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シュアが目を開いた時。
仲間たちはただただその場に立ち尽くしていた。
シュアが見せたのはあのメルトキオの見える草原でゼロスと出会うまでの記憶。
その後のルビナスの行く末を知る者は、この中ではおそらくゼロスだけなのだろう。
彼だけは、未だ瞼を下ろしたままだった。
その中に、何を見ているのか。瞼の裏に映るのは、懐かしい景色なのかそれとも。
「シュア…」
「…ごめんごめん、嫌なもの見せたね。ちょっとリアルだったでしょ?」
「茶化すなよ」
ロイドの真剣な瞳に、ぐっと、のどが詰まる。
「なんで…いつから、思い出してたんだ?」
「…アルテスタの家で、みんなの前から消える前」
「じゃあ…」
「元々ね、そのまま消えるつもりだった。でも…私はみんなと居たいんだって、気付いたの。これがわがままでしかなくても…気付けたの。ゼロスのおかげで…」
みんなの視線が彼に集まると、ゼロスはようやくゆっくりと瞼を上げた。
「ん?なによなによ?」
「…そうなのか。なんだか頭が混乱してきたな…」
「シュアさんは…四千年、生きているってことですか」
ぽそりといつもの緩やかな声で、プレセアがシュアに問いかける。
「うん。クラトス達と同じ…天使だし、クルシス。それに変わりはないよ。クラトスと同じように、元々は歴代の神子たちを護衛して救いの塔まで送ってきた。マーテルの器として、ミトスに届けるために」
「シュア…」
「軽蔑、する?」
小さく名前を呼んできたしいなに小さく笑うと、すぐにしいなは大きく首を振った。
「何言ってんだい!そんなことあるわけ…!」
「うん…今さら信じろとは言わない。けど…ありがとう」
その眉尻を下げて不器用に微笑んだシュアに、誰もが後に続いて言葉を発することができなかった。
その、瞬間。
「なぁ…」
そっと、視線を上げたロイドがシュアを見つめる。
「なんか、勘違いしてないか?」
「え?」
「ロイド?」
ジーニアスの呼びかけにも応えることなく、ロイドはなんてことないように言葉を繋いだ。
「シュアとクルシスにはどんな関係があるのかが分かればそれでいい。シュアが何をしてきたとか、過去のシュアがどうだとか、俺はどうでもいい」
「…ロ、イド…」
「ロイド!…まったくあんたってのは…それにしたってどうでもいい、はないんじゃないのかい!」
「しいな、そんなに怒るなよ!」
「怒るさ!…けど、ロイドの言うとおりだよ、シュア」
「しいな…」
今はしいなに怒鳴られて情けない顔をしているロイドと、呼びかけた親友の顔を交互に見つめる。
何を、言っているのか。この、リーダーは。
どうでもいい、ことじゃない。
仲間が信用できるのかできないのか、どれだけ大事なことか分かっているのだろうか。
「ロイド、でも…」
「そーそー。たまにはロイドもいいこと言うじゃん!シュアがどんな人かなんて…ねぇ?姉さん」
「そうね、思いつくのは…仲間になって間もない別の種族に情けを掛ける…どうしようもないお人よし、かしら?」
「シュアさんはシュアさんです」
「良くも悪くも人間は、過去があって今がある。その過程で培われたシュアの人間性は、やはり今のシュアでしかないのだからな」
「で、も…!私の事信用できる?信用できない仲間と一緒にいて裏切られたら?この先私が…もしもミトスに寝返ったら?」
自分が何を言っているのかも分かってる。
それなのに、そんなことを言っているのに、目の前の仲間たちはいつもの眼差しでゆったりと笑んでいる。
その奥では、瞬間、小さく口元を緩めるゼロス。
妙な汗が、自分のこめかみを伝う。
あぁ…もうこの仲間たちには、なにを言っても通じないのだろう。
私が行きたくないと、言わない限りどこまでだってこうして笑ってくれる。
だから、私も笑いたくなったんだ。
記憶が無くとも、目を逸らしたい自分の過去を目前に叩きつけられても、
彼らの前では、一緒に笑いたかったんだ。
しいなに出会って、彼女と笑い合っていたいと思った…あの頃と同じように。
「み…」
「み?」
「も、みんな…お人よし…っすぎるよ…!」
あはは、と声を上げながら、シュアはその頬を涙で濡らした。
最近は、泣いてばっかりだと。
そう思ってまた、それが可笑しくて。
「な、シュア…なに泣いてんだい!」
「だって、あは…可笑しくて…!」
「シュアさんは…泣いてるんでしょうか。笑ってるんでしょうか…」
「つくづく器用だわね…」
「シュア」
ゆっくりと、歩み寄ってきたロイドがその掌を差し出す。
「コレット、助けに行こう」
「…うん!」
しっかりと、握った掌。
彼の掌と自分の掌との、狭間にあるのはただ、1つの想いだけ。
仲間を助けたい。
声を上げたシュアに、仲間たちはしっかりと、頷いた。
そっと振り返った先で、クラトスもまた、シュアに向かって小さく微笑んで見せた。
「ゼロス」
崩れ落ちた救いの塔を目前に、最後尾のシュアは、意を決して前を歩くゼロスを呼びとめた。
その声を聞き逃すことのできるはずもないゼロスが、ゆっくりと歩みを止める。
「はいよ、シュアちゃん」
「ゼロス…ゼロスは私が一緒にいても平気?」
そう、皆が受け止めてくれていようと…シュアはなにも言わなかったゼロスだけが気がかりだった。
誰より自分に振り回されているのはゼロスだろう。
だからこそ、優先するならなによりその胸中でありたい。
「なに、俺さまがなにも言わなかったから拗ねちゃった?」
「ゼロス…本当に、私は…」
「…文句がありゃ言うさ。俺だってガキじゃない。それに…」
「俺はまだ、シュアの言ったことをまるっきり信じたわけじゃねーよ。どう考えたって…おれはあいつとは違う。あんなお人よしでもなければ、あそこまで、俺は…シュアを助けるどころか、傷つけることしか出来ねーから」
「ゼロス、そんなこと…」
「あるんだよ。それでも俺は…ヘイムダールでのことは、後悔してないし、今も変わらない。一緒に居ても平気どころか…いてくれなきゃ、困る」
砂利をその足で踏み鳴らしながら、その言葉だけを残してゼロスは再び歩みを進めた。
そんなこと、本当にないのに。
いつだって、ふわりと舞うように私を守ってくれたのは、助けてくれたのはゼロスだった。
2人を比べるつもりなんて、これっぽっちもないはずだった。
けれど、ゼロスにとって、それは負担だったこと。
自分がそのつもりがなくとも、ゼロスにとってみれば…それは比べてしまう対象でしかないこと。
「ねぇ、話したことは、間違いだったのかな…」
シュアは先を行くゼロスの足元を追いながら、いつでも笑顔だったルビナスを浮かべ、問いかけていた。
Next…
仲間たちはただただその場に立ち尽くしていた。
シュアが見せたのはあのメルトキオの見える草原でゼロスと出会うまでの記憶。
その後のルビナスの行く末を知る者は、この中ではおそらくゼロスだけなのだろう。
彼だけは、未だ瞼を下ろしたままだった。
その中に、何を見ているのか。瞼の裏に映るのは、懐かしい景色なのかそれとも。
「シュア…」
「…ごめんごめん、嫌なもの見せたね。ちょっとリアルだったでしょ?」
「茶化すなよ」
ロイドの真剣な瞳に、ぐっと、のどが詰まる。
「なんで…いつから、思い出してたんだ?」
「…アルテスタの家で、みんなの前から消える前」
「じゃあ…」
「元々ね、そのまま消えるつもりだった。でも…私はみんなと居たいんだって、気付いたの。これがわがままでしかなくても…気付けたの。ゼロスのおかげで…」
みんなの視線が彼に集まると、ゼロスはようやくゆっくりと瞼を上げた。
「ん?なによなによ?」
「…そうなのか。なんだか頭が混乱してきたな…」
「シュアさんは…四千年、生きているってことですか」
ぽそりといつもの緩やかな声で、プレセアがシュアに問いかける。
「うん。クラトス達と同じ…天使だし、クルシス。それに変わりはないよ。クラトスと同じように、元々は歴代の神子たちを護衛して救いの塔まで送ってきた。マーテルの器として、ミトスに届けるために」
「シュア…」
「軽蔑、する?」
小さく名前を呼んできたしいなに小さく笑うと、すぐにしいなは大きく首を振った。
「何言ってんだい!そんなことあるわけ…!」
「うん…今さら信じろとは言わない。けど…ありがとう」
その眉尻を下げて不器用に微笑んだシュアに、誰もが後に続いて言葉を発することができなかった。
その、瞬間。
「なぁ…」
そっと、視線を上げたロイドがシュアを見つめる。
「なんか、勘違いしてないか?」
「え?」
「ロイド?」
ジーニアスの呼びかけにも応えることなく、ロイドはなんてことないように言葉を繋いだ。
「シュアとクルシスにはどんな関係があるのかが分かればそれでいい。シュアが何をしてきたとか、過去のシュアがどうだとか、俺はどうでもいい」
「…ロ、イド…」
「ロイド!…まったくあんたってのは…それにしたってどうでもいい、はないんじゃないのかい!」
「しいな、そんなに怒るなよ!」
「怒るさ!…けど、ロイドの言うとおりだよ、シュア」
「しいな…」
今はしいなに怒鳴られて情けない顔をしているロイドと、呼びかけた親友の顔を交互に見つめる。
何を、言っているのか。この、リーダーは。
どうでもいい、ことじゃない。
仲間が信用できるのかできないのか、どれだけ大事なことか分かっているのだろうか。
「ロイド、でも…」
「そーそー。たまにはロイドもいいこと言うじゃん!シュアがどんな人かなんて…ねぇ?姉さん」
「そうね、思いつくのは…仲間になって間もない別の種族に情けを掛ける…どうしようもないお人よし、かしら?」
「シュアさんはシュアさんです」
「良くも悪くも人間は、過去があって今がある。その過程で培われたシュアの人間性は、やはり今のシュアでしかないのだからな」
「で、も…!私の事信用できる?信用できない仲間と一緒にいて裏切られたら?この先私が…もしもミトスに寝返ったら?」
自分が何を言っているのかも分かってる。
それなのに、そんなことを言っているのに、目の前の仲間たちはいつもの眼差しでゆったりと笑んでいる。
その奥では、瞬間、小さく口元を緩めるゼロス。
妙な汗が、自分のこめかみを伝う。
あぁ…もうこの仲間たちには、なにを言っても通じないのだろう。
私が行きたくないと、言わない限りどこまでだってこうして笑ってくれる。
だから、私も笑いたくなったんだ。
記憶が無くとも、目を逸らしたい自分の過去を目前に叩きつけられても、
彼らの前では、一緒に笑いたかったんだ。
しいなに出会って、彼女と笑い合っていたいと思った…あの頃と同じように。
「み…」
「み?」
「も、みんな…お人よし…っすぎるよ…!」
あはは、と声を上げながら、シュアはその頬を涙で濡らした。
最近は、泣いてばっかりだと。
そう思ってまた、それが可笑しくて。
「な、シュア…なに泣いてんだい!」
「だって、あは…可笑しくて…!」
「シュアさんは…泣いてるんでしょうか。笑ってるんでしょうか…」
「つくづく器用だわね…」
「シュア」
ゆっくりと、歩み寄ってきたロイドがその掌を差し出す。
「コレット、助けに行こう」
「…うん!」
しっかりと、握った掌。
彼の掌と自分の掌との、狭間にあるのはただ、1つの想いだけ。
仲間を助けたい。
声を上げたシュアに、仲間たちはしっかりと、頷いた。
そっと振り返った先で、クラトスもまた、シュアに向かって小さく微笑んで見せた。
「ゼロス」
崩れ落ちた救いの塔を目前に、最後尾のシュアは、意を決して前を歩くゼロスを呼びとめた。
その声を聞き逃すことのできるはずもないゼロスが、ゆっくりと歩みを止める。
「はいよ、シュアちゃん」
「ゼロス…ゼロスは私が一緒にいても平気?」
そう、皆が受け止めてくれていようと…シュアはなにも言わなかったゼロスだけが気がかりだった。
誰より自分に振り回されているのはゼロスだろう。
だからこそ、優先するならなによりその胸中でありたい。
「なに、俺さまがなにも言わなかったから拗ねちゃった?」
「ゼロス…本当に、私は…」
「…文句がありゃ言うさ。俺だってガキじゃない。それに…」
「俺はまだ、シュアの言ったことをまるっきり信じたわけじゃねーよ。どう考えたって…おれはあいつとは違う。あんなお人よしでもなければ、あそこまで、俺は…シュアを助けるどころか、傷つけることしか出来ねーから」
「ゼロス、そんなこと…」
「あるんだよ。それでも俺は…ヘイムダールでのことは、後悔してないし、今も変わらない。一緒に居ても平気どころか…いてくれなきゃ、困る」
砂利をその足で踏み鳴らしながら、その言葉だけを残してゼロスは再び歩みを進めた。
そんなこと、本当にないのに。
いつだって、ふわりと舞うように私を守ってくれたのは、助けてくれたのはゼロスだった。
2人を比べるつもりなんて、これっぽっちもないはずだった。
けれど、ゼロスにとって、それは負担だったこと。
自分がそのつもりがなくとも、ゼロスにとってみれば…それは比べてしまう対象でしかないこと。
「ねぇ、話したことは、間違いだったのかな…」
シュアは先を行くゼロスの足元を追いながら、いつでも笑顔だったルビナスを浮かべ、問いかけていた。
Next…