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※モブ部下も出ます
「おはようござ……えええっ!?」
出勤早々、素っ頓狂な声を上げてしまった。
ソードと数人の部下が、俺の机の前で整列していた。
それだけでも十分異様な光景だ。
だがそれ以上に俺の目線を釘付けにしたのは彼らの頭……正確に言うと、彼らの頭から生えていた犬やクマの耳だった。
「ハロウィンだからってふざけてるのか?」と説教を垂れそうになったが、それよりも先にソードが口を開く。
「我らはこれを着用するべきだと思います」
予想と違う硬い声に思わず息を呑んだ。
真剣な仕事モードの表情に、頭にはピンと立った犬?耳、そして何故か手には猫耳カチューシャ……ひどくシュールな光景だが冗談でも何でもなく正式な申し入れのようだった。
不意に「笑ってはいけない騎士団24時!」という言葉が頭に浮かぶが、こちらも努めて真剣な顔を作る。
「……我ら騎士団は、国民の皆さんが安心してハロウィンを楽しむために警備にあたるはずですが?」
「だからこそです。イベントの空気を壊さないよう、自然と溶け込むことも大切かと」
恋人とはいえ仕事のことにはお互い容赦がない。
時には意見がぶつかり合うこともあるのだ。
今回のソードの意見も理解はできるが、騎士として獣耳は如何なものか……とも思ってしまう。
卿がいない日は俺が騎士団長代理だから俺に決定権があるが……。
「他の皆も賛成なのか?」
部下らにも意見を聞こうと声をかけると、彼らは背筋をビシィッ!と伸ばした。
音が出そうなくらいな激しいそれに不覚にも少し引いてしまう。
「イベントを通じて国民と親しくなることも視野に!」
「王国騎士団を身近な存在に感じてもらうメリットも!」
「いざと言うとき!困ったとき!頼りやすい関係に!」
部下たちが次々に意見を述べるが、その表情はどこか固い。
一連の行動は騎士団のことを考えてのことと見受けられるが、獣耳はさすがに恥ずかしいのだろう。
俺としては嫌なら無理にやる事ではないと思う。
「……あまり乗り気ではないようですが?」
そう指摘すると、ソードがちらと背後を振り返る。
するとなぜか部下たちの顔が一斉に青ざめた。
「いや僕達やる気満々ですよ!一年のイベントで一番ハロウィンが好きなんです!」「せめて耳だけでも!」「耳だけ!耳だけだから!」「頼むからやらせてください!」「ブレイド様頼みます!」「俺たちにハロウィンを!」「後生です!お願いします!」
さっきとは打って変わって必死の形相だ。
半ば懇願?哀願?にも見えるが、彼らはそんなにハロウィンが好きなのだろうか。
……たしかに卿みたいに休暇を取らない限り警備をする我らはこういったイベントに参加できないし、一日に休暇を取れる人数も限られているから全員が全員楽しめるわけではない。
好きなイベントに参加できないのは寂しいだろう。
実際俺自身、楽しそうな人々を見てほんの少しだけ羨ましく思ってしまうくらいだ。
それに獣耳を着けるデメリットも特には無さそうだ。
卿には事後報告になるが、あの人は却って面白がりそうだし。
……少し仮装して気分を味わうくらいは問題ないだろう、と結論付ける。
「良いでしょう、ただし浮かれすぎないように」
許可を出すと、わっと歓声が上がった。
……が、「やった」「よかった」「生存確定」「ブレイド様万歳」「助かった」などと歓喜というよりかは安堵の声が多い気がするのは考えすぎだろうか?
「わかってくれたか、ありがとう!
みんなも喜んでいるぞ!
……というわけでこれがブレイドの分な!」
ソードは満面の笑みで猫耳カチューシャを差し出した。
俺は一瞬固まり、黒くてふわふわなそれとすっかり仕事モードが切れた彼の顔を交互に見比べてしまう。
「……俺も着けるの?」
「当たり前だろ?一人だけ着けてないのも変だし、長が参加しなきゃ部下にも国民にも示しがつかないし」
そうか、それは俺の分だったのか……。
何となく釈然といかないが、素直にカチューシャを受け取り頭に着けるとソードが満足そうに頷いた。
尻尾は着いていないはずだが、ブンブンと振っているそれが見えてくるようだ。
これで仕事をするのは少し、いやかなり恥ずかしいが……これも回り回って国民のためになるなら、甘んじて受け入れよう。
……ソードにまんまと嵌められたと気付いたのは、夜になってからだった。
「おはようござ……えええっ!?」
出勤早々、素っ頓狂な声を上げてしまった。
ソードと数人の部下が、俺の机の前で整列していた。
それだけでも十分異様な光景だ。
だがそれ以上に俺の目線を釘付けにしたのは彼らの頭……正確に言うと、彼らの頭から生えていた犬やクマの耳だった。
「ハロウィンだからってふざけてるのか?」と説教を垂れそうになったが、それよりも先にソードが口を開く。
「我らはこれを着用するべきだと思います」
予想と違う硬い声に思わず息を呑んだ。
真剣な仕事モードの表情に、頭にはピンと立った犬?耳、そして何故か手には猫耳カチューシャ……ひどくシュールな光景だが冗談でも何でもなく正式な申し入れのようだった。
不意に「笑ってはいけない騎士団24時!」という言葉が頭に浮かぶが、こちらも努めて真剣な顔を作る。
「……我ら騎士団は、国民の皆さんが安心してハロウィンを楽しむために警備にあたるはずですが?」
「だからこそです。イベントの空気を壊さないよう、自然と溶け込むことも大切かと」
恋人とはいえ仕事のことにはお互い容赦がない。
時には意見がぶつかり合うこともあるのだ。
今回のソードの意見も理解はできるが、騎士として獣耳は如何なものか……とも思ってしまう。
卿がいない日は俺が騎士団長代理だから俺に決定権があるが……。
「他の皆も賛成なのか?」
部下らにも意見を聞こうと声をかけると、彼らは背筋をビシィッ!と伸ばした。
音が出そうなくらいな激しいそれに不覚にも少し引いてしまう。
「イベントを通じて国民と親しくなることも視野に!」
「王国騎士団を身近な存在に感じてもらうメリットも!」
「いざと言うとき!困ったとき!頼りやすい関係に!」
部下たちが次々に意見を述べるが、その表情はどこか固い。
一連の行動は騎士団のことを考えてのことと見受けられるが、獣耳はさすがに恥ずかしいのだろう。
俺としては嫌なら無理にやる事ではないと思う。
「……あまり乗り気ではないようですが?」
そう指摘すると、ソードがちらと背後を振り返る。
するとなぜか部下たちの顔が一斉に青ざめた。
「いや僕達やる気満々ですよ!一年のイベントで一番ハロウィンが好きなんです!」「せめて耳だけでも!」「耳だけ!耳だけだから!」「頼むからやらせてください!」「ブレイド様頼みます!」「俺たちにハロウィンを!」「後生です!お願いします!」
さっきとは打って変わって必死の形相だ。
半ば懇願?哀願?にも見えるが、彼らはそんなにハロウィンが好きなのだろうか。
……たしかに卿みたいに休暇を取らない限り警備をする我らはこういったイベントに参加できないし、一日に休暇を取れる人数も限られているから全員が全員楽しめるわけではない。
好きなイベントに参加できないのは寂しいだろう。
実際俺自身、楽しそうな人々を見てほんの少しだけ羨ましく思ってしまうくらいだ。
それに獣耳を着けるデメリットも特には無さそうだ。
卿には事後報告になるが、あの人は却って面白がりそうだし。
……少し仮装して気分を味わうくらいは問題ないだろう、と結論付ける。
「良いでしょう、ただし浮かれすぎないように」
許可を出すと、わっと歓声が上がった。
……が、「やった」「よかった」「生存確定」「ブレイド様万歳」「助かった」などと歓喜というよりかは安堵の声が多い気がするのは考えすぎだろうか?
「わかってくれたか、ありがとう!
みんなも喜んでいるぞ!
……というわけでこれがブレイドの分な!」
ソードは満面の笑みで猫耳カチューシャを差し出した。
俺は一瞬固まり、黒くてふわふわなそれとすっかり仕事モードが切れた彼の顔を交互に見比べてしまう。
「……俺も着けるの?」
「当たり前だろ?一人だけ着けてないのも変だし、長が参加しなきゃ部下にも国民にも示しがつかないし」
そうか、それは俺の分だったのか……。
何となく釈然といかないが、素直にカチューシャを受け取り頭に着けるとソードが満足そうに頷いた。
尻尾は着いていないはずだが、ブンブンと振っているそれが見えてくるようだ。
これで仕事をするのは少し、いやかなり恥ずかしいが……これも回り回って国民のためになるなら、甘んじて受け入れよう。
……ソードにまんまと嵌められたと気付いたのは、夜になってからだった。