avaritia~強欲~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ある日の朝、マルクは朝食の乗ったトレーを持って、鼻歌交じりで自宅の地下に作った牢屋……すなわち地下牢に降りて行った。
重たい鉄の扉を少し力を込めて開けると、ぼんやりとした明かりの照らされた寝台の上に豪奢なドレスを着たピンクの髪の少女が蹲っているのが目に入った。
「おはようなのサ、カービィ」
声をかけるが彼女はマルクの方を見向きもしない。
その瞳は光を映さず、虚空を見つめていた。
「昨日はよく眠れたのサ……?」
歩み寄ろうとすると、カービィはびくりと逃げ出したそうな素振りを見せる。
……クスリでコピー能力は封じ、足枷も手錠もしてあるから逃げられるわけがないのだが。
カービィが欲しくて欲しくてたまらず、でも手に入れることのできないマルクは……彼女を閉じ込めて愛でることにした。
あの日に無理矢理抱いた後には身体も洗ってあげて、可愛いドレスを着させて、大切に扱った。
しかしそれでも可愛くて可愛くて仕方が無く、壊す勢いで荒々しく抱いてしまうこともあった。
「ほらカービィ、ご飯をあげるのサ」
マルクは猫なで声でそう言いながら匙でご飯を掬い、カービィの口元へ運び、食べさせようとする。
が、カービィはいやいやと頭を振って口にしようとしない。
毎日こんな様子で、カービィは食べ物の一切を口にしようとしなかった。
彼女は日に日に痩せ細っていき、自力で歩くことさえできなくなっていた。
「や……っ!!
だして……もう、いや…………ここから…………だして…………!!」
悲痛な彼女の訴えだった。
それでもご飯を食べさせようとしてくるマルクの手を、彼女はグイと押し退ける。
食べないだけでなく、こうも積極的に拒絶されるとは思わず油断しきっていたマルクは匙を取り落してしまった。
カシャン、という小さな金属音が地下牢に響く。
「………………………………ねぇ、なんで?」
ビクッと身体を震わせたカービィを、マルクは冷たい瞳で見下ろした。
「こんなに大切にしているのに、どうしてキミは此処から出たがるのサ?」
ねぇ、どうして?と問いかける声にも、カービィは反応を示さない。
彼女も答えようとしているらしいが、声が上手く出ないらしい。
しかし、彼女が彼を拒絶しているということは明らかだ。
マルクもそれを急激に理解し、ふぅっと息を吐いた。
だったら……
そうだ……
いっそのこと……
すべて手に入るよう、殺してしまおう。
ああ、なんて自分は天才なのだろう!と心の中で自身に酔いしれた。
さっそくマルクはカービィの白い首に手を伸ばし、力を込める。
彼女は驚き抵抗を試みるも、憔悴しきっていた状態ではたいした効果はなく、苦しそうにもがくばかり。
ああ、なんて温かいのだろう。
彼女の体温が、ボクの冷たい掌に伝わってくる。
ああ、なんて心地よいのだろう。
彼女の苦しむ顔が、こんなにも心を満ち足りたものにするなんて!
苦痛に歪む顔ですら、こんなにも美しいなんて!
「まる……く……」
呻き声ですら彼の耳には、小鳥のさえずりのように可愛らしく聞こえる。
段々と彼女の蒼い瞳が濁っていくのを、ドクドクしながら見ていた。
「カービィ、カービィ、ボクの可愛いカービィ……」
思わず見とれるような無邪気な笑み……しかし、彼のオッドアイの瞳は爛々と輝き、カービィの首をひたすらに締め上げる。
しばらくすると、カービィの身体から完全に力が抜けた。
見開かれた蒼い瞳から、一粒の涙が零れた。
「カー、ビ……」
マルクの目からも、唐突に涙が零れた。
涙は段々と量を増し、拭っても拭っても何故か止まらない。
どうして涙が出ているのか、彼にはわからなかった。
やっとあれほど欲しがったカービィが手に入ったはずなのに?
人ひとりを殺してまでも欲しくて欲しくて仕方がなかったカービィを、ようやく手に入れられたのに?
命でさえも手にいれたのに?
でも、何かが違う。
決定的に何かが違う、と感じていた。
あんなに求めて、欲して……すべて欲しがり、手にいれたように見え、実際は……?
ボクが本当に欲しかったものはなに?
そう自問してもわからない。
マルクは震える右手でそっとカービィの顔に触れる。
頬は滑らかで、まだ少し温かい。
「あはっ、あははっ、あはははははははっ……」
壊れた道化師は泣きながら笑う。
嬉しいのか?悲しいのか?
愛しいのか?憎いのか?
それすらもわからずに。
「あぁ、ボクが欲しかったものは……」
マルクはようやく、自分がしてしまったことを後悔した。
今更後悔しても、なにもかも遅いのに。
「キミの…………笑顔だったんだ」
欲しがって、欲しがって、欲しがって……何もかも失ってしまったんだ
(そして彼は自らの首筋に刃を立てる)
重たい鉄の扉を少し力を込めて開けると、ぼんやりとした明かりの照らされた寝台の上に豪奢なドレスを着たピンクの髪の少女が蹲っているのが目に入った。
「おはようなのサ、カービィ」
声をかけるが彼女はマルクの方を見向きもしない。
その瞳は光を映さず、虚空を見つめていた。
「昨日はよく眠れたのサ……?」
歩み寄ろうとすると、カービィはびくりと逃げ出したそうな素振りを見せる。
……クスリでコピー能力は封じ、足枷も手錠もしてあるから逃げられるわけがないのだが。
カービィが欲しくて欲しくてたまらず、でも手に入れることのできないマルクは……彼女を閉じ込めて愛でることにした。
あの日に無理矢理抱いた後には身体も洗ってあげて、可愛いドレスを着させて、大切に扱った。
しかしそれでも可愛くて可愛くて仕方が無く、壊す勢いで荒々しく抱いてしまうこともあった。
「ほらカービィ、ご飯をあげるのサ」
マルクは猫なで声でそう言いながら匙でご飯を掬い、カービィの口元へ運び、食べさせようとする。
が、カービィはいやいやと頭を振って口にしようとしない。
毎日こんな様子で、カービィは食べ物の一切を口にしようとしなかった。
彼女は日に日に痩せ細っていき、自力で歩くことさえできなくなっていた。
「や……っ!!
だして……もう、いや…………ここから…………だして…………!!」
悲痛な彼女の訴えだった。
それでもご飯を食べさせようとしてくるマルクの手を、彼女はグイと押し退ける。
食べないだけでなく、こうも積極的に拒絶されるとは思わず油断しきっていたマルクは匙を取り落してしまった。
カシャン、という小さな金属音が地下牢に響く。
「………………………………ねぇ、なんで?」
ビクッと身体を震わせたカービィを、マルクは冷たい瞳で見下ろした。
「こんなに大切にしているのに、どうしてキミは此処から出たがるのサ?」
ねぇ、どうして?と問いかける声にも、カービィは反応を示さない。
彼女も答えようとしているらしいが、声が上手く出ないらしい。
しかし、彼女が彼を拒絶しているということは明らかだ。
マルクもそれを急激に理解し、ふぅっと息を吐いた。
だったら……
そうだ……
いっそのこと……
すべて手に入るよう、殺してしまおう。
ああ、なんて自分は天才なのだろう!と心の中で自身に酔いしれた。
さっそくマルクはカービィの白い首に手を伸ばし、力を込める。
彼女は驚き抵抗を試みるも、憔悴しきっていた状態ではたいした効果はなく、苦しそうにもがくばかり。
ああ、なんて温かいのだろう。
彼女の体温が、ボクの冷たい掌に伝わってくる。
ああ、なんて心地よいのだろう。
彼女の苦しむ顔が、こんなにも心を満ち足りたものにするなんて!
苦痛に歪む顔ですら、こんなにも美しいなんて!
「まる……く……」
呻き声ですら彼の耳には、小鳥のさえずりのように可愛らしく聞こえる。
段々と彼女の蒼い瞳が濁っていくのを、ドクドクしながら見ていた。
「カービィ、カービィ、ボクの可愛いカービィ……」
思わず見とれるような無邪気な笑み……しかし、彼のオッドアイの瞳は爛々と輝き、カービィの首をひたすらに締め上げる。
しばらくすると、カービィの身体から完全に力が抜けた。
見開かれた蒼い瞳から、一粒の涙が零れた。
「カー、ビ……」
マルクの目からも、唐突に涙が零れた。
涙は段々と量を増し、拭っても拭っても何故か止まらない。
どうして涙が出ているのか、彼にはわからなかった。
やっとあれほど欲しがったカービィが手に入ったはずなのに?
人ひとりを殺してまでも欲しくて欲しくて仕方がなかったカービィを、ようやく手に入れられたのに?
命でさえも手にいれたのに?
でも、何かが違う。
決定的に何かが違う、と感じていた。
あんなに求めて、欲して……すべて欲しがり、手にいれたように見え、実際は……?
ボクが本当に欲しかったものはなに?
そう自問してもわからない。
マルクは震える右手でそっとカービィの顔に触れる。
頬は滑らかで、まだ少し温かい。
「あはっ、あははっ、あはははははははっ……」
壊れた道化師は泣きながら笑う。
嬉しいのか?悲しいのか?
愛しいのか?憎いのか?
それすらもわからずに。
「あぁ、ボクが欲しかったものは……」
マルクはようやく、自分がしてしまったことを後悔した。
今更後悔しても、なにもかも遅いのに。
「キミの…………笑顔だったんだ」
欲しがって、欲しがって、欲しがって……何もかも失ってしまったんだ
(そして彼は自らの首筋に刃を立てる)