I'm not lolicon!
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「メタナイト卿、今時間ある?
少し話があるのだけど……」
ちょうど私が村の巡回を終えて城に帰ってきたときのことだ。
フームがとても深刻な顔で話しかけてきた。
一体何事だろう。
「話、というか相談かしら……」
「どうした?」
「最近、カービィの元気がないみたいなの……」
「カービィの……!?」
カービィの話と聞いて、自分でも呆れるくらいに真剣になった。
……いや、たとえフーム個人の問題でも真剣に聞いていたとは思うが。
「溜め息を沢山ついていて、どうしたの?って聞いても『なんでもないよ!』って……」
「……それは……カービィにだって悩みの一つ二つはあるだろう……」
彼女だって年頃、悩みがあっても不思議でないだろう。
というか、一つくらい悩みがないと逆に将来が心配になる。
それを無理に詮索するのはお節介というものだ。
「でも食欲もないみたい。
昨日なんてご飯を三杯しか食べなかったのよ!」
「なん…だと……」
カービィはとにかく食べる。
物凄く食べる。
それは今ちょうど成長期に当たる時期にあるからだが、元々食べるのが好きな性質もある。
ご飯三倍は、彼女にしてみればかなり少ない方だ。
食欲を無くすほど、よっぽど何かに悩んでいるのだろうか。
だとしたらなんとかするべきだろう。
「だから、メタナイト卿もカービィに聞いてみてくれないかしら……あの子、あなたにかなりなついているから。
もしかしたら貴方になら話してくれるかもしれない」
「そうだろうか……」
「ええ、多分……」
そう答える彼女は、少し寂しそうに笑っていた。
フームと別れ、私はカービィの家へと向かった。
飛びながら、彼女の言っていた言葉を思い出す。
『あの子、あなたになついているから……』
そう言われて悪い気はしない。
……いや、むしろ嬉しい。
元々カービィは人懐っこい。
それを差し引いても、やはりフームの言葉は嬉しかった。
それにしても、いったい彼女は食欲を無くすほど何に悩まされていうのだろうか。
……まぁ、例え話してくれなくとも、いつでも私が力になるということだけでもわかってくれればいい。
考え事をしているうちに、彼女の家の前に着いた。
コンコン、と扉を叩く。
「はーい?」
扉の向こうから声が返ってきた。
その声は元気で、悩んでいるようには聞こえない。
「カービィ、私だが」
「めっ、めたないときょー!?」
少し声が裏返っていた。
私の訪問はそんなに驚かれることなのだろうか。
……まぁ、珍しいことだ、仕方がない。
「今少し話せるか?」
「う、うんっ、もちろん!
でもちょっとだけ待って!」
ガタガタゴトゴトと不可解な音がしてくる……。
いったい何をしているのだろう。
少し経つとその音は鳴り止んだ。
カービィは扉を細く開け、おずおずとこちらを見上げてきた。
「ど、どうぞ……」
……少し顔が赤いような気がするのは気のせいなのだろうか?
「ああ、邪魔する」
彼女の家は、歳のわりにはきちんと片付いていた。
以前来た時よりも掃除も行き届いているように感じる。
ふと、先程の音は彼女が部屋を片付けている音だったのでは、という疑惑が沸き上がった。
そういう意識が芽生えたことは喜ばしいことだ。
「いきなりどうしたの?
メタナイトきょーがボクの家に来るなんて珍しいよね」
「ああ、そなたに少し聞きたいことがあって……
しかしその前に、もしかしてそなた熱があるのでは?」
もしかして風邪のせいなのでは、そう思った私は彼女の額に手を当てる。
「ひあっ!」
パシン、と乾いた音がした。
少し遅れてわずかな痛みと熱が私の手に走る。
カービィの額に当てた掌は、振り払われていた。
予想していなかった反応に、驚きと少しのショックを感じずにはいられなかった。
しかしそれよりも、目の前の彼女の方がショックを感じているようだった。
「ごっ、ごめんなさい!
そんなつもりじゃなかったの!
……いたかった?」
慌ててふためく彼女に、先程のショックも忘れて頬を緩むのを感じた。
きっと唐突に手を伸ばされて驚いただけで、悪気は無かったのだ。
怒る理由はない。
「大丈夫だ、だからそんなに謝らないでくれ」
「うん……ありがとう」
そう言うと彼女は小さく笑った。
その笑みはどこか、今までの彼女よりも大人びて見える。
ふと、彼女が以前より少し痩せているように見えた。
食欲が無いせいなのだろうか……。
それが体調によるものか精神的なものかはわからないが、とにかく聞いてみるのが先決だ。
「ところで……体調が悪いのか?
それとも何かに悩みでも
元気も食欲も無いと、フームが心配していたぞ」
「えっ……」
カービィは驚きに目を見開くと、そのまま言葉を失ってしまった。
そして不安そうに目を泳がせる様子も、普段の彼女らしくない。
「……もし何かに悩んでいたら、私で良ければ是非とも話してほしい。
できる限り力になりたい」
それは建て前などでなく、私の本心だった。
もちろん私にできることには限界があるだろうし、苦難は彼女が乗り越えるしかない。
それでも、少しでも楽になるのなら力になりたかった。
「メタナイ、ト、きょ……っ」
カービィの青い瞳から透明な粒がポロポロと零れ落ちた。
まさかいきなり泣かれるとは予想だにしていなかったから、どうしたら良いのかわからなくなってしまう。
だが、目の前で泣く彼女をどうにかしてあげたい気持ちが一層沸き起こった。
泣いている彼女を見ていると、胸が締め付けられるように苦しくなった。
「どうした?
ゆっくりでいいから話してごらん?」
「あの、ね………ボク、病気かもしれない………」
「病気?どこか痛いのか!?」
私が声を荒げて驚いたのか、カービィがビクリと身体を震わせた。
罪悪感が沸き起こる。
自分が病気かもしれなくてただでさえ不安なのだから、努めて優しくし、安心させてやらねば……。
「どこが痛いのか教えてくれるか?」
顔を上げたカービィと目が合う。
その瞳の綺麗さに、不覚にも目を奪われてしまった。
彼女の瞳の色は、こんなに深かっただろうか。
「胸が……苦しいの……」
「胸が?」
つまりは心臓ということか……?
それは大変だ。
心臓というと命に繋がりやすいどころか直結しているではないか。
「どのように痛くなる?」
「え、えっとね……キューってして、ドキドキするの……」
狭心症か?それとも不整脈か?
医療にはあまり詳しくないから、それだけではわからない……。
ヤブイ殿のところに連れて行った方がいいのかもしれない。
「では、いつも痛いのか?
それとも決まった時間があるとか、運動したあととかそういうのはあるのか?」
私は自分でも驚くほどに慌てていた。
頻度や条件を聞いたからといって自分に何かわかるわけでもないのに、それでも聞かずにはいられなかった。
「なんかね……っ、メタナイトきょーのこと考えると、苦しくなるの……」
「なっ……?」
一瞬何を言われているのかわからなかった。
ドクン、と心臓が高鳴る。
「そ、それはどういう……?」
「ボクもわかんないの……」
ちょっと待て。
それってもしや俗に言う……
いや、まさか……え?
「ち、ちなみに今は……?」
「今は痛くないよ……。
でもね、壊れたみたいにドキドキしてるの……」
「っ……!」
涙を流しながら上目遣いで私を見つめている。
子供だとばかり思っていたが、その表情は余りにも官能的で。
「ボク、しんじゃうのかな……こんなに苦しいの、おかしいよ……」
「……おかしくなどない」
私はいつの間にか彼女を抱き寄せていた。
柔らかな感触と、微かに感じる彼女自身の芳香に目眩を起こしそうになる。
「め、めたないときょ……っ!?」
彼女の驚いた声にハッと我に返り、慌てて離れる。
「す、すまない!」
「ううん、大丈夫……」
カービィはまだ潤んだ目でポーッと私を見つめている。
幼さと危うさとのギリギリの均衡に立つ彼女は酷く魅力的で、こちらが泣きたくなってくる。
再び抱き寄せたくなる衝動を飲み込んだ。
もう一度抱き締めたら、きっと戻れなくなってしまう。
離れたくなくなってしまう――そう思っている時点で、手遅れなのだろうか。
「……カービィ、それは全くおかしくはないんだ……それは大人になる階段だ」
「そうなの……?」
彼女は心の底から驚いたようだった。
しかし病気ではないと安心したのか、その瞳は先ほどよりも明るい光を宿していた。
「しかし、このことはあまり人には言ってはいけない……」
「そうなんだ……」
「辛くなったら私に言いなさい。
私とだけの秘密だ、わかったか?」
「うんっ!」
頭を撫でてやると嬉しそうに笑う。
その様子はまだまだあどけない。
しかし、彼女はたしかに成長していた。
身も心も、少しずつ。
その事に胸がどうしようもなく轟いた。
彼女の中に芽生え始めた感情……それはもしかして……
駄目だ、一時的な感情に流されてはいけない。
歳上の男性に憧れるということは、少女時代にはよくあることだろう。
いつかはその感情は薄れ、もっと歳の近い彼女にふさわしい男子を好きになるだろう。
そう思うと、なぜか胸がチクリ痛んだ。
微かな痛みは酷さを増し、ヒリヒリしてくる。
それはまるで火傷のあとのように熱を持っていた。
この胸の轟きは、娘もしくは妹が成長した喜びに似た物に違いない。
この胸の痛みは、娘が親離れしていく心持ちに違いない。
きっと私は寂しいのだろう、兄か父のように慕ってくれている彼女だから。
だがそれだけだ。
特別な感情はない。
……そう思い込まなければ、やり過ごすことができなかった。
この気持ちは決して恋心ではない。
だいいち、私と彼女では年齢が違いすぎる。
私の見た目成長は既に相当ゆっくりなペースになっているに比べ、彼女は半年もすればかなり育つだろう。
だが、実年齢があまりにも違いすぎる……
もし、万が一、仮に私が彼女のことを好きになるようなことがあったら……俗に言うロリコンではないか。
いや違う!私は決してロリコンではない!
たしかにカービィのことは可愛いと思う。
それは認めよう。
しかし……
「よかった!ボク病気じゃなくて!」
花のようにニッコリと笑う彼女――思わず見とれてしまう。
もしこれが病の兆候ならば、ただ1つだけ主張したいことがある。
I'm not lolicon!
(私はロリコンではない!)
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→あとがき
少し話があるのだけど……」
ちょうど私が村の巡回を終えて城に帰ってきたときのことだ。
フームがとても深刻な顔で話しかけてきた。
一体何事だろう。
「話、というか相談かしら……」
「どうした?」
「最近、カービィの元気がないみたいなの……」
「カービィの……!?」
カービィの話と聞いて、自分でも呆れるくらいに真剣になった。
……いや、たとえフーム個人の問題でも真剣に聞いていたとは思うが。
「溜め息を沢山ついていて、どうしたの?って聞いても『なんでもないよ!』って……」
「……それは……カービィにだって悩みの一つ二つはあるだろう……」
彼女だって年頃、悩みがあっても不思議でないだろう。
というか、一つくらい悩みがないと逆に将来が心配になる。
それを無理に詮索するのはお節介というものだ。
「でも食欲もないみたい。
昨日なんてご飯を三杯しか食べなかったのよ!」
「なん…だと……」
カービィはとにかく食べる。
物凄く食べる。
それは今ちょうど成長期に当たる時期にあるからだが、元々食べるのが好きな性質もある。
ご飯三倍は、彼女にしてみればかなり少ない方だ。
食欲を無くすほど、よっぽど何かに悩んでいるのだろうか。
だとしたらなんとかするべきだろう。
「だから、メタナイト卿もカービィに聞いてみてくれないかしら……あの子、あなたにかなりなついているから。
もしかしたら貴方になら話してくれるかもしれない」
「そうだろうか……」
「ええ、多分……」
そう答える彼女は、少し寂しそうに笑っていた。
フームと別れ、私はカービィの家へと向かった。
飛びながら、彼女の言っていた言葉を思い出す。
『あの子、あなたになついているから……』
そう言われて悪い気はしない。
……いや、むしろ嬉しい。
元々カービィは人懐っこい。
それを差し引いても、やはりフームの言葉は嬉しかった。
それにしても、いったい彼女は食欲を無くすほど何に悩まされていうのだろうか。
……まぁ、例え話してくれなくとも、いつでも私が力になるということだけでもわかってくれればいい。
考え事をしているうちに、彼女の家の前に着いた。
コンコン、と扉を叩く。
「はーい?」
扉の向こうから声が返ってきた。
その声は元気で、悩んでいるようには聞こえない。
「カービィ、私だが」
「めっ、めたないときょー!?」
少し声が裏返っていた。
私の訪問はそんなに驚かれることなのだろうか。
……まぁ、珍しいことだ、仕方がない。
「今少し話せるか?」
「う、うんっ、もちろん!
でもちょっとだけ待って!」
ガタガタゴトゴトと不可解な音がしてくる……。
いったい何をしているのだろう。
少し経つとその音は鳴り止んだ。
カービィは扉を細く開け、おずおずとこちらを見上げてきた。
「ど、どうぞ……」
……少し顔が赤いような気がするのは気のせいなのだろうか?
「ああ、邪魔する」
彼女の家は、歳のわりにはきちんと片付いていた。
以前来た時よりも掃除も行き届いているように感じる。
ふと、先程の音は彼女が部屋を片付けている音だったのでは、という疑惑が沸き上がった。
そういう意識が芽生えたことは喜ばしいことだ。
「いきなりどうしたの?
メタナイトきょーがボクの家に来るなんて珍しいよね」
「ああ、そなたに少し聞きたいことがあって……
しかしその前に、もしかしてそなた熱があるのでは?」
もしかして風邪のせいなのでは、そう思った私は彼女の額に手を当てる。
「ひあっ!」
パシン、と乾いた音がした。
少し遅れてわずかな痛みと熱が私の手に走る。
カービィの額に当てた掌は、振り払われていた。
予想していなかった反応に、驚きと少しのショックを感じずにはいられなかった。
しかしそれよりも、目の前の彼女の方がショックを感じているようだった。
「ごっ、ごめんなさい!
そんなつもりじゃなかったの!
……いたかった?」
慌ててふためく彼女に、先程のショックも忘れて頬を緩むのを感じた。
きっと唐突に手を伸ばされて驚いただけで、悪気は無かったのだ。
怒る理由はない。
「大丈夫だ、だからそんなに謝らないでくれ」
「うん……ありがとう」
そう言うと彼女は小さく笑った。
その笑みはどこか、今までの彼女よりも大人びて見える。
ふと、彼女が以前より少し痩せているように見えた。
食欲が無いせいなのだろうか……。
それが体調によるものか精神的なものかはわからないが、とにかく聞いてみるのが先決だ。
「ところで……体調が悪いのか?
それとも何かに悩みでも
元気も食欲も無いと、フームが心配していたぞ」
「えっ……」
カービィは驚きに目を見開くと、そのまま言葉を失ってしまった。
そして不安そうに目を泳がせる様子も、普段の彼女らしくない。
「……もし何かに悩んでいたら、私で良ければ是非とも話してほしい。
できる限り力になりたい」
それは建て前などでなく、私の本心だった。
もちろん私にできることには限界があるだろうし、苦難は彼女が乗り越えるしかない。
それでも、少しでも楽になるのなら力になりたかった。
「メタナイ、ト、きょ……っ」
カービィの青い瞳から透明な粒がポロポロと零れ落ちた。
まさかいきなり泣かれるとは予想だにしていなかったから、どうしたら良いのかわからなくなってしまう。
だが、目の前で泣く彼女をどうにかしてあげたい気持ちが一層沸き起こった。
泣いている彼女を見ていると、胸が締め付けられるように苦しくなった。
「どうした?
ゆっくりでいいから話してごらん?」
「あの、ね………ボク、病気かもしれない………」
「病気?どこか痛いのか!?」
私が声を荒げて驚いたのか、カービィがビクリと身体を震わせた。
罪悪感が沸き起こる。
自分が病気かもしれなくてただでさえ不安なのだから、努めて優しくし、安心させてやらねば……。
「どこが痛いのか教えてくれるか?」
顔を上げたカービィと目が合う。
その瞳の綺麗さに、不覚にも目を奪われてしまった。
彼女の瞳の色は、こんなに深かっただろうか。
「胸が……苦しいの……」
「胸が?」
つまりは心臓ということか……?
それは大変だ。
心臓というと命に繋がりやすいどころか直結しているではないか。
「どのように痛くなる?」
「え、えっとね……キューってして、ドキドキするの……」
狭心症か?それとも不整脈か?
医療にはあまり詳しくないから、それだけではわからない……。
ヤブイ殿のところに連れて行った方がいいのかもしれない。
「では、いつも痛いのか?
それとも決まった時間があるとか、運動したあととかそういうのはあるのか?」
私は自分でも驚くほどに慌てていた。
頻度や条件を聞いたからといって自分に何かわかるわけでもないのに、それでも聞かずにはいられなかった。
「なんかね……っ、メタナイトきょーのこと考えると、苦しくなるの……」
「なっ……?」
一瞬何を言われているのかわからなかった。
ドクン、と心臓が高鳴る。
「そ、それはどういう……?」
「ボクもわかんないの……」
ちょっと待て。
それってもしや俗に言う……
いや、まさか……え?
「ち、ちなみに今は……?」
「今は痛くないよ……。
でもね、壊れたみたいにドキドキしてるの……」
「っ……!」
涙を流しながら上目遣いで私を見つめている。
子供だとばかり思っていたが、その表情は余りにも官能的で。
「ボク、しんじゃうのかな……こんなに苦しいの、おかしいよ……」
「……おかしくなどない」
私はいつの間にか彼女を抱き寄せていた。
柔らかな感触と、微かに感じる彼女自身の芳香に目眩を起こしそうになる。
「め、めたないときょ……っ!?」
彼女の驚いた声にハッと我に返り、慌てて離れる。
「す、すまない!」
「ううん、大丈夫……」
カービィはまだ潤んだ目でポーッと私を見つめている。
幼さと危うさとのギリギリの均衡に立つ彼女は酷く魅力的で、こちらが泣きたくなってくる。
再び抱き寄せたくなる衝動を飲み込んだ。
もう一度抱き締めたら、きっと戻れなくなってしまう。
離れたくなくなってしまう――そう思っている時点で、手遅れなのだろうか。
「……カービィ、それは全くおかしくはないんだ……それは大人になる階段だ」
「そうなの……?」
彼女は心の底から驚いたようだった。
しかし病気ではないと安心したのか、その瞳は先ほどよりも明るい光を宿していた。
「しかし、このことはあまり人には言ってはいけない……」
「そうなんだ……」
「辛くなったら私に言いなさい。
私とだけの秘密だ、わかったか?」
「うんっ!」
頭を撫でてやると嬉しそうに笑う。
その様子はまだまだあどけない。
しかし、彼女はたしかに成長していた。
身も心も、少しずつ。
その事に胸がどうしようもなく轟いた。
彼女の中に芽生え始めた感情……それはもしかして……
駄目だ、一時的な感情に流されてはいけない。
歳上の男性に憧れるということは、少女時代にはよくあることだろう。
いつかはその感情は薄れ、もっと歳の近い彼女にふさわしい男子を好きになるだろう。
そう思うと、なぜか胸がチクリ痛んだ。
微かな痛みは酷さを増し、ヒリヒリしてくる。
それはまるで火傷のあとのように熱を持っていた。
この胸の轟きは、娘もしくは妹が成長した喜びに似た物に違いない。
この胸の痛みは、娘が親離れしていく心持ちに違いない。
きっと私は寂しいのだろう、兄か父のように慕ってくれている彼女だから。
だがそれだけだ。
特別な感情はない。
……そう思い込まなければ、やり過ごすことができなかった。
この気持ちは決して恋心ではない。
だいいち、私と彼女では年齢が違いすぎる。
私の見た目成長は既に相当ゆっくりなペースになっているに比べ、彼女は半年もすればかなり育つだろう。
だが、実年齢があまりにも違いすぎる……
もし、万が一、仮に私が彼女のことを好きになるようなことがあったら……俗に言うロリコンではないか。
いや違う!私は決してロリコンではない!
たしかにカービィのことは可愛いと思う。
それは認めよう。
しかし……
「よかった!ボク病気じゃなくて!」
花のようにニッコリと笑う彼女――思わず見とれてしまう。
もしこれが病の兆候ならば、ただ1つだけ主張したいことがある。
I'm not lolicon!
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