魔法使いたちの場合
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今日はハロウィン。
カービィたちと仮装パーティをする予定なのサ!
ププビレッジのハロウィンは結構大がかりなイベントだから楽しみなのサ!
……と思っていたんだけど、ウィズから『ローアに集合!』との一方的な迷惑電話が来た。
人の都合も気にせずなんの嫌がらせだ。
苦情を言うためにもボクはとりあえずローアに向かっていた。
あとはハロウィンよろしくお菓子をたかろうかと。
多分ランプキンが張り切って作ってるだろうからね。
逆に約1名ほど絶対に作っててほしくない人がいるんだけど……とりあえず考えないようにしよう、うん。
……というか、ローアってウィズのじゃなくてマホロアのなんじゃ……?
「ま、いいか」と思いながら村を歩いてると、困った顔をしたドロッチェとストロンに出会った。
どうやらストロンが着られる仮装がないらしい。
悪戯心でゴスロリ(フリル多め)を魔法で出してみたら、とても喜ばれた、逆に戸惑う。
ハロウィンとは、どうやらみんな頭がおかしくなるらしい。
そんなことをしているうちに、村の外れに着陸したローアの前に着いた。
スーパー無造作に置かれたそれからは、何か嫌な気配がする。
「……まさかね」
脳裏に過った嫌な予感を押し込みながらローアの扉を開き……愕然とした。
そこは、地獄絵図と化していた。
まずウィズが死んでいた。
……いや、よく見たら生きている。
でも虫の息だ。
よし、放っておこう。
どうせ死なないし。
奥からは黒い煙と焦げ臭さと、鼻につく刺激臭とほのかに美味しそうというカオスすぎる匂いが漂ってきた。
まるで、魔法使いの集会か何かに紛れ込んだような気分になる。
「ねぇ何の儀式!?
何の儀式が行われてるの此処は!?」
思わずボクは叫んでいた。
が、煙を思いっきり吸い込んでむせ返ってしまう。
「マルクッ……!」
咳き込むボクにグリルが抱きついてきた。
後からマホロアも駆け寄ってくる。
何かイタズラでもされるかと身構えてみたけど、そんな気配はない。
二人は真っ青な顔で震えていた。
「な、何が起きてるのさ!?」
そう言いながらもボクの頭の中では、最初から感じていた嫌な予感が強くなっていた。
グリルはともかく、マホロアがこんなに狼狽していることなんて――心当たりは1つしかない。
「ドロシアが……」
聞き取りづらいほどに小さな声で、マホロアが今一番聞きたくなかった人物の名を言う。
酷く嫌な予感が増した。
聞きたくない、これ以上何も聞きたくない。
どうか、頼むから、後生だから、予想が外れてくれと必死に心の中で祈る。
「ドロシアが……料理を作ってるの……」
マホロアから引き継いだグリルの言葉は、ボクの心に重たくのし掛かった。
高いところから真っ逆さまに堕ちていくような感覚に陥る。
やっぱり、という思いとああ…という気持ちがない交ぜになって苦しくなる。
「あら、マルクも帰ってたのね。
おかえりなさい」
唐突に声をかけられて、思わずびくりと肩が震えた。
声のした方を見ると、ドロシアがその場に似合わぬ柔らかな笑みを浮かべて立っていた。
手には何やら黒いものを持ちながら……。
「ドロシア、一応聞くけどその、手に持っているものは何なのサ?」
「あら、見てわからないかしら?
ハロウィン用のお菓子よ!」
見てわからないから聞いているんだけどな。
残念ながらボクには隕石とかダークマターとかの類いにしか見えなかった。
ドロシアは、レシピ通りに忠実に作れば美味しい料理が作れる。
しかし問題なのは、彼女が無駄に料理にも芸術を凝らそうとするあまりに失敗するタイプだということ。
いろいろごっちゃにして入れるから、味はとにかくカオス。
化学反応が起こりすぎて、何を作りたかったのかもわからなくなる。
そして出来上がりは大体黒い。
芸術を目指して作ってるのに出来上がりが黒いとはこれいかに。
ちなみにどういう原理なのか、ドロシアの料理を食べることでボクたちは闇の魔力をチャージすることができるらしい。
だから彼女の料理もほんっっっっの少しだけ食べるなら悪くないのかもしれないけど、今日のコレは何を張り切ってしまったのかいつもより一層闇が深い。
「……ウィズは何があったのサ?」
「わたくしの料理を食べた瞬間、倒れちゃったのよ。
そんなに美味しかったのかしら?」
「うん……そうだね」
予想通りというかなんというか。
というか無自覚って怖い。
ポジティブって怖い。
というか、今目の前に起きている事態が一番怖い。
「……ちなみにこの匂いは?」
「ちょっと焦げちゃったのよ」
なんで焦げただけで鼻を突く刺激臭がするのとか仮に焦げた臭いだとしても尋常じゃないとかちょっとの意味を今すぐググれとかいろいろ言いたい。
でも何か言ったらウィズの二の舞になる、そう悟ったボクはあえて何も言わなかった。
黙ってしまったボクに、ドロシアは優しく微笑みかける。
笑顔は綺麗なのに、手には暗黒物質(仮)を携えて――なにか、こんな作品ありそうだな、とぼうっと考えていた。
「そうだ、貴方たちも食べてみなさいよ」
一気に現実に引き戻された。
ボクらは首が引きちぎれるんじゃないかというほどブンブンと首を振った。
「あら、遠慮なんてしなくて良いのよ?」
遠慮じゃありません、純粋に嫌なんです――そう言えたらどれほど楽だろうか。
しかし、そんなことを言ったら多分ボクの身体は千々に引き裂かれる。
どうしようか、と二人に目を向けたとき、ボクはハッとした。
グリルは、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
この子は幼いから魔力がまだ弱い。
こんなに大量の闇の魔力を取り込んだら、体内の魔力バランスが崩れてしまう……簡単に言うと、多分毒にしかならない。
この子を守らなくては――そんな思いがボクの心に沸き起こった。
マホロアはまだしも、グリルに辛い思いをさせるわけにいかない。
意を決したボクが、震える手を暗黒物質(仮)の方に伸ばし、それを掴もうとしたその時――
「全く、貴方たちは何をしているのですか?
手も洗わずにお菓子を食べてはいけませんよ?」
ランプキンがキッチンから顔を出した。
死の危険に晒されていた今のボク達にとっては、まるでメシアだった。
ランプキンに命を救われたボクらはとりあえず手を洗い、換気をしたキッチンに通された。
ああ、空気ってこんなに美味しかったんだな。
そういえばドロシアが持っていた暗黒物質(仮)が無くなっている。
恐ろしいのと興味が半分、どうしたのだろうかと彼女に聞いてみた。
「ああ、あれ……よくわからないけど霧散しちゃったのよ」
……聞かなきゃよかった。
一気に空気が重くなった気がする。
とりあえずボクは窓を全開にしておいた。
と、そのとき。
チン、と軽快なベルが鳴った。
オーブンの音だ。
「なんかできたの?」
「ああ、ちょうどパンプキンパイが焼けたみたいですね」
ランプキンはミトンをはめて、オーブンから大きなパンプキンパイを取り出した。
パンプキンパイはランプキンの得意料理。
よくボクらのおやつにもなっている。
砂糖よりカボチャ本来の甘味を活かしたのがこだわりらしいそれは、いつもと違わず見事に焼き上がっていた。
美味しそうな甘い香りがボクたちの鼻腔をくすぐる。
思わずお腹が鳴りそうだ。
「今日は小さいお子様もいらっしゃるので、いつもよりシナモンは控え目なんですよ」
「さすが紳士ダネェ」
こういう細かい気遣いができる辺り、本当に紳士だなぁと思う。
ちょっと憧れているのは秘密。
「ネ、ネ、一切れだけ食べてもイイ?」
マホロアがそう聞くと「仕方ありませんね、少しだけですよ?」と笑った。
ボク達もついでに手を伸ばして一切れもらう。
パイの香ばしさとカボチャの甘味が口一杯に広がって、すごく美味しい。
ついついもう一切れ、と手を伸ばしちゃって手をパシリと叩かれた。
「これ以上は駄目です。
子供たちに出す分が無くなってしまいますからね」
「ちえー」
「代わりと言ってはなんですが、クッキーならたくさんあるので食べてもいいですよ」
これもまた見事な出来栄え。
蝙蝠やカボチャの形に抜かれたそれは、美味しそうな黄色をしていた。
そしてやっぱり美味しい。
カボチャの甘味がよく活かされていた。
「他にもあるのかしら?」
「ええ、もちろん!
種類があった方が子供たちにも喜んでもらえますからねぇ」
さすが、抜かり無い。
「なにがあるのー?」
「ええとですね。
パンプキンマドレーヌにパンプキンマカロンがありまして」
「うんうん」
「パンプキンチップス、パンプキンガナッシュにパンプキンカップケーキにパンプキンキャンディーにパンプキンプリンにパンプキンパウンドケーキに飲み物にパンプキンラテとパンプキンティーあと冷凍庫にパンプキンジェラードとスイカバーが」
「チョ待てカボチャ多すぎデショ!?
パンプキンがゲシュタルト崩壊しちゃうヨォ!!」
「あとなんで最後スイカバーなのサ!?」
「同じウリ科のよしみです。
冷凍庫に夏の残りがありましたので」
「ソレボクのおやつダヨォ!?」
「つかカボチャ以外にも何かあるだろ!?」
「えっ……ヘチマクッキーとかキュウリジュレとか需要あるんですか?」
パンプキ……じゃなくてランプキンは心底驚いたような顔をしていた。
「どうしてそうなったっ!?
どうしてそうなったんだっ!?」
「いやだからウリ科のよしみで」
「とりあえずウリ科から離れろ!!」
「……今はランに何言っても無駄デス。
Halloweenで浮かれてマスから……」
なんとかドロシアの食物兵器から復帰したらしいウィズが、ふらふらしながら入ってきた。
まだ少し顔色が悪い。
ウィズは人じゃないから食べ物はあんまり影響しないはずだけど……やっぱりアレ闇の魔力の塊なのか。
「オハヨー、自力生還したンダネェ」
「イエス……ヘヴンが見えマシタ」
「ちょっと待て、浮かれるとヘチマクッキーとかキュウリジュレとか言いだすのサ!?」
「で、実際に作ってみたのですが」
「作るなヨォそんなゲテモノ!」
考えただけかと思ったら本当に作っていやがった。
普通に美味しそうなのがなんかムカつく。
特にキュウリジュレなんてメロンかマスカットみたいな色をしていて綺麗。
「なんて創作的なの……ッ!?
わたくしも負けられないわ!」
「イや負けて良いと思うヨォ!?」
「いやアンタの場合はそれ以前の問題なのサ!」
「……なんかおいしそうに見えてきちゃったよ」
「グリル!正気に戻れなのサ!」
「どんな顔するか楽しみですね……フフフ」
「子供タチにそんなモノ食べさせるノォ!?」
「そんなことしませんよ。
某怪盗がいい年こいて『キミのお菓子を盗みに行くぜ☆』とドヤ顔で言ってきたの是非差し上げようかと」
「ドS!このドSッ!」
「お褒めに預かり光栄です」
「いやミー1ミリたりとも褒めてないデスよ!?」
「あとドロシアも協力してくださるそうで」
「死人を出すつもりデスか!?」
「ちょっとそれどういう意味よ!?」
「フフフ……あの端正な顔立ちがどう歪むか想像するだけで……ぞくぞくしますよ……」
ランプキンの笑みは、明らかにドSのそれだった。
楽しそうで何よりだ。
「見た目年齢23設定の男がハロウィンにお菓子をたかるだなんて、まったく腐った世の中ですよね」
「見た目年齢設定24の男がハロウィンにお菓子を作りまくるのは許されるんデスか!?」
……と、見た目年齢設定25の男が申しております。
とりあえずトンデモお菓子を食べさせられるドロッチェの冥福を祈っておこうかと思う。
「それにしても……偏りすぎだよね」
グリルが苦笑しながら呟いた。
たしかに、テーブルの上にあるお菓子のほとんどが黄色かオレンジをしている。
まぁ、お菓子自体はいっぱいあるんだし(たとえカボチャばかりでも)子供たちが来ても困らないかな。
……カボチャ嫌いな子はドンマイとしか言いようがない。
「ええっ!カボチャが嫌いな人がいるんですか!?
その人は人生の十割損してますよ!」
「まさかの全否定!?」
「謝れ!全国のカボチャ嫌いな人に土下座して謝れ!」
「良いですか?
カボチャというものは……」
それからしばらくカボチャについて熱く語り出すランプキン。
信じられるか?普段はこの人割とツッコミ役なんだぜ……?
「ふぅ……少し、熱くなりすぎてしまいましたかねぇ」
しばらくしてようやくランプキンが落ち着いた。
少しどころじゃなくメチャクチャ燃えていた気がしたけどもういい。
ツッコむの疲れた。
「そういえば衣装はー?」
グリルがワクワクしている目でランプキンに問う。
ランプキンとドロシアが今日の為に衣装を作ってくれているらしい。
「ふふ、ではこれを」
ランプキンがニコリと笑ってステッキを振り上げると、橙色の光の粒子がボクらを包んだ。
そして、バフンッと一瞬煙が上がる。
煙が晴れると、ボクらの服装が変わってた。
黒いローブに尖った帽子。
ボクはまるで魔法使いのような格好をしていた。
いや、実際ボクは魔法使いなんだけどサ。
「貴方は普段魔法使いというよりは道化師ですからね。
逆に新鮮なのではと思いまして」
にこりと笑うランプキン。
たしかに、こんなローブなんてそうそう着ないし新鮮だ。
隣を見てみるとマホロアは海賊の格好をしていた。
「……まさかこのチョイスとは思わなかったヨォ」
「宇宙船も海賊船も大して変わりませんからね」
「全然違うヨォ!?
いやカッコいいからいいケドネェ……」
やっぱり浮かれてる。
あの人めちゃくちゃ浮かれてる。
普段なら多分二人の台詞は逆なのに……。
グリルとドロシアに目を向けてみると、二人もかなり衣装が変わっていた。
グリルは妖精のような、少年のような感じの衣装――エルフだろうか?
とても可愛い。
ドロシアは黒のロングスカートを身に纏い、背中には白い翼が生えていた。
よく見るとその翼は片方だけ不自然に折れ曲がっている。
「グリルはエルフ?」
「ええ、そうです。
ちなみにドロシアは堕天使ですね」
「へええ!ボクちんはエルフか!
ドロシアのも大人っぽくて綺麗!」
「ふふっ、ありがとう。
ミニスカートにしようかとも思ったのだけどね」
「エー、ドロシアの歳デミニスカートはキツひぎぃ!」
今隣で何かが潰れた気がするけどあえてスルーしておこう。
ドロシアに歳の話をしたマホロアが悪い。
「……わたくしよりあっちの方がよっぽどキツいわよ」
忌々しそうに手についた血(恐らくはマホロアの)を薄紫色のハンカチで拭きながら、溜め息をついた。
ドロシアの視線を辿り、視界に異物――もとい、ウィズが入った瞬間の衝撃は説明のしようがない。
ボクはあまりの驚きに顎が外れそうになった。
緑色のミニワンピースに薄い羽。
先っぽに真珠のついた靴。
どう見てもティ●カーベル(ちなみにDi●ney仕様)です本当にありがとうございました。
「ぷっ……とっても……ククッ……似合ってますよ……ぷくくっ……」
ランプキンが笑いを堪えきれず、顔を真っ赤にさせて口許を押さえながらプルプルしていた。
大の大人がティンカー●ルのコスプレをしている姿はシュールすぎて、さすがのボクもどう対処したらいいのかわからない。
ツッコむべきなのか笑うべきなのか。
「似合ってたまりマスか!
なんでミーだけこんなのデスか!?」
「おや、ティン●ーベルはお嫌いですか?」
「嫌いじゃないデスッ!
いや嫌いじゃないデスけどッ!
それとこれとは話が違いマス!
おかしいデショこれは!ねぇグリル!」
「うーん、本物は金髪だから違和感があるけどいいんじゃないかな?」
「ミーがツッコんでほしいのはそこじゃありマセン……」
グリルの的外れすぎる指摘に脱力するウィズ。
たしかに黒髪にティ●カーベルの衣装はカラーリング的にあんまり合わないけど、今の問題はそこじゃないよね。
まさかあのストロンより似合わない組み合わせが来るとは思わなかったよね。
「どうせならミイラ男とかがよかったデス……」
「それじゃあ(私が)面白くありませんよ。
意外性を狙っていかなくては」
「意外すぎマス!
しかも基準がランとか鬼畜すぎマス!」
「しかもミイラ男とか……なんですか公開拘束プレイをお望みで?」
「ええええなんでそうなるのデスか!?」
「正直貴方、もうかなりヤバイですよ……」
「ミイラ男って言われてその想像に行くランの方がやばいデスカラァァァァッ!!」
コントのような二人の会話に、ボク達は笑わずにはいられなかった。
いや、その前からアホみたいな会話は続いていたのだけれども。
だけど、そろそろ行かなくちゃ。
カービィ達と待ち合わせしてるんだっけ。
マホロアも少し時計を気にし始めていた。
椅子から立ち上がると、何かクイッと引っ張られる感覚がした。
見てみると、ボクの服の裾をグリルがきゅっと掴んでいる。
「グリル?」
「……行っちゃうの?」
グリルはボクの顔を寂しそうに見上げてきた。
すがるような目で見られて、なんだか落ち着かない気持ちになる。
「……一緒に来るのサ?」
「いいのっ?」
グリルは椅子を蹴倒しそうな勢いで立ち上がった。
そんなに喜ばれると逆にこっちが照れる。
「一人くらい増えても問題ないだろ、多分」
「やったあああっ!」
グリルは立ち上がってぎゅっと抱きついてきた。
仕方ないな、と思いながら頭を撫でてやるとマホロアが「ロリコン乙」とボソッと言ったのが聞こえたからとりあえず裏拳で殴っておいた。
「お出掛けならば、お土産に少しお菓子を持っていきなさい」
ランプキンは袋にクッキーやら何やらを詰め始めてくれた。
本当に気が利く人だ。
ドロシアが懲りずに作ったのか暗黒物質(仮)を袋に入れようとしているのを、マホロアが必死に止める。
ちなみにウィズはつまみ食いをしてランプキンに制裁を受けていた。
……あえて内容は伏せておこう。
「では、私達は子供たちが来るのをお待ちしましょうかねぇ」
「あと出来れば普通のチョコとかも用意してもらえるとうれしいかな」
「わかりました。
ちなみにキュウリジュレは」
「いらないから!」
「そんなこと言わずに……」
結局キュウリジュレは押し付けられた……カービィにでも渡そう。
こんな風にアホな会話して、ボケてツッコんでの繰り返し。
こんな日々がどうしようもないくらい楽しくて。
「ホラ、早くしてヨォー!」
「置いてっちゃうよー?」
こんな日々がずっとずっと続けばいいだなんて……ガラにもなく思ったんだ。
「今行くのサ!」
Happy Halloween!
口に出してなんか、言えないけどね
next
→あとがき
カービィたちと仮装パーティをする予定なのサ!
ププビレッジのハロウィンは結構大がかりなイベントだから楽しみなのサ!
……と思っていたんだけど、ウィズから『ローアに集合!』との一方的な迷惑電話が来た。
人の都合も気にせずなんの嫌がらせだ。
苦情を言うためにもボクはとりあえずローアに向かっていた。
あとはハロウィンよろしくお菓子をたかろうかと。
多分ランプキンが張り切って作ってるだろうからね。
逆に約1名ほど絶対に作っててほしくない人がいるんだけど……とりあえず考えないようにしよう、うん。
……というか、ローアってウィズのじゃなくてマホロアのなんじゃ……?
「ま、いいか」と思いながら村を歩いてると、困った顔をしたドロッチェとストロンに出会った。
どうやらストロンが着られる仮装がないらしい。
悪戯心でゴスロリ(フリル多め)を魔法で出してみたら、とても喜ばれた、逆に戸惑う。
ハロウィンとは、どうやらみんな頭がおかしくなるらしい。
そんなことをしているうちに、村の外れに着陸したローアの前に着いた。
スーパー無造作に置かれたそれからは、何か嫌な気配がする。
「……まさかね」
脳裏に過った嫌な予感を押し込みながらローアの扉を開き……愕然とした。
そこは、地獄絵図と化していた。
まずウィズが死んでいた。
……いや、よく見たら生きている。
でも虫の息だ。
よし、放っておこう。
どうせ死なないし。
奥からは黒い煙と焦げ臭さと、鼻につく刺激臭とほのかに美味しそうというカオスすぎる匂いが漂ってきた。
まるで、魔法使いの集会か何かに紛れ込んだような気分になる。
「ねぇ何の儀式!?
何の儀式が行われてるの此処は!?」
思わずボクは叫んでいた。
が、煙を思いっきり吸い込んでむせ返ってしまう。
「マルクッ……!」
咳き込むボクにグリルが抱きついてきた。
後からマホロアも駆け寄ってくる。
何かイタズラでもされるかと身構えてみたけど、そんな気配はない。
二人は真っ青な顔で震えていた。
「な、何が起きてるのさ!?」
そう言いながらもボクの頭の中では、最初から感じていた嫌な予感が強くなっていた。
グリルはともかく、マホロアがこんなに狼狽していることなんて――心当たりは1つしかない。
「ドロシアが……」
聞き取りづらいほどに小さな声で、マホロアが今一番聞きたくなかった人物の名を言う。
酷く嫌な予感が増した。
聞きたくない、これ以上何も聞きたくない。
どうか、頼むから、後生だから、予想が外れてくれと必死に心の中で祈る。
「ドロシアが……料理を作ってるの……」
マホロアから引き継いだグリルの言葉は、ボクの心に重たくのし掛かった。
高いところから真っ逆さまに堕ちていくような感覚に陥る。
やっぱり、という思いとああ…という気持ちがない交ぜになって苦しくなる。
「あら、マルクも帰ってたのね。
おかえりなさい」
唐突に声をかけられて、思わずびくりと肩が震えた。
声のした方を見ると、ドロシアがその場に似合わぬ柔らかな笑みを浮かべて立っていた。
手には何やら黒いものを持ちながら……。
「ドロシア、一応聞くけどその、手に持っているものは何なのサ?」
「あら、見てわからないかしら?
ハロウィン用のお菓子よ!」
見てわからないから聞いているんだけどな。
残念ながらボクには隕石とかダークマターとかの類いにしか見えなかった。
ドロシアは、レシピ通りに忠実に作れば美味しい料理が作れる。
しかし問題なのは、彼女が無駄に料理にも芸術を凝らそうとするあまりに失敗するタイプだということ。
いろいろごっちゃにして入れるから、味はとにかくカオス。
化学反応が起こりすぎて、何を作りたかったのかもわからなくなる。
そして出来上がりは大体黒い。
芸術を目指して作ってるのに出来上がりが黒いとはこれいかに。
ちなみにどういう原理なのか、ドロシアの料理を食べることでボクたちは闇の魔力をチャージすることができるらしい。
だから彼女の料理もほんっっっっの少しだけ食べるなら悪くないのかもしれないけど、今日のコレは何を張り切ってしまったのかいつもより一層闇が深い。
「……ウィズは何があったのサ?」
「わたくしの料理を食べた瞬間、倒れちゃったのよ。
そんなに美味しかったのかしら?」
「うん……そうだね」
予想通りというかなんというか。
というか無自覚って怖い。
ポジティブって怖い。
というか、今目の前に起きている事態が一番怖い。
「……ちなみにこの匂いは?」
「ちょっと焦げちゃったのよ」
なんで焦げただけで鼻を突く刺激臭がするのとか仮に焦げた臭いだとしても尋常じゃないとかちょっとの意味を今すぐググれとかいろいろ言いたい。
でも何か言ったらウィズの二の舞になる、そう悟ったボクはあえて何も言わなかった。
黙ってしまったボクに、ドロシアは優しく微笑みかける。
笑顔は綺麗なのに、手には暗黒物質(仮)を携えて――なにか、こんな作品ありそうだな、とぼうっと考えていた。
「そうだ、貴方たちも食べてみなさいよ」
一気に現実に引き戻された。
ボクらは首が引きちぎれるんじゃないかというほどブンブンと首を振った。
「あら、遠慮なんてしなくて良いのよ?」
遠慮じゃありません、純粋に嫌なんです――そう言えたらどれほど楽だろうか。
しかし、そんなことを言ったら多分ボクの身体は千々に引き裂かれる。
どうしようか、と二人に目を向けたとき、ボクはハッとした。
グリルは、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
この子は幼いから魔力がまだ弱い。
こんなに大量の闇の魔力を取り込んだら、体内の魔力バランスが崩れてしまう……簡単に言うと、多分毒にしかならない。
この子を守らなくては――そんな思いがボクの心に沸き起こった。
マホロアはまだしも、グリルに辛い思いをさせるわけにいかない。
意を決したボクが、震える手を暗黒物質(仮)の方に伸ばし、それを掴もうとしたその時――
「全く、貴方たちは何をしているのですか?
手も洗わずにお菓子を食べてはいけませんよ?」
ランプキンがキッチンから顔を出した。
死の危険に晒されていた今のボク達にとっては、まるでメシアだった。
ランプキンに命を救われたボクらはとりあえず手を洗い、換気をしたキッチンに通された。
ああ、空気ってこんなに美味しかったんだな。
そういえばドロシアが持っていた暗黒物質(仮)が無くなっている。
恐ろしいのと興味が半分、どうしたのだろうかと彼女に聞いてみた。
「ああ、あれ……よくわからないけど霧散しちゃったのよ」
……聞かなきゃよかった。
一気に空気が重くなった気がする。
とりあえずボクは窓を全開にしておいた。
と、そのとき。
チン、と軽快なベルが鳴った。
オーブンの音だ。
「なんかできたの?」
「ああ、ちょうどパンプキンパイが焼けたみたいですね」
ランプキンはミトンをはめて、オーブンから大きなパンプキンパイを取り出した。
パンプキンパイはランプキンの得意料理。
よくボクらのおやつにもなっている。
砂糖よりカボチャ本来の甘味を活かしたのがこだわりらしいそれは、いつもと違わず見事に焼き上がっていた。
美味しそうな甘い香りがボクたちの鼻腔をくすぐる。
思わずお腹が鳴りそうだ。
「今日は小さいお子様もいらっしゃるので、いつもよりシナモンは控え目なんですよ」
「さすが紳士ダネェ」
こういう細かい気遣いができる辺り、本当に紳士だなぁと思う。
ちょっと憧れているのは秘密。
「ネ、ネ、一切れだけ食べてもイイ?」
マホロアがそう聞くと「仕方ありませんね、少しだけですよ?」と笑った。
ボク達もついでに手を伸ばして一切れもらう。
パイの香ばしさとカボチャの甘味が口一杯に広がって、すごく美味しい。
ついついもう一切れ、と手を伸ばしちゃって手をパシリと叩かれた。
「これ以上は駄目です。
子供たちに出す分が無くなってしまいますからね」
「ちえー」
「代わりと言ってはなんですが、クッキーならたくさんあるので食べてもいいですよ」
これもまた見事な出来栄え。
蝙蝠やカボチャの形に抜かれたそれは、美味しそうな黄色をしていた。
そしてやっぱり美味しい。
カボチャの甘味がよく活かされていた。
「他にもあるのかしら?」
「ええ、もちろん!
種類があった方が子供たちにも喜んでもらえますからねぇ」
さすが、抜かり無い。
「なにがあるのー?」
「ええとですね。
パンプキンマドレーヌにパンプキンマカロンがありまして」
「うんうん」
「パンプキンチップス、パンプキンガナッシュにパンプキンカップケーキにパンプキンキャンディーにパンプキンプリンにパンプキンパウンドケーキに飲み物にパンプキンラテとパンプキンティーあと冷凍庫にパンプキンジェラードとスイカバーが」
「チョ待てカボチャ多すぎデショ!?
パンプキンがゲシュタルト崩壊しちゃうヨォ!!」
「あとなんで最後スイカバーなのサ!?」
「同じウリ科のよしみです。
冷凍庫に夏の残りがありましたので」
「ソレボクのおやつダヨォ!?」
「つかカボチャ以外にも何かあるだろ!?」
「えっ……ヘチマクッキーとかキュウリジュレとか需要あるんですか?」
パンプキ……じゃなくてランプキンは心底驚いたような顔をしていた。
「どうしてそうなったっ!?
どうしてそうなったんだっ!?」
「いやだからウリ科のよしみで」
「とりあえずウリ科から離れろ!!」
「……今はランに何言っても無駄デス。
Halloweenで浮かれてマスから……」
なんとかドロシアの食物兵器から復帰したらしいウィズが、ふらふらしながら入ってきた。
まだ少し顔色が悪い。
ウィズは人じゃないから食べ物はあんまり影響しないはずだけど……やっぱりアレ闇の魔力の塊なのか。
「オハヨー、自力生還したンダネェ」
「イエス……ヘヴンが見えマシタ」
「ちょっと待て、浮かれるとヘチマクッキーとかキュウリジュレとか言いだすのサ!?」
「で、実際に作ってみたのですが」
「作るなヨォそんなゲテモノ!」
考えただけかと思ったら本当に作っていやがった。
普通に美味しそうなのがなんかムカつく。
特にキュウリジュレなんてメロンかマスカットみたいな色をしていて綺麗。
「なんて創作的なの……ッ!?
わたくしも負けられないわ!」
「イや負けて良いと思うヨォ!?」
「いやアンタの場合はそれ以前の問題なのサ!」
「……なんかおいしそうに見えてきちゃったよ」
「グリル!正気に戻れなのサ!」
「どんな顔するか楽しみですね……フフフ」
「子供タチにそんなモノ食べさせるノォ!?」
「そんなことしませんよ。
某怪盗がいい年こいて『キミのお菓子を盗みに行くぜ☆』とドヤ顔で言ってきたの是非差し上げようかと」
「ドS!このドSッ!」
「お褒めに預かり光栄です」
「いやミー1ミリたりとも褒めてないデスよ!?」
「あとドロシアも協力してくださるそうで」
「死人を出すつもりデスか!?」
「ちょっとそれどういう意味よ!?」
「フフフ……あの端正な顔立ちがどう歪むか想像するだけで……ぞくぞくしますよ……」
ランプキンの笑みは、明らかにドSのそれだった。
楽しそうで何よりだ。
「見た目年齢23設定の男がハロウィンにお菓子をたかるだなんて、まったく腐った世の中ですよね」
「見た目年齢設定24の男がハロウィンにお菓子を作りまくるのは許されるんデスか!?」
……と、見た目年齢設定25の男が申しております。
とりあえずトンデモお菓子を食べさせられるドロッチェの冥福を祈っておこうかと思う。
「それにしても……偏りすぎだよね」
グリルが苦笑しながら呟いた。
たしかに、テーブルの上にあるお菓子のほとんどが黄色かオレンジをしている。
まぁ、お菓子自体はいっぱいあるんだし(たとえカボチャばかりでも)子供たちが来ても困らないかな。
……カボチャ嫌いな子はドンマイとしか言いようがない。
「ええっ!カボチャが嫌いな人がいるんですか!?
その人は人生の十割損してますよ!」
「まさかの全否定!?」
「謝れ!全国のカボチャ嫌いな人に土下座して謝れ!」
「良いですか?
カボチャというものは……」
それからしばらくカボチャについて熱く語り出すランプキン。
信じられるか?普段はこの人割とツッコミ役なんだぜ……?
「ふぅ……少し、熱くなりすぎてしまいましたかねぇ」
しばらくしてようやくランプキンが落ち着いた。
少しどころじゃなくメチャクチャ燃えていた気がしたけどもういい。
ツッコむの疲れた。
「そういえば衣装はー?」
グリルがワクワクしている目でランプキンに問う。
ランプキンとドロシアが今日の為に衣装を作ってくれているらしい。
「ふふ、ではこれを」
ランプキンがニコリと笑ってステッキを振り上げると、橙色の光の粒子がボクらを包んだ。
そして、バフンッと一瞬煙が上がる。
煙が晴れると、ボクらの服装が変わってた。
黒いローブに尖った帽子。
ボクはまるで魔法使いのような格好をしていた。
いや、実際ボクは魔法使いなんだけどサ。
「貴方は普段魔法使いというよりは道化師ですからね。
逆に新鮮なのではと思いまして」
にこりと笑うランプキン。
たしかに、こんなローブなんてそうそう着ないし新鮮だ。
隣を見てみるとマホロアは海賊の格好をしていた。
「……まさかこのチョイスとは思わなかったヨォ」
「宇宙船も海賊船も大して変わりませんからね」
「全然違うヨォ!?
いやカッコいいからいいケドネェ……」
やっぱり浮かれてる。
あの人めちゃくちゃ浮かれてる。
普段なら多分二人の台詞は逆なのに……。
グリルとドロシアに目を向けてみると、二人もかなり衣装が変わっていた。
グリルは妖精のような、少年のような感じの衣装――エルフだろうか?
とても可愛い。
ドロシアは黒のロングスカートを身に纏い、背中には白い翼が生えていた。
よく見るとその翼は片方だけ不自然に折れ曲がっている。
「グリルはエルフ?」
「ええ、そうです。
ちなみにドロシアは堕天使ですね」
「へええ!ボクちんはエルフか!
ドロシアのも大人っぽくて綺麗!」
「ふふっ、ありがとう。
ミニスカートにしようかとも思ったのだけどね」
「エー、ドロシアの歳デミニスカートはキツひぎぃ!」
今隣で何かが潰れた気がするけどあえてスルーしておこう。
ドロシアに歳の話をしたマホロアが悪い。
「……わたくしよりあっちの方がよっぽどキツいわよ」
忌々しそうに手についた血(恐らくはマホロアの)を薄紫色のハンカチで拭きながら、溜め息をついた。
ドロシアの視線を辿り、視界に異物――もとい、ウィズが入った瞬間の衝撃は説明のしようがない。
ボクはあまりの驚きに顎が外れそうになった。
緑色のミニワンピースに薄い羽。
先っぽに真珠のついた靴。
どう見てもティ●カーベル(ちなみにDi●ney仕様)です本当にありがとうございました。
「ぷっ……とっても……ククッ……似合ってますよ……ぷくくっ……」
ランプキンが笑いを堪えきれず、顔を真っ赤にさせて口許を押さえながらプルプルしていた。
大の大人がティンカー●ルのコスプレをしている姿はシュールすぎて、さすがのボクもどう対処したらいいのかわからない。
ツッコむべきなのか笑うべきなのか。
「似合ってたまりマスか!
なんでミーだけこんなのデスか!?」
「おや、ティン●ーベルはお嫌いですか?」
「嫌いじゃないデスッ!
いや嫌いじゃないデスけどッ!
それとこれとは話が違いマス!
おかしいデショこれは!ねぇグリル!」
「うーん、本物は金髪だから違和感があるけどいいんじゃないかな?」
「ミーがツッコんでほしいのはそこじゃありマセン……」
グリルの的外れすぎる指摘に脱力するウィズ。
たしかに黒髪にティ●カーベルの衣装はカラーリング的にあんまり合わないけど、今の問題はそこじゃないよね。
まさかあのストロンより似合わない組み合わせが来るとは思わなかったよね。
「どうせならミイラ男とかがよかったデス……」
「それじゃあ(私が)面白くありませんよ。
意外性を狙っていかなくては」
「意外すぎマス!
しかも基準がランとか鬼畜すぎマス!」
「しかもミイラ男とか……なんですか公開拘束プレイをお望みで?」
「ええええなんでそうなるのデスか!?」
「正直貴方、もうかなりヤバイですよ……」
「ミイラ男って言われてその想像に行くランの方がやばいデスカラァァァァッ!!」
コントのような二人の会話に、ボク達は笑わずにはいられなかった。
いや、その前からアホみたいな会話は続いていたのだけれども。
だけど、そろそろ行かなくちゃ。
カービィ達と待ち合わせしてるんだっけ。
マホロアも少し時計を気にし始めていた。
椅子から立ち上がると、何かクイッと引っ張られる感覚がした。
見てみると、ボクの服の裾をグリルがきゅっと掴んでいる。
「グリル?」
「……行っちゃうの?」
グリルはボクの顔を寂しそうに見上げてきた。
すがるような目で見られて、なんだか落ち着かない気持ちになる。
「……一緒に来るのサ?」
「いいのっ?」
グリルは椅子を蹴倒しそうな勢いで立ち上がった。
そんなに喜ばれると逆にこっちが照れる。
「一人くらい増えても問題ないだろ、多分」
「やったあああっ!」
グリルは立ち上がってぎゅっと抱きついてきた。
仕方ないな、と思いながら頭を撫でてやるとマホロアが「ロリコン乙」とボソッと言ったのが聞こえたからとりあえず裏拳で殴っておいた。
「お出掛けならば、お土産に少しお菓子を持っていきなさい」
ランプキンは袋にクッキーやら何やらを詰め始めてくれた。
本当に気が利く人だ。
ドロシアが懲りずに作ったのか暗黒物質(仮)を袋に入れようとしているのを、マホロアが必死に止める。
ちなみにウィズはつまみ食いをしてランプキンに制裁を受けていた。
……あえて内容は伏せておこう。
「では、私達は子供たちが来るのをお待ちしましょうかねぇ」
「あと出来れば普通のチョコとかも用意してもらえるとうれしいかな」
「わかりました。
ちなみにキュウリジュレは」
「いらないから!」
「そんなこと言わずに……」
結局キュウリジュレは押し付けられた……カービィにでも渡そう。
こんな風にアホな会話して、ボケてツッコんでの繰り返し。
こんな日々がどうしようもないくらい楽しくて。
「ホラ、早くしてヨォー!」
「置いてっちゃうよー?」
こんな日々がずっとずっと続けばいいだなんて……ガラにもなく思ったんだ。
「今行くのサ!」
Happy Halloween!
口に出してなんか、言えないけどね
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