蝶にまつわるこんな話
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公園に集まっている少年達が虫カゴの中にいる捕まえた虫を見せ合い、自慢している。その中に一人、蝶を捕まえた少年がいた。
「すっごく綺麗だから、帰ったらお父さんと一緒に標本にするんだ。」
声を高々に自慢する少年の元に一人の女性が近づく。
「ねぇ坊や。その蝶々、連れ帰るの?」
「お姉さん誰?この蝶は俺のだよ!」
少年の言葉に、女性はほんの一瞬顔を歪めたように見えたが、すぐに元の笑顔に戻る。
「うーん、やめた方がいいと思うんだけどなぁ。」
「なんで?」
「貴方知らないの?ピンク色の蝶の呪いの話ーー」
***
「さっきはありがとうございました。」
「まったくよ。私が気付かなきゃ貴方今頃は標本よ、標本!」
「ふふっ、……ですが、泣かせるのは少しやり過ぎでは?」
「仕方ないでしょ。あれが一番手っ取り早かったんだから。」
私が捕まっているのに気づいたななしはあの後、蝶の呪いなどという話をでっち上げ、まだ幼い少年を散々怖がらせ、ついに少年が泣きながら「この蝶はいらない」と言ったところでこれ幸いと蝶の姿の私を助けだした。前にも一度このような事があったが、あの時も彼女は私を捕まえた少年に容赦無かった。
「蝶の呪い、でしたっけ?あれはななしが考えたんですか?」
「そうだけど?」
「私を取られたくなくてわざわざ作り話まで考えてくれたんですね。」
都合の良い解釈をしてふふふと笑ってみせるとななしは頬を赤く染める。
「何それ。自意識過剰。」
「そうですか?」
「そうよ。だいたい貴方はどうし、て……」
後ろからふわりと抱きしめれば、突然の事にななしは一瞬固まった。今度は耳まで真っ赤に染めている。
「どうして、何ですか?」
続きを促すと、我に返って身じろぎしながら言葉を続ける。
「どうして簡単に捕まったりしてるのよ!」
「すみません。最近の子供は虫捕りが上手くて。」
「もう、ふざけないでよ。貴方を誰かに取られるのは御園で充分。」
「やっぱりそれは、私を他の人に取られたくないという事ですよね?」
耳元で囁くとななしはしまったというような顔をして俯く。未だに耳まで真っ赤で、私の腕から逃れようとする。
「分かってるなら、気をつけてよね。」
「はい。でも安心してください、私の心は貴女だけの物ですよ。」
「馬鹿じゃないの?」
冷たい言葉を返しながらも嬉しそうな表情を隠しきれていないななしが何とも愛らしいと思った。未だに抵抗されるので、腕に少し力を込めて「じっとしてくださいね」と囁くと、うなだれるように動きをやめる。
「いい子ですね。」
「ばか。」
顔を真っ赤にしながら未だに冷たい言葉を吐くななしの唇に、私はそっとキスを落とした。
「すっごく綺麗だから、帰ったらお父さんと一緒に標本にするんだ。」
声を高々に自慢する少年の元に一人の女性が近づく。
「ねぇ坊や。その蝶々、連れ帰るの?」
「お姉さん誰?この蝶は俺のだよ!」
少年の言葉に、女性はほんの一瞬顔を歪めたように見えたが、すぐに元の笑顔に戻る。
「うーん、やめた方がいいと思うんだけどなぁ。」
「なんで?」
「貴方知らないの?ピンク色の蝶の呪いの話ーー」
***
「さっきはありがとうございました。」
「まったくよ。私が気付かなきゃ貴方今頃は標本よ、標本!」
「ふふっ、……ですが、泣かせるのは少しやり過ぎでは?」
「仕方ないでしょ。あれが一番手っ取り早かったんだから。」
私が捕まっているのに気づいたななしはあの後、蝶の呪いなどという話をでっち上げ、まだ幼い少年を散々怖がらせ、ついに少年が泣きながら「この蝶はいらない」と言ったところでこれ幸いと蝶の姿の私を助けだした。前にも一度このような事があったが、あの時も彼女は私を捕まえた少年に容赦無かった。
「蝶の呪い、でしたっけ?あれはななしが考えたんですか?」
「そうだけど?」
「私を取られたくなくてわざわざ作り話まで考えてくれたんですね。」
都合の良い解釈をしてふふふと笑ってみせるとななしは頬を赤く染める。
「何それ。自意識過剰。」
「そうですか?」
「そうよ。だいたい貴方はどうし、て……」
後ろからふわりと抱きしめれば、突然の事にななしは一瞬固まった。今度は耳まで真っ赤に染めている。
「どうして、何ですか?」
続きを促すと、我に返って身じろぎしながら言葉を続ける。
「どうして簡単に捕まったりしてるのよ!」
「すみません。最近の子供は虫捕りが上手くて。」
「もう、ふざけないでよ。貴方を誰かに取られるのは御園で充分。」
「やっぱりそれは、私を他の人に取られたくないという事ですよね?」
耳元で囁くとななしはしまったというような顔をして俯く。未だに耳まで真っ赤で、私の腕から逃れようとする。
「分かってるなら、気をつけてよね。」
「はい。でも安心してください、私の心は貴女だけの物ですよ。」
「馬鹿じゃないの?」
冷たい言葉を返しながらも嬉しそうな表情を隠しきれていないななしが何とも愛らしいと思った。未だに抵抗されるので、腕に少し力を込めて「じっとしてくださいね」と囁くと、うなだれるように動きをやめる。
「いい子ですね。」
「ばか。」
顔を真っ赤にしながら未だに冷たい言葉を吐くななしの唇に、私はそっとキスを落とした。
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