only me,only you
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「すごく…可愛いです……。」
それは王国騎士団の者達が魔獣討伐の任務を終え、現場の最終確認をしているときの話だった。
メイスとアックスが好奇心で「ブレイドさんとは最近どうなのか」と聞いた結果がこれである。
まったくもって的外れな回答の上に、力説しはじめるソードに二人は「はぁ……」と面食らってしまった。
「貴方たちもそうは思いませんか?」
ソードにそう問われ、アックスとメイスは反応に困ってしまった。
それと同時に、先程の戦闘を思い返す。
大の大人である二人が怯むほどにおぞましい姿をした魔獣に容赦なく斬りかかる彼女は勇ましかった。
「ブレイドさんはなんというか……怖いです。
厳しいし。」
「そうだスなぁ……どちらかというと、キレイ系だと思うダす。」
ブレイドは凄く真面目で、規律や時間に厳しかった。
戦闘能力もさることながら、意識も高く女性ながらにして王国騎士団の副隊長を務めるほどである。
そんな彼女に憧れを抱いたり、カッコいいと思う者は少なくない。
キリッとした顔立ちを美しいと思う者ももちろんいた。
しかし、可愛いと思う者はそうはいなかった。
「まったくわかってません!
まあたしかに厳しいのも彼女の魅力には違いありませんが。
凛とした仕事姿は私も思わず職務を忘れて魅入りたくなるほどですからね。
でもそれよりも時々見せるデレがたまらなふぐぉ」
あ、と二人が思ったときには時既に遅し。
ソードの頭にはブレイドの踵が埋まっていた。
見事な踵落としである。
「何馬鹿なことを言っているんだ。
今日の報告書は俺達の担当だ、さっさと帰って済ませるぞ。」
「か、踵落としすることないだろ!?」
「ではアックス殿とメイス殿、最終確認は頼みます。」
「は、はい」「了解ダす……」
「俺のことは無視ですねわかります。」
半ば引きずられていくソードを見送りながら、二人は「やっぱこえぇ……」と呟いた。
***
「ブレイドー、怒ってるのかー?」
ソードは前をずんずんと歩くブレイドに声をかけた。
ブレイドは「別に怒っては無いけど……」と言いながら立ち止まり、ソードの方に振り返った。
「まったく……あんまり恥ずかしいこと言うなよ!」
「恥ずかしいことって?」
「……か、可愛い、とか」
自分で言ってて照れてしまったのか、ブレイドは紅くなって俯いた。
「だって事実だろ?
ありのままの事実を言って何が悪い?」
「他の人に言いふらす必要はないだろ?」
「だって、ブレイドの可愛さ知ってほしいから。」
「……おまえが知ってれば、いい。」
「それは俺には可愛いって思われたいってことか?」
ソードにとってはほんの冗談のつもりだった。
どうせ「そんなことない!」とか返ってくるのだろう、それを見るのもまたいいだろう……などと考えていた。が。
「そっ、そうだよ!……悪いかよ……」
ブレイドは真っ赤になってそう答えた。
ソードは一瞬あっけにとられた後、みるみるうちに顔を赤く染めた。
「あー……やっぱり俺、もう言うの止めるかな。」
「……?いきなりどうした?」
「だって」
ソードは歩み寄って彼女の腰を軽く抱き寄せた。
不意な行動に驚いたブレイドはなすがままにされ、まるで抱き合うような形になってしまう。
「こんな可愛いの、他の男に見せたくない。
俺だけのものにしたい。」
彼女の耳元で囁くソード。
ドクン、とブレイドの鼓動が跳ねあがった。
ただでさえ顔は熱かったのに、更に赤くなったような気がした。
「ブレイド」
名を呼ばれて顔を上げると、ソードもブレイドと同じくらい顔を赤くしていた。
そのままソードはブレイドの顎をクイと持ち上げ、顔を近づけ――
「っ、ここ道!道だから!」
公衆の面前だということを思い出したのか、ブレイドはソードを半ば無理矢理引きはがした。
彼はちえ、と言いつつも素直に彼女を開放した。
そして帰宅途中なことを思い出し、今度は二人並んで歩き始めた。
「まぁ、ブレイドの可愛さは俺が知ってればいいか。
余計なライバルも減るし。」
「俺みたいな女を好きになる物好き、おまえくらいしかいないよ……。」
ブレイドは甘えるようにソードの腕に自分の腕を絡める。
鎧越しだが、たしかな温かさを互いに感じていた。
「ここ道だけどいいのか?」
「……うるさい」
ブレイドが不意にキョロキョロしだした。
そして「……よし、」と呟くと「どうした?」と聞こうとしたソードの頬に、ちょっと背伸びをして軽くキスをした。
「……ホントは言ってくれてたのちょっとだけ嬉しかった。
だから……ありがと……。
あと……」
ブレイドはもう一度背伸びして、ソードの耳に「大好き」と囁いた。
驚いて彼女の方を見てみると、ふわりと笑っていた。
それも、心底幸せそうに。
その笑顔にソードもつられて笑う。
普段なら他人には絶対見せないような甘い表情が、たまらなく嬉しかった。
「ブレイド」
「なんだ?」
「もう一回ちゅーして」
「な、なんでだよ!?」
「ブレイドが可愛いから」
「意味わかんねーよ!
じゃ、じゃあ、帰ったら……な」
「よっしゃ走って帰ろう」
「えええええっ!!!?」
「だって早くしたいからな」
「……ばか」
そして二人は走り出した。
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「ブ、ブレイドさん……可愛すぎるダス……」
「わし……ブレイドさんのこと好きになっちゃったかも……」
「ええっ!?」
Next
→あとがき
それは王国騎士団の者達が魔獣討伐の任務を終え、現場の最終確認をしているときの話だった。
メイスとアックスが好奇心で「ブレイドさんとは最近どうなのか」と聞いた結果がこれである。
まったくもって的外れな回答の上に、力説しはじめるソードに二人は「はぁ……」と面食らってしまった。
「貴方たちもそうは思いませんか?」
ソードにそう問われ、アックスとメイスは反応に困ってしまった。
それと同時に、先程の戦闘を思い返す。
大の大人である二人が怯むほどにおぞましい姿をした魔獣に容赦なく斬りかかる彼女は勇ましかった。
「ブレイドさんはなんというか……怖いです。
厳しいし。」
「そうだスなぁ……どちらかというと、キレイ系だと思うダす。」
ブレイドは凄く真面目で、規律や時間に厳しかった。
戦闘能力もさることながら、意識も高く女性ながらにして王国騎士団の副隊長を務めるほどである。
そんな彼女に憧れを抱いたり、カッコいいと思う者は少なくない。
キリッとした顔立ちを美しいと思う者ももちろんいた。
しかし、可愛いと思う者はそうはいなかった。
「まったくわかってません!
まあたしかに厳しいのも彼女の魅力には違いありませんが。
凛とした仕事姿は私も思わず職務を忘れて魅入りたくなるほどですからね。
でもそれよりも時々見せるデレがたまらなふぐぉ」
あ、と二人が思ったときには時既に遅し。
ソードの頭にはブレイドの踵が埋まっていた。
見事な踵落としである。
「何馬鹿なことを言っているんだ。
今日の報告書は俺達の担当だ、さっさと帰って済ませるぞ。」
「か、踵落としすることないだろ!?」
「ではアックス殿とメイス殿、最終確認は頼みます。」
「は、はい」「了解ダす……」
「俺のことは無視ですねわかります。」
半ば引きずられていくソードを見送りながら、二人は「やっぱこえぇ……」と呟いた。
***
「ブレイドー、怒ってるのかー?」
ソードは前をずんずんと歩くブレイドに声をかけた。
ブレイドは「別に怒っては無いけど……」と言いながら立ち止まり、ソードの方に振り返った。
「まったく……あんまり恥ずかしいこと言うなよ!」
「恥ずかしいことって?」
「……か、可愛い、とか」
自分で言ってて照れてしまったのか、ブレイドは紅くなって俯いた。
「だって事実だろ?
ありのままの事実を言って何が悪い?」
「他の人に言いふらす必要はないだろ?」
「だって、ブレイドの可愛さ知ってほしいから。」
「……おまえが知ってれば、いい。」
「それは俺には可愛いって思われたいってことか?」
ソードにとってはほんの冗談のつもりだった。
どうせ「そんなことない!」とか返ってくるのだろう、それを見るのもまたいいだろう……などと考えていた。が。
「そっ、そうだよ!……悪いかよ……」
ブレイドは真っ赤になってそう答えた。
ソードは一瞬あっけにとられた後、みるみるうちに顔を赤く染めた。
「あー……やっぱり俺、もう言うの止めるかな。」
「……?いきなりどうした?」
「だって」
ソードは歩み寄って彼女の腰を軽く抱き寄せた。
不意な行動に驚いたブレイドはなすがままにされ、まるで抱き合うような形になってしまう。
「こんな可愛いの、他の男に見せたくない。
俺だけのものにしたい。」
彼女の耳元で囁くソード。
ドクン、とブレイドの鼓動が跳ねあがった。
ただでさえ顔は熱かったのに、更に赤くなったような気がした。
「ブレイド」
名を呼ばれて顔を上げると、ソードもブレイドと同じくらい顔を赤くしていた。
そのままソードはブレイドの顎をクイと持ち上げ、顔を近づけ――
「っ、ここ道!道だから!」
公衆の面前だということを思い出したのか、ブレイドはソードを半ば無理矢理引きはがした。
彼はちえ、と言いつつも素直に彼女を開放した。
そして帰宅途中なことを思い出し、今度は二人並んで歩き始めた。
「まぁ、ブレイドの可愛さは俺が知ってればいいか。
余計なライバルも減るし。」
「俺みたいな女を好きになる物好き、おまえくらいしかいないよ……。」
ブレイドは甘えるようにソードの腕に自分の腕を絡める。
鎧越しだが、たしかな温かさを互いに感じていた。
「ここ道だけどいいのか?」
「……うるさい」
ブレイドが不意にキョロキョロしだした。
そして「……よし、」と呟くと「どうした?」と聞こうとしたソードの頬に、ちょっと背伸びをして軽くキスをした。
「……ホントは言ってくれてたのちょっとだけ嬉しかった。
だから……ありがと……。
あと……」
ブレイドはもう一度背伸びして、ソードの耳に「大好き」と囁いた。
驚いて彼女の方を見てみると、ふわりと笑っていた。
それも、心底幸せそうに。
その笑顔にソードもつられて笑う。
普段なら他人には絶対見せないような甘い表情が、たまらなく嬉しかった。
「ブレイド」
「なんだ?」
「もう一回ちゅーして」
「な、なんでだよ!?」
「ブレイドが可愛いから」
「意味わかんねーよ!
じゃ、じゃあ、帰ったら……な」
「よっしゃ走って帰ろう」
「えええええっ!!!?」
「だって早くしたいからな」
「……ばか」
そして二人は走り出した。
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「ブ、ブレイドさん……可愛すぎるダス……」
「わし……ブレイドさんのこと好きになっちゃったかも……」
「ええっ!?」
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