煽り耐性:ゼロ
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「ブレイドー」
二人きりの夜のこと、ソードは急にブレイドの後ろから抱きついた。
油断していたからか、彼女は完全に面喰ってしまった。
「な、なんだよ急に!」
「……」
ブレイドは真っ赤な顔で抗議したが、ソードは黙ったまま彼女の頭部に顔を埋めた。
「……ブレイド、髪いい匂い」
「そりゃシャンプーしたてだからな、でもそんなに嗅ぐな」
実際彼女は風呂上りであった。
彼はまだ少し湿った彼女の緋色の髪を二、三度梳くと、上気した肌に誘われるように首筋に顔を埋めた。
更に甘えるように頬を彼女の右肩に置いて、そのまま瞳を閉じる。
かかる吐息がくすぐったくて彼女はわずかに身をよじろうとするが、離す気配はない。
「……なんだ、甘えたいのか?」
ブレイドはクスリと笑うと、空いてる方の左手で彼の頭を撫でた。
彼女の前にシャンプーした翠の髪は、ほとんど乾ききっていた。
しばらく彼女が撫でていると、パチ、とソードの瞳が開かれた。
翡翠を思わせる潤んだ瞳が、彼女の緋い瞳を射抜く。
「ブレイド……」
「なんだ?」
「首が痛い」
「おまえはバカか」
ブレイドは苦笑しながら呆れた目でソードを見た。
いくら彼女が女性の中では大きいとはいえ、ソードとの身長差はそれなりにある。
急な角度に首を曲げた彼の体勢は辛いだろう。
「そりゃそんな体勢でいたら首も痛っ……ふ……っ」
有無を言わさず彼女の唇を塞ぎ、すぐに離す。
「こっち向けよ」と言いながら、彼女の身体を回転させ自分の方に向けた。
「いやおまえが後ろから来たんだろ?」とブレイドはツッコみたかったが、あえて何も言わない。
真っ直ぐに見つめられて、ふとブレイドは違和感を覚えた。
少しだけ、普段の彼と雰囲気が違っていた。
「ブレイド」
「……なんだ?」
「愛してる」
「ちょっ……いきなり何言って……!」
再びソードが彼女の唇を塞いだ。
慌てて瞳を閉じ、そろそろと彼の身体に腕を回すブレイド。
幾度か啄むような口付けを繰り返した後、ソードが「開けろ」と言わんばかりに舌先で彼女の唇をなぞる。
少し物足りなさを感じ始めていたブレイドが少しだけ口を開けば、すかさず舌を侵入させて彼女の舌を探り当てた。
「ん……ふっ……」
熱い吐息の狭間に漏れる声が、甘い蜜を孕んでいく。
頭の芯が痺れて、お互いの事しかわからないほどに。
少し眩暈すら起こし始め、ブレイドはソードの身体にもたれかかった。
それに応えるように、彼もグッと腰を抱き寄せた。
蕩けた身体ではされるがままにしかならない。
更に身体が密着して、彼女の心臓が脈打った。
それからどれくらい繋がっていたのか、離れた彼女の顔はもうすっかり惚けていた。
ふわふわする頭を何とか落ち着かせようと息をつこうとした……が、すぐに浮遊感が身を襲う。
ソードが彼女を抱き上げ、ベッドの方へ向かっていたのだ。
これから起こる甘い予感が脳裏をかすめ、それを隠すように彼女は身体を縮こませた。
寝室はほとんど真っ暗だった。
お互いの輪郭がかろうじて認識できるくらいだ。
ソードは自分のベッドの上に彼女を降ろすと、そのまま覆い被さった。
予想はしていた展開だが、ブレイドの心臓が普段よりも一段高く跳ね上がった。
ソードは彼女にスッと顔を近づける。
吐息すら感じる至近距離だが、前髪が目にかかっていて、彼の表情が上手く読み取れない。
「駄目、卿が帰ってくる……」
「今夜は帰ってこない」
「で、でも……!」
ブレイドはなんとかソードの身体を押しのけようとした。
たとえ乗り気でも一度は抵抗する素振りを見せてしまうのが、素直になれない彼女の常である。
そんな彼女に優しく口付けたりして少しずつ迫るのが、いつものソードだ。
しかし今日の彼は彼女の両手首を片手で掴むと、彼女の頭の上に捻り上げた。
いとも簡単に組み敷かれた彼女は、ただただ呆然とするばかりだった。
「そー、ど?」
震える声で呼びかける。
しかしソードは答えず、そのまま唇を押し付けた。
ブレイドが口を開く前に無理矢理割り開いて舌をねじ込ませてしまう。
全てを奪い尽くすような、貪欲な口付けだ。
いつもと少し違う雰囲気に、ブレイドの身体が小さく震えた。
唇が離れブレイドがおそるおそる瞳を開くと、すぐそばに彼の顔があった。
今度は表情もきちんと見えている。
彼の翠の瞳には、欲望が渦巻いていた。
まるで獣のようだ――直感的にブレイドはそう思った。
頬に幾分優しく口づけられる。
が、それだけで灯されかけた彼女の身体は過敏に反応してしまう。
彼の唇は彼女の頬を滑り、首筋に到達した。
ぺろ、と熱い舌が首筋を這えば、否応なしに彼女の身体は跳ねた。
反射的に逃避しようとする彼女の身体を抑えつけるように、ソードがグッと体重をかける。
そのまま執拗に弄られれば、彼女から甘い声が漏れ出る。
不意に、掴まれた彼女の手首に痛みが走った。
彼の掴む力は強く、簡単に振りほどけそうではない。
こんなことは初めてで、どうしたらいいのかわからなかった。
自分に触れているのは愛する者なのに、まるで別人のようで、でも確かに愛する人に他ならない。
甘く溶かされていく感覚と少しの恐怖の狭間で、彼女の思考能力はいとも容易く麻痺していく。
だが、たった一つだけ理解できたのは。
「ソードッ……」
自分は彼に求められているのだろう、ということだけだ。
縋り付くように、ソードの身体に自身の脚を絡めた。
「……っ」
ソードの身体が唐突に震え始めた。
彼から呻き声にも似た声が聞こえてきて、ブレイドは思わず絡めていた脚を緩めてしまう。
ソードは彼女を掴んでいた手を離し、腕を立てて覆い被さったまま――笑い始めた。
「……は?」
気でも狂ったのか、とブレイドは本気で彼の頭を心配した。
そんなブレイドに構わず、ソードは楽しそうに笑っている。
「なんでそこで俺に縋るんだよ……嫌がるとかじゃなくて!」
ブレイドはその言葉で彼の一連の行動の意味を理解し、怒りと羞恥に顔を真っ赤に染めた。
要するに、彼女はからかわれていたのだ。
「どんな反応するのかなって出来心でやってみたけど、まさかこうなるとは思わなかったな」
「ば、ばか!
悪ふざけにも程がある!」
「悪い悪い、ブレイドの反応が可愛かったんでつい……」
ソードはいつもの優しい表情に戻り、起き上がって部屋の電気をつけた。
そしてまだむくれている彼女の髪を、いつものように優しく撫でた。
ああ本当にいつものソードだ、とブレイドは少し唇を尖らせながらも表情を和らげる。
しかし彼は視線を落とすと、ハッとしたような表情を浮かべた。
「手首……」
ソードにつられてブレイドも自分の手首を見、あっと声を漏らした。
捕まれていた手首にうっすらと赤い跡が残っているのだ。
白い肌に浮かぶ赤い跡は妙に艶めかしい。
ソードは沈んだ表情を浮かべながら指先で痕をなぞった。
「……手加減したつもりだったんだがな」
ソードはそっと彼女の手をとると、赤くなった所に優しく口付けた。
そして「ごめんな」と呟く。
「痛かったか?」
「い、いや、そんなことはなかったぞ」
本当は少し痛かったが――彼女はあえて言わなかった。
彼を責めるようなことは言いたくなかったし、痛みは唇から伝わる熱に掻き消されてしまっていた。
「というか、本っ当にすまなかった!」
ガバッとソードはベッドの上で土下座した。
一方ブレイドは、呆気にとられて彼の背中を見つめている。
はたから見たらかなりおかしな絵面だろう。
「な、何が?」
「ほんの出来心でっ、でもよく考えなくても酷いことを……!
怖がらせてすまなかった!」
物凄い反省ぶりに、ブレイドは苦笑を漏らした。
先程迫って来た時とは全く正反対である。
「……ブレイドが可愛すぎて、抑え効かなくなりそうだった……本当にすまん」
彼女の心がドクンと跳ねた。
それと同時に、一瞬見えた彼の中の獣を思い出す。
貪欲に求められて、悪い気はしなかった。
むしろ……と考えかけ、ボッと顔を真っ赤にする。
少し躊躇うように目を泳がせてから、小さく口を開いた。
「正直少し怖かった……けど、ちょっとドキドキもした。
別にああいうのも嫌じゃ、なかったぞ?」
「えっ……」とソードが顔を上げると、ブレイドは照れ臭そうに目を逸らした。
「ソードなら、大丈夫だから」
唇を尖らせながら小さくそう言うブレイドに、ソードは困ったように笑った。
だが、内心では嬉しかった。
信用してもらえている、ということなのだから。
「あーもう煽るな。
さっきだって本気で理性吹っ飛ぶかと思ったんだからな。
正直自分が怖かった」
「……吹っ飛ばさないのか?」
へ?と気の抜けたような返事をするソードを、ブレイドは顔を染めて見つめていた。
ソードの表情から笑顔が消え、瞳に真剣な色が帯びる。
「……本気で言ってるのか?」
彼女はその問いには答えず、彼の首に腕を絡ませ、グイッと引き寄せると唇を重ねた。
そのまま背中から、ベッドにソード諸共倒れ込んだ。
必然的に、再び彼に押し倒されるような体勢になる。
ゆっくりと唇を離したソードは、ブレイドの耳元に唇を寄せた。
「煽ったの、後悔するなよ?」
低い声で囁く声に、ブレイドは淡い笑みを浮かべながら頷いた。
煽り耐性:0
「別に煽ったつもりは無いんだけどな……」
「ブレイド……恐ろしい子!」
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→あとがき
二人きりの夜のこと、ソードは急にブレイドの後ろから抱きついた。
油断していたからか、彼女は完全に面喰ってしまった。
「な、なんだよ急に!」
「……」
ブレイドは真っ赤な顔で抗議したが、ソードは黙ったまま彼女の頭部に顔を埋めた。
「……ブレイド、髪いい匂い」
「そりゃシャンプーしたてだからな、でもそんなに嗅ぐな」
実際彼女は風呂上りであった。
彼はまだ少し湿った彼女の緋色の髪を二、三度梳くと、上気した肌に誘われるように首筋に顔を埋めた。
更に甘えるように頬を彼女の右肩に置いて、そのまま瞳を閉じる。
かかる吐息がくすぐったくて彼女はわずかに身をよじろうとするが、離す気配はない。
「……なんだ、甘えたいのか?」
ブレイドはクスリと笑うと、空いてる方の左手で彼の頭を撫でた。
彼女の前にシャンプーした翠の髪は、ほとんど乾ききっていた。
しばらく彼女が撫でていると、パチ、とソードの瞳が開かれた。
翡翠を思わせる潤んだ瞳が、彼女の緋い瞳を射抜く。
「ブレイド……」
「なんだ?」
「首が痛い」
「おまえはバカか」
ブレイドは苦笑しながら呆れた目でソードを見た。
いくら彼女が女性の中では大きいとはいえ、ソードとの身長差はそれなりにある。
急な角度に首を曲げた彼の体勢は辛いだろう。
「そりゃそんな体勢でいたら首も痛っ……ふ……っ」
有無を言わさず彼女の唇を塞ぎ、すぐに離す。
「こっち向けよ」と言いながら、彼女の身体を回転させ自分の方に向けた。
「いやおまえが後ろから来たんだろ?」とブレイドはツッコみたかったが、あえて何も言わない。
真っ直ぐに見つめられて、ふとブレイドは違和感を覚えた。
少しだけ、普段の彼と雰囲気が違っていた。
「ブレイド」
「……なんだ?」
「愛してる」
「ちょっ……いきなり何言って……!」
再びソードが彼女の唇を塞いだ。
慌てて瞳を閉じ、そろそろと彼の身体に腕を回すブレイド。
幾度か啄むような口付けを繰り返した後、ソードが「開けろ」と言わんばかりに舌先で彼女の唇をなぞる。
少し物足りなさを感じ始めていたブレイドが少しだけ口を開けば、すかさず舌を侵入させて彼女の舌を探り当てた。
「ん……ふっ……」
熱い吐息の狭間に漏れる声が、甘い蜜を孕んでいく。
頭の芯が痺れて、お互いの事しかわからないほどに。
少し眩暈すら起こし始め、ブレイドはソードの身体にもたれかかった。
それに応えるように、彼もグッと腰を抱き寄せた。
蕩けた身体ではされるがままにしかならない。
更に身体が密着して、彼女の心臓が脈打った。
それからどれくらい繋がっていたのか、離れた彼女の顔はもうすっかり惚けていた。
ふわふわする頭を何とか落ち着かせようと息をつこうとした……が、すぐに浮遊感が身を襲う。
ソードが彼女を抱き上げ、ベッドの方へ向かっていたのだ。
これから起こる甘い予感が脳裏をかすめ、それを隠すように彼女は身体を縮こませた。
寝室はほとんど真っ暗だった。
お互いの輪郭がかろうじて認識できるくらいだ。
ソードは自分のベッドの上に彼女を降ろすと、そのまま覆い被さった。
予想はしていた展開だが、ブレイドの心臓が普段よりも一段高く跳ね上がった。
ソードは彼女にスッと顔を近づける。
吐息すら感じる至近距離だが、前髪が目にかかっていて、彼の表情が上手く読み取れない。
「駄目、卿が帰ってくる……」
「今夜は帰ってこない」
「で、でも……!」
ブレイドはなんとかソードの身体を押しのけようとした。
たとえ乗り気でも一度は抵抗する素振りを見せてしまうのが、素直になれない彼女の常である。
そんな彼女に優しく口付けたりして少しずつ迫るのが、いつものソードだ。
しかし今日の彼は彼女の両手首を片手で掴むと、彼女の頭の上に捻り上げた。
いとも簡単に組み敷かれた彼女は、ただただ呆然とするばかりだった。
「そー、ど?」
震える声で呼びかける。
しかしソードは答えず、そのまま唇を押し付けた。
ブレイドが口を開く前に無理矢理割り開いて舌をねじ込ませてしまう。
全てを奪い尽くすような、貪欲な口付けだ。
いつもと少し違う雰囲気に、ブレイドの身体が小さく震えた。
唇が離れブレイドがおそるおそる瞳を開くと、すぐそばに彼の顔があった。
今度は表情もきちんと見えている。
彼の翠の瞳には、欲望が渦巻いていた。
まるで獣のようだ――直感的にブレイドはそう思った。
頬に幾分優しく口づけられる。
が、それだけで灯されかけた彼女の身体は過敏に反応してしまう。
彼の唇は彼女の頬を滑り、首筋に到達した。
ぺろ、と熱い舌が首筋を這えば、否応なしに彼女の身体は跳ねた。
反射的に逃避しようとする彼女の身体を抑えつけるように、ソードがグッと体重をかける。
そのまま執拗に弄られれば、彼女から甘い声が漏れ出る。
不意に、掴まれた彼女の手首に痛みが走った。
彼の掴む力は強く、簡単に振りほどけそうではない。
こんなことは初めてで、どうしたらいいのかわからなかった。
自分に触れているのは愛する者なのに、まるで別人のようで、でも確かに愛する人に他ならない。
甘く溶かされていく感覚と少しの恐怖の狭間で、彼女の思考能力はいとも容易く麻痺していく。
だが、たった一つだけ理解できたのは。
「ソードッ……」
自分は彼に求められているのだろう、ということだけだ。
縋り付くように、ソードの身体に自身の脚を絡めた。
「……っ」
ソードの身体が唐突に震え始めた。
彼から呻き声にも似た声が聞こえてきて、ブレイドは思わず絡めていた脚を緩めてしまう。
ソードは彼女を掴んでいた手を離し、腕を立てて覆い被さったまま――笑い始めた。
「……は?」
気でも狂ったのか、とブレイドは本気で彼の頭を心配した。
そんなブレイドに構わず、ソードは楽しそうに笑っている。
「なんでそこで俺に縋るんだよ……嫌がるとかじゃなくて!」
ブレイドはその言葉で彼の一連の行動の意味を理解し、怒りと羞恥に顔を真っ赤に染めた。
要するに、彼女はからかわれていたのだ。
「どんな反応するのかなって出来心でやってみたけど、まさかこうなるとは思わなかったな」
「ば、ばか!
悪ふざけにも程がある!」
「悪い悪い、ブレイドの反応が可愛かったんでつい……」
ソードはいつもの優しい表情に戻り、起き上がって部屋の電気をつけた。
そしてまだむくれている彼女の髪を、いつものように優しく撫でた。
ああ本当にいつものソードだ、とブレイドは少し唇を尖らせながらも表情を和らげる。
しかし彼は視線を落とすと、ハッとしたような表情を浮かべた。
「手首……」
ソードにつられてブレイドも自分の手首を見、あっと声を漏らした。
捕まれていた手首にうっすらと赤い跡が残っているのだ。
白い肌に浮かぶ赤い跡は妙に艶めかしい。
ソードは沈んだ表情を浮かべながら指先で痕をなぞった。
「……手加減したつもりだったんだがな」
ソードはそっと彼女の手をとると、赤くなった所に優しく口付けた。
そして「ごめんな」と呟く。
「痛かったか?」
「い、いや、そんなことはなかったぞ」
本当は少し痛かったが――彼女はあえて言わなかった。
彼を責めるようなことは言いたくなかったし、痛みは唇から伝わる熱に掻き消されてしまっていた。
「というか、本っ当にすまなかった!」
ガバッとソードはベッドの上で土下座した。
一方ブレイドは、呆気にとられて彼の背中を見つめている。
はたから見たらかなりおかしな絵面だろう。
「な、何が?」
「ほんの出来心でっ、でもよく考えなくても酷いことを……!
怖がらせてすまなかった!」
物凄い反省ぶりに、ブレイドは苦笑を漏らした。
先程迫って来た時とは全く正反対である。
「……ブレイドが可愛すぎて、抑え効かなくなりそうだった……本当にすまん」
彼女の心がドクンと跳ねた。
それと同時に、一瞬見えた彼の中の獣を思い出す。
貪欲に求められて、悪い気はしなかった。
むしろ……と考えかけ、ボッと顔を真っ赤にする。
少し躊躇うように目を泳がせてから、小さく口を開いた。
「正直少し怖かった……けど、ちょっとドキドキもした。
別にああいうのも嫌じゃ、なかったぞ?」
「えっ……」とソードが顔を上げると、ブレイドは照れ臭そうに目を逸らした。
「ソードなら、大丈夫だから」
唇を尖らせながら小さくそう言うブレイドに、ソードは困ったように笑った。
だが、内心では嬉しかった。
信用してもらえている、ということなのだから。
「あーもう煽るな。
さっきだって本気で理性吹っ飛ぶかと思ったんだからな。
正直自分が怖かった」
「……吹っ飛ばさないのか?」
へ?と気の抜けたような返事をするソードを、ブレイドは顔を染めて見つめていた。
ソードの表情から笑顔が消え、瞳に真剣な色が帯びる。
「……本気で言ってるのか?」
彼女はその問いには答えず、彼の首に腕を絡ませ、グイッと引き寄せると唇を重ねた。
そのまま背中から、ベッドにソード諸共倒れ込んだ。
必然的に、再び彼に押し倒されるような体勢になる。
ゆっくりと唇を離したソードは、ブレイドの耳元に唇を寄せた。
「煽ったの、後悔するなよ?」
低い声で囁く声に、ブレイドは淡い笑みを浮かべながら頷いた。
煽り耐性:0
「別に煽ったつもりは無いんだけどな……」
「ブレイド……恐ろしい子!」
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