acedia~怠惰~
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「ん……」
カーテンから射す朝日に目が覚めた青年は、隣で眠っている少女に目をやった。
桃色の柔らかい髪を手でサラサラとすくと、少女は小さく身じろぐ。
ちらりと見えた、少しばかりはだけた白い胸元に紅い所有印が残っているのを認め、昨夜の行為を思い返した。
「カービィ……可愛い……。」
青年……メタナイトは、指先に感じる柔らかさを楽しみながら繰り返し髪をすく。
ふぁ、と可愛らしい寝言に心が和み、フフ……と微笑んだところで、カービィが目蓋を開けた。
「おはよう。」
「おはよ……今何時……?」
「さぁ?」
適当すぎる返答に、カービィは押し黙る。
これがいつもの朝のやり取りだった。
まず、時計というものがこの部屋にはなかった。
『カービィと離れる時間が来るなんて、それならば時計を壊してしまえば分らない。』
そう言って彼は部屋中、いや家じゅうの時計を壊してしまったのだ。
「メタ……お仕事行かなくていいの?」
「ああ、良いのだ。」
「そんな……メタがいないと、みんなが困っちゃうよ?」
「私はそなたとさえいられれば……他の者はどうだっていい。」
そう、彼にとってはカービィが全て。
守るべき星も、星の戦士という立場も、全てが彼にとって意味を成していなかった。
「ずっと一緒にいられるのだ。
嬉しいだろう?」
メタナイトの問いに、カービィはう、うん……と微妙な返答をする。
「さあ、もう一度眠ろう……。」
メタナイトがカービィの頭をそっと撫でると、彼女は瞳を閉じた。
しばらくして、メタナイトも眠りについた。
***
彼女が目を覚ますと、やはり先程と同じ光景が広がっていた。
白いシーツ、淀んだ空気、明るいはずなのに暗い室内。
そして、動かしづらい身体とハッキリしない意識。
「おはよう。」
優しくメタナイトは微笑みかける。
仮面をしていないから素顔が丸見え。
カービィは嬉しさと同時に恐怖を感じていた。
メタナイトは異常なほどにカービィと一緒に居たがった。
カービィを閉じ込め、食事に睡眠薬を仕込み、ひたすら眠らせた。
彼はそんなカービィをひたすら眺めたり、一緒に寝ていた。
いつからだったろう。
あれだけ時間には厳しいメタナイトが仕事に遅刻するようになったのは。
カービィは霞む意識の中で考える。
いつからだったろう。
あれだけ仕事熱心だったメタナイトが仕事をあまりしなくなったのは。
どうしてこうなったのだろう……?
考えても答えは見つからない。
「メタ……」
「なんだ?」
「どうして、どうしてこんなことするの……?」
メタナイトは安らかに微笑む。
そっとカービィの頭をかきなで、耳元へと口を寄せる。
「私が、カービィと一緒にいたいからだ。」
それが合図だったかのように、カービィの瞳が閉じられた。
「フフフ……カービィ……。」
ひたすら眠り、時々食事をとり、排泄し、また眠る。
起きていてもゴロゴロして、お互いの意識がハッキリしているときは身体を交える。
気が向いたらシャワーを浴び、そこでまた身を交え……
こうやって二人の時間は流れていく。
たしかに“時間だけ”が過ぎていくのだ。
いつしか、カービィの家を訪れる者も数えるばかりになった。
心配したフームやドロッチェが、食べ物を支給しに来るのみ。
……それが余計に二人を怠惰に追いやるというのに。
幾分の月日が経った末、最初は戸惑いを見せていたカービィも、もはや何の疑問も抱かずにメタナイトに従っていた。
戦士がいなくなったププビレッジを戦火が包んでも、彼らは何もしなかった。
だって、そんなことどうでもいいのだから。
何人ものの命が奪われ、何人もの願いが彼らに託された。
だが、二人が動くことはなかった。
その後、デデデの活躍で戦いが終焉を迎えたあとも、二人は共に眠っていた。
今日も淀んだ空気の中、二人は愛し合う。
「カービィ、今幸せか……?」
掠れた声で問うメタナイトに、カービィはゆるりと頷いた。
「うん、すごく幸せ……。」
カービィの答えに満足したのか、メタナイトは彼女を引き寄せ腕に抱き、目を閉じる。
そうして二人はまた眠りについた。
怠惰
(このふたりはいま、ほんとうにしあわせ?)
カーテンから射す朝日に目が覚めた青年は、隣で眠っている少女に目をやった。
桃色の柔らかい髪を手でサラサラとすくと、少女は小さく身じろぐ。
ちらりと見えた、少しばかりはだけた白い胸元に紅い所有印が残っているのを認め、昨夜の行為を思い返した。
「カービィ……可愛い……。」
青年……メタナイトは、指先に感じる柔らかさを楽しみながら繰り返し髪をすく。
ふぁ、と可愛らしい寝言に心が和み、フフ……と微笑んだところで、カービィが目蓋を開けた。
「おはよう。」
「おはよ……今何時……?」
「さぁ?」
適当すぎる返答に、カービィは押し黙る。
これがいつもの朝のやり取りだった。
まず、時計というものがこの部屋にはなかった。
『カービィと離れる時間が来るなんて、それならば時計を壊してしまえば分らない。』
そう言って彼は部屋中、いや家じゅうの時計を壊してしまったのだ。
「メタ……お仕事行かなくていいの?」
「ああ、良いのだ。」
「そんな……メタがいないと、みんなが困っちゃうよ?」
「私はそなたとさえいられれば……他の者はどうだっていい。」
そう、彼にとってはカービィが全て。
守るべき星も、星の戦士という立場も、全てが彼にとって意味を成していなかった。
「ずっと一緒にいられるのだ。
嬉しいだろう?」
メタナイトの問いに、カービィはう、うん……と微妙な返答をする。
「さあ、もう一度眠ろう……。」
メタナイトがカービィの頭をそっと撫でると、彼女は瞳を閉じた。
しばらくして、メタナイトも眠りについた。
***
彼女が目を覚ますと、やはり先程と同じ光景が広がっていた。
白いシーツ、淀んだ空気、明るいはずなのに暗い室内。
そして、動かしづらい身体とハッキリしない意識。
「おはよう。」
優しくメタナイトは微笑みかける。
仮面をしていないから素顔が丸見え。
カービィは嬉しさと同時に恐怖を感じていた。
メタナイトは異常なほどにカービィと一緒に居たがった。
カービィを閉じ込め、食事に睡眠薬を仕込み、ひたすら眠らせた。
彼はそんなカービィをひたすら眺めたり、一緒に寝ていた。
いつからだったろう。
あれだけ時間には厳しいメタナイトが仕事に遅刻するようになったのは。
カービィは霞む意識の中で考える。
いつからだったろう。
あれだけ仕事熱心だったメタナイトが仕事をあまりしなくなったのは。
どうしてこうなったのだろう……?
考えても答えは見つからない。
「メタ……」
「なんだ?」
「どうして、どうしてこんなことするの……?」
メタナイトは安らかに微笑む。
そっとカービィの頭をかきなで、耳元へと口を寄せる。
「私が、カービィと一緒にいたいからだ。」
それが合図だったかのように、カービィの瞳が閉じられた。
「フフフ……カービィ……。」
ひたすら眠り、時々食事をとり、排泄し、また眠る。
起きていてもゴロゴロして、お互いの意識がハッキリしているときは身体を交える。
気が向いたらシャワーを浴び、そこでまた身を交え……
こうやって二人の時間は流れていく。
たしかに“時間だけ”が過ぎていくのだ。
いつしか、カービィの家を訪れる者も数えるばかりになった。
心配したフームやドロッチェが、食べ物を支給しに来るのみ。
……それが余計に二人を怠惰に追いやるというのに。
幾分の月日が経った末、最初は戸惑いを見せていたカービィも、もはや何の疑問も抱かずにメタナイトに従っていた。
戦士がいなくなったププビレッジを戦火が包んでも、彼らは何もしなかった。
だって、そんなことどうでもいいのだから。
何人ものの命が奪われ、何人もの願いが彼らに託された。
だが、二人が動くことはなかった。
その後、デデデの活躍で戦いが終焉を迎えたあとも、二人は共に眠っていた。
今日も淀んだ空気の中、二人は愛し合う。
「カービィ、今幸せか……?」
掠れた声で問うメタナイトに、カービィはゆるりと頷いた。
「うん、すごく幸せ……。」
カービィの答えに満足したのか、メタナイトは彼女を引き寄せ腕に抱き、目を閉じる。
そうして二人はまた眠りについた。
怠惰
(このふたりはいま、ほんとうにしあわせ?)