Xまとめ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※あんまりジューン関係ない
※婚約済み
「なあなあ、このプリンセスラインのはどうだ?
レースがフワッとしてて可愛いだろ?」
「ああ、いいと思うぞ?」
「だろだろ!?いやしかしあっちのベルラインもいいな……そうだお色直しは何回にする?」
「何回でもいいぞ」
「お色直し用のカラードレスは何色にしようか?
黄色?オレンジ?それとも髪とか瞳と同じ緋色?
いや白地に花柄のも綺麗だよな……。
ああっ、アクセサリーも悩むな……花?パール?」
「時間はあるからいくらでも悩めばいいと思うぞ?
しかしだな……」
そこまで言うと、“彼女”は大きく溜め息をついた。
「なんでソードがそんなにノリノリなんだ?」
その表情には隠し切れない困惑と呆れの色が見える。
2人はブレイドのウェディングドレスを選びに来ていた。
しかし着る本人よりもソードの方がいきいきとしていて、瞳は夢見る乙女のように輝いている。
当のブレイドは、チラッとドレスを見るくらいでソードの言葉に相槌を打つばかり。
「そりゃあ、ずっと見たかったものが見られるからな?」
ノリノリにもなるぞ、と彼が続ければブレイドの頬にサッと朱が差した。
慌てて顔を背けると、視界に純白が広がる。
煌びやかで華やかなそれは、幸せになる女性の為に作られたもの。
果たしてそれが自分に似合うのだろうか……しばらく思案したブレイドはゆっくりと首を振った。
「……いやいやいや、似合う気がしない」
彼女も幼い頃は「お父様のお嫁さんになるの!」など可愛らしい夢を語っていた。
しかし男として生きる覚悟をしたときに「お嫁さん」の夢は一度捨てた。
そういったこともあり、女としての性を受け入れた今でも自分がそれを着た姿をまるで想像できなかった。
「それは絶対にない、似合わないはずがない」
断言されたブレイドは驚いてソードの方を振り返った。
曇りの無い翠の瞳が、真っ直ぐに彼女を見つめている。
「それに前、約束してくれただろ?『どうしても見たいなら着てやらんこともない』って。
俺はどうしてもブレイドのドレス姿が見たい……だから、俺の為に着てくれないか?」
いつかの任務の帰り道で交わした会話。
その時から彼は、「絶対似合う」と言っていた。
あのときもいつもの癖でぶっきらぼうに返したが、内心では嬉しかったのだ。
一番信頼し、一番自分を理解してくれていて、そして愛する者にここまで言われてしまえば……ブレイドもそれを無下にはできない。
視線に込められた大きな想いを受け止め、一度大きく深呼吸をすると、ドレスたちに向き直った。
「よかった、やっぱり着る本人の希望も大事だからな」
「……別にお前の為だけじゃないからな?
俺だって本当に嫌々着るわけじゃない、憧れがまったく無いわけじゃないし……ただ少し不安なんだ、俺に似合うものなんてあるのか……」
「なるほどな、ブレイドの可愛さや美しさを十分に引き出せるものが見つかるのかという懸念だな?」
「いや1ミリも理解できてないぞ?」
「あれ、おかしいぞ……?」
「おかしいのはお前の頭な?」
「まぁ、とりあえず試着してみないか?」
「……確かに試さないと何も始まらないしな」
「じゃあここにあるやつを全部試着させてもらおうか」
「……へっ!?」
ソードの瞳が、どこか狂気じみた熱を孕む。
にじり寄られたブレイドは怯えるように後退りした。
滅多に見られない光景である。
「ソ、ソード?なんか目が怖いぞ?」
「時間はたっぷりある……似合うものがわからないなら片っ端から着てみればいいじゃないか?」
「いやいやいくらなんでも無茶があるって!」
「さあどれが一番ブレイドの魅力を引き出せるかの頂上決戦の幕開けだ!」
「ヒィィ!来るな!」
ブレイドが逃げ出そうとしたとき、ソードの前にサッと誰かが立ち塞がった。
「やめないかソード!」
颯爽と現れたのはメタナイトだった。
せっかくなら父親のような存在の彼にもドレスの意見を聞こうと思い呼んでいたのだ。
「まったく、騒がしいと思えば……ソードは何を言っているんだ?」
「卿!ソードを何とかしてください!」
ブレイドにとっては救いの神のような存在だった。
このソードを止められるのは、きっと卿だけ……そう信じる彼女は、縋るような目を向けた。
メタナイトはその視線を真摯に受け止めて頷くと、いやに真剣な顔でソードに向き直った。
「ソード、そなたは何もわかっていない……。
ブレイドに似合うのは長身が映えるスレンダーラインに決まっているだろう!?」
「卿ぉぉぉぉぉ!?」
「異議あり!マーメイドラインも似合うと思います!」
「うむ、一理あるな!よしその2つのデザインを中心に試着してみよう!」
「えええええええ!?」
……要は、敵が二人になっただけであった。
それから彼女は数時間、二人の着せ替え人形状態だった。
***
「づ、づがれだ……」
ようやく解放されたブレイドは、ぐったりとしながら帰路についていた。
前を歩く男二人は、なおも議論を重ねている。
数時間かけていくつも着たが、結局決まらなかったのだ。
彼女の受難はまだまだ続きそうである。
「……でも、悪くないな」
そうつぶやく横顔には、柔らかな笑みを浮かんでいた。
※婚約済み
「なあなあ、このプリンセスラインのはどうだ?
レースがフワッとしてて可愛いだろ?」
「ああ、いいと思うぞ?」
「だろだろ!?いやしかしあっちのベルラインもいいな……そうだお色直しは何回にする?」
「何回でもいいぞ」
「お色直し用のカラードレスは何色にしようか?
黄色?オレンジ?それとも髪とか瞳と同じ緋色?
いや白地に花柄のも綺麗だよな……。
ああっ、アクセサリーも悩むな……花?パール?」
「時間はあるからいくらでも悩めばいいと思うぞ?
しかしだな……」
そこまで言うと、“彼女”は大きく溜め息をついた。
「なんでソードがそんなにノリノリなんだ?」
その表情には隠し切れない困惑と呆れの色が見える。
2人はブレイドのウェディングドレスを選びに来ていた。
しかし着る本人よりもソードの方がいきいきとしていて、瞳は夢見る乙女のように輝いている。
当のブレイドは、チラッとドレスを見るくらいでソードの言葉に相槌を打つばかり。
「そりゃあ、ずっと見たかったものが見られるからな?」
ノリノリにもなるぞ、と彼が続ければブレイドの頬にサッと朱が差した。
慌てて顔を背けると、視界に純白が広がる。
煌びやかで華やかなそれは、幸せになる女性の為に作られたもの。
果たしてそれが自分に似合うのだろうか……しばらく思案したブレイドはゆっくりと首を振った。
「……いやいやいや、似合う気がしない」
彼女も幼い頃は「お父様のお嫁さんになるの!」など可愛らしい夢を語っていた。
しかし男として生きる覚悟をしたときに「お嫁さん」の夢は一度捨てた。
そういったこともあり、女としての性を受け入れた今でも自分がそれを着た姿をまるで想像できなかった。
「それは絶対にない、似合わないはずがない」
断言されたブレイドは驚いてソードの方を振り返った。
曇りの無い翠の瞳が、真っ直ぐに彼女を見つめている。
「それに前、約束してくれただろ?『どうしても見たいなら着てやらんこともない』って。
俺はどうしてもブレイドのドレス姿が見たい……だから、俺の為に着てくれないか?」
いつかの任務の帰り道で交わした会話。
その時から彼は、「絶対似合う」と言っていた。
あのときもいつもの癖でぶっきらぼうに返したが、内心では嬉しかったのだ。
一番信頼し、一番自分を理解してくれていて、そして愛する者にここまで言われてしまえば……ブレイドもそれを無下にはできない。
視線に込められた大きな想いを受け止め、一度大きく深呼吸をすると、ドレスたちに向き直った。
「よかった、やっぱり着る本人の希望も大事だからな」
「……別にお前の為だけじゃないからな?
俺だって本当に嫌々着るわけじゃない、憧れがまったく無いわけじゃないし……ただ少し不安なんだ、俺に似合うものなんてあるのか……」
「なるほどな、ブレイドの可愛さや美しさを十分に引き出せるものが見つかるのかという懸念だな?」
「いや1ミリも理解できてないぞ?」
「あれ、おかしいぞ……?」
「おかしいのはお前の頭な?」
「まぁ、とりあえず試着してみないか?」
「……確かに試さないと何も始まらないしな」
「じゃあここにあるやつを全部試着させてもらおうか」
「……へっ!?」
ソードの瞳が、どこか狂気じみた熱を孕む。
にじり寄られたブレイドは怯えるように後退りした。
滅多に見られない光景である。
「ソ、ソード?なんか目が怖いぞ?」
「時間はたっぷりある……似合うものがわからないなら片っ端から着てみればいいじゃないか?」
「いやいやいくらなんでも無茶があるって!」
「さあどれが一番ブレイドの魅力を引き出せるかの頂上決戦の幕開けだ!」
「ヒィィ!来るな!」
ブレイドが逃げ出そうとしたとき、ソードの前にサッと誰かが立ち塞がった。
「やめないかソード!」
颯爽と現れたのはメタナイトだった。
せっかくなら父親のような存在の彼にもドレスの意見を聞こうと思い呼んでいたのだ。
「まったく、騒がしいと思えば……ソードは何を言っているんだ?」
「卿!ソードを何とかしてください!」
ブレイドにとっては救いの神のような存在だった。
このソードを止められるのは、きっと卿だけ……そう信じる彼女は、縋るような目を向けた。
メタナイトはその視線を真摯に受け止めて頷くと、いやに真剣な顔でソードに向き直った。
「ソード、そなたは何もわかっていない……。
ブレイドに似合うのは長身が映えるスレンダーラインに決まっているだろう!?」
「卿ぉぉぉぉぉ!?」
「異議あり!マーメイドラインも似合うと思います!」
「うむ、一理あるな!よしその2つのデザインを中心に試着してみよう!」
「えええええええ!?」
……要は、敵が二人になっただけであった。
それから彼女は数時間、二人の着せ替え人形状態だった。
***
「づ、づがれだ……」
ようやく解放されたブレイドは、ぐったりとしながら帰路についていた。
前を歩く男二人は、なおも議論を重ねている。
数時間かけていくつも着たが、結局決まらなかったのだ。
彼女の受難はまだまだ続きそうである。
「……でも、悪くないな」
そうつぶやく横顔には、柔らかな笑みを浮かんでいた。