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★「朝顔」でマルグリ
「起きてマルク!こっち来て!」
ある日、グリルに文字通り叩き起された。
朝から元気だ、おまけに興奮のせいか魔力が暴走気味らしい。
いや朝どころか夜明けギリギリ?まだ全員寝てるよね?
文句のひとつでも言いたいところだけど、とりあえずは眠い目をこすりながらグリルに着いて行く。
辺りの空気はまだ少し夜の名残が残っていた。
「ほら、咲いたよ!」
指さす先には、一輪だけ朝顔が咲いていた。
一瞬拍子抜けしそうになったけど、キラキラと目を輝かせているのを見るとこっちまで嬉しくなる。
頑張って育ててたからね。
毎朝早起きして、わざわざこっちに来て水をやるって結構大変だったと思うんだ。
「よかったのサ」
「えへへ!
でも朝顔って昼になったら萎れちゃうんだよね。
ちょっともったいないなぁ」
「じゃあ魔法で止めちゃえば?」
「うーん……」
ボクだったら花に経る時間を止める。
そうすれば、綺麗なままで傍に置ける。
誰にも奪われることなく、壊されることなく、愛でることができる。
我ながら最高の妙案だと思うよ。
でもグリルの表情は浮かない。
「それじゃあ不満なのサ?」
「……しおれるのは寂しいよ。
けど、朝顔って種ができるでしょ?
またそれを来年植えて、育てて、咲かせるのができなくなっちゃうかなぁって。
ボクちんたちは魔法でどうとでもできる……だからこそ、こういうのを大事にしたいなって」
自分で納得した答えを見つけたからか、表情が穏やかなそれに変わる。
朝顔に向けられた視線はどこまでもまっすぐだった。
「萎れて寂しい、枯れて悲しいのも……また咲かせようと思うのも、ボクちんは嫌いじゃないよ。
だからボクちんは魔法はかけない」
たかが花の話だけど。
この子の奥には強いものがあるんだなと思わずにはいられなくて。
こんな子どもの方が、ボクよりよっぽど大人に見えてきて悔しい。
「……一丁前に大人ぶって」
「もう、子ども扱いしないで!」
からかえばいつものように頬を膨らませる。
その反応は子どもそのもので、少し安心した。
「そーんな寝癖つけておいて何言ってるのサ?」
「ふぇぇっ!?」
慌てて手に頭をやり、わしゃわしゃと直そうとするけど焼け石に水だ。
グリルの頭は稀に見るほどボッサボサだった。
……結構、これはこれで可愛いとは思うけど。
朝早いし、まだ直してなかったんだろうね。
しかもボクの部屋まで走ってきたから尚更かな?
「少しくらい直してこいよ、一応女の子なんだから」
「一応って何さ!
それに早く見せたかったんだもん!」
トクン、と胸が高鳴る。
たった一輪の朝顔。
でも、あんなに咲くのを心待ちにしていた朝顔。
それを真っ先に見せたかったんだと言い切る彼女の周りには、朝露がきらめいていた。
いつの間にか太陽が出ていたのか、身体が少し熱くなる。
「……やれやれなのサ」
顔を隠すようにしながら髪を手ぐしで直してあげる。
手触りがいつもよりフワフワしていて、これはこれで悪くない。
「~ッ、なんか恥ずかしい!もういいでしょ!?」
「全然ダメ、まだまだボサボサ」
「部屋戻ったら直すもん!」
ボクの腕をするりと抜けて駆けだす。
追いかけると、ピンク色と水色のジョウロを手に得意そうに立っていた。
「はい、水色のはマルクの分ね!」
叩き起して挙句の果てに水やりを手伝わせるなんて、とんだじゃじゃ馬娘だ。
でもこんなにニコニコしているし、少しくらいは付き合ってやろうか。
改めて辺りを見てみると、他の蕾も先が色付いていて、緩やかに開きかけていた。
「きっと明日はもっと咲くよ!」
そう笑う花が、もう一輪。
たまには早起きも悪くない。
「起きてマルク!こっち来て!」
ある日、グリルに文字通り叩き起された。
朝から元気だ、おまけに興奮のせいか魔力が暴走気味らしい。
いや朝どころか夜明けギリギリ?まだ全員寝てるよね?
文句のひとつでも言いたいところだけど、とりあえずは眠い目をこすりながらグリルに着いて行く。
辺りの空気はまだ少し夜の名残が残っていた。
「ほら、咲いたよ!」
指さす先には、一輪だけ朝顔が咲いていた。
一瞬拍子抜けしそうになったけど、キラキラと目を輝かせているのを見るとこっちまで嬉しくなる。
頑張って育ててたからね。
毎朝早起きして、わざわざこっちに来て水をやるって結構大変だったと思うんだ。
「よかったのサ」
「えへへ!
でも朝顔って昼になったら萎れちゃうんだよね。
ちょっともったいないなぁ」
「じゃあ魔法で止めちゃえば?」
「うーん……」
ボクだったら花に経る時間を止める。
そうすれば、綺麗なままで傍に置ける。
誰にも奪われることなく、壊されることなく、愛でることができる。
我ながら最高の妙案だと思うよ。
でもグリルの表情は浮かない。
「それじゃあ不満なのサ?」
「……しおれるのは寂しいよ。
けど、朝顔って種ができるでしょ?
またそれを来年植えて、育てて、咲かせるのができなくなっちゃうかなぁって。
ボクちんたちは魔法でどうとでもできる……だからこそ、こういうのを大事にしたいなって」
自分で納得した答えを見つけたからか、表情が穏やかなそれに変わる。
朝顔に向けられた視線はどこまでもまっすぐだった。
「萎れて寂しい、枯れて悲しいのも……また咲かせようと思うのも、ボクちんは嫌いじゃないよ。
だからボクちんは魔法はかけない」
たかが花の話だけど。
この子の奥には強いものがあるんだなと思わずにはいられなくて。
こんな子どもの方が、ボクよりよっぽど大人に見えてきて悔しい。
「……一丁前に大人ぶって」
「もう、子ども扱いしないで!」
からかえばいつものように頬を膨らませる。
その反応は子どもそのもので、少し安心した。
「そーんな寝癖つけておいて何言ってるのサ?」
「ふぇぇっ!?」
慌てて手に頭をやり、わしゃわしゃと直そうとするけど焼け石に水だ。
グリルの頭は稀に見るほどボッサボサだった。
……結構、これはこれで可愛いとは思うけど。
朝早いし、まだ直してなかったんだろうね。
しかもボクの部屋まで走ってきたから尚更かな?
「少しくらい直してこいよ、一応女の子なんだから」
「一応って何さ!
それに早く見せたかったんだもん!」
トクン、と胸が高鳴る。
たった一輪の朝顔。
でも、あんなに咲くのを心待ちにしていた朝顔。
それを真っ先に見せたかったんだと言い切る彼女の周りには、朝露がきらめいていた。
いつの間にか太陽が出ていたのか、身体が少し熱くなる。
「……やれやれなのサ」
顔を隠すようにしながら髪を手ぐしで直してあげる。
手触りがいつもよりフワフワしていて、これはこれで悪くない。
「~ッ、なんか恥ずかしい!もういいでしょ!?」
「全然ダメ、まだまだボサボサ」
「部屋戻ったら直すもん!」
ボクの腕をするりと抜けて駆けだす。
追いかけると、ピンク色と水色のジョウロを手に得意そうに立っていた。
「はい、水色のはマルクの分ね!」
叩き起して挙句の果てに水やりを手伝わせるなんて、とんだじゃじゃ馬娘だ。
でもこんなにニコニコしているし、少しくらいは付き合ってやろうか。
改めて辺りを見てみると、他の蕾も先が色付いていて、緩やかに開きかけていた。
「きっと明日はもっと咲くよ!」
そう笑う花が、もう一輪。
たまには早起きも悪くない。