キミの願いを
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ボクはカービィに敗れた後、どこか知らないところに倒れていた。
「ッた……。」
身体じゅうがズキズキと痛くて、ろくに動けやしない。
思いのほかカービィは強くて、まさかボクが負けるとは思わなかったのサ。
……もしかしたら、こうして生きているのも奇跡的なのかもしれない。
ところで、ここは何処だろう?
……わかったとしても。ボクはここから去る気はないけど。
ポップスターの征服が失敗した今、ボクは何もかも失った。
元々ボクには帰る場所なんてないし、行く場所もわからない。
今までもそう生きてきた。
ボクはあのピンク色のぽよぽよしたあの子を思い出す。
彼女はボクに裏切られたと聞いたとき、涙を流した。
どうして、とボクに訴えた。
ボクは胸の痛みに気づかないフリをした。
そして、彼女と闘った。
彼女はもうきっと許してくれないだろう。
裏切り者のボクの顔なんてみたくもないだろう。
最後の最後、今更になってから気付くなんて、ボクはなんて馬鹿なんだ。
どうして今更、『失いたくなかった』だなんて思っているのだろう。
たった数回話し、闘っただけなのに、どうしてこんなに胸が痛んで苦しいのだろう。
ボクは夜空に向かって手を伸ばす。
空にも星にも決して届くはずはない、それくらいわかっていたけれど。
もしあそこに届いたなら、ボクは楽になれる気がしたんだ。
「ああ、このまま死んでしまいたいのサ……。」
ボクは誰に言うでもなく呟いた。
あぁ、そうだ、そうすればこんなに苦しくもなくなるだろう。
「そんなことはさせないぽよ。」
「え……?」
これは、幻覚だろうか?
カービィがボクの目の前に立っていた。
「散々人を騙して、挙句の果てに死にたいだなんて、ふざけるのも大概にしてよ!!
ほら、帰るぽよ!!」
カービィはボクの手を引っ張って立ち上がらせようとする。
「えっ、帰るって、どこになのサ……?」
「デデデ城。
デデデ大王が一部屋くれっるって言ってた。」
カービィはごく当たり前のことを話すかのように言ってるけど、ボクは思わずぽかんとしてしまった。
「な、何いってるのサ!?
ボクはキミ達のポップスターを征服しようと思ってたのサ!!
なんでそんな奴にそんなことできるのサ!?」
「……だって、マルクのおかげで太陽と月は仲直りしたんだよ……?」
え、まぁ、たしかにボクがギャラクティック・ノヴァにしたお願い事を止めるために一時休戦ってことになって、そのまま仲直りしたっぽいけど……。
「だから、みんなマルクのこと歓迎してくれるよ!」
「いや、喧嘩させたのもボクだし……。」
「そんなこと誰も気にしないぽよ!!」
いや気にする、絶対に気にするサ。
「それに、もう抵抗しても無駄ぽよ。
ボクはノヴァにお願いしちゃったから。」
「あれ生きて(?)たのサ……?
……ということは、また星を繋いだの……?」
「うん、そしたらノヴァも復活したぽよ。」
星を繋げてエネルギーを集めるのは、正直めんどくさいことサ。
だからボクも、自分でやらないでカービィを騙してやらせたのサ。
「なんのために……?」
「もう、マルクったら鈍い!
キミにまた会いたかったの!」
え?と聞き返すボク。
「だから……マルクとまた会って、今度は普通に遊びたかったの!!」
ボクは思わず耳を疑った。
「バ、バカにも程があるのサ!!
そんなことのためにあんな苦労を「そんなことじゃない!!」
カービィは目に涙を溜めてぶるぶると震えていた。
「そんなことじゃない……ボクにとっては、どうしても叶えたかったお願いぽよ……。
ボクがどんだけ必死だったと思ってるの!?」
「カービィ……」
「マルクと、もう一度会って、仲直りして、遊びたかったの……」
カービィの目から、次々と涙が零れ落ちていく。
「カービィ……。」
「だから、いっしょにかえろう?」
彼女は、顔を涙でぐちゃぐちゃにしながら笑っていた。
ボクも、何か熱いものがこみ上げてくる感覚がした。
「しょ、しょうがないから、キミの願いを叶えてあ、げ……ッ」
泣きそうなのが恥ずかしくて、隠そうとして憎まれ口を叩こうとしたけど、最後の方は言葉にならなかった。
言葉が詰まり、嗚咽がもれ、ボクは咽び泣いた。
あぁ、ボクの願いも叶ったじゃないか。
彼女はまたボクのところにきてくれた。
いつまでも泣きじゃくるボクたちを、夜空だけが見守っていた。
キミのねがいを
(カービィ、ありがとう)
(マルク、ありがとう)
next
→あとがき
「ッた……。」
身体じゅうがズキズキと痛くて、ろくに動けやしない。
思いのほかカービィは強くて、まさかボクが負けるとは思わなかったのサ。
……もしかしたら、こうして生きているのも奇跡的なのかもしれない。
ところで、ここは何処だろう?
……わかったとしても。ボクはここから去る気はないけど。
ポップスターの征服が失敗した今、ボクは何もかも失った。
元々ボクには帰る場所なんてないし、行く場所もわからない。
今までもそう生きてきた。
ボクはあのピンク色のぽよぽよしたあの子を思い出す。
彼女はボクに裏切られたと聞いたとき、涙を流した。
どうして、とボクに訴えた。
ボクは胸の痛みに気づかないフリをした。
そして、彼女と闘った。
彼女はもうきっと許してくれないだろう。
裏切り者のボクの顔なんてみたくもないだろう。
最後の最後、今更になってから気付くなんて、ボクはなんて馬鹿なんだ。
どうして今更、『失いたくなかった』だなんて思っているのだろう。
たった数回話し、闘っただけなのに、どうしてこんなに胸が痛んで苦しいのだろう。
ボクは夜空に向かって手を伸ばす。
空にも星にも決して届くはずはない、それくらいわかっていたけれど。
もしあそこに届いたなら、ボクは楽になれる気がしたんだ。
「ああ、このまま死んでしまいたいのサ……。」
ボクは誰に言うでもなく呟いた。
あぁ、そうだ、そうすればこんなに苦しくもなくなるだろう。
「そんなことはさせないぽよ。」
「え……?」
これは、幻覚だろうか?
カービィがボクの目の前に立っていた。
「散々人を騙して、挙句の果てに死にたいだなんて、ふざけるのも大概にしてよ!!
ほら、帰るぽよ!!」
カービィはボクの手を引っ張って立ち上がらせようとする。
「えっ、帰るって、どこになのサ……?」
「デデデ城。
デデデ大王が一部屋くれっるって言ってた。」
カービィはごく当たり前のことを話すかのように言ってるけど、ボクは思わずぽかんとしてしまった。
「な、何いってるのサ!?
ボクはキミ達のポップスターを征服しようと思ってたのサ!!
なんでそんな奴にそんなことできるのサ!?」
「……だって、マルクのおかげで太陽と月は仲直りしたんだよ……?」
え、まぁ、たしかにボクがギャラクティック・ノヴァにしたお願い事を止めるために一時休戦ってことになって、そのまま仲直りしたっぽいけど……。
「だから、みんなマルクのこと歓迎してくれるよ!」
「いや、喧嘩させたのもボクだし……。」
「そんなこと誰も気にしないぽよ!!」
いや気にする、絶対に気にするサ。
「それに、もう抵抗しても無駄ぽよ。
ボクはノヴァにお願いしちゃったから。」
「あれ生きて(?)たのサ……?
……ということは、また星を繋いだの……?」
「うん、そしたらノヴァも復活したぽよ。」
星を繋げてエネルギーを集めるのは、正直めんどくさいことサ。
だからボクも、自分でやらないでカービィを騙してやらせたのサ。
「なんのために……?」
「もう、マルクったら鈍い!
キミにまた会いたかったの!」
え?と聞き返すボク。
「だから……マルクとまた会って、今度は普通に遊びたかったの!!」
ボクは思わず耳を疑った。
「バ、バカにも程があるのサ!!
そんなことのためにあんな苦労を「そんなことじゃない!!」
カービィは目に涙を溜めてぶるぶると震えていた。
「そんなことじゃない……ボクにとっては、どうしても叶えたかったお願いぽよ……。
ボクがどんだけ必死だったと思ってるの!?」
「カービィ……」
「マルクと、もう一度会って、仲直りして、遊びたかったの……」
カービィの目から、次々と涙が零れ落ちていく。
「カービィ……。」
「だから、いっしょにかえろう?」
彼女は、顔を涙でぐちゃぐちゃにしながら笑っていた。
ボクも、何か熱いものがこみ上げてくる感覚がした。
「しょ、しょうがないから、キミの願いを叶えてあ、げ……ッ」
泣きそうなのが恥ずかしくて、隠そうとして憎まれ口を叩こうとしたけど、最後の方は言葉にならなかった。
言葉が詰まり、嗚咽がもれ、ボクは咽び泣いた。
あぁ、ボクの願いも叶ったじゃないか。
彼女はまたボクのところにきてくれた。
いつまでも泣きじゃくるボクたちを、夜空だけが見守っていた。
キミのねがいを
(カービィ、ありがとう)
(マルク、ありがとう)
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→あとがき
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