カービィ

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「カービィ、改めて誕生日おめでとう!」

「わぁ、これなーに?」

「カービィの大好きなケーキだ。」


カービィは無邪気な子供のようにはしゃぎ、目をキラキラと輝かせた。
箱を受け取るとクルクルと回って、書いて字の如く『狂喜乱舞』した。


「ありがとーっ!」

「でもまさかカワサキのケーキがあんなに大きいとは……
まぁこれは今日買ってきてまだ日持ちするだろうから明日辺りにでも「ねぇねぇ今食べていい!?食べていい!?
良いよね!?ボクがもらったんだもんね!?」

「いいけど……さっき、パーティーでもさんざんケーキ食べてなか「それとこれとは別!」


今にもよだれを垂らしそうなほどに喜んでいるカービィに、ドロッチェも嬉しそうに笑った。
カービィは目にも止まらぬ速さでお皿とフォークを用意し、意気揚々と箱を開けた。
中身は、白い生クリームと赤いイチゴが見事なコントラストをなしているホールケーキだった。

申し分のないほどに美味しそうなケーキなのだが……装飾や絞り方の絞り方には、何処か見覚えがある。


「これ、もしかして初めてドロッチェがくれたケーキと同じお店……?」

「正解。
……覚えていたのか?」


やっぱり、とカービィは笑った。
忘れるはずもない、ケーキは二人の出会いのきっかけなのだから。


「もちろん!
ケーキはボクらを繋いだ魔法のアイテムだもんね!」

「フッ、そうだな。」


幸せそうにケーキを食べているカービィを、ドロッチェはニコニコしながら見ていた。


「ドロッチェは食べないの?」

「……いや、さっき散々食べたから……」


じゃあボク食べちゃうからねーとひょいひょい食べてしまうカービィ。

「う~ん、美味しい!」


早くも半分くらいを食べ終え、それでも幸せそうに食べ続けるカービィの胃袋に限界などなかった。



「それにしても、そんなにケーキで喜んでもらえるとはな。
……ヘタすりゃ本命のプレゼントより喜ばれるかもな。」

「ふぇ?」


ドロッチェがおもむろに立ち上がり、カービィの後ろに回った。
そして、後ろからそっと抱き締める。


「ぺぽ!?いきなり抱きつかないでよ!」


驚きの余り、生クリームが変なところに入ってしまいそうになった。
ははっごめんごめんと軽く謝り、シャラ……と首に何かをかけた。
くすぐったさと同時に、微かに冷たい感触を覚えて首元を見てみると、赤みがかったオレンジ色の石が嵌められたハートのペンダントが揺れていた。



「それが本命のプレゼント。」

「かわいい!ありがとう!……と言いたいところなんだけど、まさか盗品じゃないよね……?」


ドロッチェはがくっと脱力し、やれやれと苦笑を漏らした。
もっとも、一応は『盗賊』なのだから装飾品の類に関しては疑われても仕方がないと自覚はしているのだが。


「そんなわけないだろ?
まったく、オレがカービィに盗品を渡すわけないだろう?
それはオレが作ったんだ。」

「盗品じゃないならすごく嬉し……え!?」


一度受け流した後、カービィは自分の耳を疑った。
もう一度、さっき彼が言っていたことを頭の中で反芻する。


「作……え?」


ドロッチェはネックレスを『買った』ではなく、『作った』と言ったのであった。
驚いた顔をしたカービィに、ドロッチェは不思議そうな顔をしている。


「ん、ああ、正確に言うと石は発掘してきて、フレームはオレが作った。
石は人工よりもやっぱり天然モノがいいかと思って」

「いや、それはいいんだけど……フレーム作ったって……」

「ああ、そっちか?
フッ……錬金術だ。」


カービィは言葉を失った。

「ドロッチェ……錬金術使えるんだ……」

「ドクがプロ並みだからな。
ガキの頃ドクに教えてもらって、ストロンと金の造形で遊んでた。」


たしかにあのドクならできそうな気もするが……


「ボク、プロ並みの錬金術師のドクとそれを小さいころから遊びでやってるキミ達とキミの技術のどれに驚いたらいいんだろう……
ドロッチェって、ピッキング得意だったり変なところでハイスペックだよね。」


カービィは改めてペンダントを見てみる。
赤みがかったオレンジ色はまるで太陽のように暖かみがあり、美しかった。


「それにしても……これ凄く可愛い!この石も綺麗だし……」

「それは、カーネリアンという石なんだ。」


カーネリアンとはパワーストーンとして結構有名な石だ。
それをカービィが言うと、ドロッチェはそうだと頷いた。


「幸運を運ぶ石、とも言われているんだぞ。
そして、4月27日の誕生日石でもある。」

「へぇ~……」

「まぁ、運ぶも何もオレが一生幸せにするんだから石に頼らなくても大丈夫だけどな。」


いったい何処にそんな自信があるのやら。
自信満々だね、とからかおうとしたのに、声が出ない。


「……って、カービィ!?」


普段冷静なドロッチェが、珍しくギョッとした表情で本気で焦っている。
どうしたのだろう、と思ったとき、何か温かいものが頬を伝った。


「あれれ?」


ポロポロと、カービィの頬を透明な涙が滑り落ちていっていた。



「幸せすぎて……泣いちゃったのかなぁ?」


呆然とそう伝えるカービィに、心配そうにしていたドロッチェは吹き出した。
なんで笑うのー!とむくれるカービィを愛おしむように頭をポンポンと撫で、指で涙をぬぐう。


「いや、可愛いなーと思って。」

「もうっ……そんな言葉に惑わされないんだからね!

……でもっ」


カービィはドロッチェの首に腕を絡め、ちゅっと口付けた。


「本当にありがとう!ドロッチェ大好き!」


涙を浮かべて、本当に幸せそうにニッコリと笑うカービィ。
ドロッチェも微笑み、カービィを抱き締めた。
カービィにしてみれば、ケーキよりもネックレスよりも、あの言葉が何よりも嬉しかったのだった。

ネックレスの石が二人の明るい未来を照らすように、より一層美しく輝いた。

Happy birthday!
「ちなみに、恋人とか大切な人との絆を深める効果もあるらしいぞ。
まぁ、もうとっくに深い仲だけどな」
「そうだね♪」
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