Doubt
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最近、カービィの様子がおかしい。
やけに素っ気ないし、思い詰めたような表情をしているのに、聞いても何も答えてくれない。
『なんでもないよ』と決まって笑うんだ。
明らかに辛そうな感じなのに。
時々夜中も家にいなかったりする。
仕事(盗み)を終えた後にププビレッジに帰ってくると、いつもいたのに……。
あまり聞きたくはなかったが、メタナイトに聞いてみることにした。
カービィはメタナイトを相当信用している。
それに、きっと彼なら何かわかるかもしれない……。
「そなた、カービィから聞いていないのか?」
オレの言葉をきいて、メタナイトはフン、と鼻で笑った。
仮面越しでもわかる、絶対オレのこと馬鹿にしてやがる……!!
「まだ私にも望みがあるということか……。」
望み……?
「どういうことだ?
メタナイト、まさかお前カービィのこと……!?」
「ハッハッハ、何のことかな?」
ハッハッハッ……と白々しく笑いながら、立ち去ろうとするメタナイト。
マントを掴んで阻むと振り返り、不機嫌そうな顔でオレを見た。
「大人げないな、こんな子供に対してムキになるなんて。」
「……嘘だな。
実際、オレより年上だろう?」
な……!?と一瞬、メタナイトが見せた隙を見逃さなかった。
素早くナイフを取り出し、仮面のベルト部分を切る。
ガシャン、と音を立ててメタナイトの仮面が地に落ちた。
そのまま、ナイフを首に突きつける。
「そんなカワイラシー顔してても、実は結構……歳いってるんだろう?」
「……どうかな?」
メタナイトがその可愛らしい顔には似合わないほど、嫌味な笑みを浮かべる。
ヒタ……とズボン越しに何かが太ももに当たる感触がした。
恐らくはこいつの剣。
こんな状況でも動転せずに動けるのは、ある意味尊敬に値するだろう。
そのまましばらく見つめ合う……が、メタナイトは一向に口を割ろうとしない。
「……チッ。」
痺れを切らし、オレはメタナイトの元を去った。
……奴が鼻で笑ったのが聞こえたような気がしたが、振り向かない。
その日の夜。
なんとなく眠れなくてデデデ城内を散歩していると、前の方にカービィが歩いているのを見つけた。
話しかけようとして、ふと違和感を感じて言葉が出なくなった。
まず、こんなに遅い時間にここにいるなんておかしい。
彼女の家はデデデ城内でなく、ププビレッジの丘の上にあるはずだ。
それに、やけにキョロキョロとしていて挙動不審。
オレは咄嗟に柱の陰に隠れた。
……どうやら、気付かれなかったようだ。
いったいこんな時間にどこに行くのだろう?
「……そっちは、空き部屋ばかりの廊下じゃ……?」
嫌な予感しかしなかった。
カービィは相変わらず周りを気にしながら歩く。
そして、一つの部屋の扉の前で止まった。
コンコンと控えめにノックをすると、扉が開きメタナイトが出てきた。
カービィをそっと部屋へと促す。
一瞬、部屋の中の明かりに照らされて見えたカービィの横顔が、泣いているように見えた。
「……え?」
あまりの出来事に行動できなかった。
一瞬、夢でも見ているのかとすらも思う。
今さっき自分が見たものが現実とは思えず、しばらく硬直してしまった。
そして、最近やけによそよそしかったことと、昼間のメタナイトの様子を思い出し、ある一つの結論に至った。
信じたくない。
でも、そう思わざるを得ない。
「カービィが、浮気……?」
そう思うとオレは衝動を抑えられなかった。
右ポケットに入った針金を取り出す。
「……でッ……全然、ダメで……!!」
「ああ……。」
「おやおや、二人ともこんな時間にこんな空き部屋で、なーにしてるのかな?」
得意なピッキングで扉を開け、部屋に押し入り声をかける。
カービィもメタナイトも、驚いた顔でオレを見た。
まさか気付かれていたとは思わなかったのだろう。
「二人で密会か?」
顔こそは笑っているが……我ながらかなり怖いと思う。
カービィの泣き顔を見ても、怒りは収まらなかった。
「へぇ、所詮キミもそういう「違うの!!そういうことじゃなくて……!!
ボクは、メタに相談してただけなの!!」
カービィは震える声で否定をする。
相談?余計に意味が分からない。
「いったい何を?」
尋ねたが、カービィは躊躇うようにメタナイトの様子を窺う。
メタナイトは、「……もう、言うしかあるまい。」と首を振って答えた。
「ッ、コピー能力が、使えなくなっちゃったの……!!」
そう言った瞬間、カービィの目から涙が溢れた。
同時にオレも衝撃を受けた。
「コピー能力、使えなくなっちゃって……前も一回あったらしいし、メタなら方法何か知ってるかなって……。」
「ああ、だからやましいことは何も無い。
わざわざ空き部屋にいたのも、私の部屋にはソードとブレイドがいるから聞かれたくないかと思ってだな……。
……昼間は勘違いさせるようなことを言ってすまなかった。
ただ、そなたの反応が面白かっただけなんだ。」
「メタナイト、後半がフォローになってない。
むしろオレにケンカ売ってる?」
なんというサディスト。
だがカービィの言葉を聞いて、あの思い詰めた表情にも納得がいった。
悔しいがメタナイトは同種だけあって、誰よりもその辺に関しては詳しいだろう。
カービィがメタナイトの話を聞こうとするのにも納得がいく。
でも、オレに相談してくれればよかったのに。
コピー能力はカービィのアイデンティティともいえる力だ。
それを失ってどれほど辛い思いをしていたのだろうか。
「それこそ、どうして黙っていたんだ?」
「……だって、このこと知ったら、ドロッチェに迷惑がかかっちゃうし、心配させちゃうかし……嫌われちゃうかもしれないから……。」
「バカ、嫌うわけない。
例えコピー能力が有ろうと無かろうと、カービィはカービィのままだ。
それに迷惑なんてかからないし、喜んで守ろう。
もっと頼れ、泣くならオレの前で泣け……オレはいつでも受け止めてやる。」
カービィの目からポロポロと更に涙をこぼれる。
大丈夫かと慌てて問いかけると、彼女は大きくかぶりを振った。
「違うの、これは嬉しくて……。
……ホントに、隠しててごめんなさい……。」
「オレも疑ってごめんな。
カービィはこんなにもオレのこと気遣ってたのに。」
頭を撫でると、にこりとカービィが微笑む。
ようやく見せた笑顔は、やはりいつものオレの大好きなカービィのままだった。
「ボクこそ、嫌われるかな?って疑っちゃったし……。
それに、ボクがちゃんと言わなかったから……。」
「いや、それでも……。
……今度からは、ちゃんと言ってくれるか?
変に気遣うくらいなら、そうしてほしい。」
結局、お互いが相手のことを疑ってしまっていただけなんだ。
これからはお互いちゃんと言うようにすれば、きっとそんなことも無くなる。
言いたいことは伝わったらしく、カービィは大きく頷いた。
「うん、ちゃんと言う!!
もう浮気とか思われたくないし~。」
「フッ……約束だぞ?」
「ドロッチェも何かあったら言ってね?」
「ああ、もちろんだ。」
「えーっと、盛り上がってるところ申し訳ないのだが。」
なんだよ、と思って振り返ってみると、困ったような呆れたような顔をしているメタナイトがいた。
「……そなたたち、完全に私の存在を忘れていただろう?
コピー能力は、多分リハビリで取り戻せるとは思う。前もそうだった。
ただし……これは相当困難だ。」
「それでもボク……頑張るよ。
ドロッチェがいてくれるし。」
カービィは決意を固めた表情で大きく頷いた。
メタナイトが妬けるねェと笑う。
コピー能力を失ったカービィのリハビリは、きっとさまざまな困難が待ち受けているだろう。
オレがちゃんと支えて守ってやらなきゃな、精神的にも。
Doubt
(いっぱい甘えちゃうんだからね!)
(フッ、喜んで受けてあげよう。)
NEXT
→あとがき
やけに素っ気ないし、思い詰めたような表情をしているのに、聞いても何も答えてくれない。
『なんでもないよ』と決まって笑うんだ。
明らかに辛そうな感じなのに。
時々夜中も家にいなかったりする。
仕事(盗み)を終えた後にププビレッジに帰ってくると、いつもいたのに……。
あまり聞きたくはなかったが、メタナイトに聞いてみることにした。
カービィはメタナイトを相当信用している。
それに、きっと彼なら何かわかるかもしれない……。
「そなた、カービィから聞いていないのか?」
オレの言葉をきいて、メタナイトはフン、と鼻で笑った。
仮面越しでもわかる、絶対オレのこと馬鹿にしてやがる……!!
「まだ私にも望みがあるということか……。」
望み……?
「どういうことだ?
メタナイト、まさかお前カービィのこと……!?」
「ハッハッハ、何のことかな?」
ハッハッハッ……と白々しく笑いながら、立ち去ろうとするメタナイト。
マントを掴んで阻むと振り返り、不機嫌そうな顔でオレを見た。
「大人げないな、こんな子供に対してムキになるなんて。」
「……嘘だな。
実際、オレより年上だろう?」
な……!?と一瞬、メタナイトが見せた隙を見逃さなかった。
素早くナイフを取り出し、仮面のベルト部分を切る。
ガシャン、と音を立ててメタナイトの仮面が地に落ちた。
そのまま、ナイフを首に突きつける。
「そんなカワイラシー顔してても、実は結構……歳いってるんだろう?」
「……どうかな?」
メタナイトがその可愛らしい顔には似合わないほど、嫌味な笑みを浮かべる。
ヒタ……とズボン越しに何かが太ももに当たる感触がした。
恐らくはこいつの剣。
こんな状況でも動転せずに動けるのは、ある意味尊敬に値するだろう。
そのまましばらく見つめ合う……が、メタナイトは一向に口を割ろうとしない。
「……チッ。」
痺れを切らし、オレはメタナイトの元を去った。
……奴が鼻で笑ったのが聞こえたような気がしたが、振り向かない。
その日の夜。
なんとなく眠れなくてデデデ城内を散歩していると、前の方にカービィが歩いているのを見つけた。
話しかけようとして、ふと違和感を感じて言葉が出なくなった。
まず、こんなに遅い時間にここにいるなんておかしい。
彼女の家はデデデ城内でなく、ププビレッジの丘の上にあるはずだ。
それに、やけにキョロキョロとしていて挙動不審。
オレは咄嗟に柱の陰に隠れた。
……どうやら、気付かれなかったようだ。
いったいこんな時間にどこに行くのだろう?
「……そっちは、空き部屋ばかりの廊下じゃ……?」
嫌な予感しかしなかった。
カービィは相変わらず周りを気にしながら歩く。
そして、一つの部屋の扉の前で止まった。
コンコンと控えめにノックをすると、扉が開きメタナイトが出てきた。
カービィをそっと部屋へと促す。
一瞬、部屋の中の明かりに照らされて見えたカービィの横顔が、泣いているように見えた。
「……え?」
あまりの出来事に行動できなかった。
一瞬、夢でも見ているのかとすらも思う。
今さっき自分が見たものが現実とは思えず、しばらく硬直してしまった。
そして、最近やけによそよそしかったことと、昼間のメタナイトの様子を思い出し、ある一つの結論に至った。
信じたくない。
でも、そう思わざるを得ない。
「カービィが、浮気……?」
そう思うとオレは衝動を抑えられなかった。
右ポケットに入った針金を取り出す。
「……でッ……全然、ダメで……!!」
「ああ……。」
「おやおや、二人ともこんな時間にこんな空き部屋で、なーにしてるのかな?」
得意なピッキングで扉を開け、部屋に押し入り声をかける。
カービィもメタナイトも、驚いた顔でオレを見た。
まさか気付かれていたとは思わなかったのだろう。
「二人で密会か?」
顔こそは笑っているが……我ながらかなり怖いと思う。
カービィの泣き顔を見ても、怒りは収まらなかった。
「へぇ、所詮キミもそういう「違うの!!そういうことじゃなくて……!!
ボクは、メタに相談してただけなの!!」
カービィは震える声で否定をする。
相談?余計に意味が分からない。
「いったい何を?」
尋ねたが、カービィは躊躇うようにメタナイトの様子を窺う。
メタナイトは、「……もう、言うしかあるまい。」と首を振って答えた。
「ッ、コピー能力が、使えなくなっちゃったの……!!」
そう言った瞬間、カービィの目から涙が溢れた。
同時にオレも衝撃を受けた。
「コピー能力、使えなくなっちゃって……前も一回あったらしいし、メタなら方法何か知ってるかなって……。」
「ああ、だからやましいことは何も無い。
わざわざ空き部屋にいたのも、私の部屋にはソードとブレイドがいるから聞かれたくないかと思ってだな……。
……昼間は勘違いさせるようなことを言ってすまなかった。
ただ、そなたの反応が面白かっただけなんだ。」
「メタナイト、後半がフォローになってない。
むしろオレにケンカ売ってる?」
なんというサディスト。
だがカービィの言葉を聞いて、あの思い詰めた表情にも納得がいった。
悔しいがメタナイトは同種だけあって、誰よりもその辺に関しては詳しいだろう。
カービィがメタナイトの話を聞こうとするのにも納得がいく。
でも、オレに相談してくれればよかったのに。
コピー能力はカービィのアイデンティティともいえる力だ。
それを失ってどれほど辛い思いをしていたのだろうか。
「それこそ、どうして黙っていたんだ?」
「……だって、このこと知ったら、ドロッチェに迷惑がかかっちゃうし、心配させちゃうかし……嫌われちゃうかもしれないから……。」
「バカ、嫌うわけない。
例えコピー能力が有ろうと無かろうと、カービィはカービィのままだ。
それに迷惑なんてかからないし、喜んで守ろう。
もっと頼れ、泣くならオレの前で泣け……オレはいつでも受け止めてやる。」
カービィの目からポロポロと更に涙をこぼれる。
大丈夫かと慌てて問いかけると、彼女は大きくかぶりを振った。
「違うの、これは嬉しくて……。
……ホントに、隠しててごめんなさい……。」
「オレも疑ってごめんな。
カービィはこんなにもオレのこと気遣ってたのに。」
頭を撫でると、にこりとカービィが微笑む。
ようやく見せた笑顔は、やはりいつものオレの大好きなカービィのままだった。
「ボクこそ、嫌われるかな?って疑っちゃったし……。
それに、ボクがちゃんと言わなかったから……。」
「いや、それでも……。
……今度からは、ちゃんと言ってくれるか?
変に気遣うくらいなら、そうしてほしい。」
結局、お互いが相手のことを疑ってしまっていただけなんだ。
これからはお互いちゃんと言うようにすれば、きっとそんなことも無くなる。
言いたいことは伝わったらしく、カービィは大きく頷いた。
「うん、ちゃんと言う!!
もう浮気とか思われたくないし~。」
「フッ……約束だぞ?」
「ドロッチェも何かあったら言ってね?」
「ああ、もちろんだ。」
「えーっと、盛り上がってるところ申し訳ないのだが。」
なんだよ、と思って振り返ってみると、困ったような呆れたような顔をしているメタナイトがいた。
「……そなたたち、完全に私の存在を忘れていただろう?
コピー能力は、多分リハビリで取り戻せるとは思う。前もそうだった。
ただし……これは相当困難だ。」
「それでもボク……頑張るよ。
ドロッチェがいてくれるし。」
カービィは決意を固めた表情で大きく頷いた。
メタナイトが妬けるねェと笑う。
コピー能力を失ったカービィのリハビリは、きっとさまざまな困難が待ち受けているだろう。
オレがちゃんと支えて守ってやらなきゃな、精神的にも。
Doubt
(いっぱい甘えちゃうんだからね!)
(フッ、喜んで受けてあげよう。)
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→あとがき
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