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「あのね、ボクね、大きくなったらメタのお嫁さんになるの!」
雨上がりの空の下。
夢の泉のほとりでそんな宣言をした。
空気はひんやりしているはずなのに、ボクの顔はちょっぴり熱い。
赤と青の傘を持ったメタナイトは一瞬目を丸くして、少し困ったように微笑んだ。
「カービィが大人になる頃には、私はオジサンになっているかもしれないぞ?」
「ならないもん!メタはずっとずっとずーっとカッコいいお兄ちゃんなんだから!」
「もっとカッコいい人が現れたら?」
「現れないもん!メタがいちばんなの!」
ボクにとってメタナイトは世界で一番カッコよくて素敵で優しいひと。
ちょっと厳しいところもあるけど、それは全部ボクのためってことも知ってるし、ボクが赤ちゃんのときから大切に守ってくれた騎士様だ。
今もこうやって、お散歩に行きたいというお願いを叶えてくれてる。
「フフ、では大きくなってからもそう思ってくれていたら……その時はそなたを迎えに行こう」
仮面の下の目元を綻ばせながら、大きな手でボクを撫でる。
いいよといってくれたのが嬉しくて、胸のドキドキが止まらない。
今にも踊り出したいくらいだけど、撫でられるのが気持ちいいからこのまま我慢。
「絶対だよ!約束だよ!ゆびきりげんまん!」
「ああ、約束だ」
メタナイトが屈んでくれて、ボクは背伸びをして、ゆびきりをする。
微笑む彼の後ろには淡い虹がかかっていて――ボクはそれにまっすぐ手を伸ばすと、もうひとつ宣言をした。
「あの虹に手が届くくらい、うんと早く大きくなるから!
ちゃんと迎えに来てね!」
***
「……そんな時期もあったねえ」
泉の水音に耳を傾けながら、幼い頃を回想する。
ああ、たしかあの時もこんな天気だったっけ。
「おおきくなったらけっこんして!」なんて小さい子にありがちなベタな話だけど、今思うとすごく恥ずかしいことを言っていた。
子どもの純粋さや無邪気さって怖いね……。
思い出してじわじわと熱くなる頬を、少しひんやりした風がゆるやかに撫でた。
「あの頃から、そなたは愛らしかった」
「そういうメタはぜんぜん変わらないよね」
隣で少し大きめの傘をたたんでいる彼は、今のところ無事にオジサンを回避しているらしい。
というかあの頃から全然変わっていないけど、ボクたちの種族はそういうものらしい。
ボクも成長が止まったからちょうど釣り合いが取れてるんだけど、ちょっとだけオジサンメタを見てみたかった気もする。
……ダンディなおじ様?ロマンスグレー?
想像してみたけどあんまりしっくり来なくて吹き出してしまった。
変わらなくていいや、メタはメタのままがきっと一番カッコいいから。
大きくなったボクは、自然とメタといっしょに居るようになった。
小さな頃からの気持ちは変わらない……ううん、もっともっと大きくて強いものになっている。
「夢の泉も変わらないよねー。
いろいろあったけどこうして見るととてもナイトメアが封印されてたと思えないし……って、アレ?」
気付いたら隣からメタがいなくなっていた。
アレ?と思って振り返ると、彼はやけに真剣な目でボクを見ていた。
そして何を思ったのか、銀の仮面を外した。
あのメタが外で素顔なんて!となぜかボクの方が焦ってしまう。
「カービィ、大事な話がある」
「えっ、なあに?ていうか顔……」
「あの時の夢を叶えないか?」
え?と聞き返すより先に、メタは手のひらサイズの箱を取り出した。
パカ、と軽い音を立てながらそれを開く。
雨あがりのしずくのような、星のようなきらめきがそこにあった。
「私と、結婚してほしい」
その瞬間、吹く風の音も涼やかな水音も聞こえなくなった。
息すらも止まって、聞こえるのはボクの鼓動だけ。
返事はもちろん決まりきっているのに頭も胸がいっぱいになって何も出てこなくて。
コクコクと頷くことしかできなくて。
ああ、ちゃんと口で言いたいのに!
それでもメタはちゃんとわかってくれる。
彼の表情は柔らかいものになっていた。
「ありがとう……フフ、そんなに喜んでくれるとはな」
「そ、そりゃそうだよ……子どもの頃からの夢だったもん……」
やっとそれだけ言ったボクの左手の薬指に、メタはゆっくりと指輪をはめてくれた。
そのまま優しく抱きしめられる。
全身がとろけそうな幸せに包まれて、伝わってくる鼓動が心地好い。
いつもより早くて強い気がするけど、もしかして緊張していたのかな?
だとしたらちょっと意外で、ちょっと嬉しくて、ついそのまま疑問をぶつけてみるとメタは深い溜め息をついた。
「……やっと叶えられると思ったら、さすがにな」
「え?ボクの夢じゃ……」
「フフ、アレは私の夢でもあったのだよ」
そなたが大人になっても望んでいてくれていたのが嬉しいよ、と更に強く抱きしめられる。
絶対、子ども扱いされていると思っていたのに。
お嫁さんにしてくれるだけで嬉しいのに、あの時から気持ちは一緒だったんだ。
そう思うと幸せな気持ちがどんどん溢れてきて、ボクもメタの首にぎゅっと抱きついた。
「約束、守ってくれてありがとう」
メタの肩越しに見えた空には、鮮やかな虹がかかっていた。
指に光る虹と重ねてみると、あまりにも綺麗で……思わず溜め声が漏れてしまう。
「どうした?」と不思議そうな彼の頬にキスをして、小さい声で囁いた。
「虹が綺麗だな、と思ったんだよ」
雨上がりの空の下。
夢の泉のほとりでそんな宣言をした。
空気はひんやりしているはずなのに、ボクの顔はちょっぴり熱い。
赤と青の傘を持ったメタナイトは一瞬目を丸くして、少し困ったように微笑んだ。
「カービィが大人になる頃には、私はオジサンになっているかもしれないぞ?」
「ならないもん!メタはずっとずっとずーっとカッコいいお兄ちゃんなんだから!」
「もっとカッコいい人が現れたら?」
「現れないもん!メタがいちばんなの!」
ボクにとってメタナイトは世界で一番カッコよくて素敵で優しいひと。
ちょっと厳しいところもあるけど、それは全部ボクのためってことも知ってるし、ボクが赤ちゃんのときから大切に守ってくれた騎士様だ。
今もこうやって、お散歩に行きたいというお願いを叶えてくれてる。
「フフ、では大きくなってからもそう思ってくれていたら……その時はそなたを迎えに行こう」
仮面の下の目元を綻ばせながら、大きな手でボクを撫でる。
いいよといってくれたのが嬉しくて、胸のドキドキが止まらない。
今にも踊り出したいくらいだけど、撫でられるのが気持ちいいからこのまま我慢。
「絶対だよ!約束だよ!ゆびきりげんまん!」
「ああ、約束だ」
メタナイトが屈んでくれて、ボクは背伸びをして、ゆびきりをする。
微笑む彼の後ろには淡い虹がかかっていて――ボクはそれにまっすぐ手を伸ばすと、もうひとつ宣言をした。
「あの虹に手が届くくらい、うんと早く大きくなるから!
ちゃんと迎えに来てね!」
***
「……そんな時期もあったねえ」
泉の水音に耳を傾けながら、幼い頃を回想する。
ああ、たしかあの時もこんな天気だったっけ。
「おおきくなったらけっこんして!」なんて小さい子にありがちなベタな話だけど、今思うとすごく恥ずかしいことを言っていた。
子どもの純粋さや無邪気さって怖いね……。
思い出してじわじわと熱くなる頬を、少しひんやりした風がゆるやかに撫でた。
「あの頃から、そなたは愛らしかった」
「そういうメタはぜんぜん変わらないよね」
隣で少し大きめの傘をたたんでいる彼は、今のところ無事にオジサンを回避しているらしい。
というかあの頃から全然変わっていないけど、ボクたちの種族はそういうものらしい。
ボクも成長が止まったからちょうど釣り合いが取れてるんだけど、ちょっとだけオジサンメタを見てみたかった気もする。
……ダンディなおじ様?ロマンスグレー?
想像してみたけどあんまりしっくり来なくて吹き出してしまった。
変わらなくていいや、メタはメタのままがきっと一番カッコいいから。
大きくなったボクは、自然とメタといっしょに居るようになった。
小さな頃からの気持ちは変わらない……ううん、もっともっと大きくて強いものになっている。
「夢の泉も変わらないよねー。
いろいろあったけどこうして見るととてもナイトメアが封印されてたと思えないし……って、アレ?」
気付いたら隣からメタがいなくなっていた。
アレ?と思って振り返ると、彼はやけに真剣な目でボクを見ていた。
そして何を思ったのか、銀の仮面を外した。
あのメタが外で素顔なんて!となぜかボクの方が焦ってしまう。
「カービィ、大事な話がある」
「えっ、なあに?ていうか顔……」
「あの時の夢を叶えないか?」
え?と聞き返すより先に、メタは手のひらサイズの箱を取り出した。
パカ、と軽い音を立てながらそれを開く。
雨あがりのしずくのような、星のようなきらめきがそこにあった。
「私と、結婚してほしい」
その瞬間、吹く風の音も涼やかな水音も聞こえなくなった。
息すらも止まって、聞こえるのはボクの鼓動だけ。
返事はもちろん決まりきっているのに頭も胸がいっぱいになって何も出てこなくて。
コクコクと頷くことしかできなくて。
ああ、ちゃんと口で言いたいのに!
それでもメタはちゃんとわかってくれる。
彼の表情は柔らかいものになっていた。
「ありがとう……フフ、そんなに喜んでくれるとはな」
「そ、そりゃそうだよ……子どもの頃からの夢だったもん……」
やっとそれだけ言ったボクの左手の薬指に、メタはゆっくりと指輪をはめてくれた。
そのまま優しく抱きしめられる。
全身がとろけそうな幸せに包まれて、伝わってくる鼓動が心地好い。
いつもより早くて強い気がするけど、もしかして緊張していたのかな?
だとしたらちょっと意外で、ちょっと嬉しくて、ついそのまま疑問をぶつけてみるとメタは深い溜め息をついた。
「……やっと叶えられると思ったら、さすがにな」
「え?ボクの夢じゃ……」
「フフ、アレは私の夢でもあったのだよ」
そなたが大人になっても望んでいてくれていたのが嬉しいよ、と更に強く抱きしめられる。
絶対、子ども扱いされていると思っていたのに。
お嫁さんにしてくれるだけで嬉しいのに、あの時から気持ちは一緒だったんだ。
そう思うと幸せな気持ちがどんどん溢れてきて、ボクもメタの首にぎゅっと抱きついた。
「約束、守ってくれてありがとう」
メタの肩越しに見えた空には、鮮やかな虹がかかっていた。
指に光る虹と重ねてみると、あまりにも綺麗で……思わず溜め声が漏れてしまう。
「どうした?」と不思議そうな彼の頬にキスをして、小さい声で囁いた。
「虹が綺麗だな、と思ったんだよ」