ドロッチェ
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ボクはあることに困っていた。
「ねぇ、ドロッチェの誕生日どうしよ~……。」
「ボクに聞かれても困るのサ……。」
マルクが不満そうに溜め息をついた。
そう、11月2日はボクの彼氏ドロッチェの誕生日!!
でも何をあげればいいのやら……。
「ドロッチェ団の人たちにでも聞いてみたらどうなのサ?」
「呼んだアルか?」
どこから出てきたの、ドク……。
気が付いたら、ドロッチェを除いた団員が勢揃いしていた。
「ドロッチェに誕生日プレゼントアルか……。」
「ちょ、聞いてたの!?」
「あぁ、もちろん。」
ちょっと恥ずかしい……。
でも、マルクが言う通りみんなに聞いてみるのが一番いいかもしれない。
ドロッチェのこと、よくわかってるだろうし……。
「ねぇ、キミ達はドロッチェに何あげるの?」
「オイラはベルトっすね。
団長は基本スーツなんで、ベルトは実用的かなと思ったんで。」
なるほど……。
たしかに便利そうだね。
ドロッチェはオシャレだから、そういうのもイイかも……。
「我輩はバタフライナイフとダガーナイフで悩んでるアル。」
「ねぇなんでプレゼントがそう物騒なの?」
「前にスピンが持ってて羨ましそうにしてたからアル。
あ、我輩がバタフライナイフをあげて、おぬしがダガーをあげればいいのでは?」
「いや、遠慮しとく……。」
たしかに欲しがってるのかもしれないけど、ボク一応女の子……。
「チューリンたちは毎年恒例のお菓子なんだろうな。」
「ストロンは?」
「ワインとチーズだ。」
あ、食べ物をあげるっていう手もあるのか。
一応、プレゼントとは別に作ってあげるつもりではいたけど。
あの子たちの作るお菓子か、なんだか可愛いな。
ストロンのあげるワインとチーズは、ドロッチェの大好物だし。
……食べ物もいいなとも思うけど、残るものをあげたいって気持ちもあるんだよね。
「団長はチーズとワインに関しては、かなりうるさいッスからねぇ……。
同じく舌が肥えてるストロンだから成せる技ッス。」
スピンがやれやれといった表情で首をすくめる。
いつだったか、ワインについて語っていた彼のことを思い出す。
……たしかにストロンならハズレなさそうかも。
「ああ、香りも味わいもかなり拘って厳選し、最高のものを用意した。」
さすが、すごい自信だ。
ん……香り……?
「香……!
いいもの思いついた!」
「何あげるのサ?」
「それは……香水ぽよ!」
ストロンの『香り』という言葉を聞いて思いついたんだ。
そういえばドロッチェって、意外と香水付けてないんだよね……。
よし、プレゼント決まった!
そうと決まれば、早速買いに行かなきゃ♪
「じゃ、マルク付き合ってね。」
「え、スピンとかの方がいいんじゃないのサ?」
「すまないッス、これから一盗み行ってくるんッス。」
申し訳なさそうにペコリと頭を下げるスピン。
って、一盗みって……うん、気にしないでおこう
。
「えー?
じゃあ一人で行けばいいのサ。」
「男目線の話も聞きたいのー。」
めんどくさーいとかいうマルク。
……これは、あの手を使うしかないな。
「アイス奢るからさ。」
「行く。」
簡単に釣れたマルクと一緒にお店に行って、3時間もかけて香水を厳選した。
……ぶっちゃけマルクは役に立たなかったけど。
そして11/2当日。
遂に今日はドロッチェの誕生日。
『家族』との時間も大切にしてほしいから、昼間は団水入らずで楽しく過ごして、ボクらは夜に会う予定なんだ。
午後7時。
そろそろ来るころかなと思って、ボクは作った料理をテーブルに並べていた。
ピンポーン
あ、ちょうど来たみたい。
あとはこのピッツァを置いて……と。
「はいはーい!」
「やあ。今日はお招きありがとう。」
「えへっ、Happy birthday!!
上がって上がって!」
ドロッチェをテーブルまで連れて行く。
料理を見たドロッチェは、驚きの声をあげていた。
そりゃそうだ、だって腕によりをかけたからね!
「オレの好物ばっかりだ……!」
ありがとう!とボクに抱きつくドロッチェ。
苦しいけど、喜んでもらえて嬉しいな///
でも、ボクはあることに気付いた。
さっきまでドロッチェは家(というかアジト?)でのパーティーにいたはずだ。
きっとあっちでも料理が振る舞われたことだろう。
「もしかしてお腹すいてない?
家でも食べたんじゃ……?」
「ああ、食べたな。
でも食べたい。」
「お腹いっぱいじゃなーい?」
「それにカービィの作ったものなら、いくらでも食べれる。
……本当に美味しそうだ。」
不安なって聞くボクに、優しい笑顔で返すドロッチェ。
その笑顔を見ていると、ボクもなんだか嬉しくなっちゃう。
「えへへ、ボク頑張ったんだよー!
冷めないうちに食べよ!」
「ああ!」
いただきます、ときちんと挨拶をして上品に食べ始める。
美味しそうに食べるドロッチェがなんだか可愛い。
「このピッツァ、物凄く美味いぞ……!
カービィは本当に料理が上手だな。」
「そんなことないよ~。」
「フッ……カービィは、いい奥さんになりそうだな。」
「えへへ……。」
ボクの料理をべた褒めするドロッチェ。
嬉しいんだけど……な、なんだか恥ずかしいよ……。
ご飯を食べ終わって、ケーキを食べているとき、ドロッチェは団での誕生日会のことを話してくれた。
ドロッチェは“大人なのにあんな盛大に祝うなんて恥ずかしい”と言うけれども、話をする彼は嬉しそうな愛おしそうな目をしていて、いかに楽しかったかを物語る。
「このベルト、スピンがくれたんだ。」
ドロッチェがワイシャツの裾を捲り上げてベルトを見せた。
黒い革のベルトに、おそらく某ブランドの頭文字のイニシャルの形を象った上品な銀色のバックルが輝いている。
「すごく似合ってる!」
早速つけてみたんだ。と話すドロッチェは本当に幸せそうに笑う。
「あとコレ、ドクからもらったんだ。」
ドロッチェが取り出したのは絵に緻密な装飾が施された鋭利なナイフ……ダガーだった。
「結局、ダガーにしたんだ。」
「結局?どういうことだ?」
ホントにあげたのか……と内心思っていたボクを、ドロッチェが不思議そうな顔で見る。
隠しておくのも変だし、話しちゃってもいいか。
「ボクが何あげようか相談した時に、ドクも『バタフライナイフとダガーどっちにしよう』っていってたから……。」
「えっ、わざわざ相談までしたのか?
ていうかなんなんだその選択肢。」
ですよねー。
「ホントは、自分で考えるべきなんだろうけど……。」
「そんな……プレゼントなんてくれなくても、こうして祝ってくれるだけでオレは嬉しいぞ?」
どうしてわからないかな?この乙女心が。
昔は女好きだったらしいのに、何でそこは鈍いんだ!
「で、コレはボクからなんだけど……。」
と、大人っぽい包装をした箱をドロッチェに差し出す。
「サンキュ!開けてもいいか?」
「うん!」
丁寧に包装を取り、箱を開けるドロッチェ。
気に入ってもらえるかわからないから、ボクはドキドキしながらそれを見守っていた。
おお……!!と歓声をあげたところを見ると、香水は嫌いじゃないみたい。
「香水か、ちょうど欲しかったんだ。」
「ドロッチェのイメージの香水、一生懸命探したんだ。」
「オレのイメージ?
……どんなだ?早速つけてみよう。」
銀のキャップを外してシュッと手首の内側に吹きかけた。
爽やかなのに甘く、大人な官能的な香り……まさにコレは、ドロッチェにピッタリだと思ったんだ。
「いい香りだ……すごく気に入った。
本当にありがとう。」
「どういたしまして!」
気に入ってくれて本当によかった!と安心したと同時に、ドロッチェにひょいっと持ち上げられて膝の上に向かい合わせに座らされ、ぎゅうっと抱きしめられた。
「オレ、今本当に幸せだ……。」
首筋に顔を埋めて喋られるから、かかる吐息がくすぐったい。
身じろぎすると拘束を解いてくれたから、ボクはドロッチェの顔を見つめた。
「どうしたの?今更……。」
問いかけるボクに、んー?と言いながらボクの髪を優しい手つきでさらさらとすく。
……気持ちいい。
少し間が空いて、ドロッチェが口を開いた。
「こうやって、祝ってくれる家族と恋人がいるって、本当に幸せなことだと思ったんだ。
それに、こんなに楽しい誕生日……いったいいつ振りだろうか……。
本当にありがとう。」
「……絶対!来年も再来年もずーっとボクが祝ってあげるから!」
意気込んで宣言するボクを見て、一瞬きょとんとした次の瞬間、満面の笑みが広がった。
「ああ、期待してる。」
ドロッチェはボクの顔を引き寄せ口付けた。
軽いリップ音が、静かな部屋に響く。
「フッ……約束のちゅーな。」
「甘いね。」
「さっき、ケーキ食べたからか?」
そうだね、と笑うボクにもう一度口付ける。
さっきのキスより、深く、甘く……。
唇が離れ、愛おしむような目でじっと見つめられる。
金色の瞳は、誘うように美しく潤んでいる。
「……もっと、して。」
我ながら、熱に浮いていたと思うんだ。
普段おねだりなんて滅多にしないのに。
ボクがわざわざ頼まなくても、ドロッチェが動いてくれるから。
ドロッチェははいはい……と言って何度も何度も口付けてくれた。
柔らかい唇が触れるたびに、胸が甘く疼き震える。
ボクは幸せというものの、ありのままをたしかに感じていた。
ねぇ、ドロッチェ、キミが幸せでなによりだよ。
でもね、それと同じくらい、ボクも幸せなんだ。
こうしてキミの誕生日を祝えること……
これほど幸せなことって、そうそうないと思うんだ。
キミがいたから、キミがいてくれたから、ボクはこんなにも甘くて幸せな気持ちでいられるんだ。
だから、ボクのありったけの感謝の気持ちを君に伝えるよ。
「ねぇ、ドロッチェ。」
「なんだ?」
「生まれてきてくれて、ありがとう……!」
Happy birthday!
(……こんなにも、自分が生まれたことを喜べる日が来るとは……。)
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→あとがき
「ねぇ、ドロッチェの誕生日どうしよ~……。」
「ボクに聞かれても困るのサ……。」
マルクが不満そうに溜め息をついた。
そう、11月2日はボクの彼氏ドロッチェの誕生日!!
でも何をあげればいいのやら……。
「ドロッチェ団の人たちにでも聞いてみたらどうなのサ?」
「呼んだアルか?」
どこから出てきたの、ドク……。
気が付いたら、ドロッチェを除いた団員が勢揃いしていた。
「ドロッチェに誕生日プレゼントアルか……。」
「ちょ、聞いてたの!?」
「あぁ、もちろん。」
ちょっと恥ずかしい……。
でも、マルクが言う通りみんなに聞いてみるのが一番いいかもしれない。
ドロッチェのこと、よくわかってるだろうし……。
「ねぇ、キミ達はドロッチェに何あげるの?」
「オイラはベルトっすね。
団長は基本スーツなんで、ベルトは実用的かなと思ったんで。」
なるほど……。
たしかに便利そうだね。
ドロッチェはオシャレだから、そういうのもイイかも……。
「我輩はバタフライナイフとダガーナイフで悩んでるアル。」
「ねぇなんでプレゼントがそう物騒なの?」
「前にスピンが持ってて羨ましそうにしてたからアル。
あ、我輩がバタフライナイフをあげて、おぬしがダガーをあげればいいのでは?」
「いや、遠慮しとく……。」
たしかに欲しがってるのかもしれないけど、ボク一応女の子……。
「チューリンたちは毎年恒例のお菓子なんだろうな。」
「ストロンは?」
「ワインとチーズだ。」
あ、食べ物をあげるっていう手もあるのか。
一応、プレゼントとは別に作ってあげるつもりではいたけど。
あの子たちの作るお菓子か、なんだか可愛いな。
ストロンのあげるワインとチーズは、ドロッチェの大好物だし。
……食べ物もいいなとも思うけど、残るものをあげたいって気持ちもあるんだよね。
「団長はチーズとワインに関しては、かなりうるさいッスからねぇ……。
同じく舌が肥えてるストロンだから成せる技ッス。」
スピンがやれやれといった表情で首をすくめる。
いつだったか、ワインについて語っていた彼のことを思い出す。
……たしかにストロンならハズレなさそうかも。
「ああ、香りも味わいもかなり拘って厳選し、最高のものを用意した。」
さすが、すごい自信だ。
ん……香り……?
「香……!
いいもの思いついた!」
「何あげるのサ?」
「それは……香水ぽよ!」
ストロンの『香り』という言葉を聞いて思いついたんだ。
そういえばドロッチェって、意外と香水付けてないんだよね……。
よし、プレゼント決まった!
そうと決まれば、早速買いに行かなきゃ♪
「じゃ、マルク付き合ってね。」
「え、スピンとかの方がいいんじゃないのサ?」
「すまないッス、これから一盗み行ってくるんッス。」
申し訳なさそうにペコリと頭を下げるスピン。
って、一盗みって……うん、気にしないでおこう
。
「えー?
じゃあ一人で行けばいいのサ。」
「男目線の話も聞きたいのー。」
めんどくさーいとかいうマルク。
……これは、あの手を使うしかないな。
「アイス奢るからさ。」
「行く。」
簡単に釣れたマルクと一緒にお店に行って、3時間もかけて香水を厳選した。
……ぶっちゃけマルクは役に立たなかったけど。
そして11/2当日。
遂に今日はドロッチェの誕生日。
『家族』との時間も大切にしてほしいから、昼間は団水入らずで楽しく過ごして、ボクらは夜に会う予定なんだ。
午後7時。
そろそろ来るころかなと思って、ボクは作った料理をテーブルに並べていた。
ピンポーン
あ、ちょうど来たみたい。
あとはこのピッツァを置いて……と。
「はいはーい!」
「やあ。今日はお招きありがとう。」
「えへっ、Happy birthday!!
上がって上がって!」
ドロッチェをテーブルまで連れて行く。
料理を見たドロッチェは、驚きの声をあげていた。
そりゃそうだ、だって腕によりをかけたからね!
「オレの好物ばっかりだ……!」
ありがとう!とボクに抱きつくドロッチェ。
苦しいけど、喜んでもらえて嬉しいな///
でも、ボクはあることに気付いた。
さっきまでドロッチェは家(というかアジト?)でのパーティーにいたはずだ。
きっとあっちでも料理が振る舞われたことだろう。
「もしかしてお腹すいてない?
家でも食べたんじゃ……?」
「ああ、食べたな。
でも食べたい。」
「お腹いっぱいじゃなーい?」
「それにカービィの作ったものなら、いくらでも食べれる。
……本当に美味しそうだ。」
不安なって聞くボクに、優しい笑顔で返すドロッチェ。
その笑顔を見ていると、ボクもなんだか嬉しくなっちゃう。
「えへへ、ボク頑張ったんだよー!
冷めないうちに食べよ!」
「ああ!」
いただきます、ときちんと挨拶をして上品に食べ始める。
美味しそうに食べるドロッチェがなんだか可愛い。
「このピッツァ、物凄く美味いぞ……!
カービィは本当に料理が上手だな。」
「そんなことないよ~。」
「フッ……カービィは、いい奥さんになりそうだな。」
「えへへ……。」
ボクの料理をべた褒めするドロッチェ。
嬉しいんだけど……な、なんだか恥ずかしいよ……。
ご飯を食べ終わって、ケーキを食べているとき、ドロッチェは団での誕生日会のことを話してくれた。
ドロッチェは“大人なのにあんな盛大に祝うなんて恥ずかしい”と言うけれども、話をする彼は嬉しそうな愛おしそうな目をしていて、いかに楽しかったかを物語る。
「このベルト、スピンがくれたんだ。」
ドロッチェがワイシャツの裾を捲り上げてベルトを見せた。
黒い革のベルトに、おそらく某ブランドの頭文字のイニシャルの形を象った上品な銀色のバックルが輝いている。
「すごく似合ってる!」
早速つけてみたんだ。と話すドロッチェは本当に幸せそうに笑う。
「あとコレ、ドクからもらったんだ。」
ドロッチェが取り出したのは絵に緻密な装飾が施された鋭利なナイフ……ダガーだった。
「結局、ダガーにしたんだ。」
「結局?どういうことだ?」
ホントにあげたのか……と内心思っていたボクを、ドロッチェが不思議そうな顔で見る。
隠しておくのも変だし、話しちゃってもいいか。
「ボクが何あげようか相談した時に、ドクも『バタフライナイフとダガーどっちにしよう』っていってたから……。」
「えっ、わざわざ相談までしたのか?
ていうかなんなんだその選択肢。」
ですよねー。
「ホントは、自分で考えるべきなんだろうけど……。」
「そんな……プレゼントなんてくれなくても、こうして祝ってくれるだけでオレは嬉しいぞ?」
どうしてわからないかな?この乙女心が。
昔は女好きだったらしいのに、何でそこは鈍いんだ!
「で、コレはボクからなんだけど……。」
と、大人っぽい包装をした箱をドロッチェに差し出す。
「サンキュ!開けてもいいか?」
「うん!」
丁寧に包装を取り、箱を開けるドロッチェ。
気に入ってもらえるかわからないから、ボクはドキドキしながらそれを見守っていた。
おお……!!と歓声をあげたところを見ると、香水は嫌いじゃないみたい。
「香水か、ちょうど欲しかったんだ。」
「ドロッチェのイメージの香水、一生懸命探したんだ。」
「オレのイメージ?
……どんなだ?早速つけてみよう。」
銀のキャップを外してシュッと手首の内側に吹きかけた。
爽やかなのに甘く、大人な官能的な香り……まさにコレは、ドロッチェにピッタリだと思ったんだ。
「いい香りだ……すごく気に入った。
本当にありがとう。」
「どういたしまして!」
気に入ってくれて本当によかった!と安心したと同時に、ドロッチェにひょいっと持ち上げられて膝の上に向かい合わせに座らされ、ぎゅうっと抱きしめられた。
「オレ、今本当に幸せだ……。」
首筋に顔を埋めて喋られるから、かかる吐息がくすぐったい。
身じろぎすると拘束を解いてくれたから、ボクはドロッチェの顔を見つめた。
「どうしたの?今更……。」
問いかけるボクに、んー?と言いながらボクの髪を優しい手つきでさらさらとすく。
……気持ちいい。
少し間が空いて、ドロッチェが口を開いた。
「こうやって、祝ってくれる家族と恋人がいるって、本当に幸せなことだと思ったんだ。
それに、こんなに楽しい誕生日……いったいいつ振りだろうか……。
本当にありがとう。」
「……絶対!来年も再来年もずーっとボクが祝ってあげるから!」
意気込んで宣言するボクを見て、一瞬きょとんとした次の瞬間、満面の笑みが広がった。
「ああ、期待してる。」
ドロッチェはボクの顔を引き寄せ口付けた。
軽いリップ音が、静かな部屋に響く。
「フッ……約束のちゅーな。」
「甘いね。」
「さっき、ケーキ食べたからか?」
そうだね、と笑うボクにもう一度口付ける。
さっきのキスより、深く、甘く……。
唇が離れ、愛おしむような目でじっと見つめられる。
金色の瞳は、誘うように美しく潤んでいる。
「……もっと、して。」
我ながら、熱に浮いていたと思うんだ。
普段おねだりなんて滅多にしないのに。
ボクがわざわざ頼まなくても、ドロッチェが動いてくれるから。
ドロッチェははいはい……と言って何度も何度も口付けてくれた。
柔らかい唇が触れるたびに、胸が甘く疼き震える。
ボクは幸せというものの、ありのままをたしかに感じていた。
ねぇ、ドロッチェ、キミが幸せでなによりだよ。
でもね、それと同じくらい、ボクも幸せなんだ。
こうしてキミの誕生日を祝えること……
これほど幸せなことって、そうそうないと思うんだ。
キミがいたから、キミがいてくれたから、ボクはこんなにも甘くて幸せな気持ちでいられるんだ。
だから、ボクのありったけの感謝の気持ちを君に伝えるよ。
「ねぇ、ドロッチェ。」
「なんだ?」
「生まれてきてくれて、ありがとう……!」
Happy birthday!
(……こんなにも、自分が生まれたことを喜べる日が来るとは……。)
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→あとがき
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