Tsundere!
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我らは陛下からの命令により、魔獣の討伐に向かった。
行き着いた場所は山の中。
そこにはいかにも『毒持ってます』といった風貌の魔獣がうじゃうじゃといた。
『おいナイトメアのやつもっとデザイン考えて魔獣作れ』と言ってやりたくなる。
「たぁっ!」
数は相手の方が多いが、我らは戦闘に慣れている剣士。
順調に敵を倒していく。
毒を持っているのが少し厄介だが、本体は対して強くもない。
あの毒針さえ気を付ければ簡単に倒せる。
あっという間に残りわずかになった。
が、そのとき事件は起こった。
「うぁっ……!」
ブレイドの悲鳴がして俺は振り返った。
そこには脚の付け根の辺りを刺されているブレイドの姿が!
「うらぁっ!」
俺はカッとなってブレイドを刺したと思われる魔獣に斬りかかった。
撃破し、ブレイドに駆け寄る。
「大丈夫か!」
「っく、大丈夫だ、これくらい……!」
彼女は立ち上がろうとして、ガクンと膝を付いた。
どうやら毒にやられたようで、足が痺れて上手く立てないらしい。
すぐさま残りの魔獣を倒した卿も駆け寄ってきた。
「すみません、不注意で……」
「まったく、闘いはいかなる時も油断してはいけないと言っただろう?」
決して責めるような言い方ではないが、ブレイドが申し訳なさそうに俯いた。
「卿、これ抜きますか?」
俺はブレイドに刺さっている毒針を指差した。
「いや、すぐに抜くと大量に出血する可能性もある。
きちんと包帯当を用意してから手当てをした方がいいだろう。」
それも一理あった。
山の中での失血は避けたい。
あの魔獣の毒はあまり緊急性もないから、暫くは大丈夫だろう。
「……ソード、運んでやれ。」
「わ、私がですか!?」
「彼氏として当然だろう?」
「大丈夫です!歩けます!」
俺は全然構わないのだが、ブレイドは真っ赤になって手をぶんぶんと振る。
恥ずかしがっているのはわかるが、ちょっと傷つくぞ。
「ソード、帰ったら毒を吸い出してやれ。
絶対に飲み込まないように。」
「だから大丈夫です!
針さえ抜いていただければ、放っておけば治ります!」
ブレイドはあくまでも大丈夫だと否定する。
だがこういう時の卿は全く話を聞かない。
「終わったら濃い紅茶か日本茶で口を濯ぐのも忘れずに。」
「あの、卿、私の話も……」
「私はヤブイ殿の所に行って解毒剤を貰ってくる。」
最後までブレイドの話を聞くことなく、珍しく慌てて飛んでいく卿。
無理もない、娘のように可愛がっているブレイドが怪我をしたのだから。
飛び去っていった卿を、ブレイドは呆然と見ていた。
「ブレイド、それ刺さったまんまで痛くないのか?」
「ああ、なんとか……」
「ならよかった。
ほら、おぶるから乗れ。」
俺はブレイドの前でおんぶの体勢をとる。
が、ブレイドは一向に乗ろうとしない。
「ほら、早く乗れよ。」
「大丈夫だ、立て……はうっ!」
無理に立とうとしてしりもちをついた。
痛かったのか若干涙目になっている。
あまりの可愛らしさに頬が緩みそうになるが、ここで笑うと多分半殺しにされる。
だから我慢、我慢。
「……ったく、しょうがねーな」
俺はブレイドをお姫様抱っこの要領でひょいっと持ち上げた。
鎧を含めても彼女はかなり軽い。
「なっ、離せ!降ろせ!」
よっぽど恥ずかしいのか、暴れて俺の胸元をポカポカ殴ってきた。
結構痛いけど可愛いから許してしまう辺り、俺ってホントにブレイドに弱いなーと思う。
「そんなに嫌なのか?」
「べ、別に嫌じゃないが……恥ずかしすぎる……」
そりゃあ恥ずかしいだろう。
こういうときでなかったら、絶対に抱っこなんてさせてくれない。
暴れ続けるブレイドの耳に口を寄せ、囁く。
「いいだろ?こういうときくらい。
……彼氏のこと頼れよ。」
一瞬固まり、更に真っ赤になった。
ブレイドはこういう恋愛を意識させるセリフにめっぽう弱い。
しばらく「うー」とか「あー」とか唸ったあと
「べ……別に本当は立てるんだからな!
お前がそんなに抱きたいなら仕方ない、俺は優しいからな!
だ、抱かせてやらんこともない。」
顔をそむけ、ぶっきらぼうに呟いた。
照れてるなーと思うと、やっぱりどうしても顔がにやけてしまう。
それが伝わったのか、「なににやついてんだよっ」とポカリと殴られた。
だがそれを最後にようやく暴れるのをやめ、おとなしくなった。
「……というか、珍しいな。
お前がミスなんて。」
ブレイドは仕事のミスは滅多にしない。
怪我をすることだって稀なことなのだ。
「ウサギが……」
「ウサギ?」
思わぬ言葉に、怪訝そうに返せば決まりが悪そうな顔をして
「野ウサギが、魔獣に襲われてたから……」
と、小さな声で呟く。
優しいブレイドのことだからきっと、自分への危険を省みずに野ウサギを助けに行ったのだろう。
「それで刺されたのか?
幸い大した毒ではなかったが、もし大事になってたらどうするんだよ!?」
「……ごめん」
ブレイドの優しさは魅力だが、時にこういう風に自己犠牲な所もある。
俺としてはもう少し自分を大切にしてほしかったりもするのに……。
「まぁ、そういう優しいところも好きなんだけどな。
でも気を付けろよ?
あんまり心配させるなよ。」
だから俺がちゃんと見てやらなきゃな。
…とか言ったらきっと殴られるだろうからあえて言わない。
「……うん、ありがと」
素直に頷くと俺の胸にそっと寄り添った。
ちょっとはにかんでるのが可愛い。
村に近づくにつれて、だんだん人が増え始めた。
人前でのお姫様抱っこは流石に恥ずかしいだろうか。
ブレイドは人前でいちゃついたりするのが苦手だ。
村の人に冷やかされるのがどうも苦手らしい。
俺としてはその反応もかなり可愛いと思うんだがな。
「ここまで来といてなんだが、おんぶにしようか?
そっちの方が恥ずかしくないだろう?」
俺としては気遣ったつもりだ。
ぶっちゃけ俺的には本当はお姫様抱っこの方がいいのだが、ブレイドの気持ちも尊重した方がいいだろう。
ブレイドはこちらをちらりと見、また眼を逸らした。
「……こっちでいい……ソードの顔…見れるから……」
やばい、可愛すぎる。
ときめくとはまさにこういうことを言うのだろう。
心拍が一気に上昇するのを感じた。
あんまりドキドキするから、鎧越しでもブレイドに伝わってしまうんじゃないのかと心配になるほどだ。
照れてつっけんどんな態度もいいけど、こういう風に時々デレられるとほんっとうに可愛い!
ツンデレ最高!
ツンデレって良いよな!
読者の皆様もそう思って下さると信じてる!
だが、そんな態度を出したらドン引きされること間違いないから努めて冷静になる。
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもないっ!」
わざと聞き返すと、慌ててブンブンと顔を振った。
ポニーテールが腕を掠めてくすぐったい。
「俺もブレイドの顔見れるから抱っこの方が好きだな。」
「っ、聞こえてたんじゃないかっ……!」
不満そうに頬を膨らませるのが本当に可愛い。
こういうときのブレイドは、女の子って感じで、普段とのギャップも相まって……自分でも何言ってるんだろうか、よし、一旦落ち着こう。
さて、もうすぐ部屋に着く。
濃い紅茶でも用意して、毒を抜かなくちゃな……
ツンデレっていいよね
俺は、ブレイドの怪我の場所がとんでもないところだということをすっかり忘れていた。
next
→あとがき
行き着いた場所は山の中。
そこにはいかにも『毒持ってます』といった風貌の魔獣がうじゃうじゃといた。
『おいナイトメアのやつもっとデザイン考えて魔獣作れ』と言ってやりたくなる。
「たぁっ!」
数は相手の方が多いが、我らは戦闘に慣れている剣士。
順調に敵を倒していく。
毒を持っているのが少し厄介だが、本体は対して強くもない。
あの毒針さえ気を付ければ簡単に倒せる。
あっという間に残りわずかになった。
が、そのとき事件は起こった。
「うぁっ……!」
ブレイドの悲鳴がして俺は振り返った。
そこには脚の付け根の辺りを刺されているブレイドの姿が!
「うらぁっ!」
俺はカッとなってブレイドを刺したと思われる魔獣に斬りかかった。
撃破し、ブレイドに駆け寄る。
「大丈夫か!」
「っく、大丈夫だ、これくらい……!」
彼女は立ち上がろうとして、ガクンと膝を付いた。
どうやら毒にやられたようで、足が痺れて上手く立てないらしい。
すぐさま残りの魔獣を倒した卿も駆け寄ってきた。
「すみません、不注意で……」
「まったく、闘いはいかなる時も油断してはいけないと言っただろう?」
決して責めるような言い方ではないが、ブレイドが申し訳なさそうに俯いた。
「卿、これ抜きますか?」
俺はブレイドに刺さっている毒針を指差した。
「いや、すぐに抜くと大量に出血する可能性もある。
きちんと包帯当を用意してから手当てをした方がいいだろう。」
それも一理あった。
山の中での失血は避けたい。
あの魔獣の毒はあまり緊急性もないから、暫くは大丈夫だろう。
「……ソード、運んでやれ。」
「わ、私がですか!?」
「彼氏として当然だろう?」
「大丈夫です!歩けます!」
俺は全然構わないのだが、ブレイドは真っ赤になって手をぶんぶんと振る。
恥ずかしがっているのはわかるが、ちょっと傷つくぞ。
「ソード、帰ったら毒を吸い出してやれ。
絶対に飲み込まないように。」
「だから大丈夫です!
針さえ抜いていただければ、放っておけば治ります!」
ブレイドはあくまでも大丈夫だと否定する。
だがこういう時の卿は全く話を聞かない。
「終わったら濃い紅茶か日本茶で口を濯ぐのも忘れずに。」
「あの、卿、私の話も……」
「私はヤブイ殿の所に行って解毒剤を貰ってくる。」
最後までブレイドの話を聞くことなく、珍しく慌てて飛んでいく卿。
無理もない、娘のように可愛がっているブレイドが怪我をしたのだから。
飛び去っていった卿を、ブレイドは呆然と見ていた。
「ブレイド、それ刺さったまんまで痛くないのか?」
「ああ、なんとか……」
「ならよかった。
ほら、おぶるから乗れ。」
俺はブレイドの前でおんぶの体勢をとる。
が、ブレイドは一向に乗ろうとしない。
「ほら、早く乗れよ。」
「大丈夫だ、立て……はうっ!」
無理に立とうとしてしりもちをついた。
痛かったのか若干涙目になっている。
あまりの可愛らしさに頬が緩みそうになるが、ここで笑うと多分半殺しにされる。
だから我慢、我慢。
「……ったく、しょうがねーな」
俺はブレイドをお姫様抱っこの要領でひょいっと持ち上げた。
鎧を含めても彼女はかなり軽い。
「なっ、離せ!降ろせ!」
よっぽど恥ずかしいのか、暴れて俺の胸元をポカポカ殴ってきた。
結構痛いけど可愛いから許してしまう辺り、俺ってホントにブレイドに弱いなーと思う。
「そんなに嫌なのか?」
「べ、別に嫌じゃないが……恥ずかしすぎる……」
そりゃあ恥ずかしいだろう。
こういうときでなかったら、絶対に抱っこなんてさせてくれない。
暴れ続けるブレイドの耳に口を寄せ、囁く。
「いいだろ?こういうときくらい。
……彼氏のこと頼れよ。」
一瞬固まり、更に真っ赤になった。
ブレイドはこういう恋愛を意識させるセリフにめっぽう弱い。
しばらく「うー」とか「あー」とか唸ったあと
「べ……別に本当は立てるんだからな!
お前がそんなに抱きたいなら仕方ない、俺は優しいからな!
だ、抱かせてやらんこともない。」
顔をそむけ、ぶっきらぼうに呟いた。
照れてるなーと思うと、やっぱりどうしても顔がにやけてしまう。
それが伝わったのか、「なににやついてんだよっ」とポカリと殴られた。
だがそれを最後にようやく暴れるのをやめ、おとなしくなった。
「……というか、珍しいな。
お前がミスなんて。」
ブレイドは仕事のミスは滅多にしない。
怪我をすることだって稀なことなのだ。
「ウサギが……」
「ウサギ?」
思わぬ言葉に、怪訝そうに返せば決まりが悪そうな顔をして
「野ウサギが、魔獣に襲われてたから……」
と、小さな声で呟く。
優しいブレイドのことだからきっと、自分への危険を省みずに野ウサギを助けに行ったのだろう。
「それで刺されたのか?
幸い大した毒ではなかったが、もし大事になってたらどうするんだよ!?」
「……ごめん」
ブレイドの優しさは魅力だが、時にこういう風に自己犠牲な所もある。
俺としてはもう少し自分を大切にしてほしかったりもするのに……。
「まぁ、そういう優しいところも好きなんだけどな。
でも気を付けろよ?
あんまり心配させるなよ。」
だから俺がちゃんと見てやらなきゃな。
…とか言ったらきっと殴られるだろうからあえて言わない。
「……うん、ありがと」
素直に頷くと俺の胸にそっと寄り添った。
ちょっとはにかんでるのが可愛い。
村に近づくにつれて、だんだん人が増え始めた。
人前でのお姫様抱っこは流石に恥ずかしいだろうか。
ブレイドは人前でいちゃついたりするのが苦手だ。
村の人に冷やかされるのがどうも苦手らしい。
俺としてはその反応もかなり可愛いと思うんだがな。
「ここまで来といてなんだが、おんぶにしようか?
そっちの方が恥ずかしくないだろう?」
俺としては気遣ったつもりだ。
ぶっちゃけ俺的には本当はお姫様抱っこの方がいいのだが、ブレイドの気持ちも尊重した方がいいだろう。
ブレイドはこちらをちらりと見、また眼を逸らした。
「……こっちでいい……ソードの顔…見れるから……」
やばい、可愛すぎる。
ときめくとはまさにこういうことを言うのだろう。
心拍が一気に上昇するのを感じた。
あんまりドキドキするから、鎧越しでもブレイドに伝わってしまうんじゃないのかと心配になるほどだ。
照れてつっけんどんな態度もいいけど、こういう風に時々デレられるとほんっとうに可愛い!
ツンデレ最高!
ツンデレって良いよな!
読者の皆様もそう思って下さると信じてる!
だが、そんな態度を出したらドン引きされること間違いないから努めて冷静になる。
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもないっ!」
わざと聞き返すと、慌ててブンブンと顔を振った。
ポニーテールが腕を掠めてくすぐったい。
「俺もブレイドの顔見れるから抱っこの方が好きだな。」
「っ、聞こえてたんじゃないかっ……!」
不満そうに頬を膨らませるのが本当に可愛い。
こういうときのブレイドは、女の子って感じで、普段とのギャップも相まって……自分でも何言ってるんだろうか、よし、一旦落ち着こう。
さて、もうすぐ部屋に着く。
濃い紅茶でも用意して、毒を抜かなくちゃな……
ツンデレっていいよね
俺は、ブレイドの怪我の場所がとんでもないところだということをすっかり忘れていた。
next
→あとがき
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