帽子がふたり
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外がすっかり暗くなった夜。そろそろ寝ようとしていた私の家に来客がふたり。
「よお、ななし」
「......もう夜なんだけど。」
「そうだね、ななし。いい夜だ。」
帽子を被って、派手なシャツを着て、おまけにしっぽまで生えているふたり。
吸血鬼である彼らとは、ちょっとした出来事で知り合った。それからどうやら気に入られてしまったらしく、こうして夜な夜な私のところにやって来る。
「いや、わかってるなら来ないでよ。」
「そりゃアねエだろォ。オレ達は夜にしか出歩けねエんだから。なア、レイ?」
「そうだね、ジル。」
レイはともかく、ジルはもうちょっと静かに喋れないのだろうか。ご近所迷惑だ。
「そりゃ君らはそうかもしれないけど、私は人間だからもう寝るんだよ。」
「んならななしも下位吸血鬼になりゃアいいさ。名案&名案だろォ?」
「いや、全然名案じゃないんですけど。」
とりあえず落ち着こうと息を吐いてから、私はふたりに聞く。
「で、何しに来たの?」
「決まってンだろォ。これからななしはオレ達とデードに行くのさア。なア、レイ?」
「そうだね、デートだ。」
「いやいや、三人で行くんじゃデートじゃなくない?」
そう言うとふたりはそれぞれ左右に首を傾げる。可愛いと思ってしまったら負けだ。
「ななしはオレたちとデートするのは嫌かい?」
「えっ⁉えっと……」
レイが私に言うとふたりはじっと私を見てくる。
「……」
「……」
「……」
沈黙に耐えかねた私は諦めて口を開く。
「わ、わかったよ、行くよ!」
「そうこねエとなア!なあレイ!」
「そうだね、ジル。本当にそうだ。」
どうやら、今夜も眠れないようだ。でも、三人で出掛けるのは嫌いじゃない。
言ったら負けな気がするから、ふたりには言わないけれど。
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