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お題メーカー的なやつからのネタです。
***
「愛してる」
夢と現の狭間にふわふわと漂っていたら、一気に現実に引き上げられた。
正直、ボクちんの願望が夢に出てきたのかと思った。
今までそんなこと言ってくれたことなかったから。
でもこの手に触れた温かさが、現実の証明だ。
「ボクちんのこと好き?」と聞けばだいたいは「好きじゃなかったら一緒にいない」とか「逆に聞くけど嫌いだと思う?」みたいな答えが帰ってくる。
それでもニコニコしちゃうけど、たまーにぶっきらぼうに「好き」って言ってくれて、それだともっと嬉しい。
だから「愛してる」だなんて最上級の言葉をもらえば、それはもう嬉しくて堪らないだろうと思っていた。
それは合ってたよ、今すごく嬉しい。
でもそれ以上に、胸の奥が苦しくなった。
だってあんなに絞り出すような声で、泣きそうで、何かに堪えているようで……。
痛みを伴うその言葉を、今はまだ聞かなかったことにしよう。
だって応えなんて欲しくないでしょう?
本当はすぐに飛び起きて「ボクちんもだよ!」って言いたいよ。
でもそれは却ってキミを困らせてしまうよね。
その証拠にマルクの大きい手は、ボクちんの手を壊れ物を扱うように包んでいる。
もう少し強くしても壊れないよ。
キミが思うほどボクちんは弱くないよ。
大丈夫だよ、だから抱えているもの、全部ちょうだい?
……そう言っても今のマルクは聞いてくれないんだろうね。
だからボクちんは寝たフリをする。
これが今の、守られることしかできない子どもができる唯一のことなんだ。
そう自分に言い聞かせて、夢と現の境界を溶かす。
……微睡みの中でもう一度聞こえた気がしたけど、今度こそきっと、ボクちんの願望だよね?
***
「愛してる」
口に出してしまってから、その失敗に気付いた。
ジワジワと熱くなる頬と反比例して、心には鋭く冷たい痛みが走る。
グリルがこれを聞いたら喜んでくれるだろう。
きっとうんと幸せそうに、蕩けるように笑って「ボクちんもだよ!」なんて言いながら抱き着いてくれる。
自分でそんなふうに思ってしまう程度には、彼女はボクをまっすぐにひたむきに想ってくれている。
それはとても幸せな事だ。
……でもボクは、愚かで貪欲なボクは、それ以上を望んでしまうんだ。
壊したい。壊したくない。穢したい。穢したくない。めちゃくちゃにしたい。大切にしたい。
両立しないはずの薄昏い感情、無垢な彼女には見せてはいけないもの。
とめどなく溢れる想いを、欲望を、そのまま隣に眠るこの少女にぶつけてしまったら?
……結果はわかりきっている。
この小さな手は、ほんの少し力を込めただけで潰れてしまうんだ。
それを嫌という程理解しているから、全部飲み込むことにした。
でもこうして安らかな寝顔を見ていると、つい溢れてしまう。
……独り言なら許されるかな。
少しは吐き出しておかないと、爆発してしまいかねないから……。
そんな言い訳ついでにもう一度、同じ言葉を呟いた。
***
「愛してる」
夢と現の狭間にふわふわと漂っていたら、一気に現実に引き上げられた。
正直、ボクちんの願望が夢に出てきたのかと思った。
今までそんなこと言ってくれたことなかったから。
でもこの手に触れた温かさが、現実の証明だ。
「ボクちんのこと好き?」と聞けばだいたいは「好きじゃなかったら一緒にいない」とか「逆に聞くけど嫌いだと思う?」みたいな答えが帰ってくる。
それでもニコニコしちゃうけど、たまーにぶっきらぼうに「好き」って言ってくれて、それだともっと嬉しい。
だから「愛してる」だなんて最上級の言葉をもらえば、それはもう嬉しくて堪らないだろうと思っていた。
それは合ってたよ、今すごく嬉しい。
でもそれ以上に、胸の奥が苦しくなった。
だってあんなに絞り出すような声で、泣きそうで、何かに堪えているようで……。
痛みを伴うその言葉を、今はまだ聞かなかったことにしよう。
だって応えなんて欲しくないでしょう?
本当はすぐに飛び起きて「ボクちんもだよ!」って言いたいよ。
でもそれは却ってキミを困らせてしまうよね。
その証拠にマルクの大きい手は、ボクちんの手を壊れ物を扱うように包んでいる。
もう少し強くしても壊れないよ。
キミが思うほどボクちんは弱くないよ。
大丈夫だよ、だから抱えているもの、全部ちょうだい?
……そう言っても今のマルクは聞いてくれないんだろうね。
だからボクちんは寝たフリをする。
これが今の、守られることしかできない子どもができる唯一のことなんだ。
そう自分に言い聞かせて、夢と現の境界を溶かす。
……微睡みの中でもう一度聞こえた気がしたけど、今度こそきっと、ボクちんの願望だよね?
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「愛してる」
口に出してしまってから、その失敗に気付いた。
ジワジワと熱くなる頬と反比例して、心には鋭く冷たい痛みが走る。
グリルがこれを聞いたら喜んでくれるだろう。
きっとうんと幸せそうに、蕩けるように笑って「ボクちんもだよ!」なんて言いながら抱き着いてくれる。
自分でそんなふうに思ってしまう程度には、彼女はボクをまっすぐにひたむきに想ってくれている。
それはとても幸せな事だ。
……でもボクは、愚かで貪欲なボクは、それ以上を望んでしまうんだ。
壊したい。壊したくない。穢したい。穢したくない。めちゃくちゃにしたい。大切にしたい。
両立しないはずの薄昏い感情、無垢な彼女には見せてはいけないもの。
とめどなく溢れる想いを、欲望を、そのまま隣に眠るこの少女にぶつけてしまったら?
……結果はわかりきっている。
この小さな手は、ほんの少し力を込めただけで潰れてしまうんだ。
それを嫌という程理解しているから、全部飲み込むことにした。
でもこうして安らかな寝顔を見ていると、つい溢れてしまう。
……独り言なら許されるかな。
少しは吐き出しておかないと、爆発してしまいかねないから……。
そんな言い訳ついでにもう一度、同じ言葉を呟いた。