キミの傍に
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「カービィいるー?」
魔法を使ったテレポートでカービィの家に入ると(俗に言う不法侵入なのサ)、彼女はソファでうたた寝をしていた。
「まったく……風邪引いたらどうするのサ」
とりあえず適当に毛布をかけてやると、むにゃむにゃ、と言葉にならない寝言が零れ出た。
その警戒心のなさと愛らしさに、思わず笑みが漏れる。
「あ、何か飲み物でも貰おうかな」
立ち上がって冷蔵庫の方へ歩きだそうとすると、まるく…とか細い声で彼女が呼んだ。
起きたのかな?と思ったけどカービィの瞳は閉じられたままだった。
呼ばれたと思ったけど、どうやらそれは寝言だったようだ。
ボクの名前が出るなんて、ボクが出てくる夢でも見てるのかな?
「まるく~……」
「ハイハイ」
飲み物なんてどうでもよくなって、彼女の元へと戻った。
彼女の夢にボクがいる、なんとなく心がこそばゆい感じがしたけど、たしかな嬉しさもあった。
彼女の夢の中のボクは、どんなボクなのだろう……
いつもみたいにイタズラとかしてるのかな?
それともデートとかしてるのかな…?
「ここは……通さない……」
「え!?なにそのシチュエーション!?」
それはあまりにも予想外だった。
なんで若干修羅場チックになってるのサ……。
「……あのさ、もうちょっと甘い夢は見れないのサ……?」
つんつんとほっぺたを突っつく。
でも彼女は全く反応しない。
「な……!?
第三形態、エクスカリヴァーモード……だと……!?」
「えええなにそれ!?
しかも今まで第二形態だったのサ!?」
いったい何がどうしてそうなってしまったのだろう。
夢の中とはいえ扱いがあんまりだ。
カービィの夢の中のボク、いったいどんなことになってるのサ!?
「どういうことなの…」
「こっちが聞きたいのサ!
どういうことなのサ!?」
というか、どうしてボクは律儀にカービィの寝言にツッコんでるのだろう……。
でも、ツッコまずにはいられない。
……いっそ、起こそうかな?
こんなぶっとんだ夢、別に見なくてもいいだろ?
なんだかうなされているようにも見えるし。
「だめっ、行かないで!!
マルク、戻ってきて!!!」
「キミが戻ってこーいっ!!!!!」
思わず叫んでしまい、声がでかかった、と気付いたときはもう遅かった。
カービィはぱち、と目を覚ましてしまった。
目が合う、寝顔を眺めていたと思われそうで気まずい。
……まあ、事実なんだけどサ。
「や、やぁカービィ、おはようなのサ。」
若干ぎこちないけどとりあえず挨拶。
カービィはビックリした顔をして、それから顔をくしゃくしゃに歪め…
「マルクっ……!うわぁぁぁん!」
急に抱きついてこられたもんだから、よろけてしまった。
でもなんとか体勢を整え、彼女を受け止めた。
ボロボロと涙を流すカービィの腕は、ガッチリとボクの腰の辺りに回されている。
わけがわからなかったけど、とりあえずボクも彼女の身体に腕を回し、抱き締め返した。
「ど、どうしたのサ?」
「あ、あのねっ、怖い、怖い夢、見ちゃっ、たの……」
いや、むしろ愉快な夢だったでしょ?と言おうとしたけど言葉を飲み込んだ。
腕の中のカービィは震えながらしゃくりあげている。
震えがボクの身体にも伝わってきた。
冗談を言ったり茶化したりしちゃダメだろう。
「マルクが、また、ひとりで……!
止めようとしたけど、無理だった、戦うしかなかった、それで行っちゃったんだっ!
すっごくリアルな夢で、夢なんだか、現実なんだか、わかんなかったっ。」
なんとなく、事情はわかった。
きっと夢の中のボクはカービィを裏切って、ポップスターの征服とか言い出したのだろう。
あのときのように。
第二形態とか第三形態とかは、きっと闘っていたシーンのことなんだろうな。
……どんな姿だったのかちょっと気になる。
「よかった、マルクがそばにいてくれて、よかったぁ……行かないで、ボクの傍にいて、お願い…」
泣きすぎてゴホゴホと咳き込んでしまう。
ポンポンと背中を軽く叩いてあげると、更にしがみついてきた。
あのときのことが、どれだけ大きな傷を彼女に遺したのかなんて考えたこともなかった。
「バッカだなぁ」
やんわりと腕をほどき、彼女の隣に腰をおろした。
ボクの言葉に過敏に反応し、キッと睨み付ける。
真っ赤になった目じゃ、あんまり迫力はないけどね。
「バカにしないでよ!
どれだけボクが「本当にバカなのサ」
言葉を遮って、カービィを自分の胸に引き寄せた。
油断していたのか、簡単にボクの中にすっぽりと収めることができた。
「ボクはもうそんなことしようと思わない。
キミ強いから、もう二度と敵にはなりたくないし。
またノヴァに助けられるのはゴメンなのサ。
それに」
一旦言葉を止めると、彼女の顔をボクの方に向けた。
「キミがいないポップスターなんて要らないのサ。」
照れたからか、ちょっとぶっきらぼうな言い方になってしまった。
死ぬほど恥ずかしい。
顔から火が吹きそうだった。
でも、どうしても伝えなきゃいけないって、そう思ったんだ。
ボクは、決していなくならないと。
キミの敵になることはもう二度とないと。
カービィの目が見開かれて、新たな涙が流れ出した。
ボクの服に染み込んでいく透明な雫は、温かだった。
「ほら、また泣く。」
「だ、だって……」
ボロボロ泣いてて、涙と鼻水で顔はぐっちゃぐっちゃ。
なのに、どうしようもないくらいに愛しさを感じて、ボクは彼女に口づけた。
ちょっとしょっぱくて、優しい味がした。
「……絶対、離してなんかやんないのサ。」
離れたくないのはね、ボクも一緒だよ。
そうささやくと、彼女は泣きながら笑った。
傍に
キミが望むのなら、ずっと―――
next
→あとがき
魔法を使ったテレポートでカービィの家に入ると(俗に言う不法侵入なのサ)、彼女はソファでうたた寝をしていた。
「まったく……風邪引いたらどうするのサ」
とりあえず適当に毛布をかけてやると、むにゃむにゃ、と言葉にならない寝言が零れ出た。
その警戒心のなさと愛らしさに、思わず笑みが漏れる。
「あ、何か飲み物でも貰おうかな」
立ち上がって冷蔵庫の方へ歩きだそうとすると、まるく…とか細い声で彼女が呼んだ。
起きたのかな?と思ったけどカービィの瞳は閉じられたままだった。
呼ばれたと思ったけど、どうやらそれは寝言だったようだ。
ボクの名前が出るなんて、ボクが出てくる夢でも見てるのかな?
「まるく~……」
「ハイハイ」
飲み物なんてどうでもよくなって、彼女の元へと戻った。
彼女の夢にボクがいる、なんとなく心がこそばゆい感じがしたけど、たしかな嬉しさもあった。
彼女の夢の中のボクは、どんなボクなのだろう……
いつもみたいにイタズラとかしてるのかな?
それともデートとかしてるのかな…?
「ここは……通さない……」
「え!?なにそのシチュエーション!?」
それはあまりにも予想外だった。
なんで若干修羅場チックになってるのサ……。
「……あのさ、もうちょっと甘い夢は見れないのサ……?」
つんつんとほっぺたを突っつく。
でも彼女は全く反応しない。
「な……!?
第三形態、エクスカリヴァーモード……だと……!?」
「えええなにそれ!?
しかも今まで第二形態だったのサ!?」
いったい何がどうしてそうなってしまったのだろう。
夢の中とはいえ扱いがあんまりだ。
カービィの夢の中のボク、いったいどんなことになってるのサ!?
「どういうことなの…」
「こっちが聞きたいのサ!
どういうことなのサ!?」
というか、どうしてボクは律儀にカービィの寝言にツッコんでるのだろう……。
でも、ツッコまずにはいられない。
……いっそ、起こそうかな?
こんなぶっとんだ夢、別に見なくてもいいだろ?
なんだかうなされているようにも見えるし。
「だめっ、行かないで!!
マルク、戻ってきて!!!」
「キミが戻ってこーいっ!!!!!」
思わず叫んでしまい、声がでかかった、と気付いたときはもう遅かった。
カービィはぱち、と目を覚ましてしまった。
目が合う、寝顔を眺めていたと思われそうで気まずい。
……まあ、事実なんだけどサ。
「や、やぁカービィ、おはようなのサ。」
若干ぎこちないけどとりあえず挨拶。
カービィはビックリした顔をして、それから顔をくしゃくしゃに歪め…
「マルクっ……!うわぁぁぁん!」
急に抱きついてこられたもんだから、よろけてしまった。
でもなんとか体勢を整え、彼女を受け止めた。
ボロボロと涙を流すカービィの腕は、ガッチリとボクの腰の辺りに回されている。
わけがわからなかったけど、とりあえずボクも彼女の身体に腕を回し、抱き締め返した。
「ど、どうしたのサ?」
「あ、あのねっ、怖い、怖い夢、見ちゃっ、たの……」
いや、むしろ愉快な夢だったでしょ?と言おうとしたけど言葉を飲み込んだ。
腕の中のカービィは震えながらしゃくりあげている。
震えがボクの身体にも伝わってきた。
冗談を言ったり茶化したりしちゃダメだろう。
「マルクが、また、ひとりで……!
止めようとしたけど、無理だった、戦うしかなかった、それで行っちゃったんだっ!
すっごくリアルな夢で、夢なんだか、現実なんだか、わかんなかったっ。」
なんとなく、事情はわかった。
きっと夢の中のボクはカービィを裏切って、ポップスターの征服とか言い出したのだろう。
あのときのように。
第二形態とか第三形態とかは、きっと闘っていたシーンのことなんだろうな。
……どんな姿だったのかちょっと気になる。
「よかった、マルクがそばにいてくれて、よかったぁ……行かないで、ボクの傍にいて、お願い…」
泣きすぎてゴホゴホと咳き込んでしまう。
ポンポンと背中を軽く叩いてあげると、更にしがみついてきた。
あのときのことが、どれだけ大きな傷を彼女に遺したのかなんて考えたこともなかった。
「バッカだなぁ」
やんわりと腕をほどき、彼女の隣に腰をおろした。
ボクの言葉に過敏に反応し、キッと睨み付ける。
真っ赤になった目じゃ、あんまり迫力はないけどね。
「バカにしないでよ!
どれだけボクが「本当にバカなのサ」
言葉を遮って、カービィを自分の胸に引き寄せた。
油断していたのか、簡単にボクの中にすっぽりと収めることができた。
「ボクはもうそんなことしようと思わない。
キミ強いから、もう二度と敵にはなりたくないし。
またノヴァに助けられるのはゴメンなのサ。
それに」
一旦言葉を止めると、彼女の顔をボクの方に向けた。
「キミがいないポップスターなんて要らないのサ。」
照れたからか、ちょっとぶっきらぼうな言い方になってしまった。
死ぬほど恥ずかしい。
顔から火が吹きそうだった。
でも、どうしても伝えなきゃいけないって、そう思ったんだ。
ボクは、決していなくならないと。
キミの敵になることはもう二度とないと。
カービィの目が見開かれて、新たな涙が流れ出した。
ボクの服に染み込んでいく透明な雫は、温かだった。
「ほら、また泣く。」
「だ、だって……」
ボロボロ泣いてて、涙と鼻水で顔はぐっちゃぐっちゃ。
なのに、どうしようもないくらいに愛しさを感じて、ボクは彼女に口づけた。
ちょっとしょっぱくて、優しい味がした。
「……絶対、離してなんかやんないのサ。」
離れたくないのはね、ボクも一緒だよ。
そうささやくと、彼女は泣きながら笑った。
傍に
キミが望むのなら、ずっと―――
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