11 後輩
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この人はきっと吸血鬼が嫌いなんだな、と思った。ずっと不機嫌そうだったのも、初対面なはずの私に妙に冷たいのも、それなら合点がいった。
私は吸血鬼になってから、ほとんどずっと御国さんとジェジェさん、たまにヨハンという3人としか関わりを持っていなかった。だからすっかり忘れていた。私は吸血鬼、もう人間ではない……
「ちょっと修平、あんまりうちの居候をいじめないでくれるかな?」
「露木、です。御国先輩。」
気まずい空気の中流れ込んできたドアベルの音と聞き慣れた声。御国さんが帰ってきたのだ。
「御国さん、ジェジェさん!おかえりなさい。」
「うん、ただいま。」
ただおかえりなさいと言っただけなのに、露木さんは私と返事をした御国さんをまたまたギロリと睨む。
正直この人と2人きりでいるのは気まずかったので御国さんの登場は助かった。肩にはいつものようにヘビの姿のジェジェさんもいることが、何よりも私を安心させていた。
「だいたいさぁ、お前わざと俺がいない時間帯に来ただろ?」
「当たり前じゃないですか、御国先輩がいるといつも話が拗れる。」
「ええっ!?」
相変わらずの軽いノリで話しかけている御国さんと嫌そうに返事をする露木さん。どうやら露木さんが私しかいない時に来たのは意図的であったらしい。それならいくら吸血鬼嫌いでももう少し、ほんの少しくらい愛想良くしてくれてもいいのに。
どうやら露木さんと御国さんは知り合いのようだ。……あまり仲がいいとは言えないように見えるが。実際相性悪そうだし。
「それより、先輩こそどういうつもりなんですか。よりにもよってあなたが"ただの吸血鬼"を近くに置くなんて。」
「
「おかしいですね。先輩は吸血鬼のことをーー」
そこで露木さんは口の動きを止めた。ジェジェさんが急に人型になったからだ。
「……………こいつらの話は、長引く……奥に下がっていた方がいい……。」
「えっ、でもまだ露木さんが……」
「御国と話し始めたのだから……用は済んだのだろう………」
ジェジェさんは急に私に店の奥に下がっているよう促し始めた。その様子に、露木さんは若干面食らっているようだ。御国さんもこちらを見ていたみたいだが、目の前のジェジェさんの体で隠れてその表情までは見えない。
「確かに話が逸れましたね、失礼しました。ですがまだ用はあります。」
「用?」
気を取り直した露木さんは、私に向かって言った。
「一応わかってはいると思いますが……これはC3からの勧告です。トラブルを防ぐ為、人間であった頃の知人との接触は必ず避けてください。」
「必ず、ですか。」
露木さんの言葉に、背筋が凍る。頭に浮かんだのは、昨夜偶然会ってしまった私の後輩の顔だ。
「ちなみにそれ破ったら…?」
「避けていてもどうしても偶然に、ということはあり得ますので多少は見逃しますが、故意的であったり繰り返すようでしたら"それなりの処置"をさせていただきます。」
「それなり、ハハハ……」