12 本棚
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城田くんが怠惰の主人 。
人間だった頃の私の知り合いのなかに吸血鬼の関係者がいたというのは驚きの事実だった。
実のところ私は吸血鬼について知らないことが多すぎる。先日、憂鬱の下位吸血鬼 らしき男の襲撃を受けたのだが、それまで私は"憂鬱"の存在すら知らなかったのだ。
私はもっといろいろなことが知りたい。身近な人から何か聞き出そうとしても御国さんはのらりくらりとかわすし、ジェジェさんも困ったように黙り込んでしまう。でももしかしたら、城田くんなら私にいろいろと教えてくれるかもしれない。そんなことを考えていた。
「うわー、これ一体何語なんだろう……」
英語っぽいけれど、ところどころアルファベットではなさそうな文字の使われている本をペラペラとめくる。挿絵は全くない。
The Land of Nodには本棚がある(ちなみに世にも恐ろしい鏡の奥の研究室にもある)。以前御国さんに訊いたところ、店に置いてある本棚の本ならば自由に読んで良いと言われた。もしかしたらこの本の中にも吸血鬼について知る足がかりになるかもしれないと、いろいろな本に目を通しているところだ。
「でも、この中に役に立つ本があるのかどうか……」
そう。この本棚、童話から長編小説、セオリー本、レシピ本、詩集に謎の専門書まで脈絡なく並べられている。その上、今私が手に取っているような異国語で書かれた本まであるのだ。
「なんだろうこれ、雪?」
試しにもう一冊、外国語の本を手に取る。その本の巻頭には写真が閉じてあった。雪が降っている街、といったところだろうか。しかし写真の枠下に書かれた文が読めないので、これが正確には何を写したものなのかはわからない。
「これ英語かな?えーっと、噛む、灰、見る、好き、雪……あ、"雪に見える"か」
わかる単語だけ並べていっても要領を得ない。そもそも同じ単語でも使われ方で意味が変わったりするのだから今読み上げた単語すら合っているかは微妙だ。
「うーん。雪に見えるけど灰が降ってる、みたいな?」
ふとオープン前でカーテンの閉じられているこの店の窓の方を見る。外は晴れているようで、カーテンからぼんやりとした日差しが少しだけ入りこんでいた。
「"灰"か」
下位吸血鬼 、つまり私のような吸血鬼は日光を浴びると灰になってしまう。それはここに来てすぐに御国さんから聞いた話だ。
だが例外もいる。8人いる真祖 のなかの8番目、憂鬱が作った下位吸血鬼 なら日光を浴びても大丈夫だそうだ。ずるい。
「あれ?でもそれって……」
真祖 や憂鬱の下位吸血鬼 たちは、いったいいつどうやって終わりを迎えるのだろう。
ふと降りたその考えに、私は一度小さく身震いした。
人間だった頃の私の知り合いのなかに吸血鬼の関係者がいたというのは驚きの事実だった。
実のところ私は吸血鬼について知らないことが多すぎる。先日、憂鬱の
私はもっといろいろなことが知りたい。身近な人から何か聞き出そうとしても御国さんはのらりくらりとかわすし、ジェジェさんも困ったように黙り込んでしまう。でももしかしたら、城田くんなら私にいろいろと教えてくれるかもしれない。そんなことを考えていた。
「うわー、これ一体何語なんだろう……」
英語っぽいけれど、ところどころアルファベットではなさそうな文字の使われている本をペラペラとめくる。挿絵は全くない。
The Land of Nodには本棚がある(ちなみに世にも恐ろしい鏡の奥の研究室にもある)。以前御国さんに訊いたところ、店に置いてある本棚の本ならば自由に読んで良いと言われた。もしかしたらこの本の中にも吸血鬼について知る足がかりになるかもしれないと、いろいろな本に目を通しているところだ。
「でも、この中に役に立つ本があるのかどうか……」
そう。この本棚、童話から長編小説、セオリー本、レシピ本、詩集に謎の専門書まで脈絡なく並べられている。その上、今私が手に取っているような異国語で書かれた本まであるのだ。
「なんだろうこれ、雪?」
試しにもう一冊、外国語の本を手に取る。その本の巻頭には写真が閉じてあった。雪が降っている街、といったところだろうか。しかし写真の枠下に書かれた文が読めないので、これが正確には何を写したものなのかはわからない。
「これ英語かな?えーっと、噛む、灰、見る、好き、雪……あ、"雪に見える"か」
わかる単語だけ並べていっても要領を得ない。そもそも同じ単語でも使われ方で意味が変わったりするのだから今読み上げた単語すら合っているかは微妙だ。
「うーん。雪に見えるけど灰が降ってる、みたいな?」
ふとオープン前でカーテンの閉じられているこの店の窓の方を見る。外は晴れているようで、カーテンからぼんやりとした日差しが少しだけ入りこんでいた。
「"灰"か」
だが例外もいる。8人いる
「あれ?でもそれって……」
ふと降りたその考えに、私は一度小さく身震いした。