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キミがここに帰ってこなくなってから✕回目の桜が咲いた。
淡い花びらはキミの色。
青い空を舞台にひらひら踊るそれを、ついこの間までくすんだ茶色だった丘に座ってぼうっと見上げる。
「…来ないなぁ」
どうしてキミは帰ってきてくれないの?
いつになったらボクのところに帰ってくるの?
待ちくたびれちゃうよ?
寂しくてそろそろ死んじゃいそうなんだけど。
ちゃんと責任とってくれるのかなぁ?
まぁ、どのみち取らせるつもりなんだけどね。
「……今日は暖かいのサ」
ふわりと吹く風は暖かくて心地よい。
少しだけ、寝ちゃおうか。
もしキミが隣にいたら、きっとお昼寝してただろうから。
***
「…またココにいたノォ?」
耳障りなムカつく声に目を覚ますと、手にブランケットを持ったマホロアが立っていた。
大きく溜息をつくコイツの後ろには星がキラキラと瞬いている。
そんなに長く寝るつもり無かったんだけどな。
たかが星程度の淡い光のはずなのに、やけに目に突き刺さる。
空から目を逸らして隣を見てみたけど、そこには誰もいなかった。
「マルク、いい加減認めなヨォ……。
あの子はモウ帰って来ないんダヨ?」
「そんなわけないのサ。
カービィがボクに嘘なんかつくハズないのサ……」
声が自分でも驚くくらい弱々しい。
ああそう言えば今日は全然水を飲んでなかったっけ。
でもボクはあの子を待たなきゃだから。
ここを離れるわけにいかないんだ。
「……そうカイ。
ホラ、水くらい飲めヨ。
キミは本ッ当にバカなんだネェ……」
ずいっと突き出されたペットボトルを反射的に受け取った。
言葉とは裏腹にその声色はやけに優しくて。
馬鹿にされているはずなのに、何故か今日は怒る気になれない。
一口飲むと、胸の奥がキンと痛んだ。
「……今夜は冷えるってヨォ」
そう吐き捨てて、手に持っていたブランケットをボクに投げつける。
コイツに優しくされるとなんか気持ち悪いけど、寒いのは図星だから素直に感謝してやるとする。
ふわふわのそれにくるまるけど、芯までは暖まらなかった。
歯の根が合わなくてガチガチと音を立てている。
寒くて寒くて仕方がない。
「……今夜中に散っちゃいそうダネェ」
マホロアがポツリと呟いた。
春風はまるで泣いているような音をあげて吹き荒れている。
キミとまだお花見してないのにもう散っちゃうなんて、あんまりだ。
悔しくて手を伸ばしてみても、降る花びらはボクの手をすり抜けるだけだった。
キミの色の桜が散って、キミの大好きなスイカがある夏が来て、いっぱい食べるキミが喜ぶ秋が来て、繋いだキミの手が温かい冬が来て、またキミの色の桜が咲いて。
季節はぐるぐる巡って、でもそこにキミはいなくて。
「すぐに帰ってくるよ」と言って旅に出たのは✕年前の今日、4月1日。
キミは今年も帰ってこなかった。
淡い花びらはキミの色。
青い空を舞台にひらひら踊るそれを、ついこの間までくすんだ茶色だった丘に座ってぼうっと見上げる。
「…来ないなぁ」
どうしてキミは帰ってきてくれないの?
いつになったらボクのところに帰ってくるの?
待ちくたびれちゃうよ?
寂しくてそろそろ死んじゃいそうなんだけど。
ちゃんと責任とってくれるのかなぁ?
まぁ、どのみち取らせるつもりなんだけどね。
「……今日は暖かいのサ」
ふわりと吹く風は暖かくて心地よい。
少しだけ、寝ちゃおうか。
もしキミが隣にいたら、きっとお昼寝してただろうから。
***
「…またココにいたノォ?」
耳障りなムカつく声に目を覚ますと、手にブランケットを持ったマホロアが立っていた。
大きく溜息をつくコイツの後ろには星がキラキラと瞬いている。
そんなに長く寝るつもり無かったんだけどな。
たかが星程度の淡い光のはずなのに、やけに目に突き刺さる。
空から目を逸らして隣を見てみたけど、そこには誰もいなかった。
「マルク、いい加減認めなヨォ……。
あの子はモウ帰って来ないんダヨ?」
「そんなわけないのサ。
カービィがボクに嘘なんかつくハズないのサ……」
声が自分でも驚くくらい弱々しい。
ああそう言えば今日は全然水を飲んでなかったっけ。
でもボクはあの子を待たなきゃだから。
ここを離れるわけにいかないんだ。
「……そうカイ。
ホラ、水くらい飲めヨ。
キミは本ッ当にバカなんだネェ……」
ずいっと突き出されたペットボトルを反射的に受け取った。
言葉とは裏腹にその声色はやけに優しくて。
馬鹿にされているはずなのに、何故か今日は怒る気になれない。
一口飲むと、胸の奥がキンと痛んだ。
「……今夜は冷えるってヨォ」
そう吐き捨てて、手に持っていたブランケットをボクに投げつける。
コイツに優しくされるとなんか気持ち悪いけど、寒いのは図星だから素直に感謝してやるとする。
ふわふわのそれにくるまるけど、芯までは暖まらなかった。
歯の根が合わなくてガチガチと音を立てている。
寒くて寒くて仕方がない。
「……今夜中に散っちゃいそうダネェ」
マホロアがポツリと呟いた。
春風はまるで泣いているような音をあげて吹き荒れている。
キミとまだお花見してないのにもう散っちゃうなんて、あんまりだ。
悔しくて手を伸ばしてみても、降る花びらはボクの手をすり抜けるだけだった。
キミの色の桜が散って、キミの大好きなスイカがある夏が来て、いっぱい食べるキミが喜ぶ秋が来て、繋いだキミの手が温かい冬が来て、またキミの色の桜が咲いて。
季節はぐるぐる巡って、でもそこにキミはいなくて。
「すぐに帰ってくるよ」と言って旅に出たのは✕年前の今日、4月1日。
キミは今年も帰ってこなかった。
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