緋の刃 -ブレイド-
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「ふぅ……」
部下の姿を見送った後、俺は小さく溜め息をついた。
ベッドに倒れ込み瞳を閉じる。
過去の話をするのは久々だったというのもあって、少しだけ疲れてしまった。
だが部下のやる気が出たらしい。
少しでも励みになったのなら話した甲斐があったものだ。
「……父さん」
今朝の夢に、父さんが出てきた。
夢の中の父さんはいつになく厳しい表情をしていた。
強い光を宿す緋色の瞳は、真っ直ぐに俺を見据えていた。
俺もその瞳を見返す。
逸らすことなんてできなかった。
しばらく無言のまま見つめ合った後、彼はおもむろに口を開いた。
『"ブリジット"お前は何のために剣を振るうんだ?』
そう問われた俺は少し考えた。
国を守るため?
確かにそれも間違ってはいない。
俺は王国騎士団所属だ、国を守る立場にある。
しかし父が聞いているのはきっとそういうことではない。
もっと奥深く、俺の根源の部分を聞いているのだ。
僅かな間だったか長い間だったかは定かではないが……考えた末に導き出された答えは、『自分の大切なものを守るために』だった。
そう答えれば、彼の表情はふわりと柔らかいものになった。
俺を慈しみ、愛し、包み込んでくれたその笑み。
小さいころに見た表情そのままで、思い出すだけで胸がいっぱいになる。
父さんは腕を伸ばし、俺を抱き寄せた。
『本当に立派になったな――“ブレイド”』
父さんは初めて俺を“ブレイド”って呼んだ。
ああ、やっと認められたんだなぁって胸が震えて、熱いものが込み上げてきた。
所詮は夢だ。
でも俺にはただの夢だと思えなかった。
きっと、父さんは俺に会いに来てくれたんだ。
俺は俺なりに精一杯努力をしてここまで来た。
でもまだまだ未熟者。
言い換えれば、成長の余地がある。
これからもっと努力して、精進しなければならない。
誰かに言われたからではなく、自分の意志で、俺の大切なものを守るために。
アイツは、俺の事を大切にしてくれている。
あの悪夢に潰されないのも、アイツがいるからなんだ。
だから俺はもっと強くなる。
誰よりも大切なあの人と、その日常を守る為に。
父さんから貰ったこの名も、俺にとって大切なもの。
だから恥じないように生きていきたい。
そんなことを考えながら、ゆっくりと眠りに着いた。
……たまには、また夢で会いに来てくれるだろうか?
Next
→あとがき
部下の姿を見送った後、俺は小さく溜め息をついた。
ベッドに倒れ込み瞳を閉じる。
過去の話をするのは久々だったというのもあって、少しだけ疲れてしまった。
だが部下のやる気が出たらしい。
少しでも励みになったのなら話した甲斐があったものだ。
「……父さん」
今朝の夢に、父さんが出てきた。
夢の中の父さんはいつになく厳しい表情をしていた。
強い光を宿す緋色の瞳は、真っ直ぐに俺を見据えていた。
俺もその瞳を見返す。
逸らすことなんてできなかった。
しばらく無言のまま見つめ合った後、彼はおもむろに口を開いた。
『"ブリジット"お前は何のために剣を振るうんだ?』
そう問われた俺は少し考えた。
国を守るため?
確かにそれも間違ってはいない。
俺は王国騎士団所属だ、国を守る立場にある。
しかし父が聞いているのはきっとそういうことではない。
もっと奥深く、俺の根源の部分を聞いているのだ。
僅かな間だったか長い間だったかは定かではないが……考えた末に導き出された答えは、『自分の大切なものを守るために』だった。
そう答えれば、彼の表情はふわりと柔らかいものになった。
俺を慈しみ、愛し、包み込んでくれたその笑み。
小さいころに見た表情そのままで、思い出すだけで胸がいっぱいになる。
父さんは腕を伸ばし、俺を抱き寄せた。
『本当に立派になったな――“ブレイド”』
父さんは初めて俺を“ブレイド”って呼んだ。
ああ、やっと認められたんだなぁって胸が震えて、熱いものが込み上げてきた。
所詮は夢だ。
でも俺にはただの夢だと思えなかった。
きっと、父さんは俺に会いに来てくれたんだ。
俺は俺なりに精一杯努力をしてここまで来た。
でもまだまだ未熟者。
言い換えれば、成長の余地がある。
これからもっと努力して、精進しなければならない。
誰かに言われたからではなく、自分の意志で、俺の大切なものを守るために。
アイツは、俺の事を大切にしてくれている。
あの悪夢に潰されないのも、アイツがいるからなんだ。
だから俺はもっと強くなる。
誰よりも大切なあの人と、その日常を守る為に。
父さんから貰ったこの名も、俺にとって大切なもの。
だから恥じないように生きていきたい。
そんなことを考えながら、ゆっくりと眠りに着いた。
……たまには、また夢で会いに来てくれるだろうか?
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