、それから間もない内にものすごく重厚なマナがその空間に満ちるのを、シュア、そしてジーニアスとリフィルは感じていた。
ズ…ン……!
屋根のある空間なのに、地の底から響くような音と共に落ちる雷。
それからすぐにじわじわと姿を現す、球体に収束したような、雷のマナの塊。
そしてそれこそが、自分たちの探していた、精霊ヴォルトだった。
思わず離れていたロイドたちの中から、息を呑んだしいなが静かに歩み寄る。
しかし、言葉を発しようとする前に、それは全員の頭に響くように轟いた。
意味の分からない、言葉の羅列。
パニックになったように、しいなが慌ててこちらを振り返る。
「あ、あの時と同じだよ!こいつは何を言って…」
「我は!…ミトスとの契約に縛られる者…。お前は何者だ?」
しかし、そんなしいなを、そしてそれに煽られそうになった仲間たちを落ち着けるように、語頭を強くしたシュアが突然そう言葉を発した。
そして当然のように、仲間たちは一斉にそんなシュアを振り返る。
「いいから、答えて、しいな」
「シュア…。…あたしは…しいな。ヴォルトがミトスとの契約を破棄し、あたしと新たな契約を交わすことを望んでいる…」
「…ミトスとの契約は、破棄された。…しかし、私はもう契約を望まない」
「…ど、どうして!」
「…人との関わりを望まない。だから契約も…」
「それじゃあ困るんだよ!」
今度こそ、成功させなくてはいけない。
そんなプレッシャーが彼女を急かして、シュアの言葉も遮ったしいなは思わずヴォルトに向かって武器を構える。
「しいな!無茶を…」
「だめ!ヴォルトが怒ってる!」
そしてそんなロイドとシュアの声も、もはや遅かった。
一瞬にして、何本もの激しい雷が空間を駆けぬける。
そして次々と襲われる仲間たちは階下へと吹き飛ばされ、それからすぐにしいなも、同じように雷を喰らって下のフロアへと吹き飛ばされていった。
「…っ、みんなっ!」
倒れている仲間たち。
狙われたのが遅かったせいか、受身を取ってすぐに起き上がったしいなが、仲間たちを見回すなり叫びだす。
「これじゃあ…あの時と同じじゃないか…!」
初めて、精霊と契約しようとしたとき。
それは…怖かった。ただ、本当に。
里の仲間たちが次々と息絶えて行くのが分かった。
自分の、たった自分の所為で、多くの人間が死んでいく。
そしてこのままでは、昔と同じ光景が、自分の目の前で繰り広げられていくだけだ。
「しいな…」
「シュア!あたし…」
「しいな、っ…危ない!」
「え…?」
辛うじて上半身を起こしたシュアの目に映ったのは、駆け寄ろうとするしいなの後ろでこちらを睨むヴォルト。
しかし、シュアがそう叫んでしいなが振り返った頃には、先程よりも大きな雷が、すぐさま放たれていく。
当てられる…!
そう、しいながきつく目を瞑った瞬間。
バリバリ…ィッ!
自分のすぐ傍で、雷の大きく弾ける音。
そうして恐る恐るしいなが目を開いた頃には、もはや信じたくない光景が目の前に広がっていた。
「…コリン!?どうして!」
見てしまった…見えてしまった。シュアには。
そしてそれはシュアだけでない。身体を起こしていた周りの仲間たちも。
目を瞑ったしいなには見えなかったその、一瞬の出来事が。
コリンがしいなの影から現れて、一直線に飛び込んでいったその瞬間。
そしてしいなを襲うはずの雷を、代わりにコリンが、庇う様に受けたその光景。
一瞬だった。誰も止められないし、誰も間に入れなかった。
結果、コリンは…今は駆け寄ったしいなの手によって、力なく抱かれている。
「しいな…っ!まだ、ヴォルトが…!」
その後ろには、またしても迫り来るヴォルト。
すぐに見たシュアが身体を起こしながら再び声を上げるが、今度は泣き叫ぶしいなの耳には届かない。
しかし今度はその攻撃を、すぐさま駆け寄ったロイドがしっかりと防御した。
「しいな!ヴォルトを力でねじ伏せろ!コリンの力、無駄にするな!」
傍で叫ぶロイド。
濡れた目で、困ったようにロイドを見上げたしいなは、もう一度コリンに視線を落としてその身体をそっと床に横たえる。
「粋護陣!」
「フォースフィールド!」
見渡せば、自分の前に立ちはだかって、ヴォルトの攻撃を先回りしながら防ぐ仲間たち。
目の前ではシュアとゼロスが、今まさに自分に向けられた敵の攻撃を受け止めていた。
まともに攻撃を受けたばかりで、その表情は僅かでも辛そうなのに。
このまま、自分はまた、もっと多くの仲間を失う気なのか。
周りをもう一度見渡して、そしてゆっくりと、立ち上がるしいな。
「…あたしを…、あたしを命懸けで守ってくれた皆のために…。ヴォルト!お前の力を貸せ!」
声を荒げて必死に訴えると、すぐに涙をぬぐって、自分を守ってくれた友達の傍まで走り寄った。
守られているだけじゃ、いけない。
しいなに気付いたシュアが、振り返って小さく頷く。
「…シュアは、あんたたちは、絶対に殺させないよ…!」
「…うん。私、今回は少し、無理するよ」
ゼロスとしいな。仲の良い3人で並んだ列から一歩引いて、シュアは構えていた武器を両手に掲げた。
魔術を使う、いつもの体勢。
使えば眩暈が起こるからと、あまり使わないようにしいなに止められていた魔術。
けれど今使わなくて、自分はいつ使えばいいのか。
「悠久の時を廻る優しき風よ…」
単純に、理解できなかったヴォルトの言葉。
けれど、信用できなくなっている人間にも、自分の言葉を伝えようとしてくれたんだろう。
シュアに、そんな言葉を乗せたマナを送ることによって。
それを受け止めていたシュアは、もちろん突然流れ込んだマナに対応できるほど柔軟ではなかった。
中級魔術を3回ほど使った疲労が自分を襲っていたが、それでもシュアには膝を折る程の、気持ちの余裕は無い。
相変わらず、シュア自身からマナは溢れ返っている。
そして仲間たちはヴォルトの雷に間合いを取りながら、それぞれに攻撃を仕掛けていく。
「…っ、サイクロン…!」
ようやく終わった詠唱。シュアは機を伺う余裕も無いのか、すぐさまその魔術を発動した。
どんなにボロボロの身体でも、自分に出来る限りの力で…!
気持ちは反映したように、ヴォルトを中心に発生した風は轟々と深い音を立てて巻き起こる。
そしてその風が止んだ頃、再び武器を構えなおした仲間の前で、一度力なく床に舞い降りてからゆっくりと浮き上がるヴォルト。
仲間たちはその隙を見逃さず、すぐさま追い討ちを掛けるようにそれぞれが攻撃を仕掛けていく。
ジーニアスの発動したスプレッドは、やはりシュアと同じようにいつもより強力にさえ伺えた。
そんな輪から僅かに離れたところで。
身体はふらついて、視界も意識もぶれる様に霞んでいるのを、シュアは感じていた。
仲間たちの戦況をぼんやりと眺めて、地に付く自分の足に意識を集中しようとした瞬間に、妨げてくる、大いなるマナ。
「っ…!あ…、誓いを、立てろ…?」
突然、飛び込むように伝わったその言葉は、ガツンと、頭を打つようにシュアの中で衝撃となって、ぼやけた視界をふっと蘇らせた。
直後、焦ったように自分の言葉で叫ぶシュア。
「誓いを!しいな!誓いを立てて!」
必死に叫ぶ友達。
そんなシュアをしいなは一度だけ振り返って、次々と武器を降ろす仲間たちに続いてから、ゆっくりと、ヴォルトへと向き直った。
「さっき言ったとおりだよ。あたしを命懸けで守ってくれた皆のために…」
どさ…っ
言葉に被さる様に、鈍い音が静かになったフロアに響く。
しいなの誓いを全て聞き終わる前に、シュアはそうしてゆっくりと意識を手放していった。
Next.
「え?」
「もし、この避雷針を出したら?」
「ヴォルトが…現れるわね」
今正にソーサラーリングの電撃によって壊したブロック。
その上から落ちてきた機械に触れようとしたロイドを、思わずシュアが静止した。
問いかけた言葉に、ロイドではなくリフィルが答える。
「しいな、準備はいい?」
「…あぁ、平気さ。今度こそ…」
「あんまり、気負わないでいいから。焦らないで」
「…ありがと、シュア」
今、自分に出来るのはこれだけだから。
しいなが仲間たちに視線を送ると、皆はもう心の準備が出来ているというようにしいなを見つめている。
そしてそんな仲間たちに頷くと、しいなは一歩前へ出て、機械の避雷針にそっと手で触れた。
雷の神殿。エレカーにて渡った孤島にあるそれは、つたの絡まる外観から物々しい雰囲気を醸し出した、精霊ヴォルトの眠る場所。
しいなの触れた機械から避雷針が飛び出すと、それから間もない内にものすごく重厚なマナがその空間に満ちるのを、シュア、そしてジーニアスとリフィルは感じていた。
ズ…ン……!
屋根のある空間なのに、地の底から響くような音と共に落ちる雷。
それからすぐにじわじわと姿を現す、球体に収束したような、雷のマナの塊。
そしてそれこそが、自分たちの探していた、精霊ヴォルトだった。
思わず離れていたロイドたちの中から、息を呑んだしいなが静かに歩み寄る。
しかし、言葉を発しようとする前に、それは全員の頭に響くように轟いた。
意味の分からない、言葉の羅列。
パニックになったように、しいなが慌ててこちらを振り返る。
「あ、あの時と同じだよ!こいつは何を言って…」
「我は!…ミトスとの契約に縛られる者…。お前は何者だ?」
しかし、そんなしいなを、そしてそれに煽られそうになった仲間たちを落ち着けるように、語頭を強くしたシュアが突然そう言葉を発した。
そして当然のように、仲間たちは一斉にそんなシュアを振り返る。
「いいから、答えて、しいな」
「シュア…。…あたしは…しいな。ヴォルトがミトスとの契約を破棄し、あたしと新たな契約を交わすことを望んでいる…」
「…ミトスとの契約は、破棄された。…しかし、私はもう契約を望まない」
「…ど、どうして!」
「…人との関わりを望まない。だから契約も…」
「それじゃあ困るんだよ!」
今度こそ、成功させなくてはいけない。
そんなプレッシャーが彼女を急かして、シュアの言葉も遮ったしいなは思わずヴォルトに向かって武器を構える。
「しいな!無茶を…」
「だめ!ヴォルトが怒ってる!」
そしてそんなロイドとシュアの声も、もはや遅かった。
一瞬にして、何本もの激しい雷が空間を駆けぬける。
そして次々と襲われる仲間たちは階下へと吹き飛ばされ、それからすぐにしいなも、同じように雷を喰らって下のフロアへと吹き飛ばされていった。
「…っ、みんなっ!」
倒れている仲間たち。
狙われたのが遅かったせいか、受身を取ってすぐに起き上がったしいなが、仲間たちを見回すなり叫びだす。
「これじゃあ…あの時と同じじゃないか…!」
初めて、精霊と契約しようとしたとき。
それは…怖かった。ただ、本当に。
里の仲間たちが次々と息絶えて行くのが分かった。
自分の、たった自分の所為で、多くの人間が死んでいく。
そしてこのままでは、昔と同じ光景が、自分の目の前で繰り広げられていくだけだ。
「しいな…」
「シュア!あたし…」
「しいな、っ…危ない!」
「え…?」
辛うじて上半身を起こしたシュアの目に映ったのは、駆け寄ろうとするしいなの後ろでこちらを睨むヴォルト。
しかし、シュアがそう叫んでしいなが振り返った頃には、先程よりも大きな雷が、すぐさま放たれていく。
当てられる…!
そう、しいながきつく目を瞑った瞬間。
バリバリ…ィッ!
自分のすぐ傍で、雷の大きく弾ける音。
そうして恐る恐るしいなが目を開いた頃には、もはや信じたくない光景が目の前に広がっていた。
「…コリン!?どうして!」
見てしまった…見えてしまった。シュアには。
そしてそれはシュアだけでない。身体を起こしていた周りの仲間たちも。
目を瞑ったしいなには見えなかったその、一瞬の出来事が。
コリンがしいなの影から現れて、一直線に飛び込んでいったその瞬間。
そしてしいなを襲うはずの雷を、代わりにコリンが、庇う様に受けたその光景。
一瞬だった。誰も止められないし、誰も間に入れなかった。
結果、コリンは…今は駆け寄ったしいなの手によって、力なく抱かれている。
「しいな…っ!まだ、ヴォルトが…!」
その後ろには、またしても迫り来るヴォルト。
すぐに見たシュアが身体を起こしながら再び声を上げるが、今度は泣き叫ぶしいなの耳には届かない。
しかし今度はその攻撃を、すぐさま駆け寄ったロイドがしっかりと防御した。
「しいな!ヴォルトを力でねじ伏せろ!コリンの力、無駄にするな!」
傍で叫ぶロイド。
濡れた目で、困ったようにロイドを見上げたしいなは、もう一度コリンに視線を落としてその身体をそっと床に横たえる。
「粋護陣!」
「フォースフィールド!」
見渡せば、自分の前に立ちはだかって、ヴォルトの攻撃を先回りしながら防ぐ仲間たち。
目の前ではシュアとゼロスが、今まさに自分に向けられた敵の攻撃を受け止めていた。
まともに攻撃を受けたばかりで、その表情は僅かでも辛そうなのに。
このまま、自分はまた、もっと多くの仲間を失う気なのか。
周りをもう一度見渡して、そしてゆっくりと、立ち上がるしいな。
「…あたしを…、あたしを命懸けで守ってくれた皆のために…。ヴォルト!お前の力を貸せ!」
声を荒げて必死に訴えると、すぐに涙をぬぐって、自分を守ってくれた友達の傍まで走り寄った。
守られているだけじゃ、いけない。
しいなに気付いたシュアが、振り返って小さく頷く。
「…シュアは、あんたたちは、絶対に殺させないよ…!」
「…うん。私、今回は少し、無理するよ」
ゼロスとしいな。仲の良い3人で並んだ列から一歩引いて、シュアは構えていた武器を両手に掲げた。
魔術を使う、いつもの体勢。
使えば眩暈が起こるからと、あまり使わないようにしいなに止められていた魔術。
けれど今使わなくて、自分はいつ使えばいいのか。
「悠久の時を廻る優しき風よ…」
単純に、理解できなかったヴォルトの言葉。
けれど、信用できなくなっている人間にも、自分の言葉を伝えようとしてくれたんだろう。
シュアに、そんな言葉を乗せたマナを送ることによって。
それを受け止めていたシュアは、もちろん突然流れ込んだマナに対応できるほど柔軟ではなかった。
中級魔術を3回ほど使った疲労が自分を襲っていたが、それでもシュアには膝を折る程の、気持ちの余裕は無い。
相変わらず、シュア自身からマナは溢れ返っている。
そして仲間たちはヴォルトの雷に間合いを取りながら、それぞれに攻撃を仕掛けていく。
「…っ、サイクロン…!」
ようやく終わった詠唱。シュアは機を伺う余裕も無いのか、すぐさまその魔術を発動した。
どんなにボロボロの身体でも、自分に出来る限りの力で…!
気持ちは反映したように、ヴォルトを中心に発生した風は轟々と深い音を立てて巻き起こる。
そしてその風が止んだ頃、再び武器を構えなおした仲間の前で、一度力なく床に舞い降りてからゆっくりと浮き上がるヴォルト。
仲間たちはその隙を見逃さず、すぐさま追い討ちを掛けるようにそれぞれが攻撃を仕掛けていく。
ジーニアスの発動したスプレッドは、やはりシュアと同じようにいつもより強力にさえ伺えた。
そんな輪から僅かに離れたところで。
身体はふらついて、視界も意識もぶれる様に霞んでいるのを、シュアは感じていた。
仲間たちの戦況をぼんやりと眺めて、地に付く自分の足に意識を集中しようとした瞬間に、妨げてくる、大いなるマナ。
「っ…!あ…、誓いを、立てろ…?」
突然、飛び込むように伝わったその言葉は、ガツンと、頭を打つようにシュアの中で衝撃となって、ぼやけた視界をふっと蘇らせた。
直後、焦ったように自分の言葉で叫ぶシュア。
「誓いを!しいな!誓いを立てて!」
必死に叫ぶ友達。
そんなシュアをしいなは一度だけ振り返って、次々と武器を降ろす仲間たちに続いてから、ゆっくりと、ヴォルトへと向き直った。
「さっき言ったとおりだよ。あたしを命懸けで守ってくれた皆のために…」
どさ…っ
言葉に被さる様に、鈍い音が静かになったフロアに響く。
しいなの誓いを全て聞き終わる前に、シュアはそうしてゆっくりと意識を手放していった。
Next.