The first princess
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「ねぇドロッチェ、どうしてボクはこんなことになってるのかなぁ?」
ボクはドロッチェを思い切り睨み付けた。
でも彼はそんなことを気にせず――むしろどこか楽しそうに、ジッとボクを“見下ろしている”。
「そりゃあ、“正月”だから?」
まったくもって意味の分からない返事をされて、ボクは溜め息をつかずにいられなかった。
たしかに今日はお正月だよ。
年が明けてから初詣に行ったり、おみくじを引いたりとか、お正月らしいこともした。
「お願いなににしたんだ?」「えへへー秘密!」「なんだよー」みたいなテンプレ通りのバカップルな会話もしたけど何か文句ある?
ちなみにボクは「今年もドロッチェと幸せな年になりますように」ってお願いした。
あとおみくじはドロッチェは大吉でボクは吉だった。
ところで吉>中吉だと知っている人ってどれくらいいるのかな?
だからボクの結果だって悪くはないはずだけど、ドロッチェが得意そうな顔をしてなんとなく悔しかった。
……ボクのには『盗難注意』って書いてあって、「カービィのもの盗むなんて度胸あるな……地底の底まで追ってくるっつの」と遠い目をしていたドロッチェには一瞬本気でトルネイドしてやろうかとも思った。
我慢したボクはとっても優しいと思う。
その後は会った皆で羽子板やりまくって発展しすぎた結果、広場に穴が開いたけれど大丈夫だ、問題ない。
まぁそんなこんなあったけど、ごく普通のお正月デートだった。
帰ってきて後はゆっくり休もうと思っていた。
「……ハズなのに、なんでボクはキミに押し倒されてるのかな?」
泊まっていくと言ってきた時点である程度の察しはついていたけれど、まさかこんなに積極的になるとは思わなかった。
チューリン族は新年も発情期なの?と問えばクスリと微笑む。
それが肯定なのか否定なのかはイマイチわからないけど、どっちでも結果は変わらない気がする……。
「なぁカービィ、『姫はじめ』って知ってるか?」
「ひめ……はじ、め?」
唐突な問いに、ボクは首を傾げる。
初めて聞いた単語だ。
でもなんだか絵本とか童話に出てきそうな可愛らしい響きだな、と思った。
普通の女の子だった子が素敵な王子様に出会ってお姫様になる、みたいなロマンチックさを感じる。
「姫はじめ、っていうのは年が明けて初めてのセッ〇スのことだ」
ロマンチックさなんてなかった。皆無だった。
そんな単語が絵本とか童話に出てきたらその時点で子供向けじゃないよ。
ただのエロ本だよ。
何だってそんな可愛らしい名前を付けたんだと小一時間ほど問い詰めたい。
ボクが謎のショックを受けている隙に、彼は本格的にグッと身を寄せてきた。
「フッ……お正月のシメはやっぱこれだと思うんだ」
「なにその謎のこだわり」
「ほら、脚開け。
開けましておめでとうするぞ」
「上手いこと言ったつもりかもしれないけど全然上手くないからね!」
脚の間に無理矢理体を滑り込ませようとして来るのを、こっちも負けじと押し止める。
別に行為自体はそこまで嫌なわけじゃないけど、なんだかここで許したら今年も彼のペースに乗せられっぱなしになっちゃう気がして。
本気で抵抗していないのもわかってるだろうから、ドロッチェも引かない。
「それ、別にお正月じゃなきゃダメってわけじゃないでしょ!」と叫ぶ。
「正月だからこそしたい。
今日という新年最初の日に愛し合えば、今年もいい年になると思うんだ……」
ズルい。
なんでこの絶妙なタイミングで、そんな切なさの滲む顔をするの。
目を奪われて思わず抵抗を止めると、素早く唇を塞がれた。
軽く、優しく、触れるだけの口付け。
思い切って舌を入れようかと思うとフッと離れていった。
物足りないくらいのそれは明らかに確信犯だ。
「ぅ、あ……」
唇は離れ、頬や首に触れてキスの雨を降らせる。
どれも軽いものばかりで、それなのに身体は熱を持って尚彼を求めていた。
悔しい。
「フ……やっと蕩けてきたな、強情なお姫様?」
本当はとうの昔にそうなっていたこともわかってるくせに。
ツツ、と頬に指を這わされただけでぴくっと反応する身体に少しの苛立ちを覚える。
少し涙でぼやけたボクの視界の中でも失われない光を灯したドロッチェの瞳は、満足そうにボクを見ていた。
ああもうだめだ、完全にドロッチェのペースだ。
本気で拒絶しない限りはどんどん彼に引きずり込まれてしまう。
でも本気で拒絶することなんてできなくて、悔しいのに愛しくて。
彼は顔をボクの顔に寄せ、唇が触れるか触れないかのあたりでピタッと止まった。
「……今年も全身、愛してやるからな」
そんな風に吐息交じりの声で囁かれたら、身も心も完全に奪われてしまう。
そう思ったとき、ボクはピンと閃いた。
「……あ」
「どうした?」
「おみくじ当たってた」
「は?」
「ドロッチェに盗まれてた」
「えっ、え?オレなんか知らないうちに盗んだか……?」
「それとも何か借りっぱなしなのか?」と少し眉間に皺を寄せて考え込むあたり、やっぱり本質は律儀なのだろう。
こんなに悩んでいるということは、本当に何も盗んでいないという証明になるのかもしれない。
少なくとも、物理的には。
「……もう取り返せない、ね」
そう呟いてボクはドロッチェの唇に自らのものを重ねた。
悔しいとか、もうそんなもの全部どうでもよくなってた。
ちょっと舌を出せば、今度は彼がすぐにそれを絡めて。
やっと得られたその熱に、胸の高鳴りが止まらなかった。
唇を離して彼を見ると、さっきの困惑は綺麗になくなっていた。
おそらくは察しがついたのだろう。
「言っておくが返す気は全く無い」
「返される気もないしね」
そう言って二人で笑い合う。
ぎゅ、と彼の身体に抱き付けば、痛くない程度に強く抱き締め返してくれた。
新年早々こんなに幸せなら、本当に今年もいい年になるだろう。
「ねぇ、ドロッチェ」
「なぁ、カービィ」
「「今年も、よろしく」」
The first princess
(結局こうなるんだよね)
NEXT
→あとがき
ボクはドロッチェを思い切り睨み付けた。
でも彼はそんなことを気にせず――むしろどこか楽しそうに、ジッとボクを“見下ろしている”。
「そりゃあ、“正月”だから?」
まったくもって意味の分からない返事をされて、ボクは溜め息をつかずにいられなかった。
たしかに今日はお正月だよ。
年が明けてから初詣に行ったり、おみくじを引いたりとか、お正月らしいこともした。
「お願いなににしたんだ?」「えへへー秘密!」「なんだよー」みたいなテンプレ通りのバカップルな会話もしたけど何か文句ある?
ちなみにボクは「今年もドロッチェと幸せな年になりますように」ってお願いした。
あとおみくじはドロッチェは大吉でボクは吉だった。
ところで吉>中吉だと知っている人ってどれくらいいるのかな?
だからボクの結果だって悪くはないはずだけど、ドロッチェが得意そうな顔をしてなんとなく悔しかった。
……ボクのには『盗難注意』って書いてあって、「カービィのもの盗むなんて度胸あるな……地底の底まで追ってくるっつの」と遠い目をしていたドロッチェには一瞬本気でトルネイドしてやろうかとも思った。
我慢したボクはとっても優しいと思う。
その後は会った皆で羽子板やりまくって発展しすぎた結果、広場に穴が開いたけれど大丈夫だ、問題ない。
まぁそんなこんなあったけど、ごく普通のお正月デートだった。
帰ってきて後はゆっくり休もうと思っていた。
「……ハズなのに、なんでボクはキミに押し倒されてるのかな?」
泊まっていくと言ってきた時点である程度の察しはついていたけれど、まさかこんなに積極的になるとは思わなかった。
チューリン族は新年も発情期なの?と問えばクスリと微笑む。
それが肯定なのか否定なのかはイマイチわからないけど、どっちでも結果は変わらない気がする……。
「なぁカービィ、『姫はじめ』って知ってるか?」
「ひめ……はじ、め?」
唐突な問いに、ボクは首を傾げる。
初めて聞いた単語だ。
でもなんだか絵本とか童話に出てきそうな可愛らしい響きだな、と思った。
普通の女の子だった子が素敵な王子様に出会ってお姫様になる、みたいなロマンチックさを感じる。
「姫はじめ、っていうのは年が明けて初めてのセッ〇スのことだ」
ロマンチックさなんてなかった。皆無だった。
そんな単語が絵本とか童話に出てきたらその時点で子供向けじゃないよ。
ただのエロ本だよ。
何だってそんな可愛らしい名前を付けたんだと小一時間ほど問い詰めたい。
ボクが謎のショックを受けている隙に、彼は本格的にグッと身を寄せてきた。
「フッ……お正月のシメはやっぱこれだと思うんだ」
「なにその謎のこだわり」
「ほら、脚開け。
開けましておめでとうするぞ」
「上手いこと言ったつもりかもしれないけど全然上手くないからね!」
脚の間に無理矢理体を滑り込ませようとして来るのを、こっちも負けじと押し止める。
別に行為自体はそこまで嫌なわけじゃないけど、なんだかここで許したら今年も彼のペースに乗せられっぱなしになっちゃう気がして。
本気で抵抗していないのもわかってるだろうから、ドロッチェも引かない。
「それ、別にお正月じゃなきゃダメってわけじゃないでしょ!」と叫ぶ。
「正月だからこそしたい。
今日という新年最初の日に愛し合えば、今年もいい年になると思うんだ……」
ズルい。
なんでこの絶妙なタイミングで、そんな切なさの滲む顔をするの。
目を奪われて思わず抵抗を止めると、素早く唇を塞がれた。
軽く、優しく、触れるだけの口付け。
思い切って舌を入れようかと思うとフッと離れていった。
物足りないくらいのそれは明らかに確信犯だ。
「ぅ、あ……」
唇は離れ、頬や首に触れてキスの雨を降らせる。
どれも軽いものばかりで、それなのに身体は熱を持って尚彼を求めていた。
悔しい。
「フ……やっと蕩けてきたな、強情なお姫様?」
本当はとうの昔にそうなっていたこともわかってるくせに。
ツツ、と頬に指を這わされただけでぴくっと反応する身体に少しの苛立ちを覚える。
少し涙でぼやけたボクの視界の中でも失われない光を灯したドロッチェの瞳は、満足そうにボクを見ていた。
ああもうだめだ、完全にドロッチェのペースだ。
本気で拒絶しない限りはどんどん彼に引きずり込まれてしまう。
でも本気で拒絶することなんてできなくて、悔しいのに愛しくて。
彼は顔をボクの顔に寄せ、唇が触れるか触れないかのあたりでピタッと止まった。
「……今年も全身、愛してやるからな」
そんな風に吐息交じりの声で囁かれたら、身も心も完全に奪われてしまう。
そう思ったとき、ボクはピンと閃いた。
「……あ」
「どうした?」
「おみくじ当たってた」
「は?」
「ドロッチェに盗まれてた」
「えっ、え?オレなんか知らないうちに盗んだか……?」
「それとも何か借りっぱなしなのか?」と少し眉間に皺を寄せて考え込むあたり、やっぱり本質は律儀なのだろう。
こんなに悩んでいるということは、本当に何も盗んでいないという証明になるのかもしれない。
少なくとも、物理的には。
「……もう取り返せない、ね」
そう呟いてボクはドロッチェの唇に自らのものを重ねた。
悔しいとか、もうそんなもの全部どうでもよくなってた。
ちょっと舌を出せば、今度は彼がすぐにそれを絡めて。
やっと得られたその熱に、胸の高鳴りが止まらなかった。
唇を離して彼を見ると、さっきの困惑は綺麗になくなっていた。
おそらくは察しがついたのだろう。
「言っておくが返す気は全く無い」
「返される気もないしね」
そう言って二人で笑い合う。
ぎゅ、と彼の身体に抱き付けば、痛くない程度に強く抱き締め返してくれた。
新年早々こんなに幸せなら、本当に今年もいい年になるだろう。
「ねぇ、ドロッチェ」
「なぁ、カービィ」
「「今年も、よろしく」」
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