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ふわりとコーヒーの香りが鼻腔をくすぐり、緩やかに目を覚ました。
メタが淹れてくれているのだろう。
そういえば「いい豆が手に入った」とか言ってたかな……と幾分朧気な昨夜の記憶を呼び起こす。
「ん……」
身体を起こそうとしたけど、まだ少しだけ重たい。
疲れがまだ残っているのかな。
ご飯ができたら起こしてくれるよね、もう少しだけ寝ていよう……ともう1度目を瞑り、心なしか幾分乱れた布団を引き寄せた。
朝にコーヒーの香りなんて、なんて大人な目覚め。
まるで小説かなにかみたい。
この苦い香りと微かなバニラの香りがまた……。
「ん?バニラ?」
違和感を覚え、再び目を開けた。
ベッドから少しだけ身体を起こし、彼がいるであろうキッチンの方を覗く。
「おはよう、目が覚めたか?」
優しく微笑むメタ。
「台無しだよ!」
朝の挨拶も忘れボクは思わず叫んでいた。
彼の手にはコーヒーカップ……ではなく、グラスがあった。
そこに入っているのは決して茶色いアイスコーヒーの類ではなく、白い塊。
香りからして、おそらくバニラアイスだ。
そこに申し訳程度にかかっている茶色いのが、最初に香ったコーヒーだろう。
……香りの割に、コーヒー要素が予想以上に少ない。
「もっと大人な感じ欲しいんだけど」
「何が不満なんだ。
そなたも甘いものは好きだろう?」
「いやそれは認めるけど……」
朝起きると恋人がバニラアイスを持っていた。
確かに悪い絵面ではないけど、少し複雑な心境。
乙女心を少しはわかってほしいとか、朝からなんでアイスなんだとか、色々ツッコミどころがある。
でもまだボクの頭もまともに働かないし面倒臭いから何も言わない。
「……で、それ、何?」
「アフォガートというものだ」
「アホガード?」
「アホはそなただろう。
しかもアホをガードしてどうする。
……アイスやジェラートに飲料をかけて食べるものだそうだ。
バニラアイスにエスプレッソをかけるのが定番らしい」
なんかアホ呼ばわりされたけどあえて触れない。
なるほど、名前に反して(?)お洒落なデザートだ。
「ホント意外だよね。
メタが甘いものが好きって」
「こ、これぐらい大して甘くないだろう?」
「甘いの好きじゃない人が、朝にバニラアイス食べると思う?」
メタのストイックか性格や風貌からはとても想像ができない。
ボクもこういう関係になって初めて知ったくらいだ。
さしずめ、周囲はブラックコーヒーを傾けながら新聞を捲ったりしているイメージでも持っているのだろう。
……まぁ、この素顔を見ると甘党にもやけに納得がいくのだけれども……それは怒られるから言わない。
「……糖分の摂取は大切だからな」
「えー、それだけじゃないでしょ?」
趣味嗜好もあるくせに、とからかえば頬に少しだけ紅が射す。
可愛い、なんて言ったらきっともっとそっぽを向かれてしまうだろう。
「そんな隠すほどのものじゃないよ?」
「……私が甘いものだなんて、王国騎士団の士気が下がる」
「そうかなぁ……」
イメージが崩れるどころか、一部の人には多分喜ばれると思う、いろんな意味で。
彼はそろそろ自分の可愛さを自覚した方がいいと思うんだよね。
……でも、彼の秘密を知っているのはボクだけでいい、とも思う。
「ほら、早くしないと溶けてしまうぞ」
そんな複雑な心境も露知らずに差し出されたスプーンを咥えれば、ひんやりとした甘さと、ほんのり苦味が口に広がった。
「ん、おいしい…」
「ふふ、起き抜けのアフォガートも悪くないだろう?」
蕩けるような、そんな笑みを向けられて。
ボクの心もエスプレッソをかけられたみたいだった。
今日も、一日が始まる。
メタが淹れてくれているのだろう。
そういえば「いい豆が手に入った」とか言ってたかな……と幾分朧気な昨夜の記憶を呼び起こす。
「ん……」
身体を起こそうとしたけど、まだ少しだけ重たい。
疲れがまだ残っているのかな。
ご飯ができたら起こしてくれるよね、もう少しだけ寝ていよう……ともう1度目を瞑り、心なしか幾分乱れた布団を引き寄せた。
朝にコーヒーの香りなんて、なんて大人な目覚め。
まるで小説かなにかみたい。
この苦い香りと微かなバニラの香りがまた……。
「ん?バニラ?」
違和感を覚え、再び目を開けた。
ベッドから少しだけ身体を起こし、彼がいるであろうキッチンの方を覗く。
「おはよう、目が覚めたか?」
優しく微笑むメタ。
「台無しだよ!」
朝の挨拶も忘れボクは思わず叫んでいた。
彼の手にはコーヒーカップ……ではなく、グラスがあった。
そこに入っているのは決して茶色いアイスコーヒーの類ではなく、白い塊。
香りからして、おそらくバニラアイスだ。
そこに申し訳程度にかかっている茶色いのが、最初に香ったコーヒーだろう。
……香りの割に、コーヒー要素が予想以上に少ない。
「もっと大人な感じ欲しいんだけど」
「何が不満なんだ。
そなたも甘いものは好きだろう?」
「いやそれは認めるけど……」
朝起きると恋人がバニラアイスを持っていた。
確かに悪い絵面ではないけど、少し複雑な心境。
乙女心を少しはわかってほしいとか、朝からなんでアイスなんだとか、色々ツッコミどころがある。
でもまだボクの頭もまともに働かないし面倒臭いから何も言わない。
「……で、それ、何?」
「アフォガートというものだ」
「アホガード?」
「アホはそなただろう。
しかもアホをガードしてどうする。
……アイスやジェラートに飲料をかけて食べるものだそうだ。
バニラアイスにエスプレッソをかけるのが定番らしい」
なんかアホ呼ばわりされたけどあえて触れない。
なるほど、名前に反して(?)お洒落なデザートだ。
「ホント意外だよね。
メタが甘いものが好きって」
「こ、これぐらい大して甘くないだろう?」
「甘いの好きじゃない人が、朝にバニラアイス食べると思う?」
メタのストイックか性格や風貌からはとても想像ができない。
ボクもこういう関係になって初めて知ったくらいだ。
さしずめ、周囲はブラックコーヒーを傾けながら新聞を捲ったりしているイメージでも持っているのだろう。
……まぁ、この素顔を見ると甘党にもやけに納得がいくのだけれども……それは怒られるから言わない。
「……糖分の摂取は大切だからな」
「えー、それだけじゃないでしょ?」
趣味嗜好もあるくせに、とからかえば頬に少しだけ紅が射す。
可愛い、なんて言ったらきっともっとそっぽを向かれてしまうだろう。
「そんな隠すほどのものじゃないよ?」
「……私が甘いものだなんて、王国騎士団の士気が下がる」
「そうかなぁ……」
イメージが崩れるどころか、一部の人には多分喜ばれると思う、いろんな意味で。
彼はそろそろ自分の可愛さを自覚した方がいいと思うんだよね。
……でも、彼の秘密を知っているのはボクだけでいい、とも思う。
「ほら、早くしないと溶けてしまうぞ」
そんな複雑な心境も露知らずに差し出されたスプーンを咥えれば、ひんやりとした甘さと、ほんのり苦味が口に広がった。
「ん、おいしい…」
「ふふ、起き抜けのアフォガートも悪くないだろう?」
蕩けるような、そんな笑みを向けられて。
ボクの心もエスプレッソをかけられたみたいだった。
今日も、一日が始まる。