カービィ
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「Happy birthday!」
パーン!と一斉にクラッカーが鳴り響いた。
4月27日、デデデ城にてカービィの誕生日パーティーがにぎやかに行われていた。
村の住民を始め、様々な星からたくさん訪問者が訪れていた。
「えへへ、ありがとう!」
「しかし……もう20年なのか……」
時間が経つのは速いものだな、とメタナイトはしみじみと言う。
光陰矢のごとし、とはまさにこのことなのだろう。
「その割にあんまり成長していないような気もするけどな!」とブンが茶化すと「うるさいよ!」とムキになって反応するカービィ。
そういうところが子供なんだよー!とじゃれあう二人は、見るからに子供なのだがあえて誰もツッコまない。
「……ということは、カービィって成人よね?」
不意にフームがそういうと、掴みあっていたカービィとブンがピタリと止まった。、
「ええええええええ!ボク20歳!?
管理人より年上じゃん!」
だからさっきからそう言っているだろう、とメタナイトが窘めるが、カービィは驚きすぎて、魂が何処かへ飛んで行ってしまっている。
「まぁでも、このサイト上ではそうとも限りませんし。」
「設定とか、かなり適当だもんねーりあん。
あたしたちの設定、そろそろちゃんと決めてほしいよね。」
リボンとアドがフォローとしているが、イマイチフォローになっていない。
そしてリボンとアドごめんなさい。
「仮に同じように考えれば……私は19か。
いい年頃ではないか。」
「えー、メタが歳下?
なんか違和感感じる~……」
「仕方あるまい、主人公であるそなたよりも先に登場するわけにもいかないだろう?」
「じゃあメタ先出てよ!」
「それじゃあ『星のメタナイト』になっちゃいますよー……」
あまりに無茶振りすぎるカービィの発言に、リボンがもっともなツッコミを入れた。
『星のメタナイト』それはそれで面白いような気がするのだが……。
(追記:当時スタアラは未発売でした)
「ボクは16なのサ!
まさに青春を満喫している歳なのサ!」
マルクは嬉しそうに笑う。
16歳みんながみんな青春を満喫しているとは限らないが……。
「私達アニメ組は今年で11歳ね」
「もうそんなに経ったのかぁー……」
フームとブンがしみじみと呟いた。
あの頃はアニメの規制がそこまで厳しくは無かったからいろいろとカオスだったな、星のフームたんは黒歴史だわ、おっぱいぱい!、忠実なしもべDEATH!、カラカ=ゾーイ!、などと懐かしそうに語っている。
いったい何があったんだ……と唖然とするアニメ未登場組。
「……ゲーム発売年理論で行くと、オレを含めたドロッチェ団は今年6歳……?」
「あ、そうですね!
ドロッチェさんたちは結構最近の方ですもんね。
要するにしょたっちぇですねわかります。」
「違うだろ!
1ミリたりとも要してないぞ!?」
的外れな納得をした天然なリボンに、すかさずツッコミを入れるドロッチェ。
その隣ではスピンがわなわなと震えていた。
「6歳……」
「スピンの顔なら6歳デモきっとイケるヨォ!」
マホロアが満面の笑みでそういうと、スピンはキッと睨みつけた。
といってもサングラスをしているから非常にわかりづらいが。
「泣くッスよ?オイラ無くッスよ?
……マホロアなんてまだ1歳にも満ちてないッスよ?
それただの餓鬼痛たたたたギブギブ苦しい苦しい」
マホロアが満面の笑みでスピンの首を締め上げた。
「マホロアァァ!
パーティー会場で死者を出すつもりなのサ!?」
「大丈夫、チャンと死なナイように手加減ハするヨォ!
……手が滑らナければだけどネェ☆」
まったくもって笑えない冗談だが、意外と平然としているスピン。だが顔色は紫色だ。
「ちょっとドロッチェ、あれ止めなくていいの?」
「フッ、いいのさ。
オレらもあのくらいの年のときはあんなことばかりしてたからな……なぁストロン。」
「ああ……よく血を吹き出しては怒られていた。」
「おめーらみんなヤンチャだったからのう……」
止めるどころか懐かしそうな3人に、へーそうなん?とカービィはツッコむことを諦めた。
「あれ、どうしたのドロッチェ?」
「……なんだろう、すごく寒気がするんだ……」
そのとき、満身創痍で疲れ切ったカワサキがホールの中に入ってきた。
「おまちどー!
カワサキ特製バースデーケーキだよー!」
ホールに響き渡ったこの声で、会場にいた八割の人が凍りついた。
ワドルディたちによってガラガラと台車に乗せられて運ばれてきたそれは異常にでかく、これでもか、というほどピンク色をしていた。
「一色しかないから、今回はちょっとシンプルすぎたかな~?」
でもカービィと言えばピンクでしょー?と笑うカワサキ。
間違ってはいないが、間違っている。
「オイラの知ってる『シンプル』じゃない……だと……」
「……リップルスターとポップスターでは『シンプル』という言葉の意味が違うんですねー……」
「……我輩の出身星でもアレはシンプルとは言わないアルネ。
宇宙って広いアルネ。」
「いやなんかポップスターの感覚だとコレが普通みたいになってるけど違うからね!
カワサキがおかしいんだからね!?」
とんでもない勘違いをし始めた他の星の出身者達に慌ててカービィがフォローを入れた。
メタナイトも「アレは正気の沙汰ではない……」と呆れた目で見ている。
「ドロ、顔色が悪いが……」
「フッ……気のせいだ。」
さあ食べてみてよ!と勧められるものの、少しためらうカービィ。
いくら他の人と比べてカワサキの料理に抵抗が少ないとはいえ、ドピンクのケーキにはあまり食欲をそそられない。
前回のクリスマスケーキはケーキと認識していなかったから食べようと思えたのだ。
……でも食べないのも悪いなと思った彼女は、ピンクの塊をフォークの先で掬い恐る恐る口に運んだ。
「……おいしい。」
ええっ!?と周囲から驚きの声が上がった。
スポンジはふわふわとしていて、クリームも(色はともかく)かなり上手に泡立っている。
メタナイトやマルクたちも興味を持ち、一口食べてみた。
「あ、ホントなのサ」
「ふむ、少しばかり甘すぎる気もするが……カワサキにしては美味い方なのでは?」
「会心の出来ぞい」
「俺、頑張ったんだよー!
カービィに喜んでほしくて!」
「本当に上手いでゲスよ、見直したでゲス」
あのエスカルゴンですら褒めるのだから本当に美味しいのだろう、と他の村人ケーキを食べ始めた。
それを見つめるカワサキはなんだか幸せそうで…料理人としての幸せ感じ、満足感を得たようであった。
「あら、本当に美味しいじゃない。」
「……甘すぎないか?」
「え、私はこれ好きだな~」
「ワタシも好きー」
「……えっ?」
ひどく聞きなれた声に、カービィは辺りを見回す。
「ヘンッ、甘いのが好きだなんてダークゼロはお子ちゃまですー」
「なんだよ、ミラだって食べてるくせに!」
「えっえええええええ!?」
普通にダークマター族がいた。
しかも当たり前のようにケーキを食べている。
「な、なんでキミ達いるの!?」
「宿敵の生誕祭に参加しないなど、ダークマター族の名が廃る。」
ゼロが「そんなこともわからないのか?」と言いたげな顔でカービィの顔を睨みつける。
口の周りにピンクのクリームが付いていてまったく迫力はないが。
「あ、今日は幹部総出なんだ?」
クリスマスの時。ダークゼロとミラクルマターはパーティーに参加していなかった。
たしかに、とみんながあのときのことを思い出す。
……あのときも、彼らの参加からカオスにあったような気がするのだが。
「ああ、クリスマスの時はちょっといろいろとあってな。
ホントは行きたかったんだが。」
「まぁ、無理矢理マターがダークゼロにスピリタス飲ませたら倒れたんだよねー……」
ちなみにミラクルマターはダークゼロに付き添ってあげてたんだよねー?とゼロツーが意味ありげな笑みでミラクルマターに話を振る。
彼はあわてたふためき、そっぽを向いた。
「べ、別に心配だったわけじゃないですよ!
ただダークゼロが何か変なことしたら大変だからこの優しい僕がみんなの代わりに面倒見てやってただけであって……」
「ふーん、ありがと。
で、カービィは今日が誕生日なのかぁ。
おめでとう!」
それで済ませるなよ!とその場にいた誰もがダークゼロに突っ込みたかったに違いない。
カービィも「あ、ありがとう……」と苦笑しながら答えた。
ミラクルマターが若干嫉妬の目で彼女を見つめているのは気のせいだろうか。
「フハハ!来てやったぞ!
褒めろ讃えろ崇めろ感謝しろ!」
「呼んでないので帰ってください」
ごめん、マターったら酔ってて……とフォローするマインドには若干の疲労の色が。
大丈夫?何か飲み物いるか?とシャドーカービィとダークメタナイトがすかさず駆け寄る。
「大丈夫だよ。
……そうだ、シャドー。
今日はキミのもう一つの誕生日だね。
おめでとう!」
「ありがとうマインド!」
親子(?)のほのぼのとした会話に、周囲の雰囲気が和んだ。
マインドやダークゼロは比較的穏やかで、別に放っておいても心配はないが、問題は……
「フン、呑気に楽しみおって……この会場を誰もが震え上がるような真紅に染めてやろう!」
この男である。
ダークマターがニヤリと笑って剣を鞘から引き抜くと、周りから悲鳴が上がった。
そうして剣を振り上げカービィに斬りかかろうとする。
「覚悟しろ!
今日が貴様の命日だカービおぼろろろろろ」
「ぎゃああああああ!!!」
ダークマターが唐突に嘔吐した。
今度は先ほどとは違う意味で悲鳴が上がる。
咄嗟に動いたメタナイトがカービィを(嘔吐物がかからない)安全な場所に追いやる。
ああっ、マター!とダークマインドが駆け寄り、背中をさすった。
「な……なんのこれしき……おぼろろろろろ」
「ほら、無理するから……」
どこからか持って来た洗面器に嘔吐する今の彼の姿は、ポップスターを狙う暗黒の剣士とは思えないただの酔っぱらいのオッサンであった。
そんな様子を見ていたドロッチェが苦笑して溜め息をつく。
「酒弱いくせに飲みまくるからだ。
どうせここに来る前にも浴びるように飲んできたんだろ?」
「さすがドロッチェ、わかってるな……」
「コイツ飲んではしょっちゅう暴れまわってるもんで。」と乾いた笑いを浮かべるドロッチェに、ゼロは『今年からはお中元でも贈ってやろうか……』と思いながら同情の眼差しを向けた。
「ズルいぞ!
どうしてお前ばっかり優遇されるんだ!」
なんとか持ち直したダークマター(ただし、少し顔色が悪い)はカービィに批難の声を浴びせた。
「いや、ボク主人公だか「そろそろHAL研は『星のダークマター』でゲームを売り出すべきだ!我の何が不満なんだ!」
「誰得!?ねぇそれ誰得!?」
「我得だ!」
「いやそうじゃなくて!
買う人いるの!?」
「我が買う!」
暴走して喚き散らすダークマターに、ツッコミが追い付かないカービィ。
「今日だってこうして祝ってもらって……!
我だって、3月21日が誕生日だったんだぞ!」(星のカービィ2発売日)
「なっ……ボクと一緒じゃないのサ!
なんでボクがおまえなんかと!?
っつーかボクだって祝ってもらえなかったのサ!」
何故か泣き出すダークマターの言葉に、同じく誕生日を祝ってもらえなかった不憫なマルクが噛み付いた。
「でもいいだろう!?貴様はエイプリルフール小説を書いてもらえたじゃないか!
我なんて、こういう時にしか小説に登場できないんだ!
管理人のやつが後先考えずにドンドンキャラ出すから!」
「あんな駄文で満足できると思うのサ!?」
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて……」
ヒートアップしていきそうな二人に、ドロッチェが割って入る。
なんとかして二人を宥めようとしたが
「貴様は真っ先に祝ってもらえただろー!」
「Oh……」
二人の魔法弾を同時に喰らってしまい、ドロッチェはぱったりと倒れてしまった。
見事なとばっちりである。
団長ぉぉぉぉ!とスピンの悲痛な叫び声がホールに響き渡った。
「団長しっかり!ヒッヒッフー!ヒッヒッフー!」とスピンはラマーズ法を勧め、ストロンは「何を産むんだ、何を。」と冷静に突っ込んだ。
「……ちなみに発売日を誕生日とするならば俺は3月27日生まれなんだけどな」(3発売日)
「あ、じゃああたしは3月24日生まれ」(64発売日)
「僕ゼロツーと一緒ですー多分ー」
「私は4月15日かな。
……シャドダメと一緒か。」(鏡発売日)
「み、みんな春生まれ……!?
ダークマター族、春が繁殖期とか?」
ダークマター族、何故か春生まれが多すぎる。
つまり、カービィのゲームは春に発売されるのが多い傾向あるようだ。
卒業祝、入学祝、進級祝などに買ってもらおうというHAL研社の目論見……というわけではないだろう。
それじゃあみんな牡羊座だ~と今まで意識していなかったことに気づき、話が盛り上がっていく。
「ワタシだけ……仲間はずれか……」
唯一の秋生まれのダークゼロだけが、一人寂しくホールの隅っこで膝を抱えていた。
わいわいと他のダークマター族が談笑で盛り上がっている中、一人でスンスンと泣く哀れなダークゼロ。
そんなダークゼロの肩に、誰かの手がポンと置かれた。
「大丈夫、ボクも秋生マレだヨォ!」
ダークゼロがえ?と驚きの表情を浮かべると、マホロアが「あとボクも祝ッテもらえナカッタ組だヨォ!」と続ける。
「キミは決シて一人じゃなインだヨォ!」
マホロアが手を差し伸べてニッコリ笑うと、ダークゼロの顔がぱぁっと輝き、彼の手を取った。
「マホロアさん……!」
「ダークゼロ……!」
見つめあった二人は互いに手を取り合い、ハイジとペータの如くクルクルと回り始めた。
笑顔の二人の間には、新たな絆が芽生えていた。
「……ねぇリボン、何だろうこの茶番。」
「ツッコんだら負けだと思います。」
「イイハナシダナー」
「……もしかしてマホロア、酔ってるのサ……?」
「さっきアホみたいに飲んでたッスよ。」
「さぁマルク!
キミも飲むんダヨォ!」
「えっ」
まわりを見てみると、大人たちはだいたいもうお酒に入っている。
ゼロやゼロツーも飲んでいて、お前らは一体何をしに来たんだと聞きたいほどだ。
「フン、今度こそ!
皆が油断している今がチャンス……!」
黒い笑みを浮かべたダークマターが剣を抜こうとすると、ドロッチェとストロンがやってきて横から腕を掴んだ。
「なんだ二人とも、何か用か?」
「フッ……マター、眉間に皺寄ってるぞ。
どうせ来たんだからちょっと楽しもうぜ?」
「……いいのが手に入った。」
どこからともなくストロンがワインの瓶を取り出した。
それを見たダークマターが、驚いて目を見開いた。
「き、貴腐ワイン……だと……!?
……よし、今日のところは見逃してやろう。」
「よし、あっちで飲もうか。
マホロア達もあそこ行ったし。」
「……計画通り」
「フッ……オレの手に掛かればこれくらい容易い」
こうしてパーティーの安全は守られた。
ちなみに何故二人が高級ワインを持っていたかはお察しください。
「ふぅ……これでひとまずは安心かな?」
「そうだね!
せっかくのパーティー壊されてたまるか!って感じだもん!」
プンプンとしているシャドーとまあまあ、と宥めているダークがカービィの元へ寄ってきた。
「改めて、カービィはぴば!
もしキミがいなきゃボクがいなかったんだよね。
そしたらダークにも会えなかったし……」
たしかに、とカービィは頷いた。
“カービィ”という基盤があったから影の“シャドー”を生み出すことができたのだから。
「まぁ、カービィがいても、もし私がお腹を痛めて産まなかったらシャドーもダークもいなかったけどね」
「マインド、嘘は止めてくれ」
「そうだよ!
それじゃあ兄妹になっちゃう!」
「え、問題点そこなの……?」
どこか間の抜けた会話に、カービィは胸がホッコリと温かくなるような微笑ましさを感じた。
ダークマインドは敵ながらも、ダメシャドに対する愛情は本物にしか見えない。
そしてダメシャドの方もマインドを母親のように慕っているのだ。
「あー……コホン、まぁ、オマエの存在には一応は感謝している。」
一応ってなんだよー、とカービィがむくれると、ダークはダメナイトだからしょうがない、となんとも言えないフォローをするシャドー。
ダメタ、それでいいのか?
「ありがとうカービィ、大好き!」
シャドーはカービィにギュッと抱きついた。
「……立場上あまり大きな声では言えないけど、個人的には感謝してるよ。」
「みんなありがと!」
「もちろん私達もです!
カービィにはリップルスターを救ってもらいましたし……」
「一緒に冒険するの楽しかったし!
ホントカービィのおかげで人生変わったわー」
リボンやアドもやってきて、口々にいてくれてありがとう、などお礼を言う。
女子が集まってきてなんだかちょっと居づらそうなダメタが離れようとしたとき、
「ぎゃあああああ!!!
助けてなのサぁぁぁぁぁぁ!!!!」
マルクのけたたましい悲鳴が上がった。
何事だ、と誰もが声のした方へ向く。
「ス、ス、スピン、助けてなのサ!
マホロアが気持ち悪いのサ!」
「ボクと契約シテ、奴隷にナッてヨォ!」
見てみると、“べろんべろん”という表現がぴったりなほどに泥酔したマホロアが彼に抱きついていた。
飲んではいるものの意外と素面なマルクは、スピンに助けを求めた……が
「なんか面白いから写メるッス。
はい、チーズ!」
「スピンンンンンン!!!
貴様覚えてろよぉぉぉぉぉ!!!」
報われないマルクに、周囲から大爆笑が沸き起こった。
スピンは「クククッ、これあとでマホに見せたら面白いだろうなぁ……」と黒い笑みを浮かべている。
スピンの将来に一抹の不安を覚えるドロッチェ団員達やカービィ。
「フッ、誰に似たんだろうな……」
「……お前じゃないのか?」
「というかマホロアどんだけ飲んだんスか?」
「あー、そういやダークマターに捕まってたぞい。
かなり飲まされていたよーな……」
「アイツ、人に勧めまくるからな……。」
あの酒癖の悪さをもう少し何とかできないものか、と嘆くドロッチェ。
時々飲みに行っているようだが、どうやらいろいろあったようだ。
「ちなみに今はメタナイトが捕まってるけど……あの人大丈夫?」
ゼロツーの指し示したのは、かなりのハイペースで飲んでいるダークマターとメタナイト。
「こりゃまたなかなか無い組み合わせだね。」
「メ、メタ……」
ダークゼロの言う通り、珍しいどころかかつて見たことある人がいるのかすらも謎な組み合わせである。
二人とも雰囲気が雰囲気だから、なんとなく空気が重苦しい気がする。
「酔い潰れなきゃいいけど……」
でもメタならかなりお酒強いから大丈夫かな?と一人で納得したカービィ。
「……でも、なんかみんな楽しそうだな。」
ポツリと呟いたドロッチェの言葉に、カービィは大きく頷いた。
大人組はもはや、カービィの誕生日会と言う名の飲み会になっている気もするが。
それでもみんな楽しそうなのは変わらず(一部被害にあってる方々もいるが)そんなみんなを見るのが、カービィは大好きだった。
「こうしてみんながボクの誕生日を祝ってくれるって、すっごく幸せなことだよね!」
「そーらぞ~……このひわわふぇものれ~」
「マター、呂律回ってませんよー」
ダークマターがよたよたと歩きながらカービィの方に向かってきた。
「えへへ……来年もこうしてられたらいいなぁ……」
幸せそうに笑うカービィに、周りの動きがピタリと止まった。
「何言ってるんだ?」
カ「えっ、ええ?」
なんか変なこと言っちゃったかな、と慌ててふためくカービィに、ドロッチェがふわりと笑いかけた。
「フッ、当然のことを言ってくれるな」
「いいな、じゃなくて絶対するんだ!」
「そーよ!」
「来年も、再来年も」
「ずーと先までです!」
「我輩がボケるまでは祝ってやるアル」
「……当分ボケなそうだから、たくさん祝えるな……」
「フン、仕方ねぇから祝ってやる。」
「ボクのことも祝ってくれるなら考えてやってもいいのサ」
「……トカ言って、ドウセ祝ッテもらえナクても祝うんでショ?」
「う、うるさいのサ!」
「まあまあ、落ち着くッス……」
「また場所くらいは提供してやってもいいぞい」
「本当は陛下もやりたいくせに天邪鬼でゲスなぁ」
「俺もいっぱいケーキ作るからねぇ!」
「それは止めた方がいいと思いますよー今回たまたま成功しただけかもしれませんしー」
「……まあその前に俺達がポップスターを征服「兄さん?」
「……コホン、ゼロツーに免じてもし征服しても誕生日くらいは祝ってやろう」
「(チョロいな)フフッ、そうしましょう♪」
「なによりこういうの楽しいし!
あーあ、クリスマスも参加したかったな……」
「これからいくらでも祝う機会はある、きっとそのときはもっと楽しくなるよ。」
「流石マインド!わかってるね!
」
他の村人たちも、みんなみんなカービィを取り囲んで、口々にお祝いの言葉を言ってきた。
感激のあまり泣きそうになっている彼女の頭を、メタナイトがそっと撫でた。
「そなたはこんなにも愛され、祝福されている。
……この国を、この星を、これからも共に守っていこう。」
「それは俺たちに対する宣戦布ゴフッ」
空気を壊す発言をしたゼロの鳩尾に、ゼロツーの肘鉄が喰らわされた。
「みんな……みんな……本当にありがとう……!
みんな大好き!」
満面の笑みで答えるカービィに、更なる歓声が沸き起こった。
Happy birthday!!
次から分岐です。
パーン!と一斉にクラッカーが鳴り響いた。
4月27日、デデデ城にてカービィの誕生日パーティーがにぎやかに行われていた。
村の住民を始め、様々な星からたくさん訪問者が訪れていた。
「えへへ、ありがとう!」
「しかし……もう20年なのか……」
時間が経つのは速いものだな、とメタナイトはしみじみと言う。
光陰矢のごとし、とはまさにこのことなのだろう。
「その割にあんまり成長していないような気もするけどな!」とブンが茶化すと「うるさいよ!」とムキになって反応するカービィ。
そういうところが子供なんだよー!とじゃれあう二人は、見るからに子供なのだがあえて誰もツッコまない。
「……ということは、カービィって成人よね?」
不意にフームがそういうと、掴みあっていたカービィとブンがピタリと止まった。、
「ええええええええ!ボク20歳!?
管理人より年上じゃん!」
だからさっきからそう言っているだろう、とメタナイトが窘めるが、カービィは驚きすぎて、魂が何処かへ飛んで行ってしまっている。
「まぁでも、このサイト上ではそうとも限りませんし。」
「設定とか、かなり適当だもんねーりあん。
あたしたちの設定、そろそろちゃんと決めてほしいよね。」
リボンとアドがフォローとしているが、イマイチフォローになっていない。
そしてリボンとアドごめんなさい。
「仮に同じように考えれば……私は19か。
いい年頃ではないか。」
「えー、メタが歳下?
なんか違和感感じる~……」
「仕方あるまい、主人公であるそなたよりも先に登場するわけにもいかないだろう?」
「じゃあメタ先出てよ!」
「それじゃあ『星のメタナイト』になっちゃいますよー……」
あまりに無茶振りすぎるカービィの発言に、リボンがもっともなツッコミを入れた。
『星のメタナイト』それはそれで面白いような気がするのだが……。
(追記:当時スタアラは未発売でした)
「ボクは16なのサ!
まさに青春を満喫している歳なのサ!」
マルクは嬉しそうに笑う。
16歳みんながみんな青春を満喫しているとは限らないが……。
「私達アニメ組は今年で11歳ね」
「もうそんなに経ったのかぁー……」
フームとブンがしみじみと呟いた。
あの頃はアニメの規制がそこまで厳しくは無かったからいろいろとカオスだったな、星のフームたんは黒歴史だわ、おっぱいぱい!、忠実なしもべDEATH!、カラカ=ゾーイ!、などと懐かしそうに語っている。
いったい何があったんだ……と唖然とするアニメ未登場組。
「……ゲーム発売年理論で行くと、オレを含めたドロッチェ団は今年6歳……?」
「あ、そうですね!
ドロッチェさんたちは結構最近の方ですもんね。
要するにしょたっちぇですねわかります。」
「違うだろ!
1ミリたりとも要してないぞ!?」
的外れな納得をした天然なリボンに、すかさずツッコミを入れるドロッチェ。
その隣ではスピンがわなわなと震えていた。
「6歳……」
「スピンの顔なら6歳デモきっとイケるヨォ!」
マホロアが満面の笑みでそういうと、スピンはキッと睨みつけた。
といってもサングラスをしているから非常にわかりづらいが。
「泣くッスよ?オイラ無くッスよ?
……マホロアなんてまだ1歳にも満ちてないッスよ?
それただの餓鬼痛たたたたギブギブ苦しい苦しい」
マホロアが満面の笑みでスピンの首を締め上げた。
「マホロアァァ!
パーティー会場で死者を出すつもりなのサ!?」
「大丈夫、チャンと死なナイように手加減ハするヨォ!
……手が滑らナければだけどネェ☆」
まったくもって笑えない冗談だが、意外と平然としているスピン。だが顔色は紫色だ。
「ちょっとドロッチェ、あれ止めなくていいの?」
「フッ、いいのさ。
オレらもあのくらいの年のときはあんなことばかりしてたからな……なぁストロン。」
「ああ……よく血を吹き出しては怒られていた。」
「おめーらみんなヤンチャだったからのう……」
止めるどころか懐かしそうな3人に、へーそうなん?とカービィはツッコむことを諦めた。
「あれ、どうしたのドロッチェ?」
「……なんだろう、すごく寒気がするんだ……」
そのとき、満身創痍で疲れ切ったカワサキがホールの中に入ってきた。
「おまちどー!
カワサキ特製バースデーケーキだよー!」
ホールに響き渡ったこの声で、会場にいた八割の人が凍りついた。
ワドルディたちによってガラガラと台車に乗せられて運ばれてきたそれは異常にでかく、これでもか、というほどピンク色をしていた。
「一色しかないから、今回はちょっとシンプルすぎたかな~?」
でもカービィと言えばピンクでしょー?と笑うカワサキ。
間違ってはいないが、間違っている。
「オイラの知ってる『シンプル』じゃない……だと……」
「……リップルスターとポップスターでは『シンプル』という言葉の意味が違うんですねー……」
「……我輩の出身星でもアレはシンプルとは言わないアルネ。
宇宙って広いアルネ。」
「いやなんかポップスターの感覚だとコレが普通みたいになってるけど違うからね!
カワサキがおかしいんだからね!?」
とんでもない勘違いをし始めた他の星の出身者達に慌ててカービィがフォローを入れた。
メタナイトも「アレは正気の沙汰ではない……」と呆れた目で見ている。
「ドロ、顔色が悪いが……」
「フッ……気のせいだ。」
さあ食べてみてよ!と勧められるものの、少しためらうカービィ。
いくら他の人と比べてカワサキの料理に抵抗が少ないとはいえ、ドピンクのケーキにはあまり食欲をそそられない。
前回のクリスマスケーキはケーキと認識していなかったから食べようと思えたのだ。
……でも食べないのも悪いなと思った彼女は、ピンクの塊をフォークの先で掬い恐る恐る口に運んだ。
「……おいしい。」
ええっ!?と周囲から驚きの声が上がった。
スポンジはふわふわとしていて、クリームも(色はともかく)かなり上手に泡立っている。
メタナイトやマルクたちも興味を持ち、一口食べてみた。
「あ、ホントなのサ」
「ふむ、少しばかり甘すぎる気もするが……カワサキにしては美味い方なのでは?」
「会心の出来ぞい」
「俺、頑張ったんだよー!
カービィに喜んでほしくて!」
「本当に上手いでゲスよ、見直したでゲス」
あのエスカルゴンですら褒めるのだから本当に美味しいのだろう、と他の村人ケーキを食べ始めた。
それを見つめるカワサキはなんだか幸せそうで…料理人としての幸せ感じ、満足感を得たようであった。
「あら、本当に美味しいじゃない。」
「……甘すぎないか?」
「え、私はこれ好きだな~」
「ワタシも好きー」
「……えっ?」
ひどく聞きなれた声に、カービィは辺りを見回す。
「ヘンッ、甘いのが好きだなんてダークゼロはお子ちゃまですー」
「なんだよ、ミラだって食べてるくせに!」
「えっえええええええ!?」
普通にダークマター族がいた。
しかも当たり前のようにケーキを食べている。
「な、なんでキミ達いるの!?」
「宿敵の生誕祭に参加しないなど、ダークマター族の名が廃る。」
ゼロが「そんなこともわからないのか?」と言いたげな顔でカービィの顔を睨みつける。
口の周りにピンクのクリームが付いていてまったく迫力はないが。
「あ、今日は幹部総出なんだ?」
クリスマスの時。ダークゼロとミラクルマターはパーティーに参加していなかった。
たしかに、とみんながあのときのことを思い出す。
……あのときも、彼らの参加からカオスにあったような気がするのだが。
「ああ、クリスマスの時はちょっといろいろとあってな。
ホントは行きたかったんだが。」
「まぁ、無理矢理マターがダークゼロにスピリタス飲ませたら倒れたんだよねー……」
ちなみにミラクルマターはダークゼロに付き添ってあげてたんだよねー?とゼロツーが意味ありげな笑みでミラクルマターに話を振る。
彼はあわてたふためき、そっぽを向いた。
「べ、別に心配だったわけじゃないですよ!
ただダークゼロが何か変なことしたら大変だからこの優しい僕がみんなの代わりに面倒見てやってただけであって……」
「ふーん、ありがと。
で、カービィは今日が誕生日なのかぁ。
おめでとう!」
それで済ませるなよ!とその場にいた誰もがダークゼロに突っ込みたかったに違いない。
カービィも「あ、ありがとう……」と苦笑しながら答えた。
ミラクルマターが若干嫉妬の目で彼女を見つめているのは気のせいだろうか。
「フハハ!来てやったぞ!
褒めろ讃えろ崇めろ感謝しろ!」
「呼んでないので帰ってください」
ごめん、マターったら酔ってて……とフォローするマインドには若干の疲労の色が。
大丈夫?何か飲み物いるか?とシャドーカービィとダークメタナイトがすかさず駆け寄る。
「大丈夫だよ。
……そうだ、シャドー。
今日はキミのもう一つの誕生日だね。
おめでとう!」
「ありがとうマインド!」
親子(?)のほのぼのとした会話に、周囲の雰囲気が和んだ。
マインドやダークゼロは比較的穏やかで、別に放っておいても心配はないが、問題は……
「フン、呑気に楽しみおって……この会場を誰もが震え上がるような真紅に染めてやろう!」
この男である。
ダークマターがニヤリと笑って剣を鞘から引き抜くと、周りから悲鳴が上がった。
そうして剣を振り上げカービィに斬りかかろうとする。
「覚悟しろ!
今日が貴様の命日だカービおぼろろろろろ」
「ぎゃああああああ!!!」
ダークマターが唐突に嘔吐した。
今度は先ほどとは違う意味で悲鳴が上がる。
咄嗟に動いたメタナイトがカービィを(嘔吐物がかからない)安全な場所に追いやる。
ああっ、マター!とダークマインドが駆け寄り、背中をさすった。
「な……なんのこれしき……おぼろろろろろ」
「ほら、無理するから……」
どこからか持って来た洗面器に嘔吐する今の彼の姿は、ポップスターを狙う暗黒の剣士とは思えないただの酔っぱらいのオッサンであった。
そんな様子を見ていたドロッチェが苦笑して溜め息をつく。
「酒弱いくせに飲みまくるからだ。
どうせここに来る前にも浴びるように飲んできたんだろ?」
「さすがドロッチェ、わかってるな……」
「コイツ飲んではしょっちゅう暴れまわってるもんで。」と乾いた笑いを浮かべるドロッチェに、ゼロは『今年からはお中元でも贈ってやろうか……』と思いながら同情の眼差しを向けた。
「ズルいぞ!
どうしてお前ばっかり優遇されるんだ!」
なんとか持ち直したダークマター(ただし、少し顔色が悪い)はカービィに批難の声を浴びせた。
「いや、ボク主人公だか「そろそろHAL研は『星のダークマター』でゲームを売り出すべきだ!我の何が不満なんだ!」
「誰得!?ねぇそれ誰得!?」
「我得だ!」
「いやそうじゃなくて!
買う人いるの!?」
「我が買う!」
暴走して喚き散らすダークマターに、ツッコミが追い付かないカービィ。
「今日だってこうして祝ってもらって……!
我だって、3月21日が誕生日だったんだぞ!」(星のカービィ2発売日)
「なっ……ボクと一緒じゃないのサ!
なんでボクがおまえなんかと!?
っつーかボクだって祝ってもらえなかったのサ!」
何故か泣き出すダークマターの言葉に、同じく誕生日を祝ってもらえなかった不憫なマルクが噛み付いた。
「でもいいだろう!?貴様はエイプリルフール小説を書いてもらえたじゃないか!
我なんて、こういう時にしか小説に登場できないんだ!
管理人のやつが後先考えずにドンドンキャラ出すから!」
「あんな駄文で満足できると思うのサ!?」
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて……」
ヒートアップしていきそうな二人に、ドロッチェが割って入る。
なんとかして二人を宥めようとしたが
「貴様は真っ先に祝ってもらえただろー!」
「Oh……」
二人の魔法弾を同時に喰らってしまい、ドロッチェはぱったりと倒れてしまった。
見事なとばっちりである。
団長ぉぉぉぉ!とスピンの悲痛な叫び声がホールに響き渡った。
「団長しっかり!ヒッヒッフー!ヒッヒッフー!」とスピンはラマーズ法を勧め、ストロンは「何を産むんだ、何を。」と冷静に突っ込んだ。
「……ちなみに発売日を誕生日とするならば俺は3月27日生まれなんだけどな」(3発売日)
「あ、じゃああたしは3月24日生まれ」(64発売日)
「僕ゼロツーと一緒ですー多分ー」
「私は4月15日かな。
……シャドダメと一緒か。」(鏡発売日)
「み、みんな春生まれ……!?
ダークマター族、春が繁殖期とか?」
ダークマター族、何故か春生まれが多すぎる。
つまり、カービィのゲームは春に発売されるのが多い傾向あるようだ。
卒業祝、入学祝、進級祝などに買ってもらおうというHAL研社の目論見……というわけではないだろう。
それじゃあみんな牡羊座だ~と今まで意識していなかったことに気づき、話が盛り上がっていく。
「ワタシだけ……仲間はずれか……」
唯一の秋生まれのダークゼロだけが、一人寂しくホールの隅っこで膝を抱えていた。
わいわいと他のダークマター族が談笑で盛り上がっている中、一人でスンスンと泣く哀れなダークゼロ。
そんなダークゼロの肩に、誰かの手がポンと置かれた。
「大丈夫、ボクも秋生マレだヨォ!」
ダークゼロがえ?と驚きの表情を浮かべると、マホロアが「あとボクも祝ッテもらえナカッタ組だヨォ!」と続ける。
「キミは決シて一人じゃなインだヨォ!」
マホロアが手を差し伸べてニッコリ笑うと、ダークゼロの顔がぱぁっと輝き、彼の手を取った。
「マホロアさん……!」
「ダークゼロ……!」
見つめあった二人は互いに手を取り合い、ハイジとペータの如くクルクルと回り始めた。
笑顔の二人の間には、新たな絆が芽生えていた。
「……ねぇリボン、何だろうこの茶番。」
「ツッコんだら負けだと思います。」
「イイハナシダナー」
「……もしかしてマホロア、酔ってるのサ……?」
「さっきアホみたいに飲んでたッスよ。」
「さぁマルク!
キミも飲むんダヨォ!」
「えっ」
まわりを見てみると、大人たちはだいたいもうお酒に入っている。
ゼロやゼロツーも飲んでいて、お前らは一体何をしに来たんだと聞きたいほどだ。
「フン、今度こそ!
皆が油断している今がチャンス……!」
黒い笑みを浮かべたダークマターが剣を抜こうとすると、ドロッチェとストロンがやってきて横から腕を掴んだ。
「なんだ二人とも、何か用か?」
「フッ……マター、眉間に皺寄ってるぞ。
どうせ来たんだからちょっと楽しもうぜ?」
「……いいのが手に入った。」
どこからともなくストロンがワインの瓶を取り出した。
それを見たダークマターが、驚いて目を見開いた。
「き、貴腐ワイン……だと……!?
……よし、今日のところは見逃してやろう。」
「よし、あっちで飲もうか。
マホロア達もあそこ行ったし。」
「……計画通り」
「フッ……オレの手に掛かればこれくらい容易い」
こうしてパーティーの安全は守られた。
ちなみに何故二人が高級ワインを持っていたかはお察しください。
「ふぅ……これでひとまずは安心かな?」
「そうだね!
せっかくのパーティー壊されてたまるか!って感じだもん!」
プンプンとしているシャドーとまあまあ、と宥めているダークがカービィの元へ寄ってきた。
「改めて、カービィはぴば!
もしキミがいなきゃボクがいなかったんだよね。
そしたらダークにも会えなかったし……」
たしかに、とカービィは頷いた。
“カービィ”という基盤があったから影の“シャドー”を生み出すことができたのだから。
「まぁ、カービィがいても、もし私がお腹を痛めて産まなかったらシャドーもダークもいなかったけどね」
「マインド、嘘は止めてくれ」
「そうだよ!
それじゃあ兄妹になっちゃう!」
「え、問題点そこなの……?」
どこか間の抜けた会話に、カービィは胸がホッコリと温かくなるような微笑ましさを感じた。
ダークマインドは敵ながらも、ダメシャドに対する愛情は本物にしか見えない。
そしてダメシャドの方もマインドを母親のように慕っているのだ。
「あー……コホン、まぁ、オマエの存在には一応は感謝している。」
一応ってなんだよー、とカービィがむくれると、ダークはダメナイトだからしょうがない、となんとも言えないフォローをするシャドー。
ダメタ、それでいいのか?
「ありがとうカービィ、大好き!」
シャドーはカービィにギュッと抱きついた。
「……立場上あまり大きな声では言えないけど、個人的には感謝してるよ。」
「みんなありがと!」
「もちろん私達もです!
カービィにはリップルスターを救ってもらいましたし……」
「一緒に冒険するの楽しかったし!
ホントカービィのおかげで人生変わったわー」
リボンやアドもやってきて、口々にいてくれてありがとう、などお礼を言う。
女子が集まってきてなんだかちょっと居づらそうなダメタが離れようとしたとき、
「ぎゃあああああ!!!
助けてなのサぁぁぁぁぁぁ!!!!」
マルクのけたたましい悲鳴が上がった。
何事だ、と誰もが声のした方へ向く。
「ス、ス、スピン、助けてなのサ!
マホロアが気持ち悪いのサ!」
「ボクと契約シテ、奴隷にナッてヨォ!」
見てみると、“べろんべろん”という表現がぴったりなほどに泥酔したマホロアが彼に抱きついていた。
飲んではいるものの意外と素面なマルクは、スピンに助けを求めた……が
「なんか面白いから写メるッス。
はい、チーズ!」
「スピンンンンンン!!!
貴様覚えてろよぉぉぉぉぉ!!!」
報われないマルクに、周囲から大爆笑が沸き起こった。
スピンは「クククッ、これあとでマホに見せたら面白いだろうなぁ……」と黒い笑みを浮かべている。
スピンの将来に一抹の不安を覚えるドロッチェ団員達やカービィ。
「フッ、誰に似たんだろうな……」
「……お前じゃないのか?」
「というかマホロアどんだけ飲んだんスか?」
「あー、そういやダークマターに捕まってたぞい。
かなり飲まされていたよーな……」
「アイツ、人に勧めまくるからな……。」
あの酒癖の悪さをもう少し何とかできないものか、と嘆くドロッチェ。
時々飲みに行っているようだが、どうやらいろいろあったようだ。
「ちなみに今はメタナイトが捕まってるけど……あの人大丈夫?」
ゼロツーの指し示したのは、かなりのハイペースで飲んでいるダークマターとメタナイト。
「こりゃまたなかなか無い組み合わせだね。」
「メ、メタ……」
ダークゼロの言う通り、珍しいどころかかつて見たことある人がいるのかすらも謎な組み合わせである。
二人とも雰囲気が雰囲気だから、なんとなく空気が重苦しい気がする。
「酔い潰れなきゃいいけど……」
でもメタならかなりお酒強いから大丈夫かな?と一人で納得したカービィ。
「……でも、なんかみんな楽しそうだな。」
ポツリと呟いたドロッチェの言葉に、カービィは大きく頷いた。
大人組はもはや、カービィの誕生日会と言う名の飲み会になっている気もするが。
それでもみんな楽しそうなのは変わらず(一部被害にあってる方々もいるが)そんなみんなを見るのが、カービィは大好きだった。
「こうしてみんながボクの誕生日を祝ってくれるって、すっごく幸せなことだよね!」
「そーらぞ~……このひわわふぇものれ~」
「マター、呂律回ってませんよー」
ダークマターがよたよたと歩きながらカービィの方に向かってきた。
「えへへ……来年もこうしてられたらいいなぁ……」
幸せそうに笑うカービィに、周りの動きがピタリと止まった。
「何言ってるんだ?」
カ「えっ、ええ?」
なんか変なこと言っちゃったかな、と慌ててふためくカービィに、ドロッチェがふわりと笑いかけた。
「フッ、当然のことを言ってくれるな」
「いいな、じゃなくて絶対するんだ!」
「そーよ!」
「来年も、再来年も」
「ずーと先までです!」
「我輩がボケるまでは祝ってやるアル」
「……当分ボケなそうだから、たくさん祝えるな……」
「フン、仕方ねぇから祝ってやる。」
「ボクのことも祝ってくれるなら考えてやってもいいのサ」
「……トカ言って、ドウセ祝ッテもらえナクても祝うんでショ?」
「う、うるさいのサ!」
「まあまあ、落ち着くッス……」
「また場所くらいは提供してやってもいいぞい」
「本当は陛下もやりたいくせに天邪鬼でゲスなぁ」
「俺もいっぱいケーキ作るからねぇ!」
「それは止めた方がいいと思いますよー今回たまたま成功しただけかもしれませんしー」
「……まあその前に俺達がポップスターを征服「兄さん?」
「……コホン、ゼロツーに免じてもし征服しても誕生日くらいは祝ってやろう」
「(チョロいな)フフッ、そうしましょう♪」
「なによりこういうの楽しいし!
あーあ、クリスマスも参加したかったな……」
「これからいくらでも祝う機会はある、きっとそのときはもっと楽しくなるよ。」
「流石マインド!わかってるね!
」
他の村人たちも、みんなみんなカービィを取り囲んで、口々にお祝いの言葉を言ってきた。
感激のあまり泣きそうになっている彼女の頭を、メタナイトがそっと撫でた。
「そなたはこんなにも愛され、祝福されている。
……この国を、この星を、これからも共に守っていこう。」
「それは俺たちに対する宣戦布ゴフッ」
空気を壊す発言をしたゼロの鳩尾に、ゼロツーの肘鉄が喰らわされた。
「みんな……みんな……本当にありがとう……!
みんな大好き!」
満面の笑みで答えるカービィに、更なる歓声が沸き起こった。
Happy birthday!!
次から分岐です。